予算委開かず 継続する小沢流「選挙が第一」
予算委員会を開催せず、ボロがでないうちに選挙に突入・・・ 各紙の社説が一様に批判している。
整合性のない政策も、強行な国会運営も「選挙が第一」としてきた小沢流とまったくかわってない。
【主張 菅首相代表質問 予算委見送りを撤回せよ 産経6/15】
【衆院代表質問―これでは判断ができない 朝日6/15】
【代表質問 会期延長し財政論議を深めよ 読売社説6/15】【社説:代表質問 争点深め選挙につなげ 毎日6/15】
【代表質問 慎重答弁では物足りぬ 中日6/15】
さらに、答弁は、政治家・菅直人がこれまで主張してきたことをあっさり否定した。
普天間の海兵隊は「抑止力として必要」、予算委の不開催・小沢証人喚問では「国会のことは国会で決めていただく」
これまでどう言ってきたか。
「海兵隊がいなくなると抑止力が落ちるという人がいますが、海兵隊は守る部隊ではありません。地球の裏側まで飛んでいって攻める部隊なのです。/沖縄に海兵隊がいるかいないかは、日本にとっての抑止力とあまり関係ないことなりです。/(米軍再編では)沖縄の海兵隊は思い切って全部移ってくださいというべきでした」
(菅直人 06年6月1日講演)
「たとえば、与党の代議士に金銭的な疑惑が持ち上がるとする。野党は証人喚問を要求し、国会は委員会審議がストップする。そんなときにコメントを求められた総理大臣はおそらくこう言う。『国会のことは国会に聞いてくれ。私は政府の人間として、国会にあれこれと言う立場にない』。官僚の一員である事務の内閣官房副長官がこのように言うのであれば、それは正しい。しかし、総理大臣は国会議員でもあり、同時に与党の党首である。自分の党の議員が疑惑を持たれているのであれば、党首として何らかの措置をとるべきだろう。」(菅直人「大臣・増補版」)
「ゆきすぎた市場主義」と「構造改革」路線を「否定」はするが、「空前の金あまり」の大企業への更なる減税は否定しなかった。 抜け穴だらけの派遣法の改定案は「かえるつもりがない」。後期高齢者医療制度の廃止では「マニフェストに4年後と書いてある」とウソを言ってごまかした。
「構造改革」路線の中心思想… 大企業を支援すれば、やがて全体がよくなる、と供給サイドの経済政策の破綻は、日本の現実がしめしているのに。
薬害問題の「実績」を強調するが、B型肝炎訴訟問題では、前政権とおなじく、和解協議に応じるといいながら、、謝罪の言葉もなく、解決へのイニシアチブもしめさなかった。(薬害エイズ問題では、国民的な運動のもりあがりが、そうさせたということだったのだろう)
これだから、「予算委員会をやりたくない」ということなのだろう。
【主張 菅首相代表質問 予算委見送りを撤回せよ 産経6/15】 首相は就任後初めての国会論戦をわずか2日間で終わらせるつもりのようだ。 民主党は首相の所信表明演説に対する各党代表質問を14日の衆院に続いて15日に参院で行い、今国会での論戦を終わらせるという。衆参両院で予算委員会も開かないとはどういうことか。 立ち上がりから論戦を封じるような姿勢は、これまでの独善的な党運営が何ら変わっていないことを示していよう。首相は予算委開催の日程を再協議するよう党幹部に指示すべきだ。 不可解なのは民主党の方針転換の理由だ。民主党は先週末、党首討論を16日に行うか、会期を1日延長して16、17の両日に衆参で1日ずつ予算委を開催するかの両案を野党側に示していた。だが、14日になって樽床(たるとこ)伸二国対委員長が両案を撤回したのだ。自民党は「政権のボロが出ないうちに選挙をやってしまおうという党利党略」などと強く反発している。 代表質問では経済・財政・社会保障を立て直すために首相が掲げる「第三の道」の論議が深まらなかった。一問一答形式の予算委での質疑が欠かせない。首相は消費税の参院選公約での位置付けでも明言を避けた。与野党が参加する「財政健全化検討会議」の設置を提唱しながら、論戦を深めようとしない姿勢は分かりにくい。 国民は首相が掲げる「強い経済」などの政策について、より詳細な内容を知りたがっている。消費税率引き上げをどう位置付けるかも重要な争点だ。新内閣の内政・外交政策への取り組みをただすうえで、代表質問だけで不十分なのは当たり前だ。 与党は、小沢一郎前民主党幹事長らの証人喚問の実現にはまったく動こうとしなかった。「政治とカネ」をめぐる説明責任を何ら果たそうとしないことも国民を愚弄(ぐろう)している。 野党側は政治団体の事務所費問題が浮上した荒井聡国家戦略担当相への追及姿勢を強めている。首相は党の調査で決着済みとの見解を繰り返し、荒井戦略相の罷免要求を「全く同意できない」と拒否した。だが荒井氏自身が答弁で「現在、弁護士事務所などでチェックをしている」と詳細はなお調査中であることを認めている。 新たな政治とカネの疑惑を突かれるのを避けたいための予算委回避なら、クリーン政党を自ら否定するだけである。
【衆院代表質問―これでは判断ができない 朝日6/15】
首相の交代は単なる看板の掛け替えか、それとも政治の中身も変わるのか。鳩山政権のどこを引き継ぎ、何と決別するのか。菅政権が発足して初の国会論戦の焦点は、その点にあった。
だが、きのうの衆院代表質問での菅直人首相の答弁は納得のいくものではなかった。このまま通常国会を閉じてしまうのでは、判断材料もないのに参院選で審判を下せと有権者に迫っているに等しい。再考を求めたい。
菅首相は財政再建に取り組む姿勢を鮮明にしている。子ども手当の満額支給はあきらめ、財源は保育所の充実などにあてる。超党派の「財政健全化検討会議」の設置を呼びかける。
そうした姿勢は、鳩山政権に比べれば大きな前進であり、看板だけでなく政治の中身も変わりそうだという期待を有権者に抱かせている。
しかし、代表質問で菅首相は、3年間の歳出の枠組みを示す「中期財政フレーム」や中長期的な「財政運営戦略」も、経済の「新成長戦略」も今月中に示すと述べるにとどめた。
消費税増税についても「数日のうちにはマニフェストという形で提起できる」と答えるのみ。材料がなければ、議論の深めようがない。
そもそも国会の会期延長をめぐる民主党の対応は、鳩山前政権までの悪弊を脱していない。
首相交代時の慣例となっている予算委員会審議を十分確保するためにも、一定期間延長するのが筋だった。
民主党は参院選の投開票日が変わらないよう1日だけ延長し、衆参で1日ずつ予算委員会を開く選択肢を野党に提示していた。不十分な延長だが、その提案さえきのう撤回してしまった。
一問一答形式で論戦を交わす機会を一度も設けないのでは、ボロが出ないうちに参院選を迎えることを狙った党利党略と言われても仕方がない。
今国会では採決の強行が繰り返された。そんな乱暴な政治手法を菅政権はいの一番に改めなければならない。
与野党間で丁寧に議論を積み重ね、可能な限り合意を探る。財政健全化検討会議を始動させることができれば、その一歩となるはずである。
自民党の谷垣禎一総裁が、民主党のマニフェスト撤回が前提としつつも「超党派の議論が必要だ」と指摘し、菅首相が「ややこしい条件を抜きにして一緒に議論しよう」と応じたのは、その芽吹きとみることもできる。
なのに、その芽をみずから摘むようなことをしてはならない。
首相交代は看板の掛け替えに過ぎないという野党の難詰に、首相はきのう「これから実際に何が実行されるかをよく見ていただきたい」と応じた。
だとするなら今からでも遅くはない。わずかでも会期を延長し、予算委員会での論戦に臨んでもらいたい。
【代表質問 会期延長し財政論議を深めよ 読売社説6/15】
社会保障や財政に対する将来不安を払拭することは喫緊の課題だ。
菅首相も谷垣自民党総裁も、その認識を共有するなら、お互いに接点を見いだす努力をすべきだ。
菅首相の所信表明演説に対する各党代表質問が行われた。
谷垣総裁は、首相が提案した超党派の財政健全化検討会議への参加の条件として、「バラマキばかりの民主党マニフェスト(政権公約)」の撤回を求めた。首相は応じない考えを示した。
超党派の会議は、谷垣総裁が2月の代表質問で提案した。自民党は既に、10年後に基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げた法案を国会に提出している。
首相が超党派会議の設置を呼び掛けたのは、参院選に向けて財政再建に前向きな姿勢をアピールして、争点化を避けると同時に、自民党に増税の連帯責任を負わせる思惑があるのだろう。
自民党はこれを嫌い、民主党がのめない条件を提示した形だ。
超党派会議が早期に実現する見通しはないが、菅首相と谷垣総裁の質疑では、具体的な財政再建のあり方で共通する部分があることもはっきりした。
首相は、自民党の10年後の黒字化目標を前向きに評価した上で、月内に政府が発表する予定の財政運営戦略で「この程度の目標は掲げたい」と述べた。
質問と答弁が一方通行の代表質問では、双方の主張の共通点や差異が明確にならない。一問一答形式で双方向の議論ができる予算委員会の審議で、さらに論点を掘り下げる必要がある。
ところが、民主党は国会会期を延長せず、16日の会期末で閉じる方針という。先週は予算委員会を衆参1日ずつ開催するとして、1日延長する案を主張していたが、野党が衆参3日ずつの開催を要求すると、これを引っ込めた。
到底容認できない。超党派会議の創設を呼び掛けながら、そのための政策論争の機会を設けないのでは、首相の財政再建への意欲は単なるポーズと疑われよう。
鳩山前首相と小沢民主党前幹事長の「政治とカネ」の問題でも、説明責任は尽くされていない。
菅首相は、2人が首相と幹事長を辞任したことで「政治的に大きなけじめをつけた」とし、関係者の国会招致に消極的な姿勢を示した。これでは「クリーンな政治」はただの掛け声という印象を強めるだけだろう。
民主党は会期延長に応じ、十分な審議時間を確保すべきだ。
【社説:代表質問 争点深め選挙につなげ 毎日6/15】 菅直人首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が行われた。 論点を三つ挙げれば、経済、安保、政治とカネとなろう。 経済では、首相の唱える「財政、社会保障、経済」の三位一体的強化路線に対して、その実現性、中身に質問が集中した。首相は財政について、「基礎的財政収支の10年以内の黒字化」「11年度予算の国債発行額の前年度(44兆円)以内への抑制」などの案を例示したうえで、それ以上の措置を取る考えを強調した。社会保障については「経済成長に対する負担ではなく成長のタネがたくさんある。ウインウインの関係で進めたい」と述べ、財政、成長両政策の全体像と工程表については十分な具体策を盛り込んで今月中に発表する考えを明らかにした。 消費税については所得、法人税など税制抜本改革の中で検討する考えを示し、所信表明で明らかにした超党派の「財政健全化検討会議」への参加を改めて各党に求めた。 外交・安保について首相は、現時点の東アジア情勢の不安定性からすれば海兵隊を含む在日米軍基地は抑止力として重要、との認識を繰り返し述べ、普天間問題については、移設先を辺野古付近とした先の日米合意を踏まえて、沖縄の負担軽減に尽力したい、と語るにとどまった。政治とカネは、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎前幹事長もすでに辞任という政治的責任を取っており、特に小沢氏の場合は検察審査会で審査中であることを理由に両氏に対し首相としてそれ以上の対応を求める意思のないことを明らかにした。 まずは、全般的に政策本位の代表質問になったことを歓迎したい。この数カ月の国会論戦の多くの時間が鳩山、小沢両氏のカネ問題追及に費やされたことを考えると、政治が今最も取り組まなければならない問題を議論する、という本来の姿に戻った、といえる。首相の現実主義的な答弁には安定感があった。谷垣禎一自民党総裁が「検討会議」の呼びかけに対して、条件付きながら参加に含みを持たせる質問をしたことも多としたい。野党各党は参院選を意識してか、質問の中で自党の政策をアピールしたが、首相が約束した政策の全体像、工程表が出された段階でさらに共通部分と違いを詰め、参院選の争点として深めてもらいたい。 いただけないこともあった。荒井聡国家戦略担当相が初答弁で国家戦略ならぬ自己の事務所費問題の釈明に追われていたこと。もう一つは、この国会のあわただしい閉じ方である。菅新政権の能力判定には、とてもこの代表質問だけでは足りない。会期ぎりぎりまで予算委や党首討論の実現を模索してほしい。
【代表質問 慎重答弁では物足りぬ 中日6/15】 菅直人首相の所信表明演説に対する各党代表質問が衆院で行われた。首相交代後初で本格的論戦が期待されたが、参院選を意識してか、首相は慎重答弁に終始し、議論が深まったとは言い難い。 先週発足した菅内閣をめぐる論点は、新体制となった民主党政権が何を目指すのか、鳩山前政権時代をどう総括するのか、だろう。 しかし、首相は演説台の答弁書を読み上げる場面が、特に政策に関しては多かった。新米首相とはいえ、物足りなさは否めない。 自民党の谷垣禎一総裁は、予算を環境や介護、医療などの「成長分野」に重点投入し、経済成長を図る、いわゆる「第三の道」について「首相の成長理論は財政支出と結び付けば、野放図な歳出膨張に陥る」とただした。 首相は「強い経済、強い財政、強い社会保障実現のため不退転の決意で臨みたい」などと強調したが、なぜ第三の道が経済成長に有効なのかという、説得力のある説明は最後まで聞かれなかった。 「政治とカネ」の問題でも、鳩山由紀夫前首相、小沢一郎前幹事長の辞任を「政治的には大きなけじめ」として、両氏にさらなる説明を求める姿勢は示さなかった。 かつては、その鋭い追及姿勢から「攻めの菅」と呼ばれたが、今や自民党から「逃げの菅さんのイメージに変わった」(小泉進次郎衆院議員)と言われる始末だ。 首相答弁に物足りなさが残ったのは、菅内閣の支持率が前内閣とは一変し、64%を超える高水準に達したことと無縁ではなかろう。 失言が誘発されるような本格的な論戦を避け、高い支持率のまま参院選に突入したいのが本音ではないかと勘繰ってしまう。 首相は、自民党からの質問通告が遅れたことを、答弁準備不足の言い訳にしていたが、その責めは民主党側も負わねばなるまい。 そもそも代表質問の日程設定が遅れたのは、郵政改革法案の取り扱いをめぐり、民主党と国民新党との調整が難航したからだ。 与党側は、国会を延長し、衆参両院で予算委員会を開く自らの提案も引っ込めた。論戦の舞台を減らし、追及の機会を与えないというのなら看過できない。 せめて、きょう参院で行われる代表質問で議論を深め、今後、行われる党首討論会などでは政策を堂々と競い合ってほしい。 高支持率にあぐらをかき、論戦を避けるような態度は、それこそ「民主党らしい」とは言えない。
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