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消えた「生活が第一」菅所信表明 

「生活が第一」、一般会計と特別会計を組み替えれば20兆円出てくる・・・から9ヶ月、財政再建を強調した所信表明だが「生活が第一」の言葉が消え、後期高齢者医療の廃止、派遣労働の規制強化にも言及がなかった。
この間の失政の「反省が語られなかった」と書いた社説は、立場は違うが産経のみ。
【主張 首相所信表明 国の在り方をなぜ語らぬ 産経6/12】
【7.11参院選へ―否定のパワーを前向きに 朝日・社説6/12】
【所信表明演説 超党派で財政再建に取り組め 読売社説6/12】
【社説:所信表明演説 指針裏付ける戦略示せ 毎日6/12】

【産経】は
・「政治とカネ」の問題についても、鳩山氏や小沢一郎民主党前幹事長の辞任で「けじめがつけられた」としただけだ。2人が関係する疑惑解明に民主党が動こうとしなかったことに国民が絶望したことを、もう忘れたようだ。
・普天間問題でも・・・首相交代による支持率急上昇に紛れて、前政権の失策に知らん顔では、首相がいう「最大の責務は国民の信頼回復」がどうして実現できようか。

【朝日】は
・有権者には聞きたいことがいっぱいある。国会での論戦を最小限に切りあげて、支持率が下がらないうちに、さっさと参院選をやってしまおうという姿勢はあまりに後ろ向きだ。

【読売】は
・現実的な政治を目指す姿勢は評価できる。ただ、具体的な政策は乏しく、物足りなさは否めない。

【毎日】は
・難題を解決できると国民が信用するに足る戦略が演説で示されたとは言い難い。付け焼き刃でない議論が必要である。

と・・・ しかし、徹底した議論が必要だということでは概ね一致している。

 この点で、地元紙の11月夕刊の解説記事で「前政権の反省伝わらず。参院選の政策アピール」と報じている。

 記事は、「前政権の失態への深い反省は伝わらなかった」、普天間や政治と金に触れず「さながら参院選をにらんだ政策アピールの舞台」。「前政権の歩みを真剣に検証することなく、首相交代ムードに紛れてなし崩し的に過去の失態を消し去ろうとするならば、昨年の歴史的な政権交代の意義は薄れかねない」 と結ぶ。

【主張 首相所信表明 国の在り方をなぜ語らぬ 産経6/12】

 菅直人首相による初の所信表明演説は、「いのちを守りたい」などを訴えた鳩山由紀夫前首相の演説に比べれば、現実路線にシフトしたといえる。一方で、憲法や教育問題など国の在り方に直結する課題に踏み込まなかったのは残念だ。
 鳩山前政権の失政と迷走は、日本をどうするかという国の基軸を構築する構想力と統治力が欠けていたことが大きかった。このことを教訓としてくみ取っているのだろうか。前内閣の副総理として「責任を痛感」と語ったが、問題の本質を分かっているとはいえない。
 「政治とカネ」の問題についても、鳩山氏や小沢一郎民主党前幹事長の辞任で「けじめがつけられた」としただけだ。2人が関係する疑惑解明に民主党が動こうとしなかったことに国民が絶望したことを、もう忘れたようだ。
 「現実主義を基調とした外交を推進」に異論はないが、中国の軍事力増大をどう直視するかがポイントだろう。「中国とは戦略的互恵関係を深める」というだけでは、安全保障への認識は不十分と言わざるを得ない。
 普天間問題でも、「先月末の日米合意を踏まえる」と語ったが、力点はむしろ沖縄の負担軽減に置かれ、この問題をどう決着させていくのか具体的な言及はなかった。首相交代による支持率急上昇に紛れて、前政権の失策に知らん顔では、首相がいう「最大の責務は国民の信頼回復」がどうして実現できようか。
 経済・財政・社会保障を一体的に立て直す「第三の道」についても、どう実現させていくのか手順を示さなかった。そもそも問題点が多い。社会保障では少子高齢化に伴う負担だけをみるのではなく、雇用創出などによる成長を強調してみせた。だが、非効率な現行制度を改革しなければ、単に財政負担が膨らむだけだろう。
 成長戦略も昨年まとめた骨格をなぞっただけだ。規制緩和など企業向け支援策もみられない。年平均で名目3%の経済成長を目指すとしたが、まずはデフレ脱却を最優先させるべきではないか。
 財政健全化をめぐっても消費税への言及を避けたが、責任ある対応とはいえまい。与野党協議を提案したことは評価するが、与党案を示すことが先決だ。
 閉塞(へいそく)状況の打破と元気な日本の復活という新内閣の任務を具体的な成果としてみせてほしい。


【7.11参院選へ―否定のパワーを前向きに 朝日・社説6/12】

 参院選が24日公示、7月11日投開票で行われることが確実になった。政権交代後、初めての国政選挙である。
 総選挙と異なり、有権者にとっては「政権選択」の直接の機会ではない。とはいえ、今回の選挙が持つ意味は極めて複合的であり、とても重い。
 さしあたり第一に、民主党政権9カ月の中間評価をする機会である。
 第二に、発足したばかりの菅直人政権を信任するかどうかの判断を示す機会である。
 第三に「政権交代」そのものについて、果たしてよかったのか悪かったのか現時点での審判を下す機会である。

■参加をあきらめない
 この間の激しい政治的変動をもたらしたのは、有権者が行使した巨大な「否定」のパワーだったといえる。
 昨年、永久与党とも言われた自民党を政権から放逐したのは、「古い政治」の継続を拒む一票の集積だった。
 先日の鳩山由紀夫前首相、小沢一郎前幹事長のダブル辞任を促したのも、民主党にも受け継がれ残存していた「古さ」の一掃を望む民意の高まりにほかならない。
 ただ、否定のパワーは破壊をもたらすが、必ずしも新たな建設につながるとは限らない。いま菅政権に吹く世論の追い風も、いつやむとも限らない。
 菅氏はきのうの初の所信表明演説で、1976年に発表した自身の論文にいみじくも言及した。題して「否定論理からは何も生まれない」。
 おりしもロッキード事件を受けた政界の混乱が国民の政治不信を募らせ、政党や政治家は「唾棄(だき)」すべきもの、「軽蔑(けいべつ)」すべきものという市民感情が広がっていた。
 そんな状況の下で若き菅氏は総選挙への初出馬を決意し、先の論文の中で「あきらめないで参加民主主義をめざす」と訴えたのだった。
 当時と現在はむろん同じではない。しかし、否定した後のその先こそが大切であるという一点で共通している。
 菅氏はきのうの演説で「歴史的な政権交代の原点に立ち返って、挫折を乗り越え、国民の信頼を回復する」と誓った。同じことは野党に転落した自民党にも、他の各党にも言えるだろう。
 破壊から建設へ。有権者のパワーが前向きに発揮される参院選にしたい。

■連立や国会の姿問う
 菅政権にはまだ何も実績はない。
 高い支持率は、内閣や党役員人事で鮮明にした「脱小沢」への好感であり、期待値にすぎない。
 本当に「機能する政府」を回復できるのか、菅首相が掲げる「強い経済、強い財政、強い社会保障」を具体的にどう実現するのか、普天間問題で傷ついた日米関係の立て直しと沖縄の負担軽減をどう両立させるのか。有権者には聞きたいことがいっぱいある。
 国会での論戦を最小限に切りあげて、支持率が下がらないうちに、さっさと参院選をやってしまおうという姿勢はあまりに後ろ向きだ。
 菅首相には投票までの短い期間に、有権者の判断材料として自らの理念政策をより具体的に示す責任がある。
 自民党も党再生に向けた明確なビジョンを示さなければならない。
 2大政党が軸とはいえ、中小規模の各政党も参院選で存在感を競い合う。とりわけ今回は連立政権のあり方はどうあるべきかが問われることになる。
 民主党は郵政改革法案をめぐる紛糾を経て、国民新党との連立維持に合意した。普天間問題では社民党と袂(たもと)を分かった。選挙結果次第では「第3極」を標榜(ひょうぼう)する新党との連立が浮上するかも知れない。参院での議席不足は自民党政権も苦しんだ重い足かせである。
 連立を組む大義や条件は何か。そもそも衆参の「ねじれ」を解消しなければ政権は立ちゆかないのか。日本の政党政治がまだまだ不慣れな領域だ。
 それは、「強すぎる参院」をどうするか、二院制は現状のままでいいのかという問いにも直結する難題である。

■「脱お任せ」定着へ
 今回の参院選では、政権公約(マニフェスト)選挙の進化も試される。
 過去数回の国政選挙で、各党が政策の数値目標や財源を明示して支持を競うマニフェスト選挙はほぼ定着した。
 今回の大きな特徴は、野党が政権を奪取し、その公約の履行状況を問われる初めての機会だという点である。
 民主党の「ばらまき」型マニフェストが財源不足で破綻(はたん)したことから、「マニフェストは詐欺のにおいがする。我々はこの言葉は使わない」(渡辺喜美・みんなの党代表)といった否定的な見方も出ている。
 しかし、民主党の公約に問題はあっても、有権者の判断の物差しとしてマニフェストの持つ意義は変わらない。
 財源が細り、「あれかこれか」の選択が不可欠な時代である。有権者に特定の政党への「丸投げ」や「お任せ」を望むなら大きな間違いだ。
 マニフェストは本来、衆院議員の任期4年間に実現する国民への約束だが、現実に合わせた修正や優先順位の変更はありうる。中間評価の選挙としての参院選はそれを有権者に説明し、判断を仰ぐ絶好の機会である。
 民主党は修正すべき点は大胆に修正する。民主党のマニフェストを厳しく批判してきた自民党には、政権を担った経験を踏まえ、手本となるような「野党のマニフェスト」を掲げて、骨太の政策論争を挑んでほしい。


【所信表明演説 超党派で財政再建に取り組め 読売社説6/12】

 理念ばかりが先行し、空回りし続けた鳩山前首相と違って、地に足のついた現実的な政治を目指す姿勢は評価できる。ただ、具体的な政策は乏しく、物足りなさは否めない。
 菅首相が初の所信表明演説を行った。前首相の挫折を乗り越え、国民の信頼を回復することを自らの最大の責務と位置づけた。
 新内閣の政策課題として「戦後行政の大掃除の本格実施」「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」「責任感に立脚した外交・安全保障政策」の3項目を挙げた。
 「戦後行政の大掃除」は前首相が掲げたスローガンだ。道半ばにある事業仕分けや無駄遣いの根絶、地方分権などを継承する考えを示したものだが、具体的に何にどう取り組むかは明確ではない。
 「経済・財政・社会保障の一体的建て直し」は、菅首相が最近、一貫して主張している。日本経済を安定した回復軌道に乗せるとともに、財政再建に道筋をつけることの重要性は言うまでもない。
 菅首相は、公共事業中心の「第一の道」や、小泉構造改革に代表される「第二の道」に代えて、増税で得た財政資金を社会保障分野などに投入して新たな需要と雇用を創出し、成長につなげる「第三の道」を追求する、という。
 だが、それだけで、名目成長率3%超という「強い経済」が実現するほど甘くはあるまい。
 急造の演説とはいえ、成長分野ごとに優先順位を定め、予算や施策に反映させる方向性を示さなければ、説得力を持たない。
 一方で、首相が、税制の抜本改革を視野に入れ、超党派の「財政健全化検討会議」の創設を提案したのは、妥当である。
 財政の赤字体質からの脱却や社会保障の財源確保には、消費税率の引き上げが欠かせない。こうした重要な政策課題については、与野党が共通の認識・合意を形成することが望ましい。自民党など野党も積極的に応じるべきだ。
 外交・安保分野で、菅首相は、「現実主義」の外交を唱え、日米同盟が「外交の基軸」と明言した。23日に沖縄を訪問し、米軍普天間飛行場の移設問題の前進に自ら取り組む考えも示した。
 「対等な日米関係」を標榜し、無用の摩擦や混乱を招いた前首相を反面教師にしたのだろう。ただ、同盟深化や中韓両国との関係改善のために何をするのか、といった各論への言及はなかった。
 今月下旬にはカナダで主要国首脳会議が開かれる。各論の詰めを急がなければならない。

【社説:所信表明演説 指針裏付ける戦略示せ 毎日6/12】

 菅直人首相による初の所信表明演説が行われた。首相は悪化する財政への危機感を強調、税制抜本改革に向け、超党派議員による検討会議の創設を提案した。
 財政再建と同時に経済成長、社会保障の充実を進める意向も首相は示した。危機を直視し取り組む意欲は評価するが、難題を解決できると国民が信用するに足る戦略が演説で示されたとは言い難い。付け焼き刃でない議論が必要である。
 鳩山内閣を継承しつつ、どう独自色を打ち出すかが問われた。市民運動からスタートした自身の経歴をアピールしたのが印象に残ったが、総じてあっさりした内容だった。
 目立ったのは、財政への言及だ。首相はギリシャなどユーロ圏の混乱にふれ国債市場が信認を失うケースまで引き合いに出し、税制抜本改革の着手は不可避と明言した。消費税には直接ふれなかったが、税率アップを念頭に超党派議員による「財政健全化検討会議」を提言した。参院選後をにらんだ動きとして、注目に値しよう。
 同時に「経済(成長)、財政、社会保障を対立するものととらえる考え方は転換する必要がある」と三位一体の立て直しを強調した。だが、それを裏付ける戦略はこころもとない。20年度まで年平均名目3%、実質2%の成長を掲げたが、方策は抽象的な項目を寄せ集めた印象だ。
 地域主権改革、子育て支援、公教育の充実に関する薄味さが特に気になる。「強い社会保障」を目指すならば実施の主力となる自治体への分権は不可欠だ。潜在成長力も女性の社会進出、教育水準の維持が前提のはずだ。首相が言うところの公共事業中心、市場原理主義にかわる「第三の道」の中身があいまいでは、負担増へ国民の理解は得られまい。
 日米関係が揺らぐ外交は「『現実主義』を基調とした外交」を掲げた。普天間飛行場移設問題については辺野古沖に移設する先月末の日米合意を踏襲し、沖縄の基地負担軽減に努める基本を示すにとどめた。
 「現実主義」を強調したのは、鳩山内閣が沖縄基地問題で迷走した意識からだろう。では、前政権の「緊密かつ対等な日米同盟」の看板は外したのか。日米同盟を「国際的な共有財産」と強調するだけでは、いかにも説明不足だ。
 政治とカネの問題、政治主導の進め方などで各論にほとんどふれずじまいな点も大いに疑問である。消費税率引き上げにしても、財政再建で他党の協力を呼びかけるならば参院選の民主党公約でより具体像を示す責任があることは言うまでもない。国民が期待するのは、あくまで改革者としての首相である。

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