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ハローワーク前調査 12%が無保険 京都府議団

 「議会と自治体」2010.9に、京都から「無保険者の増加が示す国民皆保険の崩壊過程」との論考が載っている。ハローワーク前のアンケート調査で、12%が無保険状態であることがわかった(無保険者が19名。有効回答157人)。
 高知市の無料低額診療の中でも、半数は無保険者であった(17件中8件/昨年10-11月相談分)。
同府議団は、実態と改善すべき課題として4点を示している。
【無保険問題で記者会見 日本共産党京都府議団6/21】
【健康保険加入状況調査 結果報告】

 ハローワークが、その気になれば(市からの調査員を受け入れることも含め)調査できるのではないか?

【無保険問題で記者会見 日本共産党京都府議団6/21】
 日本共産党府会議員団、同京都市会議員団、同京都府委員会は21日、この間調査した無保険者の実態について、府庁で緊急記者会見を開きました。
 これは、共同して取り組んだ七条と伏見のハローワーク前のアンケート調査で、短時間にもかかわらず無保険者が19名(有効回答157人)もおられ、「国民皆保険制度の崩壊過程」という深刻な実態が明らかになったことから、行政の責任で、無保険者をなくすため、実態調査を行なうことなど、改善すべき課題を明らかにしたものです。

【調査で明らかになった実態と改善すべき課題】
1、無保険あるいは無保険状態の方が相当の比率で存在しており、憲法25条にもとづく国民皆保険が崩壊過程に入っていることを示しています。緊急に国の責任で無保険の実態把握をすすめるべきです。

 国民健康保険法は、国保を、憲法25条にもとづく国民皆保険として明確に位置付け、他の健康保険加入者以外はすべて国民健康保険が受け止めなければならないこととされています。ところが実態は、本来、国民健康保険に加入しなければならない方が相当数、無保険者として存在しているのです。
 今年3月に全日本民医連が「国保の死亡事例調査」を発表し、47人の死亡事例のうち、実に6割が無保険であったことを告発されました。今回の調査結果では、「去年4月、尿道結石になってどうしょうもなくなって病院に行った。点滴を受け、薬をもらいその後は病院に行っていない。」(48歳 男性)、「4~5年前から無保険。国保の滞納が200万円ほどある。」(43歳 男性)、など失業や収入減により誰でも無保険になる可能性があり、病院にかかる権利をも奪っている事態が明らかになっており、まさに国民皆保険の崩壊過程が事実で裏付けられたものとなりました。
 問題はこうした深刻な事態について、行政が掌握すらしていないことです。国の責任において、都道府県と保険者である市町村が協力し無保険の実態を把握することが緊急に求められます。そして、無保険者の解消にむけた本格的な対策に踏み出すべきです。

〔参考〕
 国民健康保険法は、国民健康保険を「社会保障および国民保健の向上のため」(第1条)とし、被保険者に「必要な保険給付を行う」(第2条)と述べ、憲法25条にもとづく国民皆保険として明確に位置付けています。また、第3条および第4条で国と保険者である市町村、さらに都道府県の責務も規定しています。
 また、国民健康保険第5条(被保険者)では「市町村又は特別区の区域内に住所を有する者は、当該市町村が行う国民健康保険の被保険者とする」としています。

2、無保険となる主な原因は、①雇用の不安定化による貧困・格差の深刻化によって社会保険等からの脱退(派遣切りや非正規雇用の拡大、中小企業の経営危機による社会保険からの脱退など)が急増していること、②そもそも根本的には、国民健康保険料があまりにも高すぎることであり、この二つの大問題を政治の責任で解決することが求められています。

 「塗装会社の従業員だったが会社が倒産。収入がないので保険にはいっていない」(59歳 男性)、「建築の現場監督を首になった。」(35歳 男性)「去年10月から日雇い派遣で、ホームレスになっている」(48歳 男性)、「朝8時から夕方5時までパチンコ屋、夜10時から翌朝までコンビニでバイト。仕事中に倒れて病院に運ばれ全額自己負担で3万円。資格証明書があっても2万円しか戻ってこない。」(29歳 男性)「昨年10月から仕事がない」(57歳 女性)など、派遣切りや下請け切りをはじめ雇用の深刻な事態により、そのしわ寄せが無保険となる大きなきっかけとなっています。また、無保険者となった方には、「収入がなく無年金で貯金もない。国保料1年払えなかった。日雇いの日当でやりくりしてきたが、手持ち4万円しかない。毎日ハローワークに来ているが仕事はない。」(70歳 男性)など、雇用のみならず、貧困と格差の深刻な影響が、無保険という形で表れていることも特徴です。
 したがって、構造改革路線からの転換を図るとともに、労働者派遣法の抜本改正や雇用創出をはじめ、雇用における企業の社会的責任を果たさせ、派遣や不安定雇用に歯止めをかけ雇用は正社員が当たり前のルールある経済社会を創ることがもとめられています。
 また、「国保加入の手続きをしようとしたが、高すぎるので仕事を探して社会保険に入ろうと思う。」(53歳 男性)など、高すぎる国保料に加え、無保険者が国保に加入すると、最長2年さかのぼって多額の保険料支払いを求められ、たちまち滞納者となってしまうなど、悪循環を招いています。

 このため、高すぎる保険料のおおもとにある、国民健康保険会計における国庫負担が25%にまでひき下げられているものを計画的に元の50%程度まで戻すこと、また低所得者などを対象とした保険料の全額免除制度の創設も必要となっています。

3、国民健康保険に加入していても、短期保険証、資格証明書、「留め置き」など、事実上無保険となっている事態が広がっています。短期保険証、資格証明書の発行を中止するとともに、事実上の無保険状態をなくすことが必要です。

 「保険料が高くて払えない。1年以上10万円ほど滞納。役所に行けば『払え』と言われるので行けない。足が悪くて病院に行きたいが我慢している。滞納が払えないので区役所に行って保険証の更新ができない。」(49歳 女性)、など、事実上の無保険者が多数存在し、また加入者の中で滞納者、つまり無保険者予備軍ともいうべき方もおられました。
 京都府では、短期証が25,187世帯、資格証明書が5020世帯(2009年6月現在)となっています。
国民の闘いと国会論戦を通じ、高校生までの子どもの無保険者はなくすこと、無保険者であっても病気の場合は保険証を交付することなど、部分的ではあるものの重要な前進をかちとってきています。しかし、国民健康保険を「『助け合い』の制度」(京都市国保ガイド)と述べるなど、現場では「国保は相互扶助で、払わなければ保険証を受け取れないのは当然」であるかのような対応がされていることは、極めて重大です。緊急に短期証、資格証明書の発行は中止すべきです。また、国民健康保険は、あらゆる健康保険の最後の命綱であり、憲法25条と法律にもとづく運用をどこに住んでいても受けられるよう、抜本的な改善をすべきです。

4、健康保険に加入していても、窓口負担が高く払えないことから、事実上、健康保険を使えず、受診抑制の深刻な影響がでています。窓口3割負担の軽減が緊急に必要です。

 「窓口負担30%は高く、市販の薬などでできるだけ我慢。12月末にリストラ。貯金を食いつぶしている。いつ払えなくなるか」(37歳 女性)、「ガンで通院しないといけないが、夫の年金だけで病院に行けない。いざというときのため国保は払っている。窓口負担をタダにしてほしい。」(60歳 女性)など、手遅れになる一歩手前の事態が広く存在しています。
 OECD加盟30カ国のうち、外来窓口負担が無料の国は12カ国、実質無料の国が大半となっており、日本医師会も窓口負担軽減を求めており、せめて2割に引き下げるとともに、子どもと高齢者の医療費は無料にすることが必要です。

 以上、ハローワーク前調査から明らかになった実態と改善について提案しましたが、日本共産党は、救える命が救えない事態の放置を許さず、多くのみなさんと力を合わせて、その改善のために全力をあげるものです。

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