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介護療養病床廃止を撤回し充実を 保団連調査

 民主連立政権は、自公政権の療養病床廃止を「凍結」しているが、一方、1月に「基本方向はかわらない」との通知を都道府県に出している。
 そんな中、医療機関の調査で、療養病床存続・充実の声が明らかになった。
“行き場のない介護、医療難民を出さない”“救急病院の機能を守る”“若者の雇用の場の確保、介護等による離職防止”など、社会、経済的に大事な課題である。
【介護療養病床廃止を撤回し必要な医療と介護が提供できるよう、診療報酬、介護報酬を引き上げてください 全国保険医団体連合会 5/21】

 調査の「 考察」部分を、先に紹介すると、・・・
(1) 医療療養病床は、①医療区分の重度化が顕著であり、医療区分1の入院が大きく制限されている、②医療区分1であっても退院させられない患者が少なくない、③医療区分2・3の患者増に対して今の療養病床の人員と報酬では耐えられないことがわかった。

(2) 介護療養病床は、①医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定程度担っている、②「地域における必要性を認め、介護療養病床存続方針にすべき」との意見が大勢である、③介護療養型老人保健施設は、人員基準の引き下げにより必要な対応が図られなくなることがネックであることがわかった。

(3) 以上の調査結果及び今回のアンケートで会員から寄せられた要望を踏まえると、次の実現を図ることが緊急に求められている。
① 介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。
② 医療療養病床については、医療区分を廃止し、2012年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、診療報酬を正当に評価すること。
③ 有床診療所や15:1入院基本料等地域に身近な入院施設の報酬を引き上げること。
④ 介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めること
⑤ 後期高齢者医療制度を直ちに廃止すること。

なお、2月県議会で日本共産党と緑心会の質問に対し、知事は、以下のように答弁している。

 “本県では、特別養護老人ホームに老人保健施設と介護療養型医療施設を合わせた3施設の高齢者人口あたりの定員数が、全国的にも高い水準にありましたため、平成18年度からの第3期介護保険事業計画では、新たな施設整備が行われなかったことや、この間に重度の要介護者が増加したことなどから、特別養護老人ホームの待機者が増えております。
 そのため、今年度からの第4期計画では、待機者の解消に向け、特別養護老人ホームをはじめ、有料老人ホーム、認知症対応型グループホームなど、介護専用施設を合わせて902床整備することとしており、まずは、この計画を着実に進めてまいりたいと考えております。
 さらにこの施設整備に加えて、介護専用ではありませんが、有料老人ホームやケアハウスなども一定数整備されますので、今後の待機者の状況を検証しながら、平成24年度からの次期計画における、特別養護老人ホームなどの整備数について検討を行って参ります。

また、療養病床の再編成につきましては、これまで県として、特別養護老人ホームへの転換をすすめるために施設整備への単独助成制度を設けたり、国に対して医療法人も設置主体となれる要望を行うなど、転換支援策に取り組んできました。
 ただ、民主党のマニフェストで、「当面、療養病床削減計画を凍結し、必要な病床数を確保する」となっていたことなどから、国の方針を見極めたいとの医療機関の意向などもあって現時点では転換が進んでいない状況にあります。
 こうした中、この1月に国から「今後、療養病床に関する実態調査を実施し、介護療養病床の廃止期限の猶予などを含めて必要な対応について検証するが、介護療養病床を廃止し、介護保険施設へ転換する方針にかわりはない」との見解が示されました。
 したがいまして、県としましては、今後、国の方針などを的確に把握して上で、療養病床を有する医療機関と相談しながら、行き場のない入院患者さんを出さないことを基本に、それぞれの状態に相応しい施設への転換をすすめてまいります。
 なお、例え介護が必要な状態になっても、自宅で暮らしたいという多くの高齢者の皆様の願いを叶える取り組みも重要だと考えております。
 このため、介護と医療との連携強化など地域で関係者が高齢者を見守る地域ケア体制の整備をすすめるとともに、新たに来年度からは、介護している家族の急病や介護疲れ、これらの際などに利用できる緊急用ショートステイの相談窓口を設置するとともに、専用ベッドを確保することといたしています。
 今後とも、施設と在宅両方の施策の充実に取り組む中で、本県の多くを占める中山間地域においても、必要な介護サービスが提供される仕組みづくりの検討も行い、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていける「高知型福祉」の実現を目指して参ります”

【介護療養病床廃止を撤回し必要な医療と介護が提供できるよう、診療報酬、介護報酬を引き上げてください 5/21】

 2006 年に交付された医療制度改革関連法の一部施行に伴い、2012 年3 月末までに介護療養病床が廃止されることとされました。現場や患者さんからは介護療養病床廃止の撤回を求める声が大きく広がっているにもかかわらず、いまだに撤回されていません。
 また、医療療養病床は、現在でも医療区分1は実際にかかる経費の8割程度しか診療報酬が設定されておらず、2012 年4月から看護・介護職員配置が強化され、これを満たせない場合は診療報酬を引き下げられる可能性があります。看護・介護職員不足のため職員配置の強化に対応できない療養病床が少なくない状況の中で、

 このままでは地域の入院医療の確保が困難になってしまいます。

 さらに、介護療養病床の転換先として介護療養型老人保健施設が創設されましたが、夜間の医師や看護職員の配置が手薄く、現在の入所者を入所させ続けることが困難です。

 こうしたことから、全国保険医団体連合会は今年1月に「医療機関における療養病床削減に関する影響調査」(別添)を実施し、下記の点が判明しました。

(1)医療療養病床は、①医療区分の重度化が顕著であり、医療区分1の入院が大きく制限されている、②医療区分1であっても退院させられない患者が少なくない、③医療区分2・3の患者増に対して今の療養病床の人員と報酬では耐えられない。

(2) 介護療養病床は、①医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定担っている、②「地域における必要性を認め、介護療養病床存続方針にすべき」との意見が大勢、③介護療養型老人保健施設は、人員基準の引き下げにより必要な対応が図られなくなることがネックとなっている。
調査結果等を踏まえ、次の点の実現を図られるよう、強く要望いたします。

          記

一、介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価してください。
一、医療療養病床については、医療区分を廃止し、2012 年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、診療報酬を正当に評価してください。
一、有床診療所や15:1入院基本料等地域に身近な入院施設の報酬を引き上げてください。
一、介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めてください。
一、後期高齢者医療制度を直ちに廃止してください。


「医療機関における療養病床廃止計画に伴う影響調査」結果について

はじめに
全国保険医団体連合会(保団連)は、都道府県保険医協会・医会の協力で2010 年1月に「医療機関における療養病床削減に関する影響調査」を実施した。
調査は24 都道府県634 医療機関から協力をいただいた。(北海道34、青森14、宮城19、山形8、埼玉19、東京32、神奈川50、静岡26、愛知9、三重31、京都27、大阪51、奈良3、島根19、山口34、徳島8、香川27、愛媛10、福岡45、佐賀22、長崎33、熊本57、大分5、鹿児島51)

調査結果からは、次のことがわかった。

(1)医療療養病床について
①医療区分の重度化が顕著であり、医療区分1の入院が大きく制限されている。
②医療区分1であっても退院させられない患者が少なくない。
③医療区分2・3の患者増に対して今の療養病床の人員と報酬では耐えられない。

(2)介護療養病床について
①医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定程度担っている。
②「地域における必要性を認め、介護療養病床存続方針にすべき」との意見が大勢。
③介護療養型老人保健施設は、人員基準の引き下げにより必要な対応が図られなくなることがネック。

(3)医療連携について
医療連携を進める上でも、現在の報酬上の評価では人員や設備の整備が困難。

 以上の調査結果から、医療療養病床、介護療養病床とも地域医療に不可欠なことが判明した。

 保団連では、会員から寄せられた国に対する要望を踏まえ、次の点の実現を政府・厚生労働省に求めるものである。
① 介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。
② 医療療養病床については、医療区分を廃止し、2012年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、診療報酬を正当に評価すること。
③ 有床診療所や15:1入院基本料等地域に身近な入院施設の報酬を引き上げること。
④ 介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めること
⑤ 後期高齢者医療制度を直ちに廃止すること。

1 入院患者の医療区分の変動
 保団連では2006 年11 月にも医療療養病床入院患者の医療区分調査を行ったが、その際の分布は、医療区分1(35.0%)、医療区分2(48.1%)、医療区分3(16.9%)であった。
今回の調査では、医療区分1(25.9%)、医療区分2(50.5%)、医療区分3(23.5%)となっており、医療区分の重度化が顕著であった。

 今回の調査では、介護療養病床についても医療区分・ADL区分の内訳を調査した。介護療養病床については医療区分1が多いが、医療区分2・3の割合も3分の1を超えており、医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定程度担っていることが判明した。

2 介護療養病床「存続」方針を求める医療機関が85.6%
 介護療養病床を有する271 医療機関に対して、どのような対応をしているかについて聞いたところ、「とりあえず現状のまま」が79.7%であり、「医療療養病床への転換した」との回答が7.7%あった。「介護療養型老人保健施設へ転換した」との回答は1.8%であった。

 また、「厚労大臣が介護療養病床廃止を「凍結」することを表明(11/2)していますが、どう思われますか(どう対応されますか)」との設問では、「地域における必要性を認め、介護療養病床『存続』方針にすべき」との回答は85.6%であった。
 
  これは、厚生労働大臣の凍結表明を歓迎するとともに、医療区分2・3が3分の1を超えるなど、地域医療に大きな役割を果たしている介護療養病床が、今より人員基準や介護報酬の低い介護療養型老人保健施設へ転換することが不可能であることを示している。

3 医療療養病床のスタッフの仕事がハードに
 医療療養病床を持っている538 医療機関について、2008 年6月以降、医療区分2、3の患者割合について引き上げてきたのかとの設問については、
「積極的に行った(23.4%)」、「病床維持のためしかたなく行ってきた(18.4%)」との回答となっているが、「意識的には行っていない」との回答も48.9%あった。

 また、昨年6月以降医療区分2、3の割合を積極的であるか否かにかかわらず引き上げてきた225 医療機関について具体的な方法を聞いたところ、
「医療区分1の患者は他施設等に移ってもらった(57.8%)」、「医療区分1の患者は退院してもらった(12.0%)」となっており、その他(31.1%)に回答いただいた医療機関のコメント記載では、「医療区分1の患者の受け入れを制限」との回答が見受けられた。

 医療療養病床を持つ医療機関の半数で医療区分2・3の引き上げが行われ、医療区分1の入院が制限されているが、その理由は医療区分1の患者の入院料の低さにある。

 2009 年7月8日の慢性期入院医療包括評価調査分科会に報告された「療養病床のコスト調査結果」によると、医療区分1の場合は、ADL1の場合で1人1日につき1192 円の赤字、ADL 区分2で1人1日につき3459 円の赤字、ADL 区分3で1人1日につき3217 円の赤字であることが判明している。
 しかし、こうした状況であるにもかかわらず、医療療養病床入院患者の4分の1は医療区分1であった。これは、入院させればさせるほど赤字になってしまうにもかかわらず入院させなければ行き場がない患者や、医療区分1でも退院させられない状況である患者が少なくないことを示している。

 一方、医療区分2・3の患者増による問題として
「スタッフの仕事がきつくなる(84.9%)」、「検査、投薬が増加し経営を圧迫する(36.4%)」、「重症者が多くなり、看取りが増えた(48.9%)」となっている。
療養病床の医療区分の重度化は一般病床からの早期転院も原因である。こうした重度化に対して今の療養病床の人員と報酬では耐えられるのかについても疑問がある。

4 介護療養型老人保険施設への転換での不安、問題
 介護療養型老人保険施設への転換についても検討している医療機関は100 であったが、
うち、転換に対する不安や問題としては、「入所者への夜間の職員の対応が不十分になる(55.0%)」、「経管栄養等の手のかかる入所者が多く、職員の対応が不十分(51.0%)」を指摘しており、人員基準の引き下げによって必要な対応が図られなくなることについて問題視している。

5 急性期病床との連携について
 634 医療機関全てに対して、「地域医療連携において急性期病院との連携等」について聞いたところ、
「必要であり、連携システムの構築やそこへの積極的参加を考えたい」との回答が49.8%あったが、同時に、「連携には医療区分でなく、適正な診療報酬の設定が必要(34.7%)」、「必要だと思うが、重症者の受入には消極的にならざるを得ない(21.0%)」との回答も多かった。

 これは、連携を進める上で、現在の報酬上の評価が不十分で有り、人員や設備の整備が困難であることを示している。

6 考察
(1) 医療療養病床は、①医療区分の重度化が顕著であり、医療区分1の入院が大きく制限されている、②医療区分1であっても退院させられない患者が少なくない、③医療区分2・3の患者増に対して今の療養病床の人員と報酬では耐えられないことがわかった。

(2) 介護療養病床は、①医療必要度の高い患者の療養を介護療養病床が一定程度担っている、②「地域における必要性を認め、介護療養病床存続方針にすべき」との意見が大勢である、③介護療養型老人保健施設は、人員基準の引き下げにより必要な対応が図られなくなることがネックであることがわかった。

(3) 以上の調査結果及び今回のアンケートで会員から寄せられた要望を踏まえると、次の実現を図ることが緊急に求められている。

① 介護療養病床廃止を撤回し、介護療養病床の役割を評価すること。
② 医療療養病床については、医療区分を廃止し、2012年4月以降も現行の看護・看護補助の配置を認め、診療報酬を正当に評価すること。
③ 有床診療所や15:1入院基本料等地域に身近な入院施設の報酬を引き上げること。
④ 介護療養型老人保健施設は、休日・夜間等における医師及び看護体制が十分に確保できる基準と報酬に引き上げ、従来型の介護老人保健施設からの転換を認めること
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