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「幼保一体」検討会立ち上げへ ~その問題点 

 日本教育新聞8/25付に「幼保一体 3つの検討委立ち上げへ」の記事が出ていた。 9月に初会合を開き、来年度の通常国会に提出する法案を作成するとしている。
 「子どもの最善の利益」の保障、子どもの貧困の解消を進める具体的内容もなく、機構の一本化は、「地域主権改革」による国のナショナルミニマム保障の放棄と一体となったリストラ策ではないか、と思う。
 保育、子どもの貧困問題に取組む浅井春夫・立教大教授の新著からの関連部分のメモ

【幼保一体 3つの検討委立ち上げへ 日本教育新聞社 8/25】  政府の「子ども・子育て新システム検討会議」は近く、幼保一体化を含めた新システムの詳細を検討する3委員会を立ち上げることが分かった。3委員会ではそれぞれ、「こども指針」(仮称)、財源、保育サービスのシステム設計をテーマに協議する見込み。今後、9月14日の民主党代表選までに初会合を開き、平成23年通常国会に提出する法案作成をにらみ検討が進むものと見られる。

Ⅰ 浅井春夫氏は「脱『子どもの貧困』への処方箋」の中で、幼保一元化について

◇自公政権時代からの継続政策
・民主党に提出された地方分権改革推進委員会第三次勧告(09/10/8)に、保育所の全国的な最低基準の廃止、規制緩和と幼保一元化、認定こども園制度の加速化が一体で進められようとしている。
(メモ者/ 認定こども園 幼保一元化の議論の中でできた制度だか、保育料、入所選定は施設ごとに決定、施設基準・人員配置基準の緩和など、市場化と国の財政削減の尖兵として、小泉『構造改革』のもとで導入されたもの。)

・なぜ幼保一元化が前政権で提起されたのか、現場にとって一元化は切実なねがいなのか、地域にとって子どもと家庭を支援する制度となるのか、が検討されるべき。この問題は、ナショナルミニマムと「地域主権」の基本にかかわる問題である、と指摘している。
少なくとも幼保一元化の推進によって待機児童対策の役割は担えない。

・しかし、民主党の政策には「保育・教育の一体的提供を進めます」と方向は一貫している。この発想は、子どもの利益より、「機構改革ありき」からの提起といわざるをえない。
本当に子どもを大切にするなら、まずは待機児童解決のための保育所増設の施策を提起すべき
(民主党は、参院選マニフェストで、都市部で深刻な待機児童の解消に「保育所の増設」の旗をおろし「定員増」という根本的な変更を行っている。)

・スウェーデンの幼保一元化は、公立保育園による保育要求への対応を土台(70年代、96%が公立)に、待機児童を解消し、93年から基本的に全入の保障を実現。その到達点を踏まえて実施されたもの。しかもそれは保育所の学校化ではない。こうした先進国の歴史的経過、到達間から真摯に学ぶべき。

◇「子ども家庭省」設置の検討
・子ども家庭省の検討は、民主党の幼保一元化と重なる

・統合案を仮に出すのなら、子どもの発達と家庭・地域の保育要求にどう応えるかの観点での真摯な検討が必要であり、単純に子どもの問題だから統合すればよいというものではない。
 (メモ者 たとえば、親の雇用の安定、長時間労働の制限などは子どもの成長に極めて大きな問題である。)

・OECD「スターティング・ストロングⅡ」では「他の省庁・産業分野と協力して政策をすすめる、リーダーとなる省庁1つ決める」と提言しており、そうした機能がまず検討されるべき。

 と、安易に統合に警鐘をならしている。

 ~ 以下、浅井氏の示す「子育て支援の分岐点」「いま求められる子育て支援策」の項目だけを列挙

◇子育て政策の分岐点
①社会保障審議会少子化対策特別部会・第一次報告をストップすること。
  旧政権がすすめてきた保育の市場化をそのまま推進するのか、抜本的に子どもを大切にする国へ進むのかが問われている。
②待機児童問題への対応
③子どもの貧困を国として削減できるかどうか
   数値目標と具体的な提言ができるかどうか。
④子ども・家庭関連予算の増額
 GSP比 日本0.75%(03年)、イギリス2.93%、フランス3.02%、スウェーデン3.54%。EU諸国は平均2%を越えている。アメリカ0.73%

◇いま求められる子育て支援策
①保育所・学童保育所の基盤整備
   保育基準 4・5歳児 日本 30人に1人、先進諸国は10人に1人を越えない
②安全・安心の認可保育所制度の発展
   認可外保育所での死亡率の高さ 23倍
③多様な保育ニーズへの対応システム
  「保育に欠ける」子どもを基本対象としながら、保育・子育て支援を必要とする子ども・家庭を対象として施策の展開。包括的な総合子育て支援システムの構築が必要
④誰もが安心して利用できる保育料金体系
   応能原則、「スターティング・ストロングⅡ」で提起された0―2歳児の無料化
 

Ⅱ「幼保一元化」については、以前紹介した
【子どもの健全な成長を、政策の軸に OECD教育局2010/4】の中で、「幼保の統合 目的を明確に ローズベアール OECD教育局教育訓練政策課長 4/12」は…
幼保の統合についても、日本の状況に「なぜ?」「何を」一体化しようとしているのか。と他国の例を紹介している。統合してないところも含めて・・・日本について「所管の一元化がクローズアップされているが」・・・「統合自体が目的ではない。あくまでも、子どもの健全な成長を促し、親のニーズに迅速に対応するための『子ども政策』構築の手段の1つと考えるべきである」とし、「目的を明確にし、十分に議論した上で、制度の歴史や文化にあったプランの策定が必要ではないか」と語っている。

Ⅲ 今年4 月30 日、全国私立保育園連盟、全日本私立幼稚園連合会が連盟で声明を出している。「子どもの最善の利益を最優先」させ「拙速をさけ、保育園と幼稚園との現在のあり方を十分ご理解いただいた上で」と、釘をさしている。

【乳幼児期の子どもたちの教育・保育についての総合的な施策に関する幼稚園と保育園による共同緊急声明】
全国私立保育園連盟と全日本私立幼稚園連合会は、乳幼児期の子どもたちの教育・保育についての総合的な施策の検討において、特に次の事項が最重要事項であると考えます。

1.わが国の未来を担う0 歳から18 歳までのすべての子どもたちに、「子どもの最善の利益」を最優先する良質の環境・条件を保障するための基準とシステムが必要です。
2.保育園、幼稚園と小学校における学びは、分断することができない密接な関係があります。保幼小の連携の重要性を社会全体で再確認し推進していくことが必要です。
3.新しい施策の構築はまさに“人づくり100年の計”であり、国の在り方と将来に大きく影響する問題です。拙速をさけ、保育園と幼稚園との現在のあり方を十分ご理解いただいた上で仕組みを慎重につくりあげるべきです。
4.新しいシステムの構築には育児休業等の充実や仕事と家庭の両立支援など、ワーク・ライフ・バランスの実現による子育て環境の整備が不可欠です。
5.こうした基準とシステムの確立を保障するためには財源の確保が不可欠です。特に小学校入学前の子どもに対する公的投資をOECD 諸国並みに充実させることが必要です。

Ⅳ 「保育」というと子どもをあずかる施設、幼稚園は教育というイメージがあるが、
保育所保育指針は、保育所は「養護と教育が一体となって、豊かな人間性を持った子どもを育成するところに保育所における保育の特性がある」とし、その目標として「子どもは豊かに伸びていく可能性をそのうちに秘めている。その子どもが、現在を最もよく生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うことが保育の目標である。」
とさだめているように、幼児教育をも担っている。(一方、幼稚園教育要領では「養護」に関する内容が加えられている。)

 08年7月の県議会では以下のような論戦があった。

◆つかじさち  先ほどフィンランドの話に触れましたが、この特集の中で、就学前教育をになう「エシコウル」の保育技師は、「知識を覚えさせることは、この時期には重要ではない。むしろ逆効果になることもある。」「もっとも大切なことは遊ぶこと。遊びの中で友達と協力し、プランを出し合い、意見の対立を解消する方法を学ぶ。能力を身につけること以上に、みんなで協力しあうことの大切さを教えている」と述べています。こうした発達の基礎を築くことは、保育所の実践でも豊かに取り組まれています。
 現在保育所が担っている役割をどう評価をされているのでしょうか。

◆教育長 議員ご指摘のように、幼児教育は遊びや生活を通して、主体性や基本的な生活習慣、人とかかわる力など、生きる力の基礎を養うことを目標としており、このことはわが国の保育所保育指針、幼稚園教育要領においても示されております。このようなことから、保育所では地域や施設によって温度差はあるものの、保育所指針にのっとった保育が実践され、保育所に課せられた役割が果たされているものと認識しております。

・・・幼児教育というのは、いわゆる「早期教育」や学校化ではない。それぞれの担ってきた役割を発展させる方向での議論が必要であり、財政削減、市場化を目的とした一体化はさけるべきと考える。

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厚労省は現行保育制度をなにがなんでも一度解体したいのね。

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