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古典的市民自治論を乗り越えて

 経済10月号の二宮厚美氏と岡田知弘氏の対談「民主党政権1年 経済・財政の焦点」の「3地域主権国家、道州制構想」で語られた内容からの備忘録。「自治論」の対決点が明確になる。
関連する論考として・・・
【憲法原理を基本にした国と自治体の協力共同関係 「地域主権改革」の問題点】

 二宮氏は、公務サービスの市場化について、たかまる保育、介護の福祉ニーズを潜在的市場とみて、ビジネスチャンスとして取り込もうとする財界の行動を「広い意味での『貧困ビジネス』の展開を意味する」と本質に触れる批判をしている。
 なお「古典的市民自治」の部分は、二宮氏、「補完性の原理」の部分は岡田氏の発言

【古典的市民自治論を乗り越えて】
・過去から現在まで分権化推進の先鋒に立っている西尾勝氏の論
 露骨に社会保障の分権的解体路線を主張する財界などに対し、市民自治的分権論に立ち、やや違いがある。
・西尾氏の市民自治的分権論
 「市民が共同して、自分たちで意思決定し、自ら拠出する財源を使って、国に依存することなく自治体を運営していけばよい」という、非常な素朴に古典的な自治論
 ~ ある部分、市民的な共感を集め、市民運動や研究者レベルに混乱を持ち込む面がある。
 ~ これまでの日本の地方自治論は、大半、古典的な市民自治論を基本にしていた。

・憲法のもとでの地方自治 ⇒ 教育権、生存権の保障などナショナルミニマム保障と不可分のもの
→ ナショナルミニマムは、憲法が定めた国の責任。その前提があって地方自治がある
 例)公衆衛生の分野/ 口蹄疫 国家が責任をもって対処し、費用も負担する
→ その基本が、古典的市民自治と違っており、これを現代的地方自治という。

・古典的市民自治論に立つ分権論では、自主財源は増えるかもしれない
→ しかし、自治体の課税権限が増したところで、法人税の引き下げ競争が各地で起こることはあっても、引き上げ競争が起きることはない。/ 住民税も同じであって、地域間で減税競争がおこる
(メモ者/90年代半ばからの地方分権と一体となった「都市間競争(企業と住民にえらばれる地域)」の論理)
→ 結果として全国一律の比例税(課税標準の大小にかかわりなく、同じ税率で課税する税、逆進性が高い)化、応益負担原則にむかっていかざるを得ない。

・応能負担原則、垂直的な所得再配分機能は、所得の自由な移動を前提にすれば、全国規模でしか成立しない。
→ 単純な地方への税源委譲では、必然的に、再配分機能は弱まる
→ 市民自治的に分遣論では、全国規模での福祉国家の機能を弱体化する役割に向かう

・現代は、福祉国家型の地方自治を築いていく必要がある。
~ 70年代、革新自治体の事態は、自治体がナショナルミニマムを先につくり国につきつけていったが、現在は逆向きの圧力が働き、ナショナルミニマムを崩す方向で「分権化」が進行。そこに市民自治派がのみこまれてしまう状況がある。
→ 今後、古典的な市民自治と、憲法にもとづく福祉国家的な地方自治を明確に区別する必要がある。

◇古典的市民自治の理論装置は/「補完性原理」にもとづく「国と地方の役割分担論」
・古典的自治論では、基礎自治体は、住民サービスを自己決定でやればよい、となり、国、広域地方政府の責任はとわれなくなる。
・自公、民主も、軍事・外交・通商政策は、国家の機能として自治体が関与できない仕組みを考えている
→ 沖縄の基地問題/ 基地ノーの県民の判断は「国と地方の役割分担」論では、無効、違法となる /騒音、土地の占拠、犯罪など暮らしに直結する問題
→ 現行憲法は、明治憲法下の国・地方の縦関係から、対等平等の関係に転換したことで、平和的生存権が保障できるようになった。
(メモ者、「明治以来の中央集権体制の打破」を財界、民主が言っているが、これは現憲法による国と地方の関係の根本的な転換を無視—それがどこまで機能するかは国民の運動にかかっているが――したもので、「分権」の名により、明治憲法下の縦関係を再構築するものと言える)

・今必要なことは、憲法の観点から、国民の生存権を保障する雇用、社会保障政策を確立/ 構造改革が生み出した悲惨な経済的理由の自殺、ワーキングプアを解消する経済政策を早急に確立すること
→ 国民と企業が作り出した富を国内、地域に再投資する仕組みをつくる。そのために国、地方自治体が機能をフル活用すること
(メモ者 最低賃金、同一労働同一賃金原則、中小企業、一次産業の振興、医療・福祉・介護る教育など公的サービスの充実など)

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