賃金の低下、格差拡大で消費低迷 経産省・調査
空前のカネ余りを、暮らしに還元するのがまっとうな道。「構造改革」による賃金低下、中間層の減少・低所得者層の拡大が消費の低迷、つまり内需低迷の原因となっていることを政府の調査も認めた。
【産業活動分析 賃金水準の下落と消費者物価】 経済産業省6/9
以下、主要点・・・
・民間給与所得者の平均給与は、9年をピークに低下し続けている。20 年までの11 年間で▲8.1%、総額で14 兆円も減少。
・賃金水準の低下は、可処分所得の低下を通じて、長引く消費低迷の要因となっている。
・賃金水準の低下は「低所得階層の増加と中間所得階層の縮小、若年層及び高齢者層の低所得化などという形で、特定の階層の所得が顕著に低下していることが特徴」
・ 年収400 万円前後の階層を境にそれ以下の年収階層が急増する一方、年収400 万円を超える階層は急減。
さらに、年収1,500 万円を超える階層は16 年以降増加に転じている。
・年収200 万円以下の階層の増加が著しく、この階層は9年以降の10 年間で1.3 倍に増加。また、年収が600 万円~1,500 万円のいわゆる中間層の減少が著しい。この10 年間で2 割近く減少。
・24 歳未満の若年層/この10 年間に所得分布が大きく下方にシフト。12 年には250~300 万円及び400~450 万円にあった年収分布のピークは、21 年にはそれぞれ50~100 万円下方にシフトし、200~250 万円及び300~350 万円に下落。
・25~29 歳及び30 歳代の階層においても若年層と同様に年収分布の大きな下方シフト/ 40 歳代のうちいわゆる中間層に相当する年収600 万円から1,500 万円の階層をみると、この10 年間で構成割合が顕著に低下。
・近年、我が国では、消費の中核をなすいわゆる中間所得層が減少する一方、低所得者層と高所得者層が増加するという2極化が進展している。
◇ 所得水準の変化と消費支出の変化
・食料品や衣料品など低価格化や高額品の販売不振が進行している分野では、これら顕著に所得が低下している所得層や年齢層が消費の中心となっている。
◇消費水準の変化と消費者物価
・減少幅が大きいのはこづかい・仕送り金で12 年比で30%以上減少。次いで被服・履物への支出が同▲25.5%、家賃・地代が同▲15.6%の減少。外食(同▲6.8%)をはじめ食料(同▲7.2%)も減少・
高齢者の支出割合が多かった家具・家事用品への支出も減少。
・他方、支出が増加している品目は、高齢化の進展を背景とした医薬品、保健医療サービスなどの保健医療のほかは、ガソリン価格の高騰を背景とした自動車関係費、携帯電話の普及を背景とした通信費などごく一部の品目に限られている。
・理論的には、価格が低下すれば、需要は増加するはずであるが、家計調査で単価と購入数量が把握できる品目に限ってみても、12 年から21 年の間に家計が支出を減らした品目のほとんどについて購入数量と単価がともに下落している。
近年の消費財価格の低下は、所得減少を背景に家計が購入数量を減少させた結果であることが強く示唆される。
――― この10年間、日本は先進国の中でも例外的な「成長の止まった国」、「国民が貧しくなった国」という異常な事態に落ち込んでいる。
「強い企業をもっと強くすれば、経済はよくなる」という構造改革路線は、大企業は巨額の利益をあげたが、それは少しも国民の暮らしにまわらず、過剰な内部留保として蓄積され、金融投機の源資となり悪さをするだけで、おまけに、この間、国の借金も急増した。
国民が貧しくなっている国で、経済が成長するはずがない。経済システムの転換が必要である。
大企業・大資産家減税と庶民負担増という「構造改革」の失敗はあきらか。
新政権が、大企業減税と、消費税を含む税制の抜本改革を言っているが、それは失敗ずみの「いつかきた道」である。
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