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辺野古新基地・飛行ルートで政府がウソの説明

 辺野古新基地の飛行ルートについて、米側は飛行経路を海上に収まるよう設定する日本政府の考えは「運用実態に合わない」「われわれは了承したことはない」と主張し、より集落の近くを飛ぶルートへの変更を要求している。これに対し、沖縄の2紙が、“出来もしないウソの説明で新基地を押し付けようとした”という角度で批判している。民主の代表選の陰にかくれているが、政治の根本にかかわる問題だ。民主にも自公にも説明責任がある。
【[飛行経路変更要求]移設はもはや不可能だ 沖縄タイムス・社説8/26】
【辺野古飛行経路 愚弄するにも程がある 琉球新報・社説 8/25】

 ウソとわかっていながら、これまで静観していた米国も、要求する資格はないが・・・

【[飛行経路変更要求]移設はもはや不可能だ 沖縄タイムス・社説8/26】

 米軍普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎と隣接水域に造るとした日米共同声明に基づき、日米の専門家協議は今月までに位置や工法を決めることにしているが、米側は飛行経路についてこれまで日本政府が説明していたよりも陸地に近いルートを要求しているという。
 滑走路2本のV字形案は飛行経路が集落にかからないというのが最大の眼目だった。政府は2本の滑走路を離陸、着陸専用として運用し、緊急時以外は集落上空の飛行を回避するとしていたが、それが根底から崩れる。環境影響評価(アセスメント)のやり直しが必要になるはずである。
 日米共同声明は、名護市をはじめ沖縄側からまったく同意を得ていない。この上に飛行経路変更の要求である。砂上の上に楼閣を重ねているようなものであり、移設はもう不可能である。
 これに対し、米側は飛行経路を海上に収まるよう設定する日本政府の考えは「運用実態に合わない」「われわれは了承したことはない」と主張しているという。
 日米の食い違いは、こんな基本的な議論の積み上げさえもできていなかったことを図らずも露呈した。
 海兵隊8000人のグアム移転は、インフラ整備が追いつかず事実上、予定の2014年から遅れる。飛行経路変更を持ち出した米側の狙いについて、日本政府に普天間の移設先送りと継続使用の圧力をかけ、グアム移転だけでなくさらなる財政支出をさせるのが目的とみる識者もいる。
 これまでの日本政府の情報開示の在り方も疑問である。今回はまだはっきりしないところが多いが、米国の対日交渉関係者も日本政府に不信感を持っているようである。
 06年当時、政府と名護市は、集落上空を飛ばないことで合意。米側は当初から集落上空の飛行もあると日本側に伝えたが、日本側は、この事実を伏せたままだったという。
 普天間配備のCH46、CH53ヘリの後継機となる垂直離着陸機MV22オスプレイについてもそうである。米軍高官の発言や米側資料から配備は既定方針である。
 同機は試験飛行中に事故が頻発しており、「未亡人製造機」と呼ばれるほど安全性に問題のある軍用機である。
 沖縄防衛局は普天間代替施設建設に伴う環境アセスの手続きで、オスプレイの配備を明記していない。具体的な機種を提示しないままでは本来、環境アセスの要件を満たさないはずである。
 日米共同声明は、鳩山由紀夫前首相が退陣間際に駆け込み的に交わしたものである。
 岡田克也外相は飛行経路の変更について「自民党政権下で交わされた『密約』のようなものだ。米側が主張する正しいルートに変えればいい」と周囲に漏らしているという。どういうつもりで言っているのだろうか。
 軍用機が陸上部に近接して飛行するルートである。移設を容認していた名護市の前市長のスタンスからも大きく外れる。日米両政府は移設はもはや不可能になったことを知るべきである。

【辺野古飛行経路 愚弄するにも程がある 琉球新報・社説 8/25】

「うそをついてはいけない」「正直になりなさい」。大人が子どもにそう諭すことがある。どうやらわれわれは自国の政府に対し、同じように諭さなければならないらしい。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設計画のずさんさがまた一つ明らかになった。代替施設の飛行経路に関する日本政府の従来の説明が間違いで、実際にはより集落の近くを飛び、騒音被害が拡大すると判明した。
 2006年、日本政府は飛行経路を県に示す際、「審議官級協議で日米が合意した」と説明していた。ところが今回の日米協議で米側は、飛行経路について「われわれに照会せず、日本政府が勝手にやったことだ」と述べている。
 政府はこれまで、台形の経路を飛ぶと説明してきた。だが今回、米側は「航空機が台形に飛べるはずがない」と述べている。こちらの方がよほど説得力があろう。
 日本政府は、意図的に、できもしないことを沖縄側に説明していたことになる。ずさんという言葉では片付かない問題だ。
 「いったん造ってしまえばこっちのもの。造るまでは虚偽の説明を通せばいい」とでも思っていたのか。県民を愚弄(ぐろう)するにも程がある。違うというなら、政府は、どんな合意だったのか、米側の誰と合意していたのか、具体的に示してもらいたい。
 できもしない合意で県民の反発をかわそうとする。そんな構図はこれまでも繰り返されてきた。1995年の不幸な事件の後、県民の基地への反発が高まると、日米両政府は嘉手納、普天間両飛行場に関する騒音防止協定を結んだ。深夜・未明の飛行自粛をうたい、県民に期待を抱かせたが、全く守られず、何の効果もなかった。
 米兵の夜間外出禁止措置も同様だ。今回の飛行経路も、仮に日本側の主張通りに取り決めたとしても、同じ経緯をたどることは想像に難くない。
 これまで進めてきた環境影響評価(アセスメント)も誤った飛行経路でデータを取ってきたことになる。大前提が崩れたのだから、撤回が筋だ。
 辺野古移設の日米合意は穴だらけ、もはや計画の体を成していない。米側は今回、日本政府に対し「正直に説明すべきだ」と求めたという。笑劇を見るかのようだ。虚構の合意にしがみつく日米両政府の姿はこっけいですらある。

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