小選挙区制の黄昏 各紙社説
自公はこりごり、民主はがっかり…二大政党づくりが行き詰まっているもとで、英国選挙の結果について、各紙の社説が概ね“価値観が多様化している現在では、冷戦時代の枠組みである小選挙区制は機能しない”と論じているのは…面白い。
【英国総選挙―2大政党が負った疑問符 朝日5/8】
【主張 英国総選挙 注視したい保守党の決断 産経5/10】
【英総選挙 伝統の2大政党制に試練の時 読売社説5/9】
【社説:英国「宙づり議会」 打開の知恵注目したい 毎日5/9】
【英総選挙 揺らいだ二大政党制 中日5/9】
つい一年前は「自民か、民主か」と二大政党づくりが焦点となっていた状況とは隔世の感がある。
私らは、小選挙区制による二大政党制づくりは、財界奉仕の政治、悪政を押し付ける仕掛けとして批判してきたが・・選挙制度そのものが問い直されている意味はおおきい。
【正論 元慶応義塾塾長・鳥居泰彦 中選挙区制による政界再編求む 5/10】
【衆院小選挙区制の見直し訴え 公明代表、英総選挙受け 朝日5/8】
貧困と政治の劣化をもたらす小選挙区制は廃止すべきである
【小選挙区制で子どもの貧困、世襲議員が増加 09/7】
また、「政治改革」と称して同時に導入された政党助成金もきっぱり廃止すべき。
320億円という額は、国会議員4百数十名分の経費にあたり、全国会議員(衆議院480、参議院242 計722名)の6割にも相当する。国会議員一人あたりにすれば、歳費とべつに年4400万円のバラマキである。
無駄の最たるもの・・・政党助成金の廃止に触れない「身を削る」という主張はまやかしである。
【英国総選挙―2大政党が負った疑問符 朝日5/8】 不信感は両党に対してだけではなさそうだ。二大政党制そのものにも向いている。過半数の議席を得て思い通りに政権運営をする大政党は、しばしば国民の負託を忘れ去り、いつしか支配層意識に染まる。経費問題やイラク戦争での両党のふるまいがその証拠と人々は感じていた。 また、グローバル化による格差の拡大や価値観の多様化に伴い、2大政党とそれを支えてきた小選挙区制だけではもはや民意を吸い上げきれない現実がある。自民党は以前からそうした問題点を指摘して、比例代表制の導入を求めている。 英国の民主主義は、曲がり角にさしかかっている。 英国の政治制度をお手本にしてきた日本は昨年、自民党から民主党への政権交代を実現したが、2大政党がともに政治不信を招き、有権者の離反を招いている構図は英国と重なる。
【主張 英国総選挙 注視したい保守党の決断 産経5/10】 「第三の政党」として選挙戦で注目された自由民主党の獲得議席は、得票率でさほど差がない労働党の4分の1以下にとどまった。単純小選挙区制ゆえの現象だ。 しかし、かつては90%を超えていた二大政党の合計得票率が、今回は65%にまで低下した。イデオロギー対決の時代は去り、有権者の意識は多様化している。英国の選挙システムも、こうした潮流を十分にくみ取れなかった。
【英総選挙 伝統の2大政党制に試練の時(5月9日付・読売社説】 戦後は9割を超えていた2大政党の合計得票率は、前回2005年の総選挙で7割を切り、今回さらに減った。こうした民意の多様化が議席に反映されにくいのが、単純小選挙区制である。
【社説:英国「宙づり議会」 打開の知恵注目したい 毎日5/9】 異例の事態は、2大政党が民意を十分吸収しきれなくなった結果といえる。ただ、突然始まった変化ではない。1951年に合わせて97%の票を占めていた2大政党は、70年代以降、徐々に得票率を落とし、今回、65%まで減らした。 2大政党を支えていた英国特有の階級が次第に崩れ、一方で冷戦の終わりと経済のグローバル化により、政党間の主張の違いが薄れていったことが背景にある。
【英総選挙 揺らいだ二大政党制 中日5/9】
議会制民主主義の本家とされ、日本も小選挙区制導入のモデルとした英国の総選挙である。いずれの党も過半数に至らない「ハング・パーラメント」(中ぶらりん議会)が現実となり、二大政党制が揺らいだ意味あいは大きい。
背景には、グローバル化に突き進む国際社会の中で、冷戦時代の枠組みを残す二大政党がもはや民意の受け皿として十分に機能し得ていないことがある。
« 不登校が生まれない学校を--訪問事業に関連して | Main | 県下の国保会計の状況 繰入、基金など »
「選挙・政党」カテゴリの記事
- 「立憲民主」の選挙政策を見る (2024.10.09)
- 24総選挙~前回の共闘の到達点をリアルに見、大切にする(2024.09.26)
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 「空白の90年代」考~前進を目指して(2024.08.08)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
Comments