若者雇用調査 「自分の収入で生計」非正規は3割。学歴差・性差も
厚生労働省の調査。自身の収入のみで生計を立てているのは正社員が51.6%、非正社員は30.3%。うち女性は正社員でも「自分の収入で生計」は37%と明らかに性差がある。また、正社員の採用・継続では、学歴による差が歴然としている。経済構造の是正において、子どもの貧困の視点、ジェンダー・エクィティの視点が重要になっており、それは、この社会の持続性に直結している、と感じる。以下、「個人調査」から、気になるところのメモ。
【若年者雇用:自身の収入のみで生計 非正社員は3割 毎日9/2】
平成21年若年者雇用実態調査結果の概況
「個人調査」
【若年者雇用:自身の収入のみで生計 非正社員は3割 毎日9/2】過去3年間にフリーターを正社員として採用した企業は1割強にとどまったことが、厚生労働省の09年「若年者雇用実態調査」で分かった。過去1年間の採用状況を聞いた04年の調査時と同水準で、フリーターの厳しい雇用環境に変化がないことが明らかになった。
調査は昨年10月に実施し、9457事業所から回答を得た。
06年10月~09年9月に48%の事業所で正社員を採用する予定があったが、フリーターを採用したのは11.6%だった。採用に関するフリーターへの評価は「マイナス評価」が18.5%だったのに対し、「ほとんど影響しない」が73.8%。04年の調査ではマイナス評価が30.3%もあり、偏見自体は薄れたものの、実際の雇用には結びついていない。
一方、15~34歳の若年労働者1万5124人に実施した調査では、生計の一部を親の収入に頼っているのは正社員が28.3%に対し、非正社員では34.8%に上った。自身の収入のみで生計を立てているのは正社員が51.6%、非正社員は30.3%で、格差が浮き彫りになった。
【平成21年若年者雇用実態調査結果の概況/「個人調査」より】
◆在学していない若年労働者の就業形態
・正社員68.3%、正社員以外31.7%
・正社員の割合 男性は79.3%、女性は56.8%
・最終卒業学校別 大学院及び大学では正社員の割合が8割以上と高い。
・事業所規模別にみると、5~29人規模が63.3%、1000人以上規模が80.2%と概ね事業所規模が大きくなるほど正社員の割合が高く、規模による差が大きい。
◆生計状況
・「自身の収入のみ」で生活44.0%、「自身の収入+他の収入」46.8%
・「自分の収入のみ」 女性30.8%、男性、56.9%、「自身の収入+他の収入」女性55.7%、男性38.2%。
・就業形態別 正社員は「自身の収入のみ」51.6%、「自身の収入+他の収入」44.6% /正社員以外 「自身の収入+他の収入」50.9%、「自身の収入のみ」30.3%
・正社員の中の性差は、「自分の収入のみ」 女性37.0%、男性、61.7%、「自身の収入+他の収入」女性56.5%、男性36.4%。
・正社員以外の中の性差は、「自分の収入のみ」 女性23.8%、男性、42.4%、「自身の収入+他の収入」女性54.8%、男性43.8%。
(女性は、正社員でも、「自分の収入のみ」が37%と極めて低い)
◆生計状況別にみた賃金総額
・15万円~20万円未満 24.3%で最多。次いで20万円~25万円未満23.5%、10万円~15万円未満14.7%。
・20万円未満の累計52.2%。 /正規以外では、15万円未満が63.8%
・就業形態別 正社員は20万円~25万円未満が31.9%と最も多く、正社員以外は10万円~15万円未満が27.2%と最も多い。
・「自身の収入のみ」で生活しているうち、正社員では20万円~25万円未満が32.7%と最も多く、正社員以外では10万円~15万円未満が28.7%と最も多い。
(20万円未満が半数、正規以外では15万円未満が6割強。これでは結婚、子育てに見通しが持てないのは当然といえる。)
◆最終学校卒業から1年間の状況
・「正社員として就職した」71.2%、「正社員以外の労働者として就職した」22.9%、「無業だった」5.2%。
・卒業から1年間の状況と現在の就業形態の比較
「正社員として就職した」うち、現在正社員は81.3%、現在正社員以外は18.7%
「正社員以外の労働者として就職した」のうち現在正社員は35.3%、現在正社員以外は64.7%。
・性別 男性 「正社員として就職した」うち、現在正社員は89.8%
女性 「正社員として就職した」うち、現在正社員は71.6%となっている。
・最終卒業学校別
「正社員として就職した」と、そのうち現在正社員は
中学27.2%・43.6%、高校64.1%・70.9%、大学81.2%・90.7%、大学院80.7%・97.3%
「正社員以外で就職した」と、そのうち現在正社員は
中学55.0%・34.6%、高校28.7%・28.8%、大学14.1%・43.9%、大学院17.7%・23.6%
(正社員としての採用、定着で、明らかに「学歴差」がある。とくに中卒・高校中退の若者の不安定さが顕著)
◆正社員として就職しなかった理由
最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した又は無業だった若年労働者が正社員として就職しなかった理由を最終卒業学校別にみると…
「求職活動は行ったが採用されなかった」大学院が45.9%、「内定はあったが自分の希望する条件とあわなかった」大学10.7%、「在学中から正社員として仕事につく気がなかった」高校23.4%、「自分の希望する企業で求人がなかった」専修学校(専門過程)20.7%と最も高くなっている
(高校の「はじめから正社員として仕事につく気がなかった」の高さが気になる)
◆初めて就職した会社に現在も勤務しているかどうか
・「勤務している」47.6%、「勤務していない」51.6%。
・性別でみると 、「勤務している」男性51.2%、女性43.8%。
・最終卒業学校別に「勤務している」は、大学院が72.0%と最も高くなっている。
・就業形態別に「勤務している」割合をみると、正社員が60.5%、正社員以外が19.8%
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