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国保はなぜ「酷保」になったか。学習会より 

 24日の学習会で谷本諭さんが示した保険料額の数字 高知市は高い。また世帯所得が低下しているもとでの保険料が高騰を続けている年次推移。さらに、後期高齢者医療で「有名」になった例の土佐和男氏の徴収強化のすすめ(07年12月)、現在の国保法と旧法との違いなど、講演の中からメモを作成してみた。


◆各市の保険料から・・
◇所得280万円・4人家族(30歳代・子ども2人)
札幌市   43万1500円
さいたま市 37万8300円
大阪市   40万7700円
福岡市   44万4000円
高知市   44万8900円

◇所得100万・単身者
札幌市   14万1100円
さいたま市  9万9500円
大阪市   13万7700円
福岡市   14万2200円
高知市   14万2900円
(いずれも資産割なし)

◆国保の保険料と加入世帯の平均所得(年次推移)より。
「kokuho84-07.xls」をダウンロード
 保険料を平均所得で割ると、84年5.76%、91年5.37%(平均所得最高の年)だったものが、だんだん比率が高くなり07年には9.33%に。一割近くになっている。
07年の世帯保険料が、91年の5.37%なみだったら9万円弱。雇用の規制緩和、一次産業の衰退で、低所所得者が増えているのだから、公的負担を増加させないと、保険料が高騰するのは当然だ。

◆07年12月1日国保新聞の土佐和男・厚労省国保課長補佐の講演要旨が資料として配布された。その中身は・・・
(同氏は後期高齢者医療制度について「医療費が際限なく上がっていく痛みを、後期高齢者が自分の感覚で感じ取っていただく」ことを制度の狙いと石川県の講演で語った人物)

①年金天引き
 自主納付者は、はっきり言えば滞納者予備軍になる可能性がある。20年度中に年金天引きを実施すること。年金天引きが事務的に間に合わないとか、やりたくないという市町村もあるが、そういうところは今後収納率が下がり続けて、調整交付金のカットを受ける。収納率の高い皆さんのところにお金を配分してくれる可能性がある。
今後、各自治体で行政改革が進み、職員数がどんどん減っていく。いつまでも自分たちだけで徴収の仕事をしていたは駄目で、人にやっていただく方法が、今後大事になっていく。その一番の典型例が年金天引き。

②インターネット公売
 何が良いかというと、一般の人達が参加して争って値段をつけてくれるということだ。それに今まで売れなかったような物まで売れる。
いろんな物が売れるということで大事になってくるのが、売るための物集めである。そこで捜索という形で、個人宅に行って差し押さえすることになる。
また捜索すれば執行停止もしやすい。捜索して公表すれば、きちんと手続きをとって探しましたと言える。

③タイヤロック。車社会の地方で有効
 滞納者が車を持っていれば公売にかけなくても住む可能性がある。ここ鹿児島では車は生活の足になっていると思うが、その車を使えないようにタイヤロックをつけてしまう方法だ。普通、車を差押えた場合は倉庫に保管して、さらに売るために車を整備しないといけない。しかし、それをしなくて済むのがタイヤロックの利点である。必需品なので慌ててお金を払いに来る人が多くなると思う。しかもタイヤロックは簡単にできる。これから特に地方における大きな収納ツールになっていくだろう。

④滞納整理機構
 滞納整理機構も効果がある。機構は市町村から派遣されている職員や県職員、嘱託員などで構成されており、強制徴収を実施してくれる。

⑤行政サービスの制限 
 北海道芦別市では、税や国保をきちんと納めていない人にはサービスを提供しません、と宣言する条例を制定している。
 きちんとこういう形で条例を作ってしまえば本人が給付を受けられるものも受けられなくなる。例えば市営住宅に入りたくても未納があれば入れなくなる。起業してお金をかりようと思っても「あなたは滞納しており、市民としてふさわしくないのでお貸しできない」と明確に断れる。行政サービスはなかなか断りにくい部分があるが、条例を制定しておけば、それを理由に断ることができる。これも(収納対策の)1つのツールだ。
 
 
人権無視・・・むちゃくちゃな主張を堂々としているが、医療は「権利」であって、カネを払ってサービスを買う民間保険ではない、という根本のところで間違っている。

◆国保法は「社会保障」「国民保健(メモ者/健康)の向上に寄与する」(1条)と規定し、「国は・・・運営が健全に行われるようつとめなければならない」(4条)と責任の所在を明記している。

 この4条について1960年出版された厚生省保険局国民健康保険課編「詳解 国民健康保険」では

 「(これは)国民健康保険の社会保障体系に占めるすぐれた地位を承認し、福祉国家へ歩むわが国の態度を明らかにしたものといえよう。このような規定は二〇余年前、わが国が一八、一九世紀的な自由主義的市民的法治国家にとどまっていた当時に生まれた旧国民健康保険の中にはうかがうことさえできない。
 旧法では、国民健康保険は市町村の固有事務として把握し、国はその水準の維持をはかるために必要な援助を行うにとどまり・・ 新法は、このような旧法に臨んだ国の態度を脱ぎすて、国民健康保険を国自らの事務とし、市町村に保険者として国民健康保険事業を行わせるが、この場合、市町村の事務いわゆる団体委任事務と解するにいたっている」

 と解説している。 

土佐氏の話は、旧法の「国民健康保険は相互扶助の精神に則り」という戦前の水準から一歩出てない。

 さけられない基本的サービスは無料にし、財源は、累進性の税(応能負担)でまかなう、というのが憲法が要請する制度のあり方である。

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