貧困と格差の拡大に懸念 文部科学白書、子ども白書
政府の文部科学白書、子ども・子育て白書が、構造改革路線の矛盾、貧困の連鎖の問題点を示している。
・経済格差が学力に影響。政府の教育費が少なく、個人に転化される傾向。
・最も割合が多い所得層/20代は97年の300万円台から07年は200万円台に。30代は500万円台から300万円台に。
・非正規雇用の男性の結婚率が正規雇用者の約半分。
【経済格差が学力に影響 文部科学白書が懸念 共同5/26】
【子ども・子育て白書:所得底上げ、雇用対策の必要性訴え 毎日5/25】
【平成22年版 子ども・子育て白書】
しかし、この白書の示す問題点は、国のナショナルミニマム保障の責任をなげすてる「地域主権改革」法や抜け穴だらけの派遣法「改定」、大企業減税と消費税増税路線という民主連立政権の方針では、改善するどころかいっそうひどくなるだけである。
「大企業栄え、国民、社会滅ぶ」路線から「国民が栄え、社会も企業も栄える」路線への転換が必要である。
【経済格差が学力に影響 文部科学白書が懸念 共同5/26】文部科学省が近く公表する2009年度の文部科学白書の原案で、保護者の年収が高い世帯ほど子どもの学力が高く、経済格差が進学などの教育状況に大きく影響するとの懸念を盛り込んでいることが26日、同省関係者への取材で分かった。
白書は「格差が拡大・固定化すれば若者の可能性が失われ、国全体の損失につながる」とし、学習機会を社会全体で支える政策の意義をアピール。今後の重点課題として(1)大学段階での給付型経済支援の拡充(2)義務教育での教職員増と少人数学級の実現―などを挙げた。
08年度の全国学力テストを受けた公立小6年の一部の調査では、年収1200万円以上で国語、算数とも正答率が高かったのに対し、200万円未満では大きく下がり、所得の高低により最大で約20ポイントの差が開いたとの結果を紹介。政府支出に占める教育費の割合が国際的に低いとし「教育費が個人負担に転嫁される傾向がある」と分析した。
4月にスタートした高校無償化も取り上げ、「すべての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める」と強調した。
一方、若者の高い早期離職率を受け、発達段階に応じて職業観を学ぶ「キャリア教育」を小中高で充実すると明記。企業などへのインターンシップ(就業体験)の効果も盛り込んだ
【子ども・子育て白書:所得底上げ、雇用対策の必要性訴え 毎日5/25】政府は25日午前の閣議で「2010年版子ども・子育て白書」を決定した。従来の「少子化対策」が不十分だったとした上で、子育てする親や子どもたちといった当事者の目線で支援し、教育・就労・生活の環境を社会全体で整備する観点が重要だと強調。子育て世代の所得の底上げや雇用対策の必要性を訴えた。
これまで「少子化社会白書」と呼ばれていたが、福島瑞穂・少子化担当相の意向で呼称を変更。内容も福島氏の考えを大きく反映した。
09年の内閣府調査を引用する形で、国民が求める子育て施策は(1)経済的支援の充実(2)保育所など子どもを預かる事業の拡充(3)育児休業や短時間勤務など働き方の見直し--を挙げた。
また、20代で最も割合が多い所得層が1997年は300万円台だったが07年には200万円台となり、30代でも500万円台から300万円台に下がったことを紹介。非正規雇用の男性の結婚率が正規雇用者の約半分にとどまる状況にも触れた。
« 市民の図書館の歴史と未来 備忘録 | Main | 介護療養病床廃止を撤回し充実を 保団連調査 »
「教育・子育て」カテゴリの記事
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 2024国際女性デー 差別・格差の根っ子に、非正規、奨学金ローン(2024.03.14)
- 創造と管理、心理的安全と恐怖 組織の自己改革(2024.01.11)
- 不登校 きっかけは「先生」最多・考~ 組織の構造的問題として(2023.11.16)
- 高知の校則に関して(提言) 子連10/25(2023.11.02)
「雇用・労働」カテゴリの記事
- 「賃上げ・時短」政策と「人手不足」問題~ カギは、持続可能な働き方(2024.10.01)
- 「消滅自治体」 なぜ「若い女性減」だけ? 若い男性も同様に減少(2024.06.01)
- 地消地産、医療介護福祉 産業政策で党県議団の提案生きる(2024.05.09)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
- 最高裁元判事のコメント・考 ~「司法における固定観念化とジェンダー差別」克服の重要性(2024.05.04)
「反貧困」カテゴリの記事
- 「新しい生活困難層」 正規雇用に「内付け」された日本型生活保障の崩壊と改革展望(2024.04.25)
- 広がる女性のひきこもり・孤立をどう防ぐか ~ 「共事者」の視点を(2023.04.22)
- 生活保護 冬季加算「特別基準」(通常額の1.3倍) 高知市「抜かっていた」「速やかに実施」 (2022.12.28)
- 生活保護基準引き下げ違憲訴訟 横浜地裁で4例目の勝訴判決 ~国は控訴やめ、元にもどせ(2022.10.26)
- 政策メモ 22/7-8 格差貧困、気候・食糧・環境危機、平和(2022.08.28)
Comments