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プール排水口 張り付き事故と「国の安全標準指針」

 ウォータースライダーの吸水口に体が張り付いた事故。たまたま居合わせた医師、救急救命士によって一命をとりとめたが・・・06年、埼玉県ふじみ野市の市営プールで、小学生の女児が流水プールの吸水口に吸い込まれ死亡した事件が頭をよぎった。
 記事を見て気になったのは、吸水口の安全対策が国の安全標準指針に適合している、そして、監視人が一人という内容。
【プール排水口に背中が張りつき、小5一時意識不明 愛媛 朝日7/21】

まず、運営は、公募によらず指定管理者として、
 「財団法人今治市多目的温泉保養館管理公社」 が行っている。 

 またもや経費削減のための「指定管理者」。監視人一人との関係は・・・
 ふじみ野市のプール事故では、指定管理者が、安全管理などをさらに下請けし、監視人は、なんの講習もうけてない高校生のアルバイトだった。

 
 ふじみ野市のプール事故をきっかけに、安全基準づくりがすすめられた。

【プール事故に係る安全対策強化に関する質問主意書 06/12/12 塩川鉄也】

 作成された指針を見てみよう。 
【プールの安全標準指針 平成19年3月 文部科学省・国土交通省】

◇第2章 プールの安全利用のための施設基準
2-2 排(環)水口
 対策の「構え」といて、 「子どもがいたずらしようとしても事故が発生しないよう十分な安全対策を施すことが必要である。」としている。

 そして、吸水口については、枡を設置して水圧を弱める二重構造を推奨しているが、吸水口が複数あって「幼児であっても確実かつ容易に離れることができる」場合は、枡の設置を必ずしももとめていない。

 つまり、枡を設置する「二重構造」は「幼児であっても確実かつ容易に離れることができる」というのが基準であることがわかる。
 さらに、「桝を設置しても蓋等の上部の流速が強い場合は、排(環)水口を複数設置することが望ましい。」としている。(指針の中の「参考図」)
2010722

報道では、「吸引力が強く男児がなかなか引き揚げられなかった」とあるので、形のうえでは「二重構造」で「国の指針に適合」してたのだろうが、「子どもがいたずらしようとしても事故が発生しないよう十分な安全対策」「幼児であっても確実かつ容易に離れることができる」という本来の趣旨から見てどうなのだろうか。

 写真からは、吸水口が1つなのか、複数あるのかわからない。

 「二重構造」になっているというだけでなく、高知県下でも実際はどうか。気になるところである。

【プール排水口に背中が張りつき、小5一時意識不明 愛媛 朝日7/21】 Osk201007210201

(男児の背中が張り付いた着水プールの排水口(左)。事故後に白いかごがかぶせられた)

 21日午後2時20分ごろ、愛媛県今治市湯ノ浦の市営温浴施設「クアハウス今治」のプールで、同市内の小学5年生男児(10)が排水口に吸われて背中が張り付き、おぼれた。男児は一時、意識不明の重体だったが、現場に偶然居合わせた医師と救急救命士が蘇生活動をし、意識が回復した。命に別条はないという。
 市健康推進課によると、事故があったのはウォータースライダー(長さ47メートル)の着水プール(幅2.4メートル、長さ5.5メートル、水深約75センチ)。男児は友人ら数人と遊んでいて、プールの底から5センチ程度の壁面にある30センチ四方の排水口付近に背中が張り付いた。
 排水口はプールの水をスライダーにくみ上げるための循環ポンプに通じている。吸引力が強く男児がなかなか引き揚げられなかったため、いったんスライダーを止めて他の来場者らが救助した。排水口には格子状の網が張られており、国の安全標準指針には適合しているという。監視員は温浴プール施設全体で1人しかいなかった。
 市は「背中が排水口に張り付くのは想定外。巡視体制などをあらためて協議していきたい」と説明。21日中に格子状の網の上にプラスチックのかごをカバーのように取り付けて応急的に事故防止を図り、22日も営業するという。

【プール事故に係る安全対策強化に関する質問主意書 06/12/12 塩川鉄也】

 二〇〇六年七月三十一日、埼玉県ふじみ野市の市営プールで、小学生の女児が流水プールの吸水口に吸い込まれ死亡するという痛ましい事故が発生した。梅雨明けの夏休みで人出も多かった時期でのプール事故であり、利用者、国民に大きな衝撃を与えるものだった。
 その後の調査で、排水口のステンレス製の格子状のフタがはずれ、これをボルトでなく、針金で応急処置をしていたことや、プールの管理業務を委託業者任せにし、その委託業者が別業者に管理運営の丸投げをしていたという事態も明らかになり、プール施設・設備の構造基準や適正な管理運営基準を求める声が上がっている。地方自治体として、独自の安全対策を具体化することが必要である。同時に、政府としての取り組みの強化が求められている。
 事故が起こるたび、政府、自治体、事業者は責任回避に終始し、責任の所在が明確にならないまま、担当者が書類送検されてうやむやになって終わる場合が多い。今回の事故を機に、特に政府は、自らの責任について、明確にすべきである。
 政府は、「プールにおける事故対策に関する関係省庁連絡会議」をつくり、「プールの安全標準指針(仮称)」の作成作業をすすめ、この十二月を目途にとりまとめ、プール設置管理者に通知するとしているが、現時点でもその具体的な内容は明らかになっていない。
 プール事故をなくすための抜本的な安全対策を政府に求める立場から、次の事項について質問する。

一 「プールの安全標準指針(仮称)」の概要について
 (1) 二〇〇六年八月三十日の「プールにおける事故対策に関する関係省庁連絡会議」申し合わせに基づく「プールの安全標準指針」の基本的性格、適用範囲、主な内容などを明らかにされたい。
 (2) 「プールの安全標準指針」作成の際には、広く関係者、国民の意見を反映させるため、パブリックコメントを行うべきではないか。

二 プールの構造上の安全性について
(1) ふじみ野市の市営プールの排(環)水口の安全防護柵は二重構造となっていなかった。二重構造となっていれば重大事故に至らなかった可能性が高い。文部科学省と厚生労働省の指針では、堅固な格子鉄ブタや金網の固定化とともに、吸い込み防止金具の設置という二重構造を要求しているが、国土交通省の指針ではフタの固定を求めているだけである。二重構造となるよう基準を統一すべきではないか。

(2) 「流水プール」や「造波プール」のように、動力によって水流がつくられるプールの場合、思わぬ事故が起こりやすい。緊急停止ボタンの設置など「流水プール」「造波プール」に対する安全基準が必要ではないか。

(3) 政府の実施した実態調査でも、施設関係で一割のプールに不備が見つかった。しかし、関係省庁連絡会議の「申し合わせ」では「プールの安全標準指針」について、設置管理者に対する「技術的助言」にとどめている。
 これらの構造基準について、法制度上の基準を作るべきではないか。

(4) 「流水プール」について、建築基準法で遊戯施設(ジェットコースターや回転木馬など)に構造基準が示されているのに準じて、構造基準の策定を義務付けるべきではないか。

(5) ウォータースライダー(高さ四メートル以下の場合も含む)について、安全基準を定めるべきではないか。

三 管理運営上の安全性について
 プール監視員の資格を定めるべきである。日本赤十字社の水上安全法救助員、日本ライフセービング協会のライフセーバー資格、日本体育施設協会の水泳指導管理士、日本水泳連盟水泳指導員など、なんらかの資格をプール監視員に要求すべきではないか。


【プールの安全標準指針 平成19年3月 文部科学省・国土交通省】

◇第2章 プールの安全利用のための施設基準
2-2 排(環)水口
 「子どもがいたずらしようとしても事故が発生しないよう十分な安全対策を施すことが必要である。」

(2)二重構造の安全対策
・排(環)水口の吸い込み事故を防止するため、原則として排(環)水口の蓋等をネジ、ボルト等で固定させるとともに、配管の取り付け口には吸い込み防止金具等を設置するなど、二重構造の安全対策を施すことが必要である。
〔参考-1 排(環)水口の安全確保のための改善の一例〕
〔参考-2 配管取り付け口の吸い込み防止金具の一例〕
・ただし、排(環)水口が多数あり、かつ1つの排(環)水口にかかる吸水圧が弱く、1つを利用者の身体で塞いだとしても、吸い込みや吸い付きを起こさないこと(幼児であっても確実かつ容易に離れることができること)が明らかである施設等、構造上吸い込み・吸い付き事故発生の危険性がない施設は必ずしも二重構造の安全対策を施す必要はない。
(3)仕様、工法への配慮
・配管の取り付け口がプール駆体に直接開口している場合は、桝を設置した上で吸い込み防止措置を講じる等、二重構造の安全対策を講じることが必要である。
・桝を設置しても蓋等の上部の流速が強い場合は、排(環)水口を複数設置することが望ましい。
・配管の取り付け口がプール駆体に直接開口し、かつ、排(還)水口が身体の一部で覆うことができるような小さいサイズの場合でも、身体が吸い付いて水中で離脱できなくなることがあるので、吸い付きを防止するため、排(還)水口を複数設置する等の配慮が必要である。

◇第3章 事故を未然に防ぐ安全管理
3-2 管理体制の整備
●監視員
プール利用者が安全に利用できるよう、プール利用者の監視及び指導等を行うとともに、事故等の発生時における救助活動を行う。

選任にあたっては一定の泳力を有する等、監視員としての業務を遂行できる者とし、プール全体がくまなく監視できるよう施設の規模に見合う十分な数の監視員を配置することが必要である。

3-4 日常の点検及び監視
(2)監視員及び救護員
・遊泳目的で利用するプールにおいては、監視員及び救護員の配置は、施設の規模、曜日や時間帯によって変わる利用者数等に応じて適切に決定することが必要である。また、監視員の集中力を持続させるために休憩時間の確保についても考慮することが望ましい。
・監視設備(監視台)は、施設の規模、プール槽の形状等により必要に応じて、プール全体が容易に見渡せる位置に相当数を設けることが望ましい。
・飛び込み事故、溺水事故、排(環)水口における吸い込み事故、プールサイドでの転倒事故等、プール内での事故を防止するため、各施設の設置目的や利用実態等に応じて禁止事項を定め、利用者に対し周知を行うとともに、監視員等は違反者に対し適切な指導を行うことが必要である。
・なお、監視員には、排(環)水口周辺は重大事故につながる恐れのある危険箇所であること等、事故防止のための知識を十分に認識させておくことが必要である。

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