乳児院満杯 高知市も100%超
「親と暮らせない乳幼児を預かる乳児院が都市部を中心に満杯状態となり、他都府県の施設に預けた子供が全国で33人(2009年度)に上る」と読売の報道。表の中で、高知市も定員100%以上で名前がのっていた。
また本日の朝日・生活面には「傷ついた子 虐待の連鎖」と、施設のあり方を問う報道がされている
【親の虐待増えて、乳児院満杯…5県2市越境入所 読売9/27】
乳児院とは児童福祉法に基づいた施設で、生後間もない新生児から3歳ぐらいまでの乳幼児が、保育士や看護婦、栄養士などの専門スタッフによって養育される。捨て子、被虐待児、親の死亡や病気・離婚・家出などさまざまな事情で家庭での養育が困難な乳幼児を収容している。家庭等で引き取れない場合、児童養護施設やその他の施設に措置変更される。
厚生労働省の調査では、08年10月1日現在、121の乳児院があり、定員3710人で3124人が入所している。なお児童養護施設は、569箇所、定員33994人で30695人が入所している。
児童養護施設も不足している。
本日の朝日新聞は、「虐待をうけ、施設に受け入れられた子どもの間で、弱い子がいじめられる『虐待の連鎖』がおきている」と、「施設大国の児童福祉のあり方が問われている」と特集している。
児童福祉の先進国では、乳児院は原則廃止し、愛着障害を懸念し、乳幼児は里親への委託が中心となっている。英国は60年代末に廃止、韓国も2000年代前半にきりかえた。
日本は、効率性を優先し「大舎制」が多く、家庭的雰囲気を持つ「小舎制」が少しずつ増えているが少数派。
山野良一さんは「子どもの最貧国・日本」の中で、
「児童養護施設のいま」として、03年 厚生労働省調査で入所理由が、虐待、放任・棄児・養育拒否が4分の1以上。離婚、親の入院、行方不明、親の就労、破産などが4割であり、「喰うためには働かなくてはならない」と長時間労働からの入所が多く、特に90年代以降増加していると指摘している。虐待の場合も、貧困との関係が強く、児童養護施設では、社会的経済的に低い状態にある家族がほとんどと言える。としている。
その上で、児童養護施設と生活保護制度について、「生活保護の積極的利用は、児童養護施設にもポジィティブな効果」があると指摘。
・経済的理由で入所する児童を減らすことができる。都会では、養護施設は満床状態。全国的にも入所が増加しているもとで、「施設の増加で対応か?」とし、当然、金銭的援助だけでなく、保育、ヘルパー制度、無料のカウンセリングなど総合的サポートが必要としながら、経済的コスト比較なら生活保護が効率的と言う。大都市部の児童養護施設は、子ども1人あたり最低月20万円(現在の職員数で)。生活保護 母子2人なら子1人月9万円。しかも世界的に見て高就業率。収入があれば支給額はさらに小さい。としている。
貧困をなくす、早目からの手当て、予防的対策が重要である。
【親の虐待増えて、乳児院満杯…5県2市越境入所 読売9/27】 親と暮らせない乳幼児を預かる乳児院が都市部を中心に満杯状態となり、他都府県の施設に預けた子供が全国で33人(2009年度)に上ることが、読売新聞の調査でわかった。 乳児院の子供の3人に1人が虐待を受けていたとみられ、保護者による虐待の増加が背景にある。 都道府県と政令市を対象にした本紙調査で「管内の乳児院が満杯となり、他都府県の施設に入所させた」としたのは5県2市。内訳は埼玉県20人、川崎市4人、滋賀県、さいたま市3人、千葉、山梨、香川県1人。受け入れ先は東京都27人、群馬県、京都府2人、奈良、徳島県1人だった。 こうした“越境入所”は約10年前から始まった。都は06年度以降、近隣自治体から毎年2~27人を受け入れている。しかし、預けた後も児童相談所職員や保護者らは何度も施設に足を運ぶため、離れていると負担は大きいという。
« 非常勤職員への一時金、退職金は適法 大阪高裁 | Main | ホームレス支援・反貧困 ネットホップ設立総会に110人 »
「教育・子育て」カテゴリの記事
- 学校体育館への空調設置 スポットクーラー課題検証を受け(2024.12.28)
- 体育館の空調整備に新交付金 文科省/避難所の環境改善ガイドライン改定 内閣府(2024.12.19)
- 高額療養費、年金、高等教育、中山間地直接支払、周産期医療、学校給食 意見書案 2412(2024.12.08)
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 2024国際女性デー 差別・格差の根っ子に、非正規、奨学金ローン(2024.03.14)
「生活保護、母子福祉」カテゴリの記事
- 地域振興券(臨時交付金)の生活保護世帯の収入認定 自治体で「認定しない」可能 (2023.11.03)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
- 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ(2022.10.26)
- 厚労省 扶養照会を拒否する者の意向尊重の方向性を示す通知 ~不要な扶養紹介根絶させよう(2021.04.08)
- 声明 生活保護引下げ違憲訴訟(いのちのとりで裁判)大阪地裁判決について2/22(2021.02.24)
「反貧困」カテゴリの記事
- 「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望(2024.04.25)
- 広がる女性のひきこもり・孤立をどう防ぐか ~ 「共事者」の視点を(2023.04.22)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
- 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ(2022.10.26)
- 政策メモ 22/7-8 格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和(2022.08.28)
Comments
« 非常勤職員への一時金、退職金は適法 大阪高裁 | Main | ホームレス支援・反貧困 ネットホップ設立総会に110人 »
暗いニュースばかりのこのごろ、
生きる希望が見えない。
貧困は生きるうえでこんなにも人をダメにするのだろうか?
我子や親兄弟間までも不幸な事件が多い。
私たち貧困層な「人」はこれからどう、
自分を律していけばいいんだろうか。
自分をとりまく環境は、
今が精一杯の土壇場、
一歩踏み間違えると・・
どうなるんだろうか??の周辺。
せめて働く希望だけは失いたくない。
Posted by: カモメのおばさん | September 28, 2010 10:10 PM