受診抑制を拡大する70-74歳の窓口負担引上げ 保団連見解
「70歳から74歳の窓口負担2割に」という報道がながれたが、保団連が、「中間とりまとめ」は「引き続き検討」となっていると訂正したうえで、見解を出している。
その中で、第4回高齢者医療制度改革会議に、低所得者ほど受診抑制が起きているとの資料が紹介されている。
費用を理由にした受診抑制は約3倍、死亡・要介護認定でも2-3倍の差ある。
【受診抑制を拡大する70歳から74歳の 窓口負担1割の引き上げは容認できない10/6】
【低所得者ほど受診を控える 近藤克則 資料 2010/3/8】
高知市議団がとりくんでいる市民アンケートが現在1500通ほど返ってきているが、「調子が悪くても医者に行かないことがある」が4割、そのうち6割は「行かないのは、窓口負担が高いから」と回答している。また、 無保険と回答された方が少なくない、とのこと。
ちなみに各国の窓口負担の状況
原則無料化が世界では「当たり前」なのである。
【受診抑制を拡大する70歳から74歳の 窓口負担1割の引き上げは容認できない10/6】 全国保険医団体連合会 政策部長 三浦 清春高齢者医療制度改革会議の「中間とりまとめ」では、70歳から74歳の1割の窓口負担について、「そのあり方について引き続き検討する」とされているが、一部マスコミは、2割負担への引き上げを既定方針とするような報道を行った。
高齢者の受診抑制については、近藤克則日本福祉大学教授が、第4回高齢者医療制度改革会議に、65歳以上の高齢者の所得と受診の関連について行われた調査資料を提出している。
当該調査結果によれば、所得が低いほど、過去1年間に治療を控えたことがあると回答しており、年齢の違いを考慮しても、高所得者の9.3%に対し、低所得者では13.3%が受診を控えているとの結果が示されている。また、低所得者ほど、その理由として「費用」を挙げる割合が高くなっており、高所得者10.6%に対し、低所得者は32.8%となっている。現在の自己負担でも、高齢者層に受診抑制が起きていることが明らかとなっている。窓口負担の軽減こそ急務であるにもかかわらず、高齢者の窓口負担を現状より引き上げることは容認できるものではない。
当連合会は、厚生労働政務三役に提出した「『中間とりまとめ』に対する意見」において、「70歳から74歳の窓口1割負担を引き上げない」よう求めている。
しかし、11年度予算編成に向けた厚労省提出の概算要求では、「現行の高齢者医療制度の負担軽減措置の継続」は、予算額を示さない「事項要求」となっている。11年度以降も1割負担を引き上げないよう、金額を示して要求すべきである。
我が国の窓口負担は、世界的に見て異常に高く、現状でも受診抑制の大きな要因になっている。私たちは、社会保障としての医療を守る立場から窓口負担の大幅な軽減を要求しているが、それに逆行する今回の窓口負担の引き上げには断固反対するものである。
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