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ひろがる「学びの共同体」 きっかけは県議会質問

 4日付けの地元紙が、高知市の中学校で、佐藤学先生が提唱する「学びの共同体」にもとづく授業づくり—机をコの字形に並べて、生徒同士が議論する授業が広がってきていることをレポートしている。
【広がる「コの字形」机配置 高知市の中学校 5/4 高知新聞夕刊】
 この取組みのきっかけは、04年2月県議会での吉良質問である。たんに効率よく解答を導き出すトレーニングではない、教育の条理にもとづく取組みを提案した。
 以下は、質問の抜粋

 教育といえば、「ネクタイなどきちんとした教師の服装」や「日の丸君が代の押し付け」など「管理・統制」の観点からしか論じない県議が少なくない中、あらためて教育の本質を語れる議員の必要性を感じる。

【05年9月予算委員会】 ◆吉良委員 昨年2月の予算委員会で、私は学力を主な課題とした第2期の土佐の教育改革にとって参考にすべき点が多々あると、佐藤学氏の理念に基づく茅ヶ崎市の浜之郷小学校などの実践を紹介しました。同僚性と自律性という能力を重視して教職員の中に育てながら、今、日本の子供たちが陥っている学びからの逃走の克服を目指す学び合う学びの場を求める授業実践、学校づくりに、教育長も土佐の教育改革を進める上で参考になる部分がいろいろあると感じましたと述べられたのです。  今に至ってどのような所見をお持ちなのでしょうか。すぐれた可能性を持つ学校づくり、授業づくりの一つとして本県でも大いに紹介し、研究や実践を励ましていただきたいと思い、お聞きいたします。

◎大崎教育長 佐藤学先生の理論を実践に移した岳陽中学校の佐藤雅彰先生という方がおられます。この方を高知県にも招聘いたしまして、私たちも勉強会を持ちました。また、本年度からは学力向上フロンティア事業の指定校である高知市立横浜中学校で、昨年から岳陽中学校を参考にした取り組みを始めております。特に、今年度2名の教員が岳陽中に出向いて校内研修会に参加し、実践を学んできております。その視察で得た授業改善のポイントを生かして、具体的に授業に実物を持ち込むことなどによって生徒の意欲を引きつける工夫もされているというふうにも聞いております。また、教え込むことが中心の教師主導型の授業から脱却するために、生徒同士の学び合いの場である小グループの活動の取り入れということも考えていると聞いております。
 県教委としましても、全国でもさまざまな成果を上げている佐藤学氏の理論から学びながら、これを十分に消化して高知県の実態に合った学校改善の手法を探り、高知県の子供たちの学力向上と幸せのための学校改善の取り組みを支援していきたいと考えております。

【04年2月予算委員会】 ◆吉良委員   さて、第2期の土佐の教育改革において最も求められる、校長も含めての教職員の能力というのは、やはり私は授業をつくる力ではないかということを先ほど述べました。そこで今回は、1998年、平成10年ですから今から6年前になるんですけれども、その4月に開校した神奈川県の茅ヶ崎市立浜之郷小学校の学校づくりをぜひ御紹介してみたいと思っております。末期がんと宣告された後も教壇にずっと立ち通して命の授業を行っていた校長の大瀬敏昭さんが、この1月にお亡くなりになりました。マスコミなどでも大きく取り上げられて、NHKのテレビ番組でも都合3回ぐらい再放送されたと思うんですが、それだけ大きな反響があったものなんですけれども、御存じだと思います。  開校直後、この学校には、不登校児が10名近く、そして20を超える各教室には何人もの机に着けない子供や情緒不安定な子供が存在していたそうです。けれども、その開校5カ月後の2学期の始業式には、不登校児は一人残らず通学するようになり、授業に集中できない子供の数も全校で数人にまで激減したと言われています。開校2年目からは、どの教室でも一人残らず真摯に学びに参加する状況が生まれて、以後、どの教室にも学びに参加できない子供はいないと書かれています。  これが、東大の佐藤学さんとその大瀬さんがお書きになった本なんですけれども、学校づくりとは何かという問いに、徹底した授業づくりを中心とした学校づくりを行おうというわけですから、私たちの思いと同じなんですね。そのためには、教職員と子供たちがともに学び合う学びの場をつくることであると、子供と教師と親が育ち合う学びの共同体づくりに取り組んできたと書いてあります。ですから、校内研修を学校経営の中核として、それを成り立たすために徹底した個の自律と当事者意識を重視しているんです。研究テーマなども持たずに、研究方法も個々の設定として、一人一人の創造力や判断力を育てることに重点が置かれている。そして、それら強い個としての教師が同僚性を発揮して、授業を公開し、批評し合い、創造していく。  今はお亡くなりになった校長先生、大瀬さんは、こういうふうに述べているんです。   本校では、全体の研究テーマはない。教師は、一人ひとりの個性に根ざした教育観のもと、それぞれの教科・領域・方法で授業公開を通した実践的研究を行っている。また、一人ひとりの教師が、学識経験者や指導主事、他校の教師を「私の指導者」として依頼し、校外との交流を図る試みも個人のテーマや必要性に沿って行われている。つまり、従来の「形やシステム先にありき」に個々の教員をあてはめるのではなく、教師が自分で考え主体的に行動を選択していくことが大事であるという考えである。何よりも一人ひとりの教師が「どうなるか」が最大の課題なのであり、そのためには孤立化してはいけないが、孤独には耐えなくてはならないのである。また、全体のテーマがないのであるから、「全体としての成果を求めない」研究でありたい。それに研究の内容・方法についても、客観性、再現性を求めないということを徹底させようとしている。   一人ひとりの教師が顔をもち、個性的な研究から発する教室づくりを進めるとともに、その多様性をそれぞれが尊重するという精神を最も大事にしたいのである。「型やシステム先にありき」では教師の想像力や判断力を必要としない。リーダーたる者、判断力を育てるためには失敗しても怒らない根気が必要であり、チャレンジする自由を奪っていては思考力や創造力も生まれない。それが自律を促すための「自由」であり、その対極には「責任」がある。責任ある判断を尊重することで自律した教師が育つのである。   したがって本校では、指導内容、授業時間の使い方など、最大限教師一人ひとりの裁量に任せている。校長は「子どもと保護者に説明がつくことであったら何をしてもいい」ということを常々話しているところである。  いつ授業参観に行っても自由なんです。毎年3,000人、4,000人の教師がここへ学習しにくるというようなことになっているわけです。今、子供たちが、そして保護者が求めている校長、教員の能力、力量とは何かを改めて認識し直すためにも、ここで個の確立を図るために、同僚性と自律性という教職員の能力を重視して育てながら学び合う学びを求めるこの実践は、第2期の土佐の教育改革にとって随分と参考にすべき点があると思います。  教育長の所見をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

◎大崎教育長 全く偶然でございますが、先日、土佐市の波介小学校へ学校訪問しておりました。すばらしい学校だと思っておりましたら、波介小学校で浜之郷小学校の名前を聞きました。それで、そこのことを知りたいということを申し上げましたら、教育委員会の中枢部にいる職員が委員のそれと同じ本を持っておりまして、議会が始まる直前に私に貸してくれました。残念ながら、今議会は質問が多過ぎて読む時間がございませんで、よう読んでおりませんが、昨日、内容を読んだその中枢部にいる職員にかいつまんだお話を聞きまして、委員の今のお話とほぼ相似たお話を聞きました。
 一つは、県教委の中枢部にもそういう本を読む幹部がいるということで、県教委をもっと信頼していただきたいということをお願いしておきたいなと。今のお話については、私も土佐の教育改革を進める上で参考になる部分がいろいろあるということを感じました。

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