「怒怒怒怒怒」「愚策撤回を」 沖縄紙社説
「抑止力」というのはまやかし、怒りの島に基地を置きつづけることは日米関係を脆弱化させる愚策・・・怒り前面の社説である。
【辺野古回帰 怒 怒 怒 怒 怒・・・ 5/24 沖縄タイムス】
【辺野古移設表明/実現性ゼロの愚策撤回を 撤去で対米交渉やり直せ 琉球新報5/24】
志位さんの報告は、外交力とは、経済や軍事でなく道理であると、小国に活躍にふれている部分が興味深い。
【アメリカを訪問して 志位委員長の報告5/25】
“21世紀の世界は、もはや少数の大国が動かす世界ではないということです。すべての国々が対等・平等の資格で、世界政治の主人公となる。それが21世紀の世界だということであります。
そのことは、核兵器問題とNPT再検討会議でも強く実感されたことでありました。ここで重要な役割を果たしているのは、いわゆる「大国」だけではありません。新興国や途上国が実に生き生きと、また堂々と、国際政治のプレーヤーになっています。カバクチュランNPT議長はフィリピンの外交官です。シディヤウシクNPT第1委員会委員長はジンバブエの外交官です。ドゥアルテ国連軍縮担当上級代表はブラジルの外交官です。さらに、エジプト、キューバ、インドネシアなど非同盟諸国がきわめて重要な役割を果たしています。コスタリカとマレーシアが提案している核兵器禁止条約が、世界に大きな影響を与えています。コスタリカといいますと、人口では約460万人の小さな国です。しかし今の世界で重要なのは、国の大小ではありません。経済力の大小でもありません。ましてや軍事力の大小ではありません。その国がどういう主張をしているかによって値打ちがはかられます。世界の道理に立った主張を貫くならば、国の大小にかかわらず尊重されます。どこかの国のように、自分の主張のない国は相手にもされません。これが今日の世界なのです。
率直にいって私は、日本政府には、この新しい世界像がまったく見えていないのではないかと思います。なぜフィリピンが、ジンバブエが、コスタリカが、国際会議であれほどの重要な役割を果たしているのか、おそらく日本政府には理解不能なのではないかと、私は思います。”
そのためには、きちんと相手に意見を伝えないと始まらない。
【辺野古回帰 怒 怒 怒 怒 怒・・・ 5/24 沖縄タイムス】米軍普天間飛行場の問題で、鳩山由紀夫首相は移設先を名護市辺野古に決めたと表明した。「辺野古回帰」という最悪の結末だ。地元理解を得るよう努力するというが、沖縄の心をもてあそんだ為政者を信頼できるだろうか。
わずか7時間の訪問は日米合意前のアリバイづくりにも見える。鳩山首相が県庁で仲井真弘多知事と面談中、県議会議員らは議会棟前で座り込みした。市民団体の抗議が響き、「怒」と書かれたプラカードが沿道を埋めた。
こうした地元の訴えに耳を傾けない鳩山内閣のやり方は前政権よりもたちが悪い。
日米両政府が大筋合意した結果だけを地元に放り投げるのが民主党のやり方ならば、いっそのこと政権公約に掲げた「地域主権」を重要政策から降ろすべきだ。それとも沖縄は別枠、とでも言うのか。
選挙で「最低でも県外」と公約したことを、党代表の発言にすぎないと言い訳し、普天間の新たな移設先を「ゼロベースで探す」と言いながら、県外の可能性を本気で検討した形跡はない。
そもそも現行案の微修正が実現可能な解決策だと本気で考えているのだろうか。
日米両政府は28日にも合意文書を発表する予定らしいが、米国は「政治的に持続可能」な決着を求めている。海外に多くの基地を持つ米国は地域住民が反対する軍事施設が政治的に脆弱(ぜいじゃく)であることを熟知しているはずだ。
「なぜ沖縄に」の問いに答えることもなく、「やはり辺野古で」と言い出す鳩山首相にはあきれるばかりだ。
普天間問題をめぐる国内論議は、本質論よりも政局ばかりが注目され、異様な雰囲気に包まれている。
鳩山首相は「昨今の朝鮮半島情勢から分かるように東アジアの安保環境に不確実性がある」とし、海兵隊を含む在日米軍の抑止力を強調した。
それをもって沖縄の過重負担を正当化するには無理がある。米軍は戦時に数十万の兵力を空輸で投入できるため、日本のどこに海兵隊を置いても運用に支障はない。
しかも在沖海兵隊はアフガン、イラン派兵などで不在が多い。2005年から昨年まで年間延べ3千~4千人を派兵している。残る部隊もアジアを遠征しており、タイで共同訓練があった今年2月から4月まで普天間飛行場はがら空きだった。鳩山首相が「学べば学ぶほど」と語った抑止力はいったい何だったのか。
海兵隊を知るほどに県外・国外移転の可能性が見えてくるはずだ。
国土面積のわずか0・6%の沖縄なら海兵隊配備が可能で、本土では無理、というのはあまりに理不尽だ。どこも反対だから―という国内事情を抑止論で覆い隠す手口にはもううんざりだ。
政権交代はこの国にとって歴史的転機であるはずだ。外交・安保も新たなアプローチがあるだろうと期待を寄せていた。それが裏切られ「怒」が高まる沖縄で米軍基地はこれまで以上に脆弱化することを政府は認識すべきだ。
日米同盟は沖縄をめぐり一層混迷するだろう。
【辺野古移設表明/実現性ゼロの愚策撤回を 撤去で対米交渉やり直せ 琉球新報5/24】1カ月前、鳩山由紀夫首相は米軍普天間飛行場の移設問題で「辺野古の海に立てば、埋め立てられることは自然に対する冒涜(ぼうとく)だと大変感じる。現行案を受け入れられるという話があってはならない」と述べた。
名護市辺野古移設の現行案を修正して最終決着を模索する政府内の動きを強く否定したものだった。
就任後2度目の来県で鳩山首相はその考えを百八十度変えた。
仲井真弘多知事との会談で、首相は「普天間の代替地は辺野古の付近にお願いせざるを得ないとの結論に至った」と述べた。自らが再三批判してきた自民政権時代の現行計画への事実上の回帰だ。◆首相に「三つの軽さ」
普天間の「県外・国外」移設を求める県民の期待と信頼を裏切る行為だ。辺野古移設について知事は「極めて厳しい」と述べ、名護市の稲嶺進市長も「到底受け入れられない。実現可能性はゼロに近い」と怒りをあらわにした。民意の代弁者として当然の姿勢である。
これに対し、鳩山首相の姿勢には三つの軽さを感じる。一つは「言葉の軽さ」だ。昨年の衆院選で「最低でも県外」と述べ県外・国外移設への県民の期待値を上げたのは首相自身だ。「自然に対する冒涜」と語った現行案への回帰は自己否定に等しい。県民から「うそつき」と批判される「言葉の軽さ」を恥じているのだろうか。
二つ目は「政治主導」や外交方針に関する「信念の軽さ」である。
首相は知事との会談で県内移設による決着について「昨今の朝鮮半島の情勢からしても、東アジアの安全保障環境は、まだ不確実性が残っている。海兵隊を含めた、在日米軍全体の抑止力を低下させてはならない」と説明した。
在沖海兵隊の抑止力に対し、防衛問題の専門家からも疑義が指摘される中、首相が官僚の説明をうのみにし「抑止力」を持ち出すのは不見識だ。「政治主導」の看板をかなぐり捨てるつもりなのか。
鳩山首相は昨秋、シンガポールで行ったアジア政策講演で自らの「東アジア共同体」構想により、過去の戦争で被害を与えた諸国との「和解」達成を目指す姿勢を示した。アジアの平和と繁栄に果たす米国のプレゼンス(存在)の重要性を指摘した上で米国も参加するソマリア沖の海賊対策での協力を例に挙げ、「アジア太平洋地域の海を『友愛の海』にしよう」とも呼び掛けた。
日米同盟を基軸としつつアジアへの関与を高める首相の姿勢は、国際協調による安全保障環境の改善への意欲を示したもので、方向性は評価できる。
だが、知事との会談では東アジアの安保環境の「不確実性」を指摘し「抑止力を低下させてはならない」とした。「友愛の海」を目指す首相の信念はどこへ行ったのか。軍事力を頼みに平和と繁栄を語るなら軍部や軍人の発想と変わらない。◆民意に立脚した同盟を
三つ目は、民主主義や人権への「認識の軽さ」だ。昨年の衆院選で普天間の辺野古沿岸移設を主張した自民候補者が全員落選。県議会は普天間の「国外・県外」移設を決議し、名護市長選では辺野古移設拒否の稲嶺進氏が当選した。
各種世論調査では一貫して普天間の「県内移設反対」が多数を示している。先月の4・25県民大会でも「県外・国外」移設の民意を明確に国内外に発信した。
この期に及んでもなお「民意」を踏みにじるのか。県内移設の押し付けに対し「沖縄差別」と感じる県民が増えている。首相は、県民の“マグマ”が爆発寸前であることに十分留意すべきだ。
鳩山首相は「できる限り県外だという言葉を守れなかったこと、結論に至るまで県民に混乱を招いたことを心からおわび申し上げたい」と謝罪した。その上で普天間移設と連動した負担軽減策として、県内の米軍訓練の一部移転・分散について、全国知事会で協力を要請すると説明した。
訓練移転は、負担軽減で一時的な効果はあっても根本解決にはつながらない。訓練移転で本来なら負担が軽減されるはずの嘉手納基地でも外来機の飛来が増え負担が増加した。県民は訓練移転が弥縫(びほう)策にすぎないことを見抜いている。
成算のない辺野古案の追求は、「日米同盟」への反発を高めるだけで、愚策以外の何ものでもない。首相は今からでも国外移設や撤去で対米交渉をやり直すべきだ。県民、国民は民意に立脚した「対等な日米関係」こそ求めている。
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