成長の原動力である大学が、一律カットで存立の危機
国立大学協会と日本私立大学団体連合会が7月14日に中期財政フレームによる削減が実施された場合、削減は1185億円にのぼり、大学の存立を危うくすると声明を出している。
日本共産党は、各大学との懇談を開始している。
【「新成長戦略」の原動力は「強い大学」7/14】
【大学の危機打開へ、「学問の府」にふさわしい改革をすすめる日本共産党の提案 2010/6】
東大の懇談では、一律1割削減が行われると、影響額は85億6900万円にものぼるとのこと。
この額は、法学+医学+工学+文学+理学+農学+経済学+教育学の各学部・研究科の1年分の運営経費(物件費)に相当。
医学研究所+地震研究所+東洋文化研究所+社会科学研究所+生産技術研究所+史料編纂所+分子細胞生物学研究所+宇宙線研究所+物性研究所+大気海洋研究所+先端科学技術研究センターの1年分の運営経費(物件費)に相当。
つまり8学部・研究科の廃止、もしくは全11研究所の廃止を意味する額である。
琉球大学では、影響額は約12億8000万円。この額は、法文学部の1年間の運営経費に相当し、これを授業料値上げでカバーするとすれば、学部学生の授業料を19万2000円も値上げとなるとのこと。
(以上、宮本たけし衆院議員のブログより)
資源のない国で、ただでさえOECD最低の高等教育予算をさらにカットし知的基盤を破壊する政策、また非正規雇用や中小企業予算の減額、大企業の下請けいじめの放置で、ものづくりの土台を壊す政策が、どうして成長をもたらすのでしょうか。
「新成長戦略」の原動力は「強い大学」平成22年7月14日
社団法人国立大学協会
日本私立大学団体連合会「国立大学法人運営費交付金」及び「私立大学等経常費補助」は、平 成23年度概算要求枠での削減対象から除外すること!!
大学予算の一律削減は、人材養成・学術研究の中心として、成長の原動力をなす我が国の知的基盤(大学)を破壊し、国家の危機を招来する!!菅内閣の下で策定された「財政運営戦略」と「新成長戦略」が目指す「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」は、我が国が置かれている経済・財政の危機的状況に照らし、当然実現されるべきものです。同時に、「新成長戦略」は、「強い人材」の育成が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力を世界最高水準にするための効果的な公的投資を拡充する旨、明記しています。
現在の厳しい財政状況について、大学関係においても認識しているところです。
大学は、これまで人件費削減をはじめ、ぎりぎりの努力をしておりますが、これ以上の削減は限界であります。
大学は、「持続可能な成長を担う若年層や知的創造性(知恵)(ソフトパワー) の育成」(「新成長戦略」より)の欠くべからざる土台であり、我が国全体に係わる新しい未来を切り拓く存在でなければなりません。「強い大学」の実現を目指し、大学の教育研究環境の整備や学生への経済的支援の充実を図ることが、日本の輝かしい未来を切り拓くものと確信します。
一方、「財政運営戦略」(6月22日閣議決定)の「中期財政フレーム」によれば、平成23年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこととし、できる限り抑制に努めることとされています。これを受けて、仮に、巷間1兆円以上とも言われる社会保障関係経費の伸びを勘案すれば、いわゆる「政策的経費」は年率8%の減となります。教員等の人件費を含む大学運営の基盤的経費である国立大学法人運営費交付金や私立大学等経常費補助もその対象とされれば、削減額は、単年度だけでも1,185億円(国立927 億円、私立258 億円)という、すさまじい削減を求められることが予想されます。
我が国の高等教育への公財政支出は既にOECD 諸国の最下位という状況です。
その上、このような更なる過酷な削減を行うことは、我が国の成長の原動力である大学の存立を危うくするものであり、天然資源に乏しく、科学・技術と人材に頼るしかない我が国においては、まさに国の将来を危うくする致命的な施策となります。
ついては、平成23年度概算要求枠において、「国立大学法人運営費交付金」及び「私立大学等経常費補助」については、削減の対象外とし、「新成長戦略」に基づき、長期的な観点から予算配分が行われることや、高等教育への公的資金の投入について国民の皆様のご理解ご支援をいただき、来年度概算要求にあたっても高等教育予算確保について強く要望します。
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