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アスベスト訴訟「国に責任」 画期的判決

「1960年の時点で規制する義務があったのに怠った」と国の責任を断罪した。
【石綿被害で国に賠償命令 大阪地裁、初の判決 共同5/19】
【社説:石綿訴訟判決 法的救済の拡大を急げ 毎日5/20】
【アスベスト判決―政府は責任認め、救済を 朝日・社説5/20】
【アスベスト判決 国の怠慢が被害を拡大させた 読売社説5/20】
 企業のカネもうけ優先で、国民を犠牲にしてきた自民党政治の体質がもたらした被害である。この判決の視点は、温暖化対策にも通じる話である。

 日本共産党は70年代から国会で問題を追及してきたが、06年、石綿健康被害救済法が成立する前の「主張」は、以下のとおり。
【アスベスト対策 国と企業の責任を明確にして 06/1 赤旗・主張】

 また 大阪市立大学名誉教授の宮本憲一氏が、未来にかかわる問題として、温暖化問題と同時にアスベストについて語っている。
【維持可能な社会と公共工事の未来 備忘録08/11】

【石綿被害で国に賠償命令 大阪地裁、初の判決 共同5/19】  中小の紡績工場が集中した大阪府南部の泉南地域でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんなどを発症した元労働者や周辺住民らが国に損害賠償を求めた集団訴訟で、大阪地裁は19日、「1960年の時点で規制する義務があったのに怠った」と国の責任を認め、賠償を命じる判決を言い渡した。  原告は大阪府南部の泉南地域で石綿を吸い込み肺がんなどにかかった患者26人(うち11人死亡)と遺族。判決は患者23人について、計約4億3500万円の損害賠償を命じた。周辺住民ら3人の請求は棄却した。  2005年に大手機械メーカー「クボタ」が、工場や周辺での健康被害を発表し社会問題化した石綿問題で、規制の遅れを理由に国の責任を認めた判決は初。東京、横浜、神戸で係争中の同様の訴訟や、現行の救済策見直しの動きに影響しそうだ。  判決理由で小西義博裁判長は「石綿肺についての医学的知見は59年までにほぼまとまった」と認定。石綿関連の病気が長期間、大量に粉じんを吸うことで発症する特性を踏まえ「60年の旧じん肺法成立の時点で局所排気装置などの設置を義務付けなかったのは違法」と判断した。  さらに(1)70年代初めの規制も不十分(2)適切な情報提供を怠っていた―などの不作為も認定。こうした国の不作為が、60年以降に石綿関連の病気に罹患(りかん)した元労働者の健康被害と因果関係がある、と認めた。
 長くなるので各紙の「結論」部分だけを紹介すると・・・
【社説:石綿訴訟判決 法的救済の拡大を急げ】  05年に機械メーカー「クボタ」の旧工場の従業員や周辺住民に中皮腫や肺がんなどの石綿被害が広がっていたことが社会問題化した。これを受けて政府は緊急法案をまとめ、翌年に患者・遺族の救済を図る石綿健康被害救済法を施行した。  しかし、救済対象は原則、中皮腫や肺がんで医療費の支給などに限定されている。大企業による被害補償の動きも進んだが、零細企業や廃業した企業には補償能力はなく、多くの被害者が置き去りにされている。  迅速な被害救済のため、不備が指摘される救済法の改正が急務だ。支給金の増額や救済対象の拡大を図る必要がある。危険な石綿の使用を長年放置してきた国は判決を謙虚に受けとめ、積極的な被害救済に乗り出さねばならない。


【アスベスト判決―政府は責任認め、救済を 朝日・社説5/20】
 鳩山政権はまず国として石綿被害を拡大させた責任を認め、被害者に謝罪すべきである。そして控訴せずに、被害者対策に乗り出した方がよい。
 兵庫県尼崎市でクボタ旧神崎工場周辺の石綿被害が明らかになったことをきっかけに、労災では救われない住民を対象にした石綿健康被害救済法が06年にできた。だが、月10万円余の療養手当などではあまりにも手薄だ。法施行から5年をめどに見直すことになっており、予期せぬ被害を受けた人の救済を充実させてほしい。
 国内で使われた石綿は1千万トンに及び、中皮腫による死者は今後40年間で10万人にのぼるとの試算もある。石綿が使われた建物はそろそろ耐久年数を迎え、建て替えのため解体される。
 石綿の被害は過去のことではない。この判決を、対策の遅れを取り戻すきっかけとして生かしたい。

【アスベスト判決 国の怠慢が被害を拡大させた 読売社説5/20【】  石綿の吸引から病気発症までは長い潜伏期間があり、粉じんと被害の因果関係はわかりにくい。しかし、海外の研究や泉南地域での医学・疫学調査の結果は、因果関係を指摘していた。国がこれらを軽視してきた責任も重大だ。  行政の不作為をめぐっては、筑豊じん肺訴訟や関西水俣病訴訟の最高裁判決(いずれも2004年)が、国に賠償を命じるなど流れが定着しつつある。国民の健康、安全を守る行政の責任はますます重くなっている。  世界保健機関(WHO)が石綿の発がん性を警告した72年以降も、日本では経済成長の波に乗り石綿の大量消費が続いていた。  それが今、ビルや学校などの解体現場で問題化しつつある。国は石綿被害の解消に真剣に取り組んでもらいたい。
【アスベスト対策 国と企業の責任を明確にして 06/1 赤旗・主張】  大手機械メーカー「クボタ」の工場労働者や周辺住民のアスベスト(石綿)健康被害が明らかになってから半年がたちましたが、国と加害企業の責任解明は進んでいません。石綿の禁止・除去と被害者救済が、大きな社会問題となっています。

■06年度全面禁止決めたが
 石綿が原因とみられる健康被害は、肺がん、石綿肺、中皮腫(ちゅうひしゅ)などに大別されますが、たとえば、中皮腫による死者数は、政府が統計をとりはじめた一九九五年から十年間で七千人を超えています。しかも年間の死者数が、九五年の五百人から、二〇〇四年には九百五十三人と倍に増えています。
 吸い込んでから数十年もあとに発症するため、今後の増加が懸念されており、対策の強化が必要です。
 政府は、昨年十二月二十七日の関係閣僚会合で、〇六年度中の石綿の全面禁止措置を決めました。
 欧州各国で一九八三年から九〇年代はじめにかけて石綿の使用禁止が相次ぎました。国会で、七二年には石綿製造工場での肺がん多発を告発してきた日本共産党は、「石綿使用禁止は世界の趨勢(すうせい)」として、製造・使用規制を十数年前から求めてきました。しかし、日本が毒性の強い青石綿と茶石綿の使用を禁止したのは九五年で、白石綿の使用を〇四年十月の原則禁止まで認めてきました。
 来年度中の石綿の全面禁止措置は当然ですが、ここまで製造・使用禁止を遅らせ、健康被害を拡大してきた国の責任は重大です。
 政府は、関係閣僚会合で、過去の対応を検証してきましたが、「当時の科学的知見に応じて関係省庁による対応がなされており、行政の不作為があったということはできない」と、責任逃れをしています。
 石綿の健康被害は、安全対策もしないまま大量の石綿の製造・使用を続けてきた企業と、危険性を認識しながら長期にわたって使用を容認してきた政府に責任があります。何の落ち度もないのに、なぜ労働者と住民が苦しまなければならないのか。被害者が知りたいのはその点です。
 企業のもうけ最優先、国民の安全を後回しにする自民党政治の体質が、石綿問題の解決でも問われているのです。被害の拡大を防止できなかった深刻な事態を重く受け止めて、政府は責任を明確にすべきです。
 加害企業の一つ、クボタは、昨年十二月二十五日、社長が、道義的責任を認めて患者らに謝罪し、これまでの見舞金・弔慰金に代わる新たな救済策を工場周辺に限り、今年四月をめどにつくる方針を示しました。
 クボタは、道義的責任、社会的責任を強調しつつも、工場(兵庫県尼崎市)の石綿と周辺住民の中皮腫発症との因果関係について「根拠を見いだすに至っていない」としました。
 しかし、専門家の報告によると、仕事で石綿に触れることがないのに中皮腫を発症した尼崎市内の人たちを調査したところ、クボタの旧工場に近いほど死亡する割合が高くなっています。

■労災並みの補償を
 すべての被害者を、国と企業の責任で救済・補償すべきです。その水準は、労災並みに、休業補償や遺族補償などを盛り込むべきです。工場の内と外で救済・補償に格差をつけるべきではありません。
 政府の救済法案は弔慰金などを中心としており、生活補償や遺族年金がないなど、きわめて不十分です。日本共産党は国と企業の責任を明確にして、労災並みの補償など、対策の強化を求めて奮闘します。


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