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「海兵隊=抑止力」という幻想

 「抑止力」というあいまいな言葉で基地をおしつけることに、議論の焦点が移りつつある。沖縄タイムスは、国会に特別委員会をつくり、米関係者も招致して徹底論議を、と主張し、琉球新報も「うたがわしい『抑止力』」と小見出しを立てている。
【[鳩山首相来県]県内移設は無理だ 海兵隊の必要性議論せよ 沖縄タイムス5/4】
【首相来県 民意傾聴し「県内」断念を 新基地建設しては禍根残す 琉球新報5/5】
 柳沢協二・元内閣官房副長官補/安全保障・危機管理担当も国会内の講演で抑止力論を否定している。
 【「海兵隊=抑止力」は幻想 アジアでの戦争の「引き金」に 4/23】

 「『抑止力』というのは有事に実際に使うことが基本だ。例えば、台湾海峡の紛争でオバマ米大統領は海兵隊を投入する意思決定をするのか。その時、沖縄の海兵隊が出動するとなれば、安保条約6条に基づく事前協議で鳩山総理は『分かりました。OKです』と言えるのか」と提起。「海兵隊という陸上兵力が台湾に上陸して中国軍と直接たたかうことになれば事態をコントロールできなくなる恐れがあると、まともな政治指導者なら思うはずで、そうならないようにするはずだ」

 朝鮮半島「有事」については、北朝鮮の現状から「1950年の朝鮮戦争のように、北朝鮮軍が南下してきて(米韓合同軍が)釜山まで追い詰められるような戦争はまずあり得ない」

 「海兵隊が使われそうな地域は実はアジアではなく、アフリカ、中央アジア、中東」であり、「沖縄は補給や休養の意味で非常に便利」だと指摘し、海兵隊にとっての利便性はあっても「抑止力」ではない、と・・・

また、普天間基地の閉鎖、代替基地は不要なことを伊波市長が説得的に語っている〔宜野湾市HPより〕。
【4.25県民大会 挨拶 宜野湾市長 伊 波 洋 一 】

 憲法学者の伊藤真さんが新著で、最近盛んにつかわれる「安全・安心」というスローガンについて、「安全」は客観的事実にもとづくもの、「安心」は主観的な心情であり、両者を峻別する必要を説いている。
 凶悪事件は客観的には減ってきているのに、不安をあおって監視社会をつくろうとしていることへの警告なのだが・・・
 
  「抑止力」論についても、この際、徹底議論すべきである。それは安保そのものにもかかわる本質論である。

【[鳩山首相来県]県内移設は無理だ 海兵隊の必要性議論せよ 沖縄タイムス5/4】  普天間問題の「5月末までの決着」を主張し続けてきた鳩山由紀夫首相が4日、首相就任後初めて沖縄を訪れ、仲井真弘多知事に政府方針を説明する。  公表されていない新たな「腹案」が飛び出すのか。それとも、過去に報じられた政府案を詳しく説明するだけなのか。  政府自身が「最終調整の段階」だと語っているだけに、鳩山―仲井真公式会談は、普天間問題の大きな転機を刻むことになるだろう。  鳩山首相の口から政府案を聞くまで断定的なことを言うのは差し控えたいが、状況はかなり悲観的だ。  今のところ、「現行案の修正案」と「徳之島への一部移設案」をセットにした案が有力だといわれている。現行案(辺野古沿岸部)を放棄した鳩山政権が、現行案の修正案にかじを切ることになれば、4月25日の県民大会で示された民意と大きな隔たりが生じることになる。  地元合意が得られないまま移設作業を強行すれば、鳩山政権はまずもたないだろう。  首相はいま、大きな岐路に立っている。私たちが最も恐れるのは、追いつめられた政治状況の中で普天間問題の解決が政局に大きく左右され、ゆがんでしまうことである。  米国が政府案に対して「ノー」を言い続ければ、鳩山首相は窮地に追い込まれ、退陣せざるをえなくなるのだろうか。もし、そうだとすれば、日本の総理の生殺与奪の権を米国が握っていることになる。おかしな話だ。  首相に残された選択肢は限られている。深い意味もなくみずから期限を区切ってしまったために、残る時間も1カ月を切ってしまった。  時間との闘いの中で本質的な議論が一切行われず、あっちがいいかこっちはどうか、といった「子どもの遊び」のような移設先探しばかりが目につく。憂慮すべき事態だ。  「同盟の危機」をあおり立てながら現行案が最善だと主張するのも、一見、現実的なように見えて、実は政権交代以降の現実の大きな変化を見ていない。  鳩山首相を政治的に追いつめるために普天間問題を政争の具にするようなことがあってはならない。  追いつめられた鳩山首相が日米合意を優先し、地元がのめないような県内移設案を強行すれば、この間の騒ぎは一体何だったのかということになる。地元の期待を裏切り、日米関係を混乱させただけの首相として、歴史に汚名を残すほかないだろう。  現行案を放棄した段階で「県内移設はもうない」と考えるのが筋だ。それが政治の常識というものではないか。  旧政権は米軍再編について、米国との密室協議の中でさまざまな合意を交わしてきた。国民のコンセンサスを得る努力を怠り、結果だけを「アメとムチ」政策によって関係自治体に押しつけてきたために、米国が日本側に期待するものと国民の考えの間に大きな認識の隔たりができてしまったのだ。  国民向けには「沖縄の負担軽減」といい、米国に対しては「抑止力の強化」を主張するという言葉の便利な使い分けが旧政権には目立った。そのつけが今、鳩山政権に回ってきているのである。  では、袋小路に入った今の状況を打開するにはどうすればいいのか。  普天間の危険性除去について、5月末までに具体的な道筋をつけること。その上で、国会にこの問題を議論するための特別委員会を設け、九州の候補地やグアム、テニアンなどの検討結果を明らかにすること。委員会に米国高官や米軍幹部を証人として招き、海兵隊の役割や21世紀の抑止力について米側の考えを聞くこと。  なぜ、日本に海兵隊が必要なのか、在日米海兵隊の駐留目的は何なのかを明らかにする必要がある。  普天間の代替施設建設と海兵隊のグアム移転のために日本側は1兆円を超える巨額の税金を投じようとしているが、それは安全保障の利益と釣り合いのとれたものなのか。  はっきりさせるべき点はあまりにも多い。そうした疑問点を封印したまま海兵隊のヘリ基地を移設しようとしても、日本中どこでも反対にあうだけだ。
【首相来県 民意傾聴し「県内」断念を 新基地建設しては禍根残す 琉球新報5/5】  鳩山由紀夫首相が4日、就任後初めて沖縄入りし仲井真弘多知事、稲嶺進名護市長らと会談、米軍普天間飛行場の移設先に関し「すべてを県外でということは現実問題として難しい。沖縄の皆さまに負担をお願いしなければならない」と述べ、県内移設に理解を求めた。国外移設の可能性についても「日米の同盟関係、近隣諸国との関係を考えたとき、抑止力という観点から難しく、現実には不可能だ」と否定した。  「国外・県外」を熱望する大多数の県民の期待を裏切る発言であり、落胆を禁じ得ない。首相は県民の声に真摯(しんし)に耳を傾け、一部といえども県内に移設する考えは捨てるべきだ。沖縄での新基地建設は末代まで禍根を残す。

■疑わしい「抑止力」
 首相は「政権をつくった後に、最低でも県外が望ましいと申し上げたことがある。県民の思いは国外、県外に移設をしてもらいたいという大きな気持ちになっていると理解している」とも述べた。
 そこまで認識しているなら躊躇(ちゅうちょ)する理由はない。基地負担の軽減を求める沖縄の民意を追い風にして国外・県外移設の可能性をなぜ追求しないのか。「不可能」と言い切るのはあまりにも早計だ。
 そもそも、普天間飛行場、もしくは代替基地を沖縄に置き続けることが「抑止力」になるという発想自体、極めて疑わしい。普天間飛行場の面積は嘉手納飛行場の4分の1弱で、十数機の固定翼機と三十数機のヘリコプターが常駐しているとされる。
 これらの航空機は訓練などでたびたび国外に派遣されており、実質的に飛行場がもぬけの殻同然になる場合も少なくない。そのような基地がどうして抑止力として機能し得るのか。政府側から納得のいく説明は一切なされていない。
 首相は、米政府や外務・防衛官僚の言い分を無批判に受け入れる前に、普天間飛行場が存在する意味をじっくりと考えるべきだ。
 「県民におわび申し上げないといけない」と首相は述べた。謝られて「分かりました」と納得する県民は誰一人いないだろう。
 普天間飛行場に隣接する普天間第二小学校から基地を視察した後、住民との対話集会にも臨んだ。基地の撤去を求める市民の声を聞いても、なお「県内移設」と言い張るのか。
 首相は昨年8月、衆院選に向けた主要6政党の党首討論会で「(普天間飛行場は)最低でも県外移設が期待される」と言明した。民主党のマニフェスト(政権公約)にも「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」と明記した。
 その結果、県内では衆院4小選挙区のすべてで民主党が公認、推薦、もしくは支援する候補が当選、自民党の衆院議員はいなくなった。

■基地集中は差別
 「最低でも県外」という公約をほごにするなら、結果的に票集めのために甘言を弄(ろう)したことになる。「選挙詐欺」と批判されても仕方あるまい。
 県民に公約違反をわび「県内移設」への協力を求めることが沖縄訪問の目的だとすれば、「一応は県民の声を聞いた」というアリバイづくりでしかない。
 沖縄は太平洋戦争で本土防衛の「捨て石」とされ、日本で唯一おびただしい数の住民を巻き込んだ地上戦が行われた。20万人余に上る犠牲者のうち約9万4千人が沖縄の一般住民だ。
 戦後は、米軍によって広大な土地が軍用地として強制的に接収され、今も沖縄本島の約18%を基地が占めている。国土のわずか0・6%にすぎない県域に全国の米軍専用施設面積の74%が集中する現状は「差別」としか表現のしようがない。
 県民は戦後65年にわたり、米軍基地から派生する事件・事故に脅かされ、騒音被害に苦しめられてきた。拙速な判断は積年の不満を爆発させかねない。米軍にとっても敵意に囲まれた地域に基地を置くのは得策ではなかろう。
 首相は5月末までに移設案を決めると明言してきたが、民意に沿わない決定なら問題の解決にならない。腰を据えて政府内の合意形成を図り、「国外・県外」案を米国に提示し交渉に臨むべきだ。今回の首相訪問が、政府内で検討されている「県内移設」を抜本的に見直す契機になることを切望する。

【4.25県民大会 挨拶 宜野湾市長 伊 波 洋 一 】  普天間飛行場の県内移設に反対し、早期・閉鎖返還を求める県民大会の開催に向けて取り組んでこられた沖縄県議会と各実行委員会団体のみなさん、結集された県民のみなさん、県外からの参加者のみなさん、宜野湾市を代表して本日の県民大会開催に感謝します。  14年前の1996年4月12日に普天間飛行場の全面返還合意が日米両政府から発表されたとき、私を含め、全宜野湾市民が喜びました。しかし、県内移設の条件が付き、今日まで14年間も普天間基地の危険性は放置されてきました。6年前には沖縄国際大学に米軍大型ヘリが墜落炎上する大惨事も起きました。  今も、市内住宅地上空を早朝から深夜11時まで米軍ヘリと米軍機が低空で飛び交い、毎日のように市民の悲鳴に近い苦情が市役所に寄せられています。  宜野湾市では、いつ墜落事故が起きても不思議ではない状況が続いています。 普天間飛行場の危険性除去は、絶対に必要なことなのです。

 宜野湾市民は、戦後65年も普天間基地の重圧に苦しめられ続けてきました。これほどの不公平はなく、日米両政府による沖縄差別でしかありません。普天間基地問題は、県内移設の条件付きでは、永遠に解決できません。
だからこそ、昨年の総選挙で民主党は、鳩山代表自ら先頭になって県外・国外移設を掲げ、「最低でも県外」と主張し、総選挙を勝利し、政権交代を実現したではありませんか。
 過去50年の世界中の政権交代で外国軍隊が撤退する確率は80%を超えるとされます。これまでに米軍が駐留していた多くの国で政権交代により米軍は撤退しました。フィリピンでもパナマでもエクアドルでも撤退しています。そのことを米国自身がよく知っているのです。
 今、沖縄県民が求めているのは、普天間飛行場の閉鎖です。すべての米軍を撤退しろとは、まだ言っていません。しかし、あくまで米国が普天間飛行場の代替施設を県内に造れと言い続けるのなら、私たちは、沖縄から米軍の撤退を求めていかなければなりません。
 なぜなら、私たちは、子どもたちや孫たちのために、沖縄の未来のために、平和に暮らせる沖縄を残さなければならないからです。世界一危険な普天間飛行場をあくまで沖縄県民に押し付ける米国に妥協するわけにはいきません。沖縄の未来のためにも、戦後65年の今、新たな米軍基地は絶対に造らせてはならないからです。

 私は、宜野湾市長として2006年5月のロードマップで合意された沖縄からグアムへの海兵隊8000名の移転について、ずっと調査をしてきました。2006年7月にグアムとテニアンへの移転計画が作られ、環境影響評価調査が行われてきました。2007年には中部市町村長会でグアムの調査を行い、沖縄からヘリコプター部隊と1500名の海兵航空部隊がグアムのアンダー基地に来るとの説明を受け、ヘリ基地予定地も案内されました。2008年9月15日には、米海軍長官が米連邦議会下院軍事委員長宛に沖縄からグアムに移転してくる海兵隊部隊名を報告しており、普天間基地のヘリ部隊は、岩国に行く空中給油機部隊を除いて、主力の中型ヘリ中隊を含め整備部隊、管制部隊など11の、ほとんどの海兵航空部隊約2000人がグアムに行くと報告されています。そして、昨年2009年11月20日には、8000ページもの沖縄からグアム・テニアンへの海兵隊移転計画の環境影響報告ドラフトがグアム州政府とグアム住民に公表されました。
 その中には、西太平洋地域の海兵隊拠点が沖縄からグアムやテニアンを含むマリアナ諸島に移転することがきちんと書かれています。沖縄の海兵航空部隊約2000名がグアムに移転してくることも書かれています。明らかに普天間の海兵ヘリ航空部隊なのです。
 普天間基地には、今、2000名の海兵隊航空部隊と36機の米軍ヘリがいますが、ドラフトはグアムのアンダーセン基地に37機の海兵隊ヘリが移転してくるとしています。
 そして、アンダーセン基地で、新たに年間1万9255回のヘリ飛行訓練が増えるとして、2014年からは、ヘリの訓練だけでも3万8206回の飛行訓練が行われるとしています。
 海兵隊全体で1万600人の海兵隊員と9000名の家族がグアムに移転するとしており、1万2400人とされる沖縄海兵隊のほとんどが移転する計画なのです。嘉手納以南の海兵隊基地が要らなくなって返還されるのと同様に、普天間基地の代替施設が必要ないのは、明らかです。
 そして、この移転計画に日本政府が、国民の血税を含め60.1億ドル(2006年のレートで約7000億円)もの巨額な財政負担をするのです。米国は、グアム州政府やグアム住民に公表しているグアム移転の詳細について、いまだに7000億円を負担する日本政府には明らかにしていません。
これほど沖縄県民や日本国民を愚弄する話しがあるでしょうか。

 鳩山総理に申し上げたい。聡明な総理であってください。正々堂々と米国政府に沖縄からグアムへ移転する海兵隊の詳細について説明を求め、沖縄の海兵隊航空部隊2000名とヘリ部隊が他の地上部隊と一緒にグアムに移ることを確認してもらいたい。普天間の代替施設探しではなく、残り部隊について誘致決議をしているテニアンへの移転やハワイなどへの撤退を要求すべきです。
 そのことが、沖縄県民が戦後65年も背負ってきた米軍基地の重圧を取り除く道なのです。最低でも県外と言ってきた鳩山政権でぜひ、普天間飛行場の危険性除去と県内移設によらない普天間基地の閉鎖・返還を実現してもらいたい。
 私は、「辺野古の海の埋め立ては自然に対する冒涜(ぼうとく)だ、現行案が受け入れられるなどというような話はあってはならない」とする鳩山首相の言葉を信じたいと思います。
 今日の県民大会の成功で、日米両政府に県内移設を断念させ、普天間飛行場を閉鎖させましょう。沖縄から海兵隊航空機部隊を撤退させましょう。

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