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子ども・若者育成支援推進法と若者支援の現状 備忘録

 内閣府の「引きこもり」調査の結果が発表されたが、早期対応、総合的・継続的な対応を目的とした「子ども・若者育成支援法」が本年4月施行されている。
 現状と課題について、NPO文化学習協同ネットワーク佐藤洋作氏の論文(「議会と自治体」2010.7)の備忘録。

なお・・高知県のHPで「子ども・若者育成支援推進法」を検索してもヒットしない。現在のとりくみは、
「高知県の若者自立支援」
高知県の「若者の学びなおしと自立支援事業『若者はばたけネット』マニュアル」
 

【子ども・若者育成支援推進法と若者支援の現状 備忘録】
 NPO文化学習協同ネットワーク 佐藤洋作 「議会と自治体」2010.7

◇はじめに—青年無業者の増加と支援策の推移
・若者無業者数 08年15-34歳で64万人、-39歳で84万人/総務省「労働力調査」
~ 特に、35-39歳の層が増大傾向。青年無業者数は93年40万人、99年48万、02年64万人、以後横ばい
・ひきこもり家庭 04年厚労省「こころの健康についての疫学調査に関する研究で32万世帯
  (内閣府調査 2010/7 70万人)

・政府/若者の社会的自立の困難さ、職業能力が蓄積されず、中長期的に競争力・生産性が低下していくなど経済基盤が崩壊していく、社会保障システムが脆弱化し社会不安が増大することをうけ、支援策を打ち出す。
 03年「若者自立・挑戦プラン」で、就業相談支援機関の開設、インターンシップ、キャリア教育の推進
 05年、合宿形式の生活訓練・職業体系で「若者自立塾」事業が開設(昨年、事業仕分けで廃止)
 06年 若者サポートステーション(仕事探しでもない、メンタルケアでもない広い意味の相談)100ヶ所
→07年サポステ来所4万人、のべ来所14.5万人と、82万人の無業者の一握り
・こうした中で、今回「子ども・若者育成推進法」の制定に(2010年4月施行)

◇若者支援の現場から
・若者の困難の事例(論文では4例を紹介)は、その原因は様々である。就労支援といっても単純ではない。
→ 学び直しや訓練が必要なケース/ 生活の建て直しや生活保護など福祉的な援助が必要なケース /医療や精神保健的援助が必要なケース /家族関係のもつれを解きほぐす家族支援が必要なケース などキャリアカウンセリング以前の多様な支援、総合的な支援が必要な場合がほとんどである。

・若者無業者の高年齢化
 政府の支援策も35歳から39歳まで拡大/ 若者の困難の背景は多様で複合的。また支援をうけることなく長く時間が経過した結果、若者無業者が高齢化している。
→ 1若者支援機関だけのとりくみでは限界がある /医療、保健、福祉、教育、労働などの関係機関からなる支援地域ネットワーク /さらにもっと早い時期からの支援の開始の必要性、とりわけ学校から仕事への接合支援が重要である。ことがあきらかになってきている。/これらは若者自立塾、サポステなどの施策をとおし、利用者の若者の実態が可視化されてきたことから、現場と行政がともに学びながら痛感してきたこと /その経過も踏まえて「子ども・若者育成支援促進法」の制定に至ったと考えられる。

◇子ども・若者育成支援促進法の制定へ
①実態踏まえ、政府案を修正・可決
・昨年度の「青少年総合対策推進法」が修正された。/乳幼児から30歳代までの幅広い年齢層の育成・支援にとりくむという法律の目的を明確にするため「子ども・若者」という言葉に。/政府案は、15歳以上だったが、下限年齢を撤廃。「社会生活を円滑に営む上で困難」を有する子ども・若者が対象
・政府案は「ニート・ひきこもり」を主な支援対象として想定していたが、より子ども段階で体験する様々な困難、学校から社会への接合の失敗などが、背景要因となるとの認識のもとで、「ニート・ひきこもり」以外にも対応できるよう対象を拡大。

・政府案の「自助」「自立」という言葉が除かれ、基本部分で、依拠する根拠法を、国内では憲法、国際的には子どもの権利条約と明記した。

②地域支援ネットワークの形成に向けて
・子ども・若者の危機の要因は多様であり、支援は多様なアプローチがあり、総合的で継続的なネットワークが必要であり、行政システムもそれに対応したものでなければならない。
→ 現実には、各省庁の「縦割り」に起因し、類似事業の重複と分断があり、十分な支援が届いているとは言いがたい。/同じひきこもりでも、原因は多様であり、複数の要素が絡むこともあり、簡単に原因を判断することは難しい。

・「縦割り」の弊害をなくす/行政は従来「不登校や教育問題は教育委員会」「就労支援ならハローワーク」「生活支援なら福祉事務所」「医療にかかわれば保健所」と担当を分けて対応してきたが、複数の原因に対して有効な対応にならなかったことの改善をめざすもの。
→ 自治体が中心となり、児童相談所、保護観察所、NPOなどで構成する「子ども・若者支援地域協議会」が支援の中核と位置付けられ、総合的・継続的支援に道が開かれたことは意義深い/力を発揮するには様々な課題

③実施までの障壁と戸惑い
・既存の協議会(ネットワーク)との関係 /要児協など・・と構成メンバーが重なる /既存の子ども問題にかかわる協議会に若者問題にかかわる機関を追加して、業務を一元化して統括できるか。また、実施への予算措置も、いまのところ不明
→ 英国のチルドレンズ・トラストでは、予算を共有化し、重複を避け効率的な運用をめざしている。/この点を考えても、予算措置は重要なポイントとなる。

・自治体のとまどい/既存協議会に若者雇用支援機関を加えればすむのでは? どう変わるのか? なぜ新法か?
→ 当面は模様眺めという様子がうかがえる。担当部署も決まってないところも。

◇若者支援を軸とした協議会形勢への動き、先行的取組み
・2010年3月「若者支援と地域ネットワークを考えるシンポジウム」が開催
・この間の若者支援策は主に自治体の産業・雇用部局であるが、子どもから若者とつなげはこの法律を監督するのは青少年担当部局となる。その移管・統合がどうなるか、難しいところ。

・京都市 02年「ユースアクション」を策定。市内7つの青少年活動センターと連携させて「若者スポートスション」を開設。09年「子ども・若者総合支援プロジェクトチーム」を全庁的に設置

◇若者支援施策の新しい展開
・早期に発見し、困難の深まりを早いうちから防ぐ重要性が指摘されるようになった。/進路が決まらないうちら高校を中退するとニート状態に陥りやすく、年齢を重ねても抜け出しにくい実態がある
→ 学校からの離脱の予防、離れた場合にはその段階での早期対応が必要

・/教育分野と多分野との連携が大きな課題となる。そのため今年度の地域若者サポートステーション事業で、「高校中退者等アウトリーチ事業」高校中退者等に対し訪問支援で学校教育から円滑に誘導しようとするもの
「継続支援事業」 学力を含む基礎力向上にむけた学び直し支援
 に重点的にとりくむことになった。

・文部科学省から、各都道府県教育委員会高等学校主観課長、私立学校主管課長宛に、
「高等学校中途退学者等を対象として職業的自立支援施策に係る関係機関の連携の充実について」(依頼)/10年3月29日付け、で高等学校に対し、その旨を周知するように下ろされた。
 

 これは厚労省の施策の連携要請にもとづいて、文科省が応えたことは画期的で、新法の成立により、縦割り行政の壁が少しながらゆるんできたと言っていいだろう。 

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