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消費税増税反対の意見書 民主、自民、公明らが否決/県議会

 6月23日閉会した県議会。日本共産党と緑心会が提出した消費税増税反対の意見書に、自民、公明、民主らが討論もせずに反対した。反対するなら、堂々と討論に立つのが政治家としての責任だ。
 県議会は会派なので、会派では、自民党、県政会、公明党、南風と民主党・県民クラブのうち大石宗、沖本年男県議が反対した。 意見書案と討論は以下のとおり
 なお法人税について今日の赤旗が新たな情報
 【法人税 「40%は高い」といいながら実は… ソニー12% 住友化学16% 赤旗6/24】

 

【消費税の増税に反対する意見書(案)】

 菅首相は所信表明演説で、「消費税を含む税制の抜本改革」を「一党一派を超えて議論する必要がある」と明言した。政府の閣僚からも消費税増税をめぐる発言が相次ぎ、消費税が増税される危険性が現実のものとなっている。

 しかし、消費税増税にはいっぺんの道理もない。

 消費税が導入されて22年間で、消費税は224兆円が納税されたにもかかわらず、法人3税は208兆円も減収となっており、消費税は財政のためでも、社会保障のためでもなく、結局、大企業の減税の穴埋めに使われたという実態となっている。

 この10年間で資本金10億円以上の大企業は、経常利益が15兆円から32兆円と2倍以上になり、内部留保は1.6倍の230兆円に膨れ上がり「空前のカネ余り」(日本経済新聞5月24日付)状況である。一方、働く人の賃金は1割も減り、年収200万円以下の働く貧困層が1千万人を超え、無年金者、低年金者も多数存在する等、国民の生活実態は、とても増税に耐えられるものではない。消費税は低所得者ほど負担の重い最悪の不公平税制であり、貧困をさらに拡大させるやり方は断じて許すことができない。

 景気回復には、GDPの6割を占める国民の消費を増やすことが決定的に重要であるが、消費税増税は、内需を冷え込ませ、不況をさらに深刻にさせるものである。それは、97年の消費税増税が深刻な不況を招いたことでも明らかである。

 また、消費税を価格に転嫁できない中小業者の現状でも厳しい経営を追いつめることは必至である。本県の経済にとっても深刻な打撃を与えるものである。

 日本の消費税率は5%だが、諸外国のように食料品など生活必需品などの非課税、低税率の措置がなく、世界的に見ても、低所得者にとっては過酷な税制となっている。
 昨年12月発表されたミニ経済白書は、「実質的な税の累進性が、日本はアメリカやユーロ圏に比して小さいこと」を指摘している。またOECDのデータは、日本の所得再配分機能が極めてよわいことを明らかにしている。とくに子どもの貧困については、再配分したあとの方が貧困率が高くなる異常な構造となっている。

 今求められているのは、こうした異常な構造を是正し、この間の行きすぎた大企業・大資産家減税を見直し、憲法のもとめる「応能負担」の原則で税制を立て直すことである。
リーマンショック以降、アメリカ、韓国では、大企業と富裕層増税、庶民減税に踏み出し、イギリスは、消費税減税に加え、富裕層への増税を決定。スペイン、ドイツでも富裕層への増税が検討されている。これが当然のあり方であり、世界の流れある。
 
 このように、消費税増税は、庶民の暮らしを破壊し、景気を破壊し、日本経済の危機をいっそう深刻にする最悪の道である。
よって、国においては、消費税の増税を行わないよう強く求めるものである。


◆米田みのる県議の討論
 私は、日本共産党と緑心会を代表して、只今議題となりました議発第10号「消費税の増税に反対する意見書」議案に、賛成する立場から討論を行います。

 民主党は、参院選公約で、「法人税率引き下げ」を明記すると共に、消費税の増税をうちだし、菅首相は「当面の消費税率は自民党が提案する10%を一つの参考にする」と言明しています。これはまさに、大企業減税の穴埋めに消費税の増税をはかろうとするものであり、また財政再建にも、社会保障財源にも役立たず、国民の暮らしと景気を破壊し、日本経済の危機を深刻にするものとして、断固反対するものであります。

 理由の第1は、消費税が弱い人ほど重くのしかかり、大企業は一円も払わなくてすむという最悪の不公平税制だからです。民間シンクタンクの第一生命経済研究所のリポートは、家計調査を元に、消費税額の負担が低所得者ほど重くなると分析。年収1500万円以上の世帯と250万円以下の世帯では負担率、年収に占める消費税の割合に2倍近い差があると述べています。さらに、同リポートは、消費税が10%に増税された場合、平均的な年収のサラリーマン4人家族のケースで、年間約16万5千円の負担増となり、年間の消費税額は、34万6千円になるとしています。約一ヶ月分の収入が消費税で吹き飛んでしまうのであります。働く人々の賃金は1割も減り、年収200万円以下のワーキングプアが1千万人をこえ、無年金者・低年金者が多数いるなかで、消費税大増税は、国民に耐え難い負担と苦しみを押しつけることは明らかであります。
折り込み広告を見て、1円でも2円でも安い商品を求めてお買い物に行く、バス代を少しでも節約するためにと、痛い足を引きずりながら遠い停留所まで歩いていく、こうした庶民の暮らし向きがみえないのでしょうか。菅首相は急遽低所得者の軽減策の検討を口にしていますが、このこと自体消費税そのものが逆進性の強い税制であることを認めるものです。軽減策を検討するなら増税をやめればすむことであり、また現行税率での食料品非課税化こそ急ぐべきであります。
今でさえ身銭を切って必死に頑張っている中小零細業者にとって、10%への増税は致命的な打撃を与えることは必至です。いま、県をあげて産業振興計画の実践に取り組んでいます。この21日には、当県議会の有志による商店街振興議員連盟が発足しました。しかし、大増税計画はこうした取り組みを土台から脅かすことにもなるのではありませんか。そして景気を一層冷え込ませる事は明らかです。一方大企業は、これまで一円も消費税を納めたことがなく、逆に輸出戻し税制度によって消費税が輸出大企業に還付されています。たとえばトヨタ3千億円、ソニー1500億円、本田技研1200億円など上位10社だけで一兆円をこえる金額にのぼっています。
消費税は、最悪の不公平税制です。直接税を中心に応能負担、総合累進課税、生計費非課税という憲法の立場にもとづく税制の改革こそ求められています。

増税反対の第2の理由は、大企業の法人税減税とセットでうちだされたこと、今回の消費税増税の目的が大企業の減税のためにある、ということであります。結局財政再建でも社会保障財源でもありません。
しかも、この10年間で資本金10億円以上の大企業は、経常利益は15兆円が32兆円へと2倍以上になり、内部留保は1,6倍の230兆円に膨れあがるなど、「空前の金余り」「3月末202兆円企業の現預金最大」と言われている大企業に、なぜさらなる減税か。あまりにも異常な大企業優先の政治ではありませんか。
民主党の参院選公約や政府の新成長戦略、また経済産業大臣は法人実効税率を主要国並みに引き下げる、25~30%への引き下げを目指す、としています。現在の40%から25%になれば法人税は約9兆円の減収となり、そこへ消費税増税分5%の大部分を当てることになる、つまり穴埋めに使うということになるのであります。3年前、当時の日本経団連の御手洗会長が記者会見で、経団連の求めている法人税減税の財源を記者に聞かれ、消費税を上げると書いてある、と語ったことにも示されています。
実際、消費税が導入されて22年間で、消費税の税収は総額で224兆円、同時期の法人3税の減収は208兆円。実態は法人税の減税、減収分の「穴埋め」に使われてきた、これが真実であります。
 日本経団連はこの4月にも、消費税の税率の早期引き上げとともに、法人実効税率の早期引き下げをセットで提言していますが、民主党政権の増税計画は、まさに財界・大企業の身勝手な要求につき従うものと言わなければなりません。
日本の法人実効税率は40%で高すぎる、との議論がありますが、大きなごまかしがあります。一つは、研究開発減税、外国税額控除などの大企業優遇税制による減税分を意図的に除いていることです。それらを含めると日本のトップ企業の実際の法人税負担率は、ヨーロッパと変わらない平均30%程度であり、10%台、20%台の企業も少なくありません。例えばトヨタ自動車の実質的税負担率は07年25,3%、NTTドコモ28,0%、本田技研工業17,3%などとなっています。もう一つは、税と社会保険料をあわせると、財務省が発表した数字でも、日本の大企業の負担はフランスの7割、ドイツの8割程度でしかありません。

第3は、「福祉のため」と言いながら、政府側は後期高齢者医療制度の先送りなど福祉を良くする姿勢を何も示していません。また実際に、消費税が法人税減税の穴埋めに当てられてしまい、社会保障充実の財源としても役立たないのであります。
福祉のためと言って消費税がつくられ、増税されたにもかかわらず、連続して改悪されてきた社会保障制度の歴史を見ても明らかです。なお、ヨーロッパの消費税は、食料品などに軽減税率や非課税等を適用しています。社会保障の財源という点では各国とも消費税の占める割合は、10%前後で事業主保険料が40%前後と最も高く、他の税とともに社会保障を支える主な財源となっており、税率の高さと福祉の水準を単純に結びつけることはできません。

 第4に、財政再建のためだ、という理屈もなりたたない、ということであります。
いまの財政破綻の原因を見定めることなく、財政問題の解決はありません。いまだに続いている1メートル1億円の東京外環道など無駄な事業を中止すること、5兆円にまで増加させた軍事費、史上最大にしてきた米軍向け予算にメスを入れること、ゆきすぎた大企業・大金持ちへの優遇制度を正し世間並みの負担を求めることこそ財政再建の道ではありませんか。財政再建と言いながら原因にまともにメスをいれようとしていない姿勢からも、結局「財政再建」は口実にしか過ぎないのであります。まして消費税増税の目的が法人税減税の穴埋めにあるのであり、財政再建に役立つものとはなりえないのであります。
以上消費税増税に反対、議発第10号議案賛成の立場を述べましたが、21日付け地元新聞の県民世論調査の結果も消費税増税賛成が36.5%、反対が50.4%と多数派となっています。県民や県内企業の、特に厳しいくらしや経営の実態を反映していると言えるのではないでしょうか。いま大増税計画が押しつけられれば、県民の暮らしと景気はますます悪化し、県経済は大打撃を受けることは必至であります。
法人税減税と消費税増税の大合唱、大連立の動きが強まる中、県民の意志を尊重し、高知県議会の良識が発揮されることを強く願って討論と致します。 

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