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「構造改革」路線の失敗 文部科学白書

「文部科学白書」の概要がアップされている。最後のまとめは以下のようになっている。
・我が国は,国際的にみて家計の教育費負担が大きくそれに比べて公財政教育支出が少ない。
・経済的格差が教育格差に影響し,格差の固定化や連鎖につながる恐れ。
・質の高い教育を実現し,教育の機会を確保するためには教育への投資が必要。
  我が国の成長を牽引し,新たな未来を切り拓くのは国民一人一人であり,人材への投資である教育に社会全体として十分な資源を振り向けて取り組むことが必要。
【平成21年度文部科学白書 6/22】
【「親の所得が学力左右」文部科学白書が指摘 読売6/18】

 市場主義、自己責任の「構造改革」路線が、日本社会の持続可能性をうばっていることを証明したものと言える。
 それなのに、財界が一貫して求めてきた消費税増税、大企業減税、地域主権改革と・・貧困と格差を拡大する「構造改革路線」が政治の中心課題となっている。

【平成21年度文部科学白書 6/22】

<第一部 我が国の教育水準と教育費>(特集)
第1章 家計負担の現状と教育投資の水準

第1節 家計負担の現状
◆家計の教育支出
○大学卒業までにかかる平均的な教育費は,全て国公立でも約1,000万円,全て私学だと約2,300万円に上る。
○アンケートによれば,教育費の高さは少子化の最も大きな要因の一つ。

◆経済的状況と学力の格差への影響
○各種統計から見て,所得格差は緩やかに増大している傾向。
○就学援助を受けている生徒が多いほど,学力調査において平均正答率が低い傾向。
○両親の収入が高いほど4年制大学への進学率が高くなる。

◆学力の推移
○近年のPISA調査(読解力)では,我が国は学力の中位層・高位層が減るとともに,学力の低い層が増えつつある。
◆進学先と卒業後の就業状態・生涯賃金
○どのような学校段階に進んだかは,卒業後の就業状態や所得に影響を与える。
  400万円以下では、大学と就職が30%強で同率、1000万円以上では、大学62.4%、就職など5.6%

第2節 教育投資の水準
我が国の教育投資の水準について国際比較から分析

◆経済規模と教育投資の状況
○公費と私費をあわせた教育支出はOECD平均なみ。
○ただし,公私の割合は私費(特に家計)負担が大きい。
○その結果,公財政教育支出の対GDP比の割合は,OECD諸国中低い水準。
○日本の教育支出は家計負担によって支えられている。
  就学前  先進国では、公的負担が7―9割台となっている。日本は、43.4%
  初等中等教育は、約9割で他国並み
  高等教育は、32.2%と、OECD平均72.6%の半分以下。

◆少子化と教育費の状況
○2000 ~ 05年間で,少子化が進んでいるにもかかわらず公財政教育支出を増加している国が多い。
○他方,我が国の教育支出は横ばい。
 99年比で韓国は63%増、英国47%増、アメリカ22%増、フランス12%増、ドイツ7%増、日本±0

◆公財政支出における教育費の位置付けの状況
○政府の支出のうち,教育の割合はOECD諸国の中でも下位に位置する。
○我が国の政府支出の特徴は
 ・教育費の割合が低い
 ・一般政府総固定資本形成の割合が高い
 ・保健の割合が高い

◆政府規模と教育費との関係
○我が国の教育への公財政支出の水準は,国民負担率が低い国の中においてもなお,国際的な水準を下回る。

第2章 家計負担の現状と教育投資の水準
【就学前教育】
○我が国は,就学前教育段階の在学率が高い一方で,就学前教育に対する公費支出は低い。
○日本の高い在学率は子育て家庭の負担によって支えられている。

【初等中等教育】
◆子どもの現状
○学力については,知識技能を活用する力や,学習意欲・関心の低下とともに,学力の低位層へのシフトが課題。
○問題行動等,学校現場が抱える問題が増加。

◆教員数の充実
○教員に求められる役割は増加する一方,教員を支える専門スタッフの配置が遅れている。
○「授業の準備をする時間が足りない」「教員が行うべき仕事が多すぎる」等と感じている教員が多い。
○精神疾患による病気の休職者が増大。
○1学級あたりの児童生徒数はOECD平均を上回っている。
 国公立学校での平均学級規模(2007年)は,初等教育28.1人,前期中等教育33.0人であり,OECD平均を上回り,もっとも高い国の一つ。

◆教育条件の地域間格差
○教育予算の一般財源化・国庫負担率引き下げ,地方財政の悪化により,教育条件の悪化,地域間格差が生じている。
 ・小中1学級あたりの教材費 最高は東京340万、平均147万、最低は秋田69万、高知は102万円
 ・小中1校あたりの図書費  最高は愛知83万、平均52万、最低は青森26万、高知は36万円

◆教育のICT化
○ICT環境の整備,教員のICT活用能力の向上が課題。

◆施設整備
○学校施設の老朽化への対応や学校施設の耐震化が急務。

◆教育の機会均等
○義務教育段階の就学率はほぼ100%,高校進学率は約98%。
○教育機会の確保のために時代に応じた取組が必要。へき地の交通手段や日本語指導が必要な外国人児童生徒などの学ぶ環境の確保が課題。
○高等学校等実質無償化を始めとしてその教育費は社会全体で負担する必要。

【大学・大学院】
◆大学の基盤的経費の充実
○国立大学法人運営費交付金は平成16 ~ 22年度までに830億円減少。
○私立大学への助成金も減少傾向。
○日本の高等教育への公財政支出は,対GDP比で,OECD加盟国の中で最下位。

◆高等教育の機会の確保
○大学進学率は国際的に見ると低い水準。特に社会人学生。
 大学型高等教育機関への25歳以上(社会人)の入学者の割合は、OECD平均は21.3%、日本だけが一桁台で1.8%
○都道府県別の大学進学率を見ると,国際平均を大きく下回る地域もある。
○地方大学は貴重な高等教育の機会を提供。地域経済へも貢献。
○諸外国と比較して,我が国の大学院在籍者数の対人口比率は少なく,「高学歴社会」とは呼べない状況。
 人口100万人当たりの専攻分野別修士号取得者(2005年)は
  日本581人、韓国1446人、アメリカ2008人、英国3018人、フランス1482人
○高等教育への支出は家計負担が50%を超えており,給付型の経済的支援を充実させる必要がある。

◆就職支援
○平成22年2月1日時点の就職内定率は2000年以降で最低。また,早期離職が問題。

◆医学教育
○臨床医の数は諸外国と比べて少なく,研究医の数も減少。

◆施設整備
○第2次国立大学等施設緊急整備5か年計画は約8割達成。
○依然として未改修の老朽施設が約3割存在。

◆おわりに
●我が国は,国際的にみて家計の教育費負担が大きくそれに比べて公財政教育支出が少ない。
●経済的格差が教育格差に影響し,格差の固定化や連鎖につながる恐れ。
●質の高い教育を実現し,教育の機会を確保するためには教育への投資が必要。
  我が国の成長を牽引し,新たな未来を切り拓くのは国民一人一人であり,人材への投資である教育に社会全体として十分な資源を振り向けて取り組むことが必要。

【「親の所得が学力左右」文部科学白書が指摘 読売6/18】

 川端文部科学相は18日の閣議に、2009年度版文部科学白書を報告した。家庭の経済力の差が子どもの教育機会の格差拡大につながりつつある現状を挙げ、教育への公的投資の必要性を指摘した。
 白書では、09年度の全国学力テストの結果などを分析し、就学援助を受ける生徒の割合が高い学校は正答率が低い傾向があること、親の年収が400万円以下の子どもの大学進学率は31%なのに対し、同1000万円超だと62%に達することなどを指摘。子どもの学力の伸長が親の所得に左右される可能性があることなどをとりあげた。
 そのうえで、幼稚園や大学などへの公的財政支出が少ないことを挙げ、「経済的格差が教育格差に影響し、それが格差の固定化や世代間の連鎖につながりかねない。教育に社会全体として資源を振り向けることが喫緊の課題だ」とした。

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