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「地域主権改革」で施策が後退  障害者団体が要望書

 民主党政権がすすめる「地域主権改革」は、「障害者施策の地域間格差がさらに増大し、これまでの障害者運動により実現してきたさまざまな成果が大きく後退してしまうのではとの危惧を抱かざるを得ません」とし、障害者の参加で新しい制度を検討している「障がい者制度改革推進会議」の内容をも制約する懸念がある。
 以下は、日本障害フォーラム(JDF)の政府への要望書(5/24)

8日、障害者自立支援法の「延命」につながる「自立支援法改定案」が、障害者の声を聞かずに強行されようとしていることへの抗議集会が開催されたが、参加した民主党議員は「申し訳ありません。この動きを知らなかったんです。もう一度信じてください」と陳謝するばかり(山下よしきブログより)。
 これって抜け穴だらけの派遣法、つくらないほうがましと酷評された地球温暖化防止基本法、薬害肝炎対策などの集会の場で、くりかえされてきた民主党議員の光景。  


【地域主権改革と障害者施策に関する要望書】

 平素より障害者の権利の向上並びに福祉の充実へのご尽力に対し、心から敬意を表します。
障がい者制度改革推進本部に置かれた障がい者制度改革推進会議(以下、「推進会議」)においては、各種法制度に関する議論が活発に進められ、当事者参加下に新たな政策策定がなされるものと、多くの障害者ならびに関係者が、強い関心をもってその推移を見守っているところです。
 さて、昨年11月に設置された「地域主権戦略会議」においては、地域主権の確立に向けた法案提出を含むさまざまな工程が進められているとお聞きしています。

 私どもは、「地域のことは地域に住む住民が決める『地域主権』への転換」という方向性に異議を唱えるものではありません。しかしながら、公開されている工程等からは、地域における障害者関連施策の義務規定や当事者参加等の規定までもが、一律に自治体の裁量に委ねられることになるよう見受けられます。現時点では、このことにより障害者施策の地域間格差がさらに増大し、これまでの障害者運動により実現してきたさまざまな成果が大きく後退してしまうのではとの危惧を抱かざるを得ません。

 また、現在推進会議で議論している制度改革も、この地域主権改革の動向により大きく影響を受けるのではないかとの懸念も生じています。これまでの推進会議でも、度々、「障害者の地域生活や人権はどう担保されるのか」「障害者制度改革の中で示す方向との整合性はどうなるのか」との指摘がされてきました。つきましては、地域主権改革と障害者施策に関して、次のことを要望いたします。

           記

1.「地域主権改革」の主管官庁及び関係省庁からの意見聴取の実施をお願いし
たい。

 現在議論が行われている「地域主権改革」は、障害者の社会生活・日常生活さまざまな分野に直結する問題となる。政府内でどのような議論が行われているのか、主管官庁、関係省庁から、現時点での議論の内容や今後の見通し等について意見を聞かせていただく機会を設けていただきたい。

2.障害者施策に関わることについて、国会の場で、当事者・関係者が意見を十分に述べる機会を設けていただきたい。

 当事者抜きに政策を決めてはならないと考える。「私たち抜きに私たちのことを決めないで」という言葉が、障害者権利条約の交渉過程において、世界中の障害者に言われてきた。また、障害当事者等が過半数を占める障害者制度推進会議の設置もなされてきた。こうした動きをふまえて、当事者が意見を述べるための機会を設けていただきたい。特に国権の最高機関たる国会での障害当事者の参考人質疑の実施を強く求める。

3.「障がい者制度改革推進会議」との連携をお願いしたい。

 新政権における公約の一つとして設置された「障がい者制度改革推進本部」は障害者施策全般に亘っての施策決定の権限を持った機関と理解される。このことを法定する「障害者制度改革推進法案(仮称)」の早期制定が焦眉の課題であるが、同本部の下に置かれた「障がい者制度改革推進会議」において、6月頃を目途に「中間まとめ」を行うとしていることから、「地域主権改革」によってその議論の枠組みを制約することのないようにすることを強く求める。

4.「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」について、内容をさらに精査し、障害者の人権・尊厳を確保するものとしていただきたい。

 障害者自立支援法の改正において、人権に直結する運営基準は「従うべき基準」、その他の運営基準は「参酌基準」となっている。
 「参酌基準」の中には「居室定員4人以下」など、明らかに人権に直結する項目も含まれており、劣悪処遇への後退が懸念される。人権尊重の観点から、これを担保する仕組みが必要である。障害者施設における人員配置、居室面積、居室定員などについて実態把握のための調査が必要であり、実施を求める。

5.今後の義務づけ・枠づけの見直しについて、慎重な検討をお願いしたい。

 「計画等の策定及び手続き」について、「廃止又は条例委任」の考え方が示されているが、ここでも、計画の策定状況、内容、策定への当事者参画、進捗状況、財源確保などを検証する必要があり、安易な廃止又は条例委任がされてはならないと考える。

「障害者基本法」    都道府県・市町村障害者計画の策定
「障害者自立支援法」  市町村障害福祉計画の策定
「障害者雇用促進法」  公務部門における障害者の採用に関する計画の作成
「バリアフリー新法」  移動等円滑化基本構想の内容、高齢者・障害者等、その他利害関係者の意見反映

6.ひも付き補助金の一括交付金化について、慎重な検討をお願いしたい。

「ひも付き補助金」とは何かを明らかにする必要がある。補助金の使途、金額の多寡、市民生活とのかかわりなど、精査する必要がある。一括交付金化によって、障害者施策の財源がこれ以上縮減されてはならない。むしろ、施設、病院からの地域移行を進めるために、全国的な基盤整備こそが求められている。また、障害者制度改革の立場から、地域生活中心のサービス・財政構造への転換を、国は率先して進めていかなければならない。生活者の目線に立った議論をお願いしたい。
「中央集権」対「地域主権」といった議論の進め方には違和感を覚える。「コンクリートから人へ」、「生活が第一」という政権理念に基づいて、人を、生活見つめながら、あるべき「地方自治」についてともに議論していきたいとの思いを付言しておきたい。

以上

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