小学校の英語助手 偽装請負で是正 千葉県・柏市
1人ひとりの子どもの発達をささえる援助者のネットワーク、協働が最も大切な教育の場で、「直接・指揮命令ができない」も「相談し合って進めること」も、まして「一緒に取り組むこと」も不可能な「請負」はそもそもなじまない。
【偽装請負:千葉・柏市小中61校、外国人指導助手不在に】
この例だけでなく、用務員、給食調理も同様である。
しかし、昨年8月に指導助手の業務請負について、直接雇用など通知が出されているのに、6割以上の自治体で「見直しの予定がない」とは、子どもに「ルールを守りましょう」という資格はない。
ちなみに通知では「派遣への切り替え」も入っているようだが、派遣は「一時的・臨時的業務」であり、正規雇用の「代替にしてはならない」ので、これもルール違反ではないか。
また同市の場合、3ヶ月のクーリング期間を悪用した脱法的行為である。
08年10月7日の衆院予算委員会で、このクーリング期間の問題をとりあげている。
厚労大臣は「最大三年の派遣可能期間満了後は、指揮命令が必要な場合は直接雇用に、そうじゃない場合は請負によるとすべきであるということでありまして、この基本的な考え方は、各事業主団体にたいしても、きちんと対応するように、九月二十六日、局長通知を発出して要請をしたところでございます。そういうことで、直接雇用または請負は、いわゆる、さきほどご指摘のありましたクーリング期間、三カ月を経過後、再度の労働者派遣の受け入れを予定することなく、適切に行われるべきものであると考えて、この方針を貫徹すべく、就業の実態をきちんと踏まえて、法に基づき的確な指導を行いたいと思っております。」
恒常的な業務なら、正規雇用、直接雇用しかない。
しかし、教育の場で業務をバラバラの請負に分解できる神経は、学校を子どもをトータルにとらえて発達を支える場でなく、個々の課題の実務執行の場としてとらえている、ところに奥深い問題があると思う。、
【偽装請負:千葉・柏市小中61校、外国人指導助手不在に 毎日4/14】 ◇せんせいは偽装請負でおやすみです 千葉県柏市の市立小中学校全61校で3月末まで英語を教えていた外国人の指導助手(ALT)23人について、厚生労働省千葉労働局が、業務請負契約なのに学校の指揮下で働いていたとして13日付で違法な「偽装請負」と認定した。是正指導を受けた市教委が16日発表した。これにより、学校はALTの授業が新年度始められない事態に直面。同様の実態は全国的に多数あるとみられ、影響が広がる可能性がある。 柏市教委によると、同市のALT民間委託は00年に始まり、07~09年度の3年間は東京都内の業者に委託。同期間のALT23人が3月末に契約期限切れを迎えた。これに対し、ALTを支援する労働組合「千葉労連東葛ユニオン」が市教委に雇用継続を求める一方、千葉労働局に「偽装請負だ」と申し立て、労働局が調査していた。 市教委は新年度から、業務請負を労働者派遣契約に切り替え、新たに別のALTを受け入れる予定だった。ところが、過去3年間のALTが実質は派遣労働の「偽装請負」と認定され、派遣期間が3年を超えると直接雇用申し入れの義務が生じるとする労働者派遣法の規定や、新たに派遣契約を結ぶには3カ月間以上空けるとする厚労省の指針により、新年度からのALT受け入れができなくなった。市教委は3カ月後の7月以降、ALTの授業を再開する方針だ。 文部科学省国際教育課は昨年8月、ALTの業務委託契約について直接雇用や派遣に切り替えるよう全国の自治体教委に通知。その直後の調査で、全国670教委が業務委託契約を締結しており、うち439教委は「見直しの予定はない」と回答した。同課は「各教委は労働局に相談して適切な対応を取ってほしい」としている。
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請負、派遣、非正規
様々な雇用形態を許し、
「安けりゃよかろう」の自治体経営者。
そうならざるを得なかった労働者達。
自己責任と言われて疲弊し、
低賃金で働く意欲さえ失う。
わが市では、登校拒否児童生徒の支援教員を
退職後の教師が再雇用、県内では児童クラブ、
保育園臨時職員、図書館などに、定年退職公務員が再雇用されている。
こういう状況も、なにかしら
ご指摘の問題と関連あるのではないだろうか。
Posted by: カモメのおばさん | April 17, 2010 09:15 PM