民主代表選 菅・小沢の「対決」へ
深刻な経済、国民生活を前にして、民主党の代表選で、疑惑にまぎれた小沢氏が「このままじゃお国がダメになる」と出馬。「現時点では菅首相支持」を表明していた鳩山前首相は、「現時点」で小沢支持に変わった。菅首相は、新人議員をあつめ「解散しない」と支持獲得に奔走。「悪い冗談」と思っていた現実となった。
【小沢氏、代表選出馬を表明=鳩山氏は支持伝える-菅首相と対決へ・民主】
この間の社説はどれも批判的だが、興味をひいた毎日とダイヤモンドオンラインのコラムから。
【風知草:避暑地の出来事=山田孝男 毎日8/23】
財界いいなり、日米同盟絶対の政治のゆきづまり、国民との矛盾のもとに咲いたあだ花だろう。
【小沢氏、代表選出馬を表明=鳩山氏は支持伝える-菅首相と対決へ・民主】
民主党の小沢一郎前幹事長は26日午前、都内で鳩山由紀夫前首相と会談し、来月1日告示(同14日投開票)の民主党代表選に出馬する意向を伝えた。この後、記者団に対し「代表選に出馬する決意をした」と表明した。これにより、代表選は、再選を目指す菅直人首相と小沢氏との一騎打ちとなる公算となった。
小沢氏はまた、記者団に「鳩山氏から代表選に出馬するなら、協力し、支援する」と伝えられたことも明らかにした。一方、鳩山氏は会談後、記者団に「わたしの一存で、小沢先生に民主党に入ってもらった経緯からして、応援するのが大義だ」と、小沢氏支持を表明した。
【風知草:避暑地の出来事=山田孝男 毎日8/23】
鳩山由紀夫と小沢一郎の避暑風景が異様に映るのは、菅直人追い落としの政略に絡む見せ物だからである。休暇を装ったデモンストレーション。空々しい会話と子供じみた演出。いったい、この人たちは何をやっているのだろうか。
民主党代表選(9月14日)をにらみ、小沢出馬の可能性を探っているのだ。出る構えを見せれば、菅の再選をめざす人々がどう動くか。世評はどうか。そこを見ている。
わずか80日前、普天間問題の混乱をわびて首相の座を退いた鳩山。「とことんクリーンな民主党に戻そう」と呼びかけ、小沢をも説き伏せて謹慎したはずの鳩山。その舌の根も乾かぬうちに小沢を誘い、おもねり、政局遊戯にふける前首相の無節操に改めて驚く。
あきれた高原パフォーマンスがまかり通るのも、菅政権が終始パッとせず、スキだらけなればこそである。
鳩山政権には曲がりなりにも議論があった。昨秋の政権交代直後、旧体制が枠組みを決めた予算を見直すにあたり、政務三役(大臣、副大臣、政務官)と官僚が休日返上で、深夜まで激論を戦わせた。
今はその熱気がない。来年度予算概算要求の真夏こそ制度論議のピークであるはずだが、議論は薄く、シーリング(一律削減)方式に基づく数字合わせに流れている。
そもそも、首相・閣僚の発言がバラバラで、国家意思をまとめる気迫に欠ける。どうにか政策がまとまったところで、ねじれ国会乗り切りの司令塔もノウハウもない。
法案成立の見通しがないにもかかわらず、閣僚は次々に法案の検討を下命。むなしい作業に忙殺される官僚の間に不満が蓄積されている……。
「このままじゃお国がダメになる」と、小沢が漏らしたそうだ(朝日新聞20日朝刊)。
ごもっともだが、救国の主役は小沢と早合点してもらっては困る。議論なき小沢独裁の「北朝鮮型民主主義」を救国の原理とみるのは錯覚だ。
資金力を背景に選挙を支配し、私兵(子飼いの秘書、議員)を養い、権力の維持・拡大に努めてきた小沢。言葉巧みに公益を語りつつ、国民の幸福は「利益誘導型統治」から生まれると信じてやまない小沢。
そういう人物が、菅政権の非能率と、検察・マスコミ批判の時流に乗じ、首相(悪くても幹事長)の座をうかがっている。それが炎天下の政局の本質であると私は思う。
◇
小沢が鳩山の別荘に現れた19日、軽井沢の最高気温は25・3度だった。東京は33・1度。翌20日、消防庁が発表したデータによれば、熱中症の死者は5月31日から8月15日までに全国で132人である。
もっともそれは、救急搬送後の初診で死亡が確認されたケースの累計にすぎない。不自然死の解明に当たる東京都監察医務院によれば、梅雨明け以来の熱中症の死者は東京23区だけで110人を超えた。
電気を断たれ、エアコンも扇風機も使えなかった老人の死が新聞の社会面に載っている。同じ新聞に軽井沢のリゾートホテルで読書する菅首相の写真も載っている。あえて撮らせた広報用の一枚である。
軽井沢の休暇がおかしいとは言わない。ただ、民主党が国民生活に目配りできているかといえば、はなはだ疑問だと言わなければならない。
【菅首相「3年間は解散しない」発言は解散権の私物化と自らの地位保全だ 田中秀征】
23日朝の1年生議員との懇談会で菅直人首相はこう発言した。
「すぐに解散と言う人がいるが、ある程度腰を据えて取り組むには、基本的には3年で(衆参)ダブル選挙になると思っている」(8月24日朝日新聞)
細部の表現は新聞によりまちまちで、これより断言的に言ったような報道もある。
しかし、各紙で共通しているのは、「3年間衆議院を解散しない」、「衆参ダブル選挙をする」意向を明言したことだ。
結論から先に言うと、この発言は首相としての資質を根底から疑われるほど不見識である。
なぜなら、解散権を私物化して、自分の地位の保全のために利用したからだ。
菅首相の見識さえ疑う◇不信任の軽視と若手の“買収”!?
問題点をいくつか列挙しよう。
(1)解散は“首相の専権事項”だが、菅首相個人の専権事項ではない。大きな勘違いがそこにはある。
戦後の議会史の中で、あるいは明治以来の憲政史上といってもよい。首相自らがこれほど軽々しく「解散」を語ったことはない。
もしも55年体制下での発言であれば総辞職は必至。そのまま政権を維持しようとしても当時の野党が許さなかっただろう。
(2)3年間に民意を問う必要が生じないとなぜ断定できるのか。
イギリスのサッチャー元首相は、「政治には予期せぬでき事が満載されている」と述べたことがある。政治や経済が予期せぬ重大な局面を迎える可能性が高いだけに一層不用意な発言である。
(3)また、菅政権は、参議院選挙で実質的に不信任されている。
本来ならば、総辞職するか直ちに解散・総選挙を実施して民意を問うのが政治的、道義的な責任の果たし方だ。
それなのに、選挙結果を軽視して3年間も自分が政権を担当するような姿勢は許されない。特に、反古にされた公約によって支持を受けた政権であるからなおさらだ。
(4)解散を恐れる新人議員に、解散権不行使を示唆して支持を求めることは、アメを差し出す点で買収と同質である。むしろ公的権限を濫用しているから、より悪質だと言わざるを得ない。
実は、そう感じていないところに菅首相の致命的な欠陥があるのではないか。
(5)将来性のある若手政治家を愚弄しているのではないか。もしも私が新人議員として出席していたら猛然と反発したと思う。
昔の自民党の領袖は、「常在戦場。解散なんかこわくて政治ができるか」と叱りとばしただろう。だからこそ若手の信頼も集めた。
(6)首相は、「3年間しっかりやりたい」と言ったらしいが、出席者から「何をするのか聞きたかった」 という声があった。当然だろう。“解散権不行使”より、堂々と政策で勝負する方が、若手の尊敬や信頼を得られる。
いわゆるバラマキ政策と同じように、形を変えた利益誘導が菅首相の本性なのか。その疑いが増している。
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小沢一郎さんが民主党の代表選に出馬するんですね。 お金の問題はどうなるんでしょうね?
円高株安、どうするんでしょうね?
勉強させてもらいました。 ありがとうございます。
Posted by: 株式勝男 | August 26, 2010 01:23 PM
鳩山さんと責任を取って 退いた人間が 出馬するのはどうかと思います
結局 民主党も自民と同じ穴のむじなのような気がします
順番に 首相になって 大満足という感じですね
国民の暮らしなど 政治家はだれも わかってもいないし よくしようとも思っていない
すべては 自分たちの名誉と地位のため なにものでもない
Posted by: だんご侍 | August 26, 2010 08:35 PM