40分で語る経済・財政対策
地域の後援会の依頼で、日本経済のゆくえ、円高問題、財政再建など経済・財政について40分で語ってほしい、という注文をうけて・・・用意したもの。ざっくりとシンブル、そしてA4の資料をB4に拡大して使用しました。さて評価の方は・・・
「20101024.doc」をダウンロード
【くらしの要求こそ景気回復と財政危機打開のカギ】
(1)深刻な不況をどう克服するか。
◇経済の主力はどこにあるか
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+(輸出-輸入)
個人消費57%
民間投資16%
公的需要23%
輸出3%(13-10)
◇この10年 成長がとまった異常な国
「97-07年での主要国のGDPの推移」
97年を100として/OECDデータベース
加173.3 米169.0 英168.5 仏149.5 伊147.4
独127.0 日本100.0 /07年以降、日本は逆に減少
◇その原因は・・・
★経済の最大のエンジン 個人消費の冷え込み
*「産業活動分析」 経済産業省2010.6
民間給与所得者の平均給与は、97年をピークに低下し続けている。20 年までの11 年間で▲8.1%、総額で14 兆円も減少。賃金水準の低下は、可処分所得の低下を通じて、長引く消費低迷の要因となっている。
年収200 万円以下の階層の増加が著しく、この階層は9年以降の10 年間で1.3 倍に増加。また、年収が600 万円~1,500 万円のいわゆる中間層の減少が著しい。この10 年間で2 割近く減少。
*富士通総研「デフレは日本だけの現象であり、それは90年代後半以降の継続的な賃金低下にある」
★富はどこにいった・・・ 大企業の内部留保の増加
1997-2007年比 利益15兆円→32兆円 内部留保142兆円→229兆円
リーマンショック後 純利益を4兆円から7兆円、内部留保を1年間で233兆円から244兆円
金融資産や現金など、生産と結びつかない「だぶついたお金」
*日銀総裁 「大企業の手元資金は今は非常に潤沢」「この資金を使う場所がないことを、金融機関の経営者からも、企業の経営者からもしょっちゅう聞く」(9/9 佐々木憲昭質問)
◇解決は・・・
・賃金、正社員化、下請企業を守るルール / 菅首相も、内部留保の還流に「賛成」(10/7 志位質問)
・社会保障の充実
【家計と国の経済はまったく別物】
・家計では、節約が「生活防衛」の手段
・国の経済では、お金がうまく循環し、雇用を拡大すること/雇用や暮らしに役立つところに税金を使う
医療費の半分、特養ホームは6割弱が人件費。/ 産業としてすぐれた雇用効果
大企業の減税をしても、「だぶついたお金」が増えるだけ
*海外の子会社の税率も本国の税率が適用。税金が高いので海外に出て行くというのはゴマカシ
・社会保障の要求は、経済のまともな循環をつくり、若者の雇用の場をつくること。
(2)円高って何、どうする。
本来は、国と国との収支の均衡をはかるシステム
日米貿易で、日本が黒字、アメリカが赤字なら、円高、ドル安になる
100円=1ドル 日本製で100万円の車がアメリカで1万ドル
50円 =1ドル 〃 2万ドル /競争力が低下
日本は、輸出が減り、アメリカは輸入が減り 貿易の不均衡が是正される
・ところが日本の大企業は、円高になると、労働者と下請企業の犠牲で、競争力を維持
→ さらに円高に → さらに労働者・下請犠牲(内需の縮小) → 円高
という「悪魔のサイクル」(野村総研)に陥っている
・今、日本の円の実力(モノを買う力)は、1ドル 114円
・この点からも、内需主導の経済にもどすことが、円高是正する道
(3)860兆円の借金をどうするか
・「国・地方の長期債務残高」は862兆円(2010年度末)/GDPの1.8倍で、世界的に見ても大きい
英、米、仏、独、加は100%以下、伊130%程度
◇原因はなにか
★問題になっているのは、対GDP比の借金 /経済が成長すれば比率は減る
「構造改革」路線で、大企業はもうけたが、国全体の成長が止まったのが問題
「90-05年の主要国の政府債務残高の推移」 90年を100として/OECDデータベース
英351.3 仏331.2 日本283.6 独263.7 米241.3 伊237.7 加201.8
★支出と収入の問題
・社会保障が原因ではない
「社会保障の公費負担(国、地方の税金からの支出)の対GDP比」
日本6% 英13.5% 伊11% 独10.8% 仏9.4%
・巨大開発(10年間で630兆円の対米公約)、軍事費(年5兆円)
・大企業、大金持ち減税
1995-2010年 消費税以外の税収―法人税、所得税、相続税などの税収 約21兆円も減
・法人税率 45%(1981年)→ 30%(99年)
・83年-現在 所得税75%→40%、住民税18%→10% /証券優遇税説10%
・民間企業の税・社会保険料負担(GDP比) 日本は先進国最低レベル(02~03年統計 )
日本7.6% ドイツ9.1% フランス14%/フランス並みなら32兆円の財源ができる
◇税金による所得再配分機能が極めて弱い日本
OECDの17国平均 貧困率の改善率53.8% 日本18.2%
スウェーデン68.5、仏75.1、 独61.0、豪58.0、英56.3、伊47.2、加35.6、米23.9
◇解決は、くらし中心の経済成長、税の民主的改革、無駄の排除
【家計と国の借金はまったく別物】
家計では、定年や寿命があるので、25年ローンなど期限がある
「孫子に借金を残さない」は理由がある
国は、定年も寿命もない。 適正に管理されていれば、借金は問題ない(借金のない国もない)
例えば、道路建設なら30年使う。借金は30年分割になる。
【消費税についての誤解 / 「税率5%は低いか」】
・ヨーロッパは、生活必需品は無税か低税率 / しかも医療、教育は無償
・国税収入にしめる割合 5%ですでに欧米なみ(保団連資料)
・増税は、経済の最大のエンジン、家計消費を冷やしで、経済そして税収も低下させる愚作
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