就労か出産か 選択迫られる正規雇用女性
世界経済フォーラムは、女性の社会進出の低さについて、「人的資源の半分を十分に活用できていない国は確実に競争力を損なっている」(08年)と指摘したが、第一生命経済研究所が大卒の正規雇用女性が抱える矛盾についてレポートを発表している。
「就労か出産か厳しい選択を迫られる正規雇用女性 10/14」
大卒正社員が出産をあきらめ就労をつづける。一旦退職すると再就職しないという傾向がありレポートは、「女性の高学歴化による少子化と女性の非就業化が進み、少子化の食い止めや、女性労働力化の推進という国の目標に反する動きとなってしまう」と指摘している。
残業時間の制限のなく、長時間労働が蔓延していること(ILO1号条約 8時間労働制、1919年。日本は未批准)、非正規雇用と働く貧困層の増加に、歯止めをかけることが、個々人の人権保障、幸福追求は、日本社会の持続可能性に直結する。
【要旨】 ○子育てにかかる費用負担の大きさが出産の大きな阻害要因となっており、その解決には母親である女性が働くことが必要である。しかし、母親が常勤の場合でもほぼ半数の家庭で家事の9割以上を母親が担っている。こうした現実を考えると、就労と家事育児の両立は母親にとって体力的、時間的に負担が非常に大きい。働かないと金銭負担が、働くと体力的、時間的な負担が大きく、いずれにしても出産のハードルが高くなってしまう。家事育児負担を減らす(=担い手作り)か、母親の仕事負担を減らす(=就労時間を短縮する)かの対応が必要である。○就労による家事育児負担の増大と世帯所得の拡大の影響を併せて考えると、子どもをもつ女性にとってメリットの大きな働き方は非正規雇用であるようにみえる。しかし、正規雇用の採用ルートは新卒時が中心となっている現状では、出産・育児のために正規雇用の職を退職して、非正規雇用の職につくと、再び正規雇用の職に戻ることが困難であるため、再就職後の低賃金が固定化することになり、その機会費用も大きい。
○特に大卒女性では正規雇用と非正規雇用の賃金格差が大きいため、出産をあきらめる、もしくは退職して出産するが再就職しないという人が多い。現状のままであれば、女性の高学歴化による少子化と女性の非就業化が進み、少子化の食い止めや、女性労働力化の推進という国の目標に反する動きとなってしまう。女性の高学歴化は、今後、出生率を少なくとも0.14p押し下げ、さらに子どもを持つ女性の就業率を押し下げる可能性がある。
○根本的には同一賃金同一労働が成り立つような柔軟な労働市場の形成が必要であるが、少子化対策に残された時間は少ない。取り急ぎ、出産の金銭的ハードルが低いはずの正規雇用者が出産できない、あるいは退職後の金銭的ハードルにより第2子出産を控えるなどという問題が起きないような社会作りを急ぐ必要があるだろう。今回施行された新育児休業法では、短時間勤務制度の義務付けや父親の育児参加推進がはかられているが、さらなる国の支援と企業の努力が必要である。今後影響が拡大するであろう労働人口減少を緩和する女性労働力の活用法を、社会全体で準備する時期にあるのではないだろうか。
« 高知の若者 雇用・就活事情 | Main | 「責任ある農業投資」めぐる対決点 »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 26年度予算案の特徴(メモ)(2026.01.17)
- 会計年度任用職員制度の改善、さらに (メモ)(2026.01.12)
- 米国・移民問題~自らの中南米への支配・介入政策が要因(2026.01.10)
- 裏金追及が築いた「26予算案」の変化(2026.01.08)
- 米国の「ベネズエラへの軍事攻撃」批判 と マドゥロ政権の評価(2026.01.06)
「雇用・労働」カテゴリの記事
- 会計年度任用職員制度の改善、さらに (メモ)(2026.01.12)
- 日本経済「没落」の真相 村上研一 (メモ)(2025.11.28)
- 地方議員学習交流会2025年11月(2025.11.17)
- 「搾取をなくす」とは何か その理解のために(2025.11.04)
- 資本論 児童労働と教育・考 労働時間の制限がテーマ(2025.08.29)
「ジェンダー」カテゴリの記事
- 会計年度任用職員制度の改善、さらに (メモ)(2026.01.12)
- マルクス 複線的・非還元主義的な歴史理論への探求(2025.12.08)
- 「参政党」の研究 自民党を「極右」から揺さぶる言動(2025.07.06)
- 24年9月 意見書決議・私案 「選択的夫婦別姓」「女性差別撤廃・選択議定書」(2024.09.05)
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)


Comments