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「地域主権」のもとでの介護保険改定の危惧

 介護保険の2012年の法改正、第5期計画にむけて、行政刷新会議、社会保障審会などで議論が進んでいる。基盤整備を抑制していた参酌基準の撤廃、介護療養病床廃止の見直しや介護保険施設にいおける医療サービスの提供、区分支給限度額の引き上げという前向きな事項とともに、「地方主権」「持続可能な制度」の名のもとに、配置基準や面積緩和、給付範囲の制限、利用料の引き上げなど大改悪が危惧される内容がある。
 関係団体から異論が出ているが注視していきたい。
【「規制・制度改革に関する分科会第一次報告書」に対する日本医師会の見解 6/23】
【ユニット型施設における個室面積基準引き下げの撤回を求める 7/31 全日本民医連】 
【介護保険制度に関する抜本的な改善要求(新提言) 8/19 保険医団体連合会】

◆政府の行政刷新会議が6月7日、医療・介護など成長分野の規制を見直すための第一次報告書をまとめている。
介護分野では、介護施設などの総量を規制している参酌基準を撤廃し、2012年から各都道府県が地域の実情に応じて施設整備計画を策定できるようにする。
特養ホームの運営に社会医療法人が参入できるよう検討し、年度内に結論を出す。現在、特養の運営が認可されている社会福祉法人と同程度の公益性と事業の安定性、継続性がある法人であれば、参入できるとすることも検討する、としている。
また、訪問介護のサービス提供責任者の配置基準の緩和が可能かどうかについては、12年度の介護報酬改定に向けて来年度中に結論を出す。

 日本医師会は、
◇特別養護老人ホームは、重度要介護者の生活の場であり、高い質や安全性の担保、および経営の安定性等、一定の基準が求められる。平成19年12月の厚生連参入時に議論された営利を目的としない医療法人等の参入については賛成であるが、営利法人にまで広げることは容認できない。
◇常識的に考えて、サービスの質を担保する上でも、サービス提供責任者の配置は必要であると考える。
は安易な規制緩和に反対している。


◆7月29日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会特養ホームなどのユニット型施設について、個室の居室面積基準を引き下げを了承している。説明では「ユニット型施設では自己負担が高額になり、低所得の方が入りにくい」「原則、個室という方針を守っていきたいという思いの現れ」としているが、民医連は・・・

①個室の保障は憲法25条に基づく人権保障の一環。「低所得者は狭い居室でよい」と国が宣言したことを意味する。
②低所得者が入れないのは、施設の居住費・食費が保険給付から外されたからで、元にもどすべき。
③施設が不足しているのは国の整備抑制方針によるもので、その転換が必要。
④なし崩し的に「ケアが組み合わされた集合住宅」の居室環境の「標準」とされていくことになる。
 と問題点を指摘している。

◆【介護保険制度に関する抜本的な改善要求(新提言) 8/19 保険医団体連合会】
これは29ページにわたる全面的な提言。「目次」は以下のようになっている。

1 はじめに

介護をめぐる現状と問題点
(1)その人らしい高齢期を認めない「在宅誘導」
(2)多くの高齢者は、保険料負担に耐えられない
(3)介護報酬引き上げが保険料引き上げに連動
(4)区分支給限度額と利用料負担が必要な介護を制限する
(5)行政責任の放棄と営利企業参入
(6)介護保険給付範囲の問題
(7)基盤整備の遅れ
(8)在宅での老人独居、老人のみの世帯、重度認知症の増加と生活・介護の深刻化
(9)介護報酬全体の低さ

3 地域包括ケアと制度の持続可能性-介護保険法「改正」をめぐる動きと高齢者・介護者の権利保障
(1)投げかけられた2つの課題-地域包括ケアと「持続可能性」
(2)地域包括ケアシステム構想と「医療と介護」の連携
(3)地域における高齢者の療養を保障する責任主体をどこに求めるか
(4)地域の実態は甘くはない

4 2012年介護保険法改定に関する要求
(1)介護保険法の目的の改正
(2)介護保険給付範囲の見直しと介護予防の徹底
(3)介護保険制度の改善
(4)介護保険給付・サービス提供に係る改善
(5)介護サービス基盤整備
(6)介護報酬に係る改善
(7)自治体に対する要求(現行法下で実施可能な要求)

5 補論(将来めざすべき、あるべき介護保障)
(はじめに)
(1)総論
(2)具体的な介護保障制度】

 

・・・・ 詳しく展開しており、高知の実情、問題点を浮き彫りにする「ものさし」として活用したい。

 介護保険は、「福祉」の市場化の尖兵として導入され、この制度設計にあわせ、障害者自立支援法がつくられ(国民的な反対運動で、見直しを余儀なくされているが…)、今また保育の新システムが構築されようとしている。
 高齢者、障害者、子育て世代が連携し、憲法25条をめぐる対決としてのたたかいの構築が必要である。


【ユニット型施設における個室面積基準引き下げの撤回を求める 7/31 全日本民医連】 
7月29日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は、特養ホームなどのユニット型施設について、個室の居室面積基準を引き下げることを了承しました。現在のユニット型施設の個室の居室面積基準は「13.2㎡以上」ですが、これを「10.65㎡以上」(ほぼ六畳半の広さ)に引き下げるという内容です。約1カ月間のパブリックコメントを経て、9月にも関係省令を改定し施行する方針です。厚労省は、今回の引き下げの理由として、「ユニット型施設では自己負担が高額になり、低所得の方が入りにくい」「原則、個室という方針を守っていきたいという思いの現れ」と説明しています。
私たちは、以下の理由から、今回の面積基準引き下げに反対します。

第1に、個室の保障は憲法25条に基づく人権保障の一環であり、厚労省自身も述べている通り、「原則、個室とする方針」は当然に堅持すべきです。しかし、このことは単に「個室であればいい」ということでは決してなく、入所者の尊厳が真に尊重される居住環境が保障されなければなりません。今回の面積基準引き下げは、明らかにそれに逆行するばかりか、「低所得者は狭い居室でよい」と国が宣言したことを意味するものです。断じて承伏できません。

第2に、低所得者が現在の個室ユニット型施設に入所できない最大の理由は、2005年の介護保険法改定において「施設給付の見直し」の名のもとに、施設の居住費・食費が保険給付から外され、入所者の自己負担とされたことにあります。入所のための費用を工面できずに「待機者にすらなれない」事態も生じています。低所得者の個室ユニット型施設への入所を可能とするために着手すべきは、面積基準の引き下げなどではなく、居住費・食費を保険給付に戻すことです。

第3に、面積基準の引き下げが、施設整備を促進する方策のひとつとしても位置づけられている点です。建設コストが抑えられるというのが理由です。しかし、施設整備が進まない主要な原因は、2005年度以降、国の施設整備費補助が交付金に改組され、さらに縮小・廃止されてきたこと、「参酌標準」によって整備目標数が抑えられてきたこと、施設給付費に対する国の負担が減らされ、都道府県の負担にシフトされたことなどにあります。施設整備を強化・促進していくために求められているのは、小手先の対応にとどまらない、これらの整備抑制方針そのものの転換です。

第4に、国が打ち出している「地域包括ケア」との関係です。「住まい」を重視し、リハビリ機能などを有しない従来型の施設を「ケアが組み合わされた集合住宅」として再編する方向が打ち出されていますが、「規制緩和」「市場化」を前提とした構想のもとでは、今回改められた居室面積基準が、なし崩し的に「ケアが組み合わされた集合住宅」の居室環境の「標準」とされていくことにもなりかねません。

改めて、以下の点を求めます。

1 今回のユニット型施設における個室の居室面積基準の引き下げは撤回すること
2 介護保険施設の居住費・食費を保険給付に戻すこと、低所得者の費用負担を軽減する仕組みを拡充することと合わせ、生活保護受給者が個室ユニット型施設に入所できるよう国として必要な措置を講じること
3 個室ユニット型施設の整備を促進すること、そのために、施設建設に対する公的補助を大幅に拡充するとともに、施設給付費に対する国の負担割合を引き上げること
4 従来型施設の個室ユニット型施設への改修に対する公的補助を実施すること

以上


【介護施設等の総量規制を後押ししている参酌標準の撤廃】
・参酌標準を撤廃し、第5期介護保険事業計画(平成24~26年度)から、各都道府県が地域の実情に応じて策定可能とする。<平成22 年度中検討・結論、結論を得次第措置>

・ 特別養護老人ホームへの待機者数からも明らかな通り、現在は施設等の不足によって自らの希望に応じた介護が受けられない状態にある。利用者の希望によってサービスを選択可能としている以上、国が一律に数値を決めることでサービス量を制限すべきではない。
・ 参酌標準が目安に過ぎず、地域の実情に応じて決定されているならば、廃止しても影響はないはずである。
・ 過剰な整備による基盤整備格差の拡大、過度な公費増大や保険料上昇のおそれについては、現在も都道府県の事業計画が適正かについて、厚生労働省にて事後チェックを行っているはずであり、当該体制が整っていれば参酌標準を撤廃しても不都合は生じないはずである。
・ 現在の37%という数値が施設介護と居宅介護のバランスという観点からして妥当であるという根拠はない。(平成16 年度の41%という数値から、介護予防効果によって要介護度2~5の対象者が10%減少すると見込んだ数値とされているが、それほどの効果が認められたという検証結果はない。そもそも、平成16 年度の41%という数値の根拠自体も不明。)

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