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障害者権利条約の理念踏まえて 全教、きょされんの報告

 全日本教職員組合の「特別支援教育の在り方」への意見、きょうされんの「全国大会基調報告(案)」。
 障害児教育・福祉をめぐる状況と課題が、よくわかるものになっている。どちらも障害者権利条約の批准にふさわしい体制を・・・と言う観点からの提言、意見となっている。
【「障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方」に関する意見 10/18】
path=../../upload/1287392894.pdf&name=2010.10.18
【きょうされん第33回全国大会 基調報告(案)】

 なお、ここではあまりふれられてないが「差別禁止法」については、人権問題は、公権力と個人とのタテの関係が基本、そのあと国民相互のヨコの関係あるというのが基本。
生存権なら、国、自治体の責任があって、個人の生存権が保障される。教育権は、国、自治体が学校をつくり、先生を配置し、教科書を配布して確保できる、とう構図になる。このことを第一に明確にしなくてはならない。
【「人権教育」とは~この曖昧で非科学的なもの 09/8】
http://wajin.air-nifty.com/jcp/2009/08/post-58c3.html

【 「障害者権利条約の理念を踏まえた特別支援教育の在り方」に関する意見】  2010年10月18日 全日本教職員組合

◇はじめに
 全日本教職員組合(全教)は、障害者権利条約の批准に向けた検討が教育分野でもすすめられていることを歓迎します。この検討が憲法26条の理念を踏まえた、すべての子どもたちの成長・発達を保障する教育の実現をめざし、障害の有無を問わず、日本のすべての子どもたちの教育の前進につながるものとなることを願っています。
インクルーシブな教育システムについて論議が展開されています。この課題を障害のある子どもの問題に限定せずにとらえることが重要です。障害のある子どもたちはもちろん、貧困、学力格差、非行、不登校、外国人子女、病気入院児など様々な要因で教育から排除されやすいすべての子どもたちを視野に、「教育から排除しない」「どの子にも学習と発達を保障する」教育制度のあり方が問われているととらえることが必要です。

 日本の教育制度全体にかかわって二つの問題に触れます。
 第一に、学級規模の問題です。さまざまなニーズを持つ子どもたち一人ひとりを大切にする教育が困難な背景に、40人学級や教職員定数が足りない問題があります。この度、文部科学省が新しい教職員定数改善計画を策定し、来年度予算に概算要求されたことを歓迎します。インクルーシブな教育制度を推進する観点からもこの課題を位置づけ、来年度予算として実現させること、さらに30人学級の実現に向けた計画を策定されることを強く求めます。
 第二に、国連子どもの権利委員会からくりかえし指摘されている、「過度に競争的な日本の教育制度」、さらに今年6月の第3回最終所見で勧告された「学力的な優秀性と子ども中心の能力形成を結合」する視点から学校制度を見直す問題です。日本において、特別支援教育制度が開始された2007年度以降も特別支援学級、特別支援学校に在籍する子どもたちは急激に増加を続けています。インクルーシブな教育制度を推進する観点からも、この二つの視点から日本の学校制度を見直し、抜本的な改善をすすめることを求めます。
 「障がい者制度改革推進会議」の論議においても、中教審初等中等教育分科会「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」の論議においても、日本の教育制度の根本にかかわるこの二つの課題の検討は不十分であると考えます。

1.「現行の特別支援教育の評価」について
 特別支援教育において、それまでの特殊教育より対象とする障害を広げたこと、また通常学級を含めて、特別の支援を必要とする子どもが在籍するすべての学校における特別な教育の実施を求めたことには積極的な側面があると考えます。また、発達障害の存在が広く啓蒙されたことも教育の前進につながっていると考えます。
しかし、いくつもの課題や問題点も存在します。ここでは四点について指摘します。

 第一に、必要な条件整備が不十分なままに制度が始まったことです。特別な教育の対象とする障害や教育の場の拡大、特別支援学校のセンター的機能、交流および共同学習の実施、コーディ
ネーターなどによる関係機関との連携などの新たな職務・責任に対応する教職員配置は極めて不十分な実態にあり、主として担任、担当者、学校の責任に依拠する形で制度が推進されています。この中で、学校現場での困難が拡大しています。すべての小・中・高等学校と特別支援学校を想定しながら、特別な教育指導を行うことのできる教員の配置、コーディネーターの配置など制度の実施に必要な教職員の配置をすすめる教職員定数改善計画の策定を求めます。

 第二に、特別支援学校の学校設置における最低基準が定められていない中で、教育条件の悪化が顕著になっていることです。80学級を超える学校規模が生じるなどの特別支援学校のマンモス化は、カーテンで仕切られた教室、玄関や更衣室まで教室に転用せざるを得ない実態などを生み出しています。通常の教育では許されない権利侵害の実態が障害児の学校であるがゆえに放置されている状況が広がっています。特別支援学校にも学校設置基準をつくることを求めます。また障害種別に応じた教育課程編成や施設・設備を保障する障害部門の制度化など専門性の維持・充実に必要な施策の推進を求めます。

 第三に、障害児教育の専門性の低下ともいえる現象が見られ始めていることです。とりわけ特別支援学級の急激な増加に専門性を有する教員の配置が追い付いていない問題は重要です。一人ひとりの子どもたちをしっかり受け止める集団や担任が存在し「安心できる居場所」を形成してきた、また行事や生活も重視しながら「特別支援学級としての授業」が大切にされてきた特別支援学級の実践的な到達点が継続できない実態が広がっています。個のニーズへの対応の課題を狭くとらえるのではなく、一人ひとりの子どもたちの人格形成を保障する指導のあり方が問われています。特別支援学級担任や通級指導教室担当者の教員免許制度のあり方、教員採用や人事異動のあり方などの検討を求めます。

 第四に、「特別支援教室(仮称)構想」への転換についてです。中教審答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」では、「『特別支援教室(仮称)』の構想が目指しているシステムを実現する方向で制度的見直しを行うことが適当である」とし、①ほとんどの時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態、②比較的多くの時間を通常の学級で指導を受けつつ、障害の状態に応じ、相当程度の時間を特別支援教室で特別の指導を受ける形態、③一部の時間のみ特別支援教室で特別の指導を受ける形態の三つの特別支援教室のイメージが例示されています。しかし、この三つの教室イメージがすべての学校において併存することができるのか、単一の教室が子どもによって3通りの対応をするものなのか明確ではありません。子どもたちの集団や教育課程の編成にかかわって大きな影響を及ぼす課題だと考えます。また障害種別毎の設置、現行の標準法の枠外となった場合の教職員の配置のあり方など、明確になっていない課題が多く、保護者や教職員の中で不安や危惧が広がっています。「特別支援教室(仮称)構想」への転換については慎重な検討を求めます。

2.「平成21年度2月の調査研究協力者会議の中間とりまとめにおける就学先決定に関する提言の評価」について
 障害の程度のみから就学先を決定するのではく、保護者の希望をも受け止め、総合的な観点から子どもの最善の利益を保障する就学先を検討し、十分な合意や納得を大切にしながら決定していくとする提言の方向、また就学後においても継続的にフォローアップしていくことが位置づけられていることを評価します。
 将来的な方向として、保護者や本人の学校を選択する権利を保障するシステムが構築されることが必要だと考えますが、そのためには「保護者・本人の希望」と「子どもの最善の利益」を統一的に保障することができる総合的な制度として確立することが必要です。就学前における障害児や家族への支援、保護者の疑問や不安に応える早い時期からの十分な教育相談・就学相談活動などの具体的な体制を整備・確立することを求めます。また本人・保護者の選択を重視して就学先の決定を行う場合においても、選択した者の「自己責任」を強調するのではなく、すべての学びの場において同等の権利が保障されるとの視点から、行政として特別支援学校・学級の教育条件に責任をもって推進することを求めます。

3.「障がい者制度改革推進会議第一次意見(教育部分)の評価」について
 障害者権利条約の実効ある批准を推進する目的で、内閣府に障害当事者・関係者を含む「障がい者制度改革推進会議」が設置されたことについて評価します。
 推進会議の教育にかかわる論議において、障害のある子どもたちの権利が数々の面で侵害されている現状にある日本の教育実態について、障害者権利条約に示された教育の目的を達成する視点からのていねいな検討・検証は不十分であると考えます。また教育関係者が少ないなど検討をすすめる委員構成においても問題があると考えます。
 第一次意見における記述を踏まえ、閣議決定でインクルーシブ教育システムの理念が「障害のある子どもが障害のない子どもと共に教育を受ける」と記述されたことのていねいな吟味が必要だと考えます。障害者権利条約の理念を踏まえた正確な表記が必要です。
 第一次意見において、「障害の有無にかかわらず、すべての子どもは地域の小・中学校に就学し、かつ通常の学級に在籍することを原則とし、本人・保護者が望む場合・・(略)・・には、特別支援学校に就学し、又は特別支援学級に在籍することができる制度へと改める」と示されたことは、子どもたちの成長・発達する権利を侵害しかねない危険性を含んでおり再検討が必要です。私たちは、特別支援学校や特別支援学級は、インクルーシブな教育制度の中に包含されるものと考えます。通常の学級が原則であり、特別支援学校、特別支援学級は例外とするとらえ方は、日本の障害児教育の積極的な到達点をも否定し、障害児の権利を後退させることにつながりかねません。どの学びの場を選択した場合においても同等の権利が保障される制度が確立されることを求めます。この観点からそれぞれの学びの場における教育条件整備を推進するべきです。この基本的立脚点に立った上で、インクルーシブな教育制度の具体化として学区が広域で大規模な特別支援学校の小規模・分散化、すべての小・中・高校への特別支援学級と通級指導教室の設置などの改善を推進することを求めます。
本人・保護者の希望や選択を法的に保障する仕組みの実施にあたっては、前述したように「保護者・本人の希望」と「子どもの最善の利益」が統一的に保障される総合的な制度の確立が必要だと考えます。
 第一次意見が、小・中学校に就学した場合に「追加的な教職員配置や施設・設備の整備等の条件整備を行うために計画的に必要な措置を講ずる」としたことは、合理的な配慮(必要な条件整備)の具体化を推進するものとして積極的側面を持つと考えます。しかし同時に、たくさんの困難をかかえている日本の教育の現状を前提とした上での個別の配慮にとどまっていること、特別支援学校にかかわる計画的な教育条件整備に全く触れていないことなど不十分です。
 来年度通常国会に提出を予定している障害者基本法改正案の作成を前提に、12月にとりまとめられようとしている第二次意見が、障害児の権利としての教育の前進を強くねがう父母、教職員、教育関係者にとっても広く合意が得られるものとなるよう十分な検討を求めます。

4.その他、特別委員会の論点について
 障害のある子どもが地域の小・中学校の通常学級に就学する場合、その前提として通常学級における教育課程が、障害のある子どもたちにとっても、最大限度の発達保障、アイデンティティの形成、自由な社会への効果的参加の促進などの教育の目的を実現するものとして編成されることが必要です。障害のある子どもたちを除外して編成された教育課程では、学習に主体的にかかわることは困難です。すべての在籍する子どもたちの実態、地域の実態を踏まえた創造的な教育課程編成をすすめることが必要です。
 障害に応じた部分的な配慮によって、通常の学級においても主体的に学習に参加することが可能な子どもたちが存在します。私たちは通常学級でも学習権・発達権を保障することができる子どもたちが増えていくように日本の教育制度全体の改善をすすめることを求めます。
 同時に、認知・コミュニケーションにかかわる障害、知的障害などを持つ子どもたちの中には、障害に配慮して教育課程の全体を組み立てることが必要な子どもたちが存在することに十分な注意が必要です。
居住地校との交流及び共同学習(副籍、支援籍など)の検討・推進においても、障害のある子どもたちが主体的に参加できる教育課程のあり方の検討と、通学や十分な教育を保障するために必要な条件の整備をすすめることが不可欠です。
 現在すすめられている特別支援教育の在り方に関する検討が、通常学級、特別支援学級、特別支援学校に在籍するすべての子どもたちの教育の豊かな発展につながるものとなること求めて、全日本教職員組合としての意見表明といたします。

【きょうされん 基調報告案より】  全体が15ページにわたるので、政策提言部分のみ紹介

(2)わたしたちが考える障害関連法制~第一次政策提言~
権利条約の批准にふさわしい国内法制の整備が不可欠であることから、きょうされんは積極的に推進会議に対して意見を伝えています。その意見の基調となるのは、第一次政策提言と今第33回全国大会を経て正式に提案される第二次政策提言です。
ここでは、この政策提言に沿って、障害者基本法と総合福祉法に関するわたしたちの考えについて述べます。

① 障害者基本法の抜本改正に向けて
「障害分野の憲法」とも言われていた障害者基本法ですが、権利条約の国内版権利条約(権利法)とすべく抜本的な改正が求められます。現行の基本法は2004年に改正されたもので、1993年の制定以来、当時11年ぶりの改正として、差別禁止条項の加筆、障害者基本計画の策定義務の明確化、中央障害者施策推進協議会の復活、アジア太平洋障害者の十年(1993~2002年)における障害のある人の社会参加、人権の尊重や地域における作業活動の場の拡充等が盛り込まれました。しかし、その一方で基本法と逆行する自立支援法が2006年に施行されたのです。

きょうされんは権利条約を基本に据えて、今般の基本法改正の主なポイントとして9点を掲げています。それは、ア.基本理念・原則規定、イ.障害の表記、障害の定義と範囲の抜本的改定、ウ.権利と差別についての定義、エ.国の財政責任、オ.国ならびに地方公共団体の責務、カ.障害者施策実施体制と計画策定・促進、キ.障害のある人の人権救済機関の設置、ク.監視機関(モニタリング)の設置、ケ.個別実定法と施策の基本原則に関する規定、です。

② 総合福祉法の制定に向けて
きょうされんは、いま検討されている新たな総合福祉法は、単に自立支援法の代替法ではなく、立ち遅れたわが国の障害者福祉の水準を国際基準まで引き上げるものでなければならないと考えています。
そのためには、ア.地域で生活する権利とその保障原則 イ.自己決定の尊重と相談支援体制の強化、ウ.障害を補い支える制度の完全無償化と実費負担の原則、エ.必要に応じた支援原則とその評価制度の導入、オ.地域生活、居宅、コミュニケーション、補装具等、地域活動等の制度・施策、カ.財政責任と給付のあり方、を明記すべきと考えています。
また、そのうえで諸外国においてすでに実績のある賃金補填施策を含む社会支援雇用制度の確立のために、現行の障害者雇用促進法を抜本的に改め、「障害者就労支援法」(仮称)を制定することや、重度障害のある人のための日中活動の場として「デイアクティビティセンター」の制度確立を提案しています。

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