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指定管理者制度シンポ 自治労連

 新しい公共空間をになうツールの1つ指定管理者制度。ブラックボックス化し、議会、住民のチェックが入らず質の確保、労働者の権利擁護など数々の問題を生んでいる。自治労連がシンポを実施している。
【シンポジウム「このままでよいのか指定管理者制度」を開催 2010/6/4自治労連】
 詳しい内容、資料を入手したいものです。

なお、こうした全体像をどう見るかは、榊原秀訓(南山大学・法科大学院 行政法)氏の報告が参考になる。
【「自治体の経営体化の現状と課題」 備忘録 08/8】

【シンポジウム「このままでよいのか指定管理者制度」を開催 2010/6/4自治労連】

 自治労連は5月30日、東京都内でシンポジウム「このままでよいのか指定管理者制度」を開催しました。山口祐二副委員長が開会にあたってのあいさつを行いました。

◇指定管理者制度そのものを見直すとき
 基調提起にたった自治労連の木村雅英自治政策局長は、「小泉政権の『官から民へ』のもとで、指定管理者制度が導入されて7年が経過した。総務省調査(「公の施設の指定管理者制度の導入状況等に関する調査結果」09年10月公表)でさえ「指定管理者の経営困難」等によって指定管理者の指定を取り消した事例が672件、「費用対効果・サービス水準の検証」等によって指定管理者制度による管理を取りやめた事例が1420件にのぼり問題が明らかになってきた」と切り出しました。「総務省も、08年6月6日に事務次官通知『指定管理者制度の運用上の留意事項』を発出するなど、方針に変化が生じている。さらに、民主党政権のもとで担当大臣が、行政改革、集中改革プランについて住民サービスの後退をもたらしたことを否定せず、総括する必要性を述べている。これらをふまえると、自公政権のもとで進めた行政改革・集中改革プランでの一律的職員削減、非正規職員化、民間委託・民営化だけでなく、そのツールとして法制化された指定管理者制度、地方独立行政法人法、市場化テスト法等の制度についても総括し、見直すときである」と述べました。さらに、総務省の「指定取消し等の事例」について、自治労連が独自に調査した結果を紹介しました。

◇イギリスでは「インソーシング」が注目
 榊原秀訓教授(南山大学法科大学院)は、「『公の施設』の管理運営原則―国際的にみて」と題して基調講演を行いました。「イギリスではTUPE(雇用継承法)があり、企業や組織が譲渡されたり雇用先が変わった場合でも、同じ雇用条件(年金制度も含め)で継続して雇用されることとなっている。労働条件を引き下げての価格競争は否定されており、労働者保護をしないと良質の行政サービスが提供できないという理念が経済団体も含めて共有されている。最近では、アウトソーシングしたサービスを自治体直営に戻すインソーシングが注目されている」と述べました。

◇図書館における公契約基準が必要
 日本図書館協会事務局長の松岡要氏は、「図書館の管理運営で何が求められているか」を特別報告しました。「図書館は住民の学習権、知る権利を保障する役割を担っており、図書館法で無料原則を謳っており、指定管理者制度にはなじまない。導入事例はきわめて少数だが、他の施設と比べて株式会社が指定される割合が高く、指定管理者制度を導入した図書館でも、資料の選定やレファレンスは教育委員会がやっているところが多い。大阪府は府立図書館を民間委託したが、大阪版市場化テスト監理委員会でさえ、『レファレンスは民間になじまない』と判断したが、図書館の現状は、非正規職員が6割を占め、非正規図書館職員の専門職化という実態があり、今後図書館事業を担う公契約基準を提起していきたい」と述べました。

◇指定管理者制度を抜本的に見直すための現時点での提言
 尾林芳匡弁護士は、「指定管理者制度を抜本的に見直すために」と総括講演しました。指定管理者制度を考える視点として、「この制度は公の施設の管理についての手続きを定めるのみであり、事業の質や担い手については空疎である。指定管理者制度になっても、『住民の福祉を増進する目的』は変っておらず、自治体は正当な理由なく利用を拒むことはできないし、利用する際、不当な差別的取扱いは禁止している。指定管理者制度は、本来廃止すべきだが、現時点での提言としては、
①公の施設の役割の検証とサービス水準の確保、
②地域経済政策の自由の保障、
③経営破綻対策として委託料後払い等の徹底、
④保育・福祉・医療・教育など担い手の質が重要な分野の適用除外、
⑤住民への情報公開と実質的平等利用権の保障、
⑥経験の蓄積や人材育成などのために担い手の雇用継続と処遇維持を条件とするなど雇用問題回避策をとるべき」―― と提言しました。

◇静岡、兵庫、広島などから具体例で発言
 会場からは、静岡自治労連の林委員長が「静岡県立草薙体育館で昨年、バスケットゴールの支柱に首を挟まれ、29歳の会社員が死亡する事故が起こった。指定管理者制度導入で県体育協会が管理、設備についてはNTTファシリテイーズ、施設点検はセノーという非常に複雑な運営状況になり、しかも現場はほとんどがアルバイトになった。責任の所在が曖昧になり、現場に責任を持つ専門職がいなくなったなかでこの事故が起こった」と告発。

 兵庫自治労連・政田組織拡大専任者が「西宮市駐輪場の指定管理者がサイカパーキングという業界NO.1企業に替わり、時給や勤務日などが減らされ、年収で158万が96万になった。社会保険の強制加入がはずされた。市は従前の労働者を最優先で雇用するよう指導したが、労働条件は対象にしなかったためだ。労働条件が切り下げられないよう、選定基準を設けさせる必要がある。公契約条例や公共サービス法の趣旨を生かし、取り組みをすすめる」と発言。

 広島自治労連の川后書記長は「7年間、公益法人に労働組合をつくり、労使交渉し、議員に要請し、10万枚の市民宣伝を繰り返すなか、市議会にもひどい制度ということが浸透し、理事者も制度の枠内で可能なことは何でもするというようになった。それでもどうにもならない。一期目は雇用確保でがんばったが、二期目は財政も人員も削られ耐えられない。将来の見通しもない。しかも公益法人改革と公益法人への職員派遣の賃金支払い規制でがんじがらめ。要求は雇用保障、専門職員の確保、ベースアップを保障する事業拡大再生産だ」と発言。

 最後に、木村自治政策局長が「住民のためにつくられた施設が、指定管理者制度によって歪められてきている。公共サービス基本法、公契約、TUPEの側面から公共サービスのあり方を検討していきたい」と述べ、閉会しました。

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