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原産地規制のコスト 自由貿易神話

 農業情報研究所が、「FTAは必ず貿易と経済の成長に寄与するというFTA神話があるからである。」と指摘し、03年世界貿易報告の「加盟国間の貿易が拡大したとか、域外よりも急速に拡大したという経験的証拠はない」という内容を紹介している。
【大手新聞TPP社説 そろいもそろって無知蒙昧の恥さらし 米国も逃げ出す日本参加にラッパ吹く10/28】 

その理由は・・・原産地規制のコスト。
原産地規制とは、協定国で生産されたものであることを確認して、域外国の商品が関税撤廃の恩恵に便乗することを防ぐための規則の存在。材料、部品調達など多国籍企業の最適地戦略のもとでは、それは極めて複雑な作業となる。
 報告は、「製品、原材料、部品、あらゆるものが大量に、頻繁に行き交う時代、域内産でるあることの立証はますます難しくなる。そのために、原産地規則は非常に複雑なものになってきた。取引業者が域内産であることを立証するためのコストは大変なものになり、関税撤廃から得る利益を超えてしまうことが多い。利益を享受するためには、メーカーも立地を変える必要に迫られる。FTAの数が増えれば、この選択もますます難しいものになる。結局、大部分の企業はFTAの利益に与ることを断念してしまう」 
「FTAによって異なる多数の原産地規則や様々な技術・安全・環境・労働基準、様々な規制(知的所有権保護、投資・資本移動規制、サービス規制などを含め)が適用されるようになり、国際貿易は一層複雑で、コストのかかるものになる。企業は相手国ごとに異なる基準・規制に対応せねばならず、ビジネス・コストは増大するばかりだ」。

いろいろ見ていると、こうした複雑な手続きは「スパゲッティ・ボール」現象として、様々なレポートで指摘されている。それでも「推進」するのは、「世界的な規制のない貿易」への推進力と位置づけているからであり、あらゆる規制を拒否する多国籍企業の行動論理の中での話と感じる。

さらに農業情報研究所は、円高で、部品調達を海外に移せば、「原産地規制」により、対象からはずれ恩恵をうけられなくなる、と指摘している。

日本の非農産品の関税率は今までの多国間交渉を通じてほとんどゼロにまで下がっており、農産物を含まないFTAを日本と結ぶ相手国はあり得ない。

以前、日米の関税率を拾ったことがある。
【日米FTA、高速無料化・・・自動車産業の願いと一致】

自民党が「構造改革」路線の中で叫んだ「農業鎖国」とかのデマゴギーの影響が残っている。

しかし、農産物の平均関税率は、日本12%
EU(欧州連合)20%、アルゼンチン33%、ブラジル35%、メキシコ43%。

 自国にとって重要な品目については、しっかりした関税をかけ、国境措置で守るのは世界の常識である。
 ちなみにアメリカの農業所得のうち政府の直接支払いが占める率は、99~05年で46、48、40、31、29、16、32%を占めている。

 自民党が、民主党のTPP参加を「批判」しているが、ここまで農業と地方をダメにしたのは自民党であり、「ひどく悪い」と「悪い」の違いくらいか・・・

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