2010年・国家予算の特徴 備忘録
少し以前に作成したものだが、「議会と自治体」の2010年.3月号の特集「2010年度国家予算案 徹底分析」の備忘録
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以下、備忘録
2010年度国家予算案 徹底分析 「議会と自治体」 2010.3
【総論】
・自公政権の予算から、何が変わり、何がかわらなかったか
・先進国の中でもとりわけ落ち込みのひどい経済情勢のもとでの予算
◆予算案の骨格
・史上最高規模/一般会計規模、一般歳出、地方交付税、国債発行額(特殊事情除く)、その他収入の額
・税収は、85年の38.5兆円を下回る低さ
・二次補正予算/税収落ち込みの補てん、緊急経済対策(前倒し分含む)――予算案とあわせて検討が必要
◆予算案の特徴
①一定の前進面/生活保護の母子加算復活、高校授業料の実質無償化など
②後期高齢者医療制度の存続など、自公政権の転換という国民の願いから見て極めて不十分
③経済危機とくらしを守る点でも、極めて不十分
④軍事費、大企業・大資産家減税などの「聖域」にメスは入らず
⑤「聖域」温存の結果、巨額の国債発行と「埋蔵金」に依存する、その場しのぎ、展望のない予算
1.国民要求を反映した貴重な前進点
・国民の怒りによる自公政治退場、「構造改革」の競い合いから「対決」に転換したことが民主支持の土台
・関係団体の運動の広がりによる成果
①生活保護の母子加算復活(05-09年に段階的に廃止。09年度12月より復活)
②児童扶養手当が父子家庭に対しても支給(8月実施、12月支給予定)
③高校授業料無料化/特定扶養控除縮小とセット、私学への所得制限が当初より強化という問題はあるが
④子ども手当、コメ戸別所得補償は、選挙対策的な側面はあるが前進面
⑤肝炎対策基本法が成立と、基本法にそった治療費負担の軽減策
2.自公政治の根本的転換に踏み出さない予算案
・原因/「構造改革路線」と決別していない。軍事費・大企業・大資産家など「聖域」にしている。
◆後期高齢者医療の存続
・4年間存続、「制度改定の手間」という自公政権と同じ説明
・予算上は、二次補正に保険料軽減対策の継続。来年度保険料見直し14.2%増
・根本に、高齢者の医療費を抑制するという路線/00年11月、高齢者別立て医療創設の国会決議に賛成
◆派遣法改正も実質策送り
・雇用関係の予算案/雇用保険の加入要件を「6ヶ月以上雇用見込み」から「一ヶ月以上」に緩和、失業後一年間の医療保険料負担の軽減だけ
・失業手当手の全国延長給付に背を向ける
・派遣法改正の問題点/登録型の禁止はあるが、製造業の派遣は「常用雇用を除いて」と抜け穴―― 1年を超えて雇用される見込みがあれば「常用雇用」とみなされ、数ヶ月の期間契約の繰り返しでの派遣も可能。実施に3-5年の猶予期間
・根本に、大企業の横暴ときっぱり対決する姿勢がなく、「競争力を低下させる」との財界に主張に迎合
◆保育制度の規制緩和も推進
・認可保育所の新設予算はまったくなし
・大都市部の設置基準の緩和(詰め込みがすすむだけ)、私立保育所の運営負担金の一般財源化方向
・根本に、「官から民へ」という構造改革路線を推進する立場を否定していない
◆財源不足のもと「マニフェスト優先」のしわよせ
・障害者の負担軽減の予算/300億円で非課税世帯の利用料無理の概算要求に対し、医療をはずし107億円に
・生活保護、老齢加算は廃止されたまま。
・教育予算では、義務教育国庫負担金、国立大学運営費交付金、私学助成などが軒並み削減
・農業関係では、戸別補償の予算以外は大幅削減
・中小企業予算、金融対策が増えて総額増だが、中小企業庁所管の予算は削減に
◆マニフェスト重点項目も削減
①子ども手当―-住民税を含めて年少扶養控除の廃止(実施時期 所得税11年1月、住民税は12年度から)
・住民税の控除廃止は「マニフェスト違反」
・配偶者控除の廃止(次年度の検討)と23歳以上の「成年扶養控除」廃止の先送り―― 国民の怒りと運動
・10年度は、児童手当の地方負担と事業所負担を継続/「全額国費の説明と違う」と地方からの反発
・扶養控除の廃止による保険料など「雪だるま式」の負担増――「対策を打つ」と言うが詳細は不明
②高校授業料――特定扶養控除を縮減、私立高校分は所得制限を強化
・特定扶養控除(16-18歳)の上乗せ分廃止/マニフェストにはわざわざ「維持する」と明記
・公立高校分。都道府県が従来から実施している減免分(23万人、233億円)を交付金から除外
・従来からの免除世帯は「恩恵なし」、特別支援学校高等部、定時制・通信制などは授業料が低く「恩恵は少ない」―― 「特定扶養控除」の縮減により増税となるケースが発生/上乗せ支援策が必要
・私学 低所得者の上乗せ「年収500万まで10割り増し」が「250万まで10割、350万まで5割増し」に
・国への拡充要望とともに、県に対し従来の「高校生修学支援基金」の活用など上乗せ措置の要望を
③農家への戸別所得補償も生産費をまかなうには不十分
・全国一律の補償額――地域によって「生産コストがまかなえない」/貿易自由化の促進の懸念
3.景気対策としても重大な欠陥をもつ予算案
・名目GDP 07年515兆円→ 09年473兆円/ 要因は需要の減少 /ギャップ40兆円
・政府の「新成長戦略」/大きな需要ギャップを認めている/「新需要創造」を掲げ「環境・エネルギー」「健康(医療・介護)」などを強みを活かす、としているが具体策なし ―- 介護など潜在力をどう発揮するのか?
・二次補正も、エコカー減税、家電エコポイントなど需要の先食いの継続、住宅版エコポイントの追加程度
◆大企業の内部留保を経済の循環に還元させる必要
・需要減少の最大の要因/国民の所得減
雇用者報酬(賃金・報酬+雇主の社会保険負担) 97年7-9期280兆円→09年253兆円
・内部留保(利益剰余金、資本剰余金、引当金など)は、最近10年間で200兆円から400兆円へ
・「非正規から正社員があたりまえ」の雇用の流れによって、労働者・国民に還元する正常な循環を
・これまでの政府の対応 ~ エコカー減税、家電エコポイントなど需要の先食い
◆子ども手当でも家庭の傷は癒しきれない
・力不足~ 総務省「家計調査」(2010年1月)
勤労者世帯(二人以上)の平均年収 97年714万円→09年622万円と90年以降最低
・増税・負担増は、99年以降の11年間でサラリーマン4人世帯で23万円。
・合計115万円の可処分所得減―― 子ども手当2人・満額でも62万円。しかも、年少扶養控除廃止で、平均的サラリーマン4人家族で11万円増税。(配偶者控除廃止ならさらに18万円)
・子ども手当支給でも自公政治の傷の半分、子どものいない世帯はますます大変
◆大銀行には大盤振る舞いを継続
・預金保険機構への政府保証枠51兆円、銀行等保有株式取得機構への政府保証枠20兆円/自公政権の概算要求そのまま—預金保険機構向けの12兆円は「金融機能強化法」で健全なメガバンクに公的資金投入できるもの → 実際は、中小企業への貸出しは減っている。銀行等・・・は、実際は株価対策。実績は2848億円
4.軍事費と大企業・大資産家減税の「2つの聖域」を温存
・民主は、特別会計を含めた歳出の組み換え、無駄を削れば9.1兆円の財源はてでくると主張。しかし、実際の予算編成では、1-2兆円に留まる/ 2つの聖域があったから
◆補正予算凍結分は、10年度の財源にならず
・自公政権の概算要求にマニフェストの重点項目を上乗せしたため過去最高の95兆円規模に。
・麻生内閣の09年一次補正の見直しへ。執行停止で2.9兆円を確保したが、二次補正の財源に。
◆国民の注目をあつめた「事業仕分け」
・予算確保のために次に実施したのが「事業仕分け」/「構想日本」など「官の仕事を民間に回す」手法
・各省庁の概算要求から財務省が選定した「対象事業」を1項目1時間程度で審議
・「予算編成の公開」の点では一定の意味があったが、「効率性」だけを基準に判断し、現場の声を反映しないなど多くの問題点
◆仕分けの「成果」は一兆円に足りず
・3兆円を目標。39兆円と予算の一部だけを「仕分け」。結果は8432億円。対象外を追加しても9692億円
◆軍事費は逆に増加
・仕分けでの省庁別の削減額 農水省9%、国交省4.3%、経産省2.9%、防衛省0.4
・軍事費の予算案は162億円増 → 仕分けでの168億円、公務員給与削減540億円などもあり、本来は減となるはずなのに → 米軍再編経費が481億円も増額したから(米軍関連予算・過去最高の3370億円)
・民主/国家公務員の人件費2割削減 → 半分をしめる自衛隊分は軍事費にまわり、財源とならない。
◆公共事業大幅減になったが
・5兆7731億円、18.3%減。「経済危機対応・地域活性化予備費」1兆円が公共事業に充てられても4.3%減
・特徴は「大型事業」への集中 港湾25%減だが、スーパー中継港は2%だけ
・地方への補助金は大幅にカット、「社会資本整備総合交付金」2.2兆円、「農山漁村地域整備交付金」1500億円の2つの新設交付金に移行/公共事業関係の4割、どのように事業に配分されるか未知数
・歳出面の浪費温存—政党交付金319億、内閣官房機密費14.6兆円/自公政権と変化なし
◆大企業・大資産家減税も「聖域」に
・98年以降の相次ぐ減税 最高時は年8兆円。09年までの合計50兆円の減税
・民主 「租税特別措置の抜本見直し」で2.7兆円の財源確保→ 結局、ほとんどが温存
研究開発減税の温存、証券優遇税制は検討対象にならず。
一方、住宅取得の贈与税の非課税は500万円から1500万円に拡大する「金持ち減税」
◆不公平税制の温存で問われる新政権の姿勢
・アメリカもイギリスも富裕層への課税を強化
米/所得税の最高税率35→39.5 株式利益15→20 英/所得税40→50、株式配当32.5→42.5%
・日本はまったくなし。証券優遇税制は、03年より住民税をふくめ10%のまま
・所得1億円をこえると税負担率が減少する「逆進性」(税制改革大綱・付属資料)
→政府解説は「累進性を喪失」としながらも「所得控除が相対的に高所得に有利」とピント外れな指摘
→金融所得や最高税率の課税の低さではなく「控除から手当」という「都合」のよい「解釈」
・「労働なき富」を優遇し続けるのか、問われているのは首相自身の政治姿勢
5.巨額の国債と「埋蔵金」に依存した予算案
・予算案 44.3兆円の国債、巨額の埋蔵金に依存
◆長期国債残高の対GDP比は180%に
・44兆円/前年当初予算比11兆円増。公債依存度48%。
・国・地方の長期国債850兆円、180%。07年度末145%なので、3年で35%も悪化
◆「経済危機対応・地域活性化予備費」と「非特定議決国庫債務負担行為」/ともに1兆円
・「暫定税率」を維持した際に、首相が、雇用・地域活性化を目的に「2兆円の新たな措置」としたもの
・自公政権の「経済緊急対応予備費」に、民主党は「憲法の趣旨の逸脱」「断固容認できない」と主張していたものと同様の措置
・使途を限定しない「国庫・・・行為」/普天間基地の移設先が決まった場合に活用すると言われている
→予算だけを白紙委任できめ、移転先をきめたら国会審議なしで使う狙いとすれば重大な問題
◆「埋蔵金」は底をつく寸前
・その他収入10.6兆円、一度きりのお金で帳尻あわせ
・財政投融資特別会計 90年代半ばまでは剰余金はわずか。超低利政策のもと低下した調達金利と以前の高い貸付金利の差でここ10年ほどは毎年数兆円の剰余金が発生。05年度末に20兆円超える規模に
08年度より使用、09・10年度は、基礎年金国庫負担の引き上げに充当
残高4.3兆円にプラスし09年度発生する見込み額1.4兆円も繰り入れ。これで底をつく。
・外国為替資金特別会計 為替介入で得たドル資金を米国債で運用。調達金利の利ざやで数兆円の年剰余金
→10年度は、全額繰り入れし、10年度に生じる見込み額の一部3500億円を「前借」で繰り入れ
・「埋蔵金」と言われるが、隠されたものではなく、過去何年にもわたり「露天掘り」し使われてきた。
・公益法人などの基金の返還も1回使えばなくなるもの。
◆いまこそ「聖域」にメスを入れ、政治の軸足の抜本的な転換を
・11年度の予算編成はさらに厳しくなる。「埋蔵金」なし、子ども手当の満額支給など
・財務省「後年度歳出・歳入への影響試算」 国債発行 11年50兆円超、13年55.3兆円
・このままでは新たな庶民増税や消費税増税の動きが出てくる。
無駄を削る責任者の仙石国家戦略・行政刷新相(当時)が「消費税増税の議論はさけられない」
・消費税増税を許さず、社会保障の財源確保は、「2つの聖域」にメスを入れてことが不可欠。
【税 制】
①所得税、住民税—子育て世代は増税に
◆年少扶養控除から、子ども手当へ、負担はどうなるか
・所得税の税率 5%~40% 廃止による増税額は、最大で15.2万円
・住民税は10%、一律3.3万円の増税
・廃止の影響は、所得税が11年1月から。住民税は12年6月から増税
◆子育て世代への影響は複雑
・収入700万円の世帯で、もっとも恩恵が少ない
◆負担増もある特定扶養控除縮小
・定時制、通信制など学費が安い場合、公立校で授業料減免をうけている場合(約23万人)
・通学も就労もしていない場合(1万6千人)
・「大綱」では「適切な対応を検討する」と書かれているだけ。具体化なし
◆所得税・住民税の増税で、他制度でも負担増になるケースも
・保育料/所得税額で区分 など・・
・「大綱」では「負担基準の見直し、経過措置の導入など適切な措置を講じる」/
・経過措置は最終的に負担増。保育料は、国が基準を決めても最終判断は自治体
②「貯蓄から投資へ」を踏襲、温存される証券優遇税制
・証券優遇税制 法定税率20%の分離課税とし、さらに軽減措置として10%に。
・11年末まで継続。その後「非課税口座制度」を新設
・非課税口座制度 ―― 毎年・新規投資額100万円まで、三年で最大300万円まで株式投資について、配当・譲渡益を最大10年間非課税とするもの /「貯蓄から投資」の流れは変わらず
・株式投資が広がらない理由/業界が信用できない、企業の将来性への不安
・預貯金にこそ優遇口座を設けるべき/ そして多数の外国で実施している「総合課税」とすべき
③財界・大企業の優遇は温存―― 法人課税関係
・マニフェストに掲げていた中小企業減税は見送り。財界の要望は「大綱」の中に
・研究開発減税の特例措置 二年間延長 /大企業中心。しかも控除の上限を超えインセンティブが働かない
・1人オーナー会社の役員給与に関する損金不算入措置は廃止に。
・資産家優遇の住宅優遇措置 現行500万円を10年度中1500万、11年中1000万に。
所得2000万円以下。1500万円なら525万円の減税。
相続税清算課税の特別控除と併用可能、10年度中は4000万円まで非課税
・ガソリン税等の暫定税率は維持、11年度改正へ結論を先延ばし
自動車重量税のみ若干引き下げ。/地球温暖化対策の税は「23年実施に向け成案を得るべく検討」
・たばこ 一箱100円アップ
・所得税の生命保険控除の改定/生命保険料5万、年金保険料5万→生命、年金、介護医療保険料 各4万へ
・先送りされた重要課題
昨年の税制改正法の附則104条…2011までに消費税増税法案を国会提出/ 附則104条の修正を
【公共事業】
・7兆701億円から、5兆7731億円へ、18.3%減
・直轄ダム12.2%減/直轄高速は25.1%減、原則新規なし、事業箇所2割減/空港20.8%減/校本24.6%減
しかし、胆沢ダムなど本体着工のダム、東京外環道路、羽田空港再拡張、スーパー中継港など継続
→旧政権のつくった国土形成計画、広域的地域計画が見直されてないから
・ゲリラ豪雨など水害土砂災害対策418億円(1.04倍)、社会ストックの老朽化対策2189億円(1.18倍)、高齢者・子育て世帯に対応した住宅拡充399億円(1.40倍)
・本格的な公共事業の転換を/ 大型事業から小規模事業へ、新規建設から維持管理へ、地域循環へ
①補助金などをひとくくりに
・地方への補助金を「社会資本整備総合交付金」(2.2兆円)へ統合
→ 地方道路整備臨時交付金、まちづくり交付金、地域住宅交付金などと下水道などの補助金を一括するもの
→ 一方、空港、高規格道路、ダム、大型岸壁は、補助金として残す
・新型交付金は「活力創出基盤整備」9485億円、「水の安全・安心基盤整備」6466億円、「市街地整備」3035億円、「地域住宅支援」3014億円の4分野。3-5年の計画を策定し交付金をうける。交付率は現行事業と同等。対応する事業がない場合は1/2. /地方の単独事業など小規模事業につかえるかは不明
・国直轄事業負担金は廃止へ 総額は1兆円。2015年までに廃止。2011年度に維持管理分を廃止。
・道路整備、河川改修では、費用便益分析の厳格な評価、車線数・歩道の見直しでコスト削減を図る
②道路事業
・1兆6645億円から1兆2464億円、25.1%減。直轄事業は「開通時期が近い、事業年数が短いものを優先」し約2割削減。補助事業は、高規格道路をのぞき新「交付金」に統合
・「高速道路のあり方を抜本的に議論する検討会」を設置。国幹会議を廃止
しかし、自公政権のもとで策定された高速道路計画が入った国土形成計画の見直しはない。
・「見直し」に反す動き… 全国の高速道路網の空白地帯を解消する」として、高速道路会社に税金を渡して建設を推進する法案が検討されている。
③ダム・河川整備
・1498億円から1316億円、12.2%減。直轄の河川堤防整備など河川改修費は997億円、11.4%増
・ダム143事業のうち完成・中止以外の136事業を「検証」(89)と「継続」(47)に区分
・ダムの総点検を… 農水省190ダムの点検では水漏れ、低利用が44ダムで発覚。土砂堆積・海岸侵食、老朽化・貯水機能の低下。排砂作業や撤去のダムも。/全国2887ダムの総点検と撤去を含む抜本見直しが必要
③都市再生・まちづくり
・1兆7899億円から3023億円に削減。新交付金に統合
・民間都市開発機構の補助金、都市再生機構への出資金、都市再生ファンドの基金は、予算計上見送り、国庫返納とされたが、PFIや「定期借家制度の推進など、小泉流「都市再生」は転換されたといえない。
【交通・運輸】
①総合的な交通体系確立 「交通基本法」制定へ
・「移動の権利」を保障する交通基本法の制定をめざす運動が活発化/2011年度の通常国会に
~「国民の足を確保する交通基本権がポイント。モーダルシフトなど環境にもプラス」(前原国交大臣)
・自公政治でズタズタにされた「国民の足」
路線バス/02年から5年間で4400キロ廃止。鉄道/2000年から10年で30路線635キロが廃止
・しかし、地域公共交通の活性化・再生の支援は231億円で9%マイナス。バス路線維持も68億と7億円減
②産業中心から、国民生活中心への転換を
・過大投資の空港、港湾は見直すが、「国際競争力強化」を掲げるアジア・ゲートウェイ構想など大都市圏物流拠点を重点整備する方向は変えてない。
・いっそうの選択と重点化/羽田空港ハブ化、ハイパー中継港。整備新幹線は前年と同じ706億円
◆高速道路の無料化
・6000億円を概算要求したが、1000億円に縮小し「社会的実験」へ。
・社会実験は、渋滞をおこさない、他の交通機関に影響が少ない箇所を選定
・休日千円割引を廃止し、料金上限制へ。普通車2千円、軽千円、トラック5千円、ETC車以外にも適用
・問題の根本は、モータリゼーション推進など自民党政治によって歪められた交通政策
◆空港
・羽田ハブ化に集中 /発着が30万回から24時間の41万回に。1分17秒に1機が発着。安全と騒音の問題
・関西3空港問題。根本は巨額赤字の関空をどうするか。民活、過大需要予測による拡張工事
・地方空港 / 公共交通として存続させる必要のある空港、廃止も含め検討する空港など見直しを
◆港湾
・事業費ベースで36%減。
・3つのスーパー中継港整備から1か2港のハイパー中継港に/水深14mの国際バルク戦略港湾の整備
・新規の直轄事業 重港湾103港から40港に絞込み
・既存の港湾の活用を ―― 釜山などアジアのハブ港湾を利用すると直接地方都市への貨物輸送が可能となる。三大都市圏の港湾に荷揚げされた荷物をトラックで郵送する必要がなくなる。/「競争」だけでなく、「協調」も含めた物流戦略が求められる。
◆整備新幹線
・問題は、平行在来線の経営形態 /JRから分離するとした旧政権のもと経営困難に。自治体をも直撃
・新政権は、従来の方針を白紙にもどし、経営分離は沿線自治体の同意が必要、経営分離後もできるかぎりの支援をJRに求め、貨物への影響を検証するなどの条件とする新方針を決定。
【住宅】
◆貧困拡大に応じた本格的居住保障対策なし
・予算は、2016億円、68㌫減、新「交付金」の「地域住宅支援」3014億円を加えても、1200億円、2割減。
◆重点施策「住宅セーフネットの充実」は・・
・離職による住宅喪失者対策(雇用促進住宅) 6ヶ月~2年間の入居契約できる通知(昨年11月)
・公営住宅 /建設費に対する国の補助がなくなり、地域住宅交付金となり自治体任せに。
一方で、入居の基準は、地方分権改革推進計画では参酌すべき基準。今国会に法案
→ 自治体の取り組みで大きな差がでる
・規制改革会議の動向 「定期借家契約」「収入超過の割増家賃は市場家賃水準以上」が住み替え促進に有効
→「追い出し」の強化、居住の不安定の促進。憲法25条に反するもの
・高齢者等居住安定化促進事業
既存住宅の改良・増築による高齢者生活支援施設(相談・交流スペース、介護デイサービスなど)、障害者福祉施設(グループホーム、授産施設)、子育て支援施設(保育所など)の整備費を、国による緊急的な直接補助の対象とする事業。補助率45/100
「地域優良賃貸住宅」(自治体が一定の基準を満たす民間賃貸住宅を認定し、整備費と家賃減額費用に補助を交付する)も、公的賃貸住宅と同様に対象とする。
◆都市再生機構
・規制改革会議/定期借家契約の幅広い導入を要求
・出資金・補給金・交付金を791億からゼロに。別途422億円を補助金に。打ち切られる危険も
◆「追い出し屋」規制の対策充実/住宅ローン返済困難者対策(元金据え置き中の金利引下げ・3年)
【社会保障】
・27兆793億円で、2兆4270億円、9.8%増/子ども手当1.4兆円と自然増1兆円
・社会保障抑制の傷をすみかやに戻する点では、極めて不十分な予算 後期医療、診療報酬、障害福祉
①医療
◆後期医療制度―― 二重の後退
・廃止を「4年」先送り
・保険料アップ回避(国庫負担を行う10/26事務連絡)に国費投入を実施せず
自公政治とおなじ、剰余金の活用、財政安定化基金(国、県、広域連合)の取り崩しだけ―- 高齢者の負担、自治体の公費の活用で、あらたな財源措置なし。
◆診療報酬――実質的なゼロ改定
・02-08年の改定で7.73%、2.6兆円削減で「医療崩壊」。報酬大幅増は国民的要求
・予算案 0.19%、表に出てない薬価削減600億円を加味すると実質100億、0.027%と「ゼロ改定」
・急性期・救急分野の「重点配分」の一方で、診療所再診料引き下げ、療養病床の入院料引き下げ、看護師配置が少ない中小病院の入院基本料の引き下げ、後期高齢者入院基本料を全年制に拡大ーー 開業医と勤務医、急性期と慢性期を「対立」させ、医療崩壊をすすめる改定。
◆地域医療にかかわる事業費・補助金の削減
・「医師確保・医療人材確保対策」471億→370億円。内訳は「産科・小児科宿日直研修事業」「医師不足地域における臨床研修の実施」、「女性医師等就労」に関する2事業の削減。「医師交代勤務導入促進事業」廃止
・「救急医療体制の充実」214億→175億円。うち「管制塔機能を担う救急医療機関支援」は49億、95%減
・「OBが在籍する公益法人の補助金2割減」「五代以上OBが・・理事長、理事などについてる法人の補助金は原則廃止」(長妻大臣)――国立病院、労災病院への補助金、医師会の医師派遣事業・産業医大の医師養成にかかわる予算の大幅減額に。
―― 診療報酬増は見掛け倒し、一方で事業費・補助金削減/その影響の検証が必要
◆高すぎる国保料(税)と国保証と利上げ
・保険料滞納445万世帯(09年6月)、資格書世帯は31万世帯
・実質の無保険は100万人規模/短期証の留置き、リストラや雇い主の「保険料逃れ」で国保未加入の人
・部分的改善/失業による国保未加入となった人の国保料減免への補助(厚労省通達09/5/29)
非自発的失業の場合、算定基礎を。給与所得を3割で計算。
・「7、5、2割減免」に応益割の割合(45-55%)の要件を廃止
・短期証の発行を高校生世代以下に拡大、有効期間も6ヶ月に(法案提出予定)
・国保の負担限度額59万→63万円に/年収400万台で限度額に。事実上庶民増税
・国保の広域化の押し出し /新地域保険制度の案 65歳以上はすべて国保、都道府県単位で運営
◆協会けんぽの財政窮迫
・09年6000億円の赤字――国庫負担削減、後期医療の支援金の負担増、中小企業の経営難・労働者の賃金カットによる保険料収入減が、主な原因
・自公政権 92年以来、法律で16.4~20%の範囲とされている国庫負担率を「暫定措置」とし13%に削減→10年度予算で16.4%に戻したことは重要。しかし、一方で後期医療の支援金にかかわる国庫補助を大幅に減額(910億円減)したため、実質増額は少しに。
②介護
◆介護保険・二号保険料は大幅値上げ
・給付費7兆3千億円(5%増)/国庫負担は在宅・地域密着型の20%、施設の15%で1兆3002億円。75歳以上の高齢者の多い自治体への調整交付金2652億円とあわせ、給付費に占め国庫負担は22.8%
・40-64才までの二号保険者の保険料は毎年改定 協会けんぽでは1.19%→1.50%に大幅増(労使折半)
◆「介護予防事業」は今後見直し
・「事業仕分け」で効果が明確でない、と指摘され、今年度から検証に。廃止の対象になる危険
→ 05年まで全額公費での保健・福祉事業が、介護保険の枠に押し込められ、給付費の3%内の上限設定したもの。06年の大改悪で公費負担を削減したうえ「費用対効果」を「理由」に廃止することは許されない
◆介護労働者の処遇改善、人材確保
・自公政権の延長でしかない/「介護職員処遇改善交付金」 2012年3月まで。1.5万円増を目標
→ 申請率8割、期限後の措置が明確でない、事務、看護師、調理員は対象外/ 恒久的施策が必要
◆特養ホーム整備は、都道府県の基金だのみ
・待機者 42万人(09年12月)、老人施設「たまゆら」の火災死亡事故など緊急の課題
・「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」(ハード)は、387億→263億と大幅削減
小規模特養ホーム(29人以下)、小規模多機能施設、介護予防拠点、生活支援ハウスの整備が対象
→ 施設内保育所、新型の軽費老人ホーム(都市型)、スプリンクラー設置に重点化したため
・都道府県の気本整備は、一次補正の「基金」3年間で2200億円の活用/前倒しだが一定の評価
・国がおしつけた低い整備基準は考慮しなくてよい(ベッド数、要介護Ⅱの41%→37%)/課長会議09.5.28
→09年一次補正の特養ホームの開設準備の助成、定期借地権の一時金への助成と基金の活用をあわせ「基盤整備」をすすめることが大事。
◆市町村地域包括ケアはじまる
・地域包括支援センターに担当者を配置する「支援ネットワーク強化推進事業」 50市町村のみ
◆利用者負担軽減制度は減額
・特養ホームなど社会福祉法人が提供する介護への法人による負担軽減措置/06年43億→10年19億に
◆認知症対策、訪問介護支援なども減額 /若年性認知症自立支援、訪問看護の支援事業も減額
③障害者(難病対策)
◆障害者施策の転換にむけた動き
・政府内に「障がい者制度改革推進本部」設置。5年間に障害者権利条約の締結にむけ国内法を整備、夏を目途に基本方針をまとめる
・予算は 1兆1202億円で、1266億円、12.7%増
◆低所得者の利用料負担、補装具負担を無料に
・市町村税非課税の低所得者を無料化 107億円
・障害福祉サービス報酬は、5.1%の改定。自立支援法にもとづく「体系サービス」への移行は45.5%
・福祉介護人材の処遇改善事業(前述、介護と同じ仕組み) 申請は69%に留まる
◆地域生活支援事業は440億円、前年同額
◆障害福祉サービス提供体制の整備
・就労支援、地域移行支援の充実を図るため100億円、必要な改修をする事業に24億円
◆障害者虐待防止等に関する施策 4.7億円 /都道府県への総合補助金、新規事業
◆肝炎、難病対策
④年金
⑤生活保護 国庫負担を89年以前の80%にもどすことが急務
・08年114.8万世帯から、09年11月に129.3万世帯に。国庫負担は2兆2006億円計上
・母子加算は09年12月より復活したが、老齢加算は復活せず
・ひとり親家庭の支援 児童扶養手当を父子家庭に(50億円、8月施行、12月に8-11月分支給)
20万世帯の約半分が対象となる見込み
【子育て・保育】
・「子ども・子育てビジョン」閣議決定(1/29)――ビジョンへの意見募集312件のうち保育・放課後対策が91件ともっとも多く、働き方、子ども手当が、各36件。世論調査でも「保育所整備」「職場環境改善」が高い
・雇用均等・児童家庭局 2兆2861億円で132.9%増、子ども手当が中心
①子育て支援
◆庶民増税に火種を残した子ども手当
◆ひとり親家庭への支援
◆妊娠、出産、母子保健対策
・母子保健医療対策317億円/ 出産育児一時金の38万→42万円引き上げの継続/ 不妊治療の経済的負担軽減(1回15万、年二回まで。80億円)/小児ガンなど特定疾患治療確立147億円
・仕事と家庭の両立98億円/ 育児・介護休業法の改正にあわせ、短時間勤務制度の定着への助成、事業内保育所を設置する中小企業への助成引上げ(1/2→2/3)、妊娠・出産を理由とする不利益扱いの対応強化
◆地域の子育て支援
・415億円と447億円から後退
・一時預かり事業(ビジョン2014まで 348万人→2952万人) 市町村のニーズ調査を元に算定―― 制度の改善と目標値を保障する財権措置を求める運動を
◆児童虐待への対応
②保育
・予算は、4242億円で、183億円増。民間保育は3534億円、受け入れ5万人増を見込み
・保育所運営費 毎月1日の人数×保育単価(低年齢ほど高い)で支給。途中入所年齢も4月の時点で換算
・保育料の基準に第八階層区分を。しかし、基準が実態からかけはなれ高く設定されている。
多くの自治体で財政負担/ 渋谷区では保育料無料化条例(年収400万円以下)
・家庭的保育事業 5千人→1万人
・安心子ども基金 二次補正で2千万円積み増し/ 分園設置、家庭的保育の場所整備の補助引上げ
→2010分までの算定。その後は未定。
・延長保育事業 199億円、一版会計から事業主拠出金事業財源に振り替え
→国・市町村1/2ずつから、国、都道府県、市町村が1/3の負担に
・病児・病後児保育事業 436ヶ所増の1936ヶ所。35億円
③学童保育
・18475ヶ所、80万1390人(09/5/1)/一年間で、980ヶ所だが、1万4千人増に留まる
・運営費の増額。274億円と40億円増。 /40人規模で増額、71人以上は補助は廃止せず減額(65.5万円)。開設日数250日未満の補助金も廃止の予定だったが、土曜のニーズのないところは継続
・施設整備は減額。38億円と19億円減。 「安心子ども基金」が活用できるが11年以降は未定
・放課後子ども教室。46億円で8億円減。「学校・地域連携協力推進事業」の10事業に組み込まれる
【雇用・労働】
①二次補正を含む雇用対策
・補正/新卒者支援、雇用調整助成金の要件緩和 /介護・農林・環境・エネルギー・観光・社会的企業など成長分野の「緊急雇用創造プログラム」など
・予算 3262億円。1331億円増で、その92.2%が失業給付等への国庫負担金
・雇用関係予算は、国庫負担金以外の予算は、自公政権下で2割以下に抑制。その構造は変わらず
10年度予算、国庫負担金以外は、77億円も削減。割合は17.1%から7.8%に低下
②雇用保険制度改正
・失業者のうち77%が失業給付をうけとれない/ ILOの指摘
・09.3 適用基準を6ヶ月に短縮、給付日数を最大60日延長したが、09.6-12月で新たに93万人が給付切れ
・予算/適用基準を31日以上に緩和 →あらたに255万人が対象/しかし、被保険者期間が、離職前の2年間で12ヶ月(倒産・解雇は1年間で6ヶ月)と離職理由による差別は解消されず。
・国庫負担を25%から、13.7%に低下された暫定措置(07年~)は廃止/ただし安定財源確保が前提
・雇用調整助成金 毎月8万を超える事業所、200万人以上の雇用維持に
・約4兆円になる積立金の活用、全国延長給付など給付日数、日額の改善、離職理由による差別廃止を
③失業・困窮者支援
・麻生政権/雇用保険抜本改正に背をむけ、生活保護によらない自立策とし「第二のセーフティネット」を創設
・基本はこの制度の継続/しかし、ワンストップサービスディは、ホームレス対策ではなく生活保護申請は受理しないため、必要とする支援を受けられなかった人が数多く存在
・ハローワークの正規職員の減 10年度147人
・基礎訓練と訓練・生活支援給付金 11年度から恒久化の意向
④雇用創出事業
◆新卒者対策
・就職ジョブサポーター 530→928人に増(二次補正)
・新卒者体験雇用事業(10年度限り)、1ヶ月の体験雇用、月8万円を雇用主に。
・未就業者向けの6ヶ月訓練コース 世帯収入300万円以下の未就業卒業者に月10万円
◆緊急雇用創出対策
・緊急雇用(人件費7割→5割)、ふるさと再生事業の前倒し、要件緩和
・地域人材育成事業(重点分野+都道府県指定4事業) 期間1年、人件費割合1/2
◆労働者派遣法の実効ある改正を 専門26業務、製造業の「常用型」の例外規定、3-5年後の実施
【中小企業】
・全商連婦人部実態調査 年収100万未満23%、100-200万未満21%、生活も商売もなりたたない状況
・民主政策集 「予算三倍増」→ わずか21億円増。一般歳出に占める割合は、0.36%に低下
①金融対策 「景気対応緊急保証」の創設
・緊急保証(08/10~) 93万件、17兆円の実績。対象業種は545→793に拡大
「景気対応緊急保証の創設」(09.12月) 全業種対象、2010年度末に延長、売上げ高2年前比など追加
・中小企業金融円滑化法(09.12) 返済条件変更の申出に積極的に対応する努力義務、10年度末まで時限立法
→ 「金融検査マニュアル」の改定/ リスク管理から、適切な経営相談など社会的責任の発揮に転換
→ 「新規融資がうけられないのでは」など懸念の払拭、きめ細かい対応に
②大幅増のものづくり基盤の技術予算
・製造業全体の付加価値額108兆円の53%が中小企業
・廃業や倒産は「集積の強み」が失われる事態に。機械リース代補助、休業補償など「ものづくりの腕」を守りながら営業が継続できる特段の措置が必要
・「戦略的基盤技術高度化支援事業」150.1億円と96億円増
特定基盤技術に指定されている業種について 、法認定をうけた中小企業への技術開発支援
→ 一方、「ものづくり中小企業製品開発等支援事業」750億円(一次補正)が、「事業仕分け」で打ち切りに
一次募集で5倍、二次募集で8倍の人気の対策だったが「バラマキ」と判定
→ ものづくりは多種多様な技術の集積の力… 支援対象の限定は、展望を示すものではない
*大田区「ものづくり経営革新緊急支援事業」試作品の開発・販売拡大の支援 全国初の町工場への直接支援
③まちづくり・商店街
・まちづくり三法改定(06年)1万平米以上しか大型店を規制せず、しかも都道府県が許可すれば可能
→ 大型店・まちづくりアセスメントのルールが必要
・地域商店街活性化法(8月施行) 商店街などのまちづくりの取組みに補助率をかさ上げ
→19計画認定。中高年にやさしい街づくり、チャレンジショップ、情報発信拠点、LEDと太陽光導入など
・来年度予算 中活法、その他商店街活力向上事業・・・2割減
④下請取引の適正化
・下請予算対策費7.7億円(前年7.5億円) 都道府県に設置した「下請けかけこみ寺」の運営費
・強い権限を有する専任の下請け代金検査官の大幅増が必要 公取委5人増の51人、中小企業庁18人増135人
⑤新事業活動支援
・異分野の中小企業の連携、地域活性化を支援する「新事業活動促進支援援助金」――新事業活動促進法、農商工連携促進法、地域資源活用促進法などの一本化。 60.2億円→49億円
・JAPANブランドは 6億増の18.1億円
⑥事業再生・承継支援
◆百ヶ所の中小企業応援センター
・新規「中小企業経営支援体制連携強化事業」40.2億円 税理士、公認会計士などで解決できない専門的な相談に全国100ヶ所の「応援センター」から専門人材を派遣 → 従来の全国300ヶ所の「地域力連携拠点」が「事業仕分け」で無駄と判断され、新規事業として特化
◆中小企業再生支援協議会
・各都道府県に、アドバイスのための協議会を設置 4.7億円増の50.1億円。14.5千円の雇用効果
・2010年1月 中小企業庁「中小企業憲章に関する研究会」設置、
【農林漁業・食の安全】
・予算 2兆4571億円と4.2%減、34年ぶりの低予算 公共事業費は65.9%、予算の26.7%と4分の1、非公共事業予算は73.2%と、公共事業中心からの「転換の一歩」となったもの
《 農業 》
①戸別補償制度導入のモデル事業を実施
・マニフェスト「『戸別所得補償制度』の創設により、農業を再生、食料自給率を向上」、「畜産・酪農業・漁業に対する所得補償と林業に対する直接支払い制度の導入を進めます」/2010年度は調査、モデル事業
・予算 5618億円 米戸別所得補償制度モデル事業3371億円、水田利活用自給力向上事業2167億円など
◆ 生産調整に加わった、出荷・販売実績のある農家に対象
・10アールあたり1.5万円を固定的に支給
標準的な生産価格(過去7年の中庸5年平均)- 標準的な販売価格(過去三年平均の差
変動部分は、販売価格が標準的販売価格)を下回った場合、差額を支給
・生産価格は、家族労働費を8割で算定したもの
◆水田利活用自給力向上事業
・麦、大豆、米粉用米、飼料用米などの戦略作物 主食用米並の所得確保として、10aで3.5万円
・新規需要米(米粉用、飼料用、バイオ燃料、WCS用稲) 8万円、
・そば、なたね、加工用米 2万円 / その他作物 1万円 /二毛作で1.5万円
・自民党農政の減反政策の産地確立交付金は廃止に ―― 転作作物ごとの支給単価は柔軟に設定されていたので、「水田利活用」で大幅に低下となった。よって「激変緩和措置」が講ぜられた。
・激変緩和措置/ 単価設定の弾力的運用、激変緩和調整枠で構成
・自民時代の経営所得安定対策(品目横断・・・)は、10年度に限り上乗せ措置される
◆問題は、これで経営が守れるか
・09年度米は対象外 /価格暴落対策がない。政府米買入れを否定(批判で10万トン?だけ購入)
・日米FTAによる米価暴落が前提とした制度設計/ 成長戦力で検討(共同通信)
②歳出削減のための事業仕分けの影響
・農道整備事業および田園整備事業 新規事業はなし。継続事業は新「交付金」で対応
・里山エリア再生交付金も同様
・有機農業 生活環境総合対策事業、産地収益力向上支援事業で、正誤
・森林・林業・木材産業づくり交付金の廃止5事業は、一次補正の「再生事業」で対応
・かんがい排水事業は、約5割カットの138億円
・「自治体判断」― 農村集落排水事業は、新「交付金」に統合/ 耕作放棄地再生利用緊急対策は、予算見送り「基金」で対応 /農地有効利用生産向上対策事業は、国の事業として廃止
・農業共済事務費負担金は、1/3削減に強い反対の声で、8%減に。
③中山間地直接支払い制度は5年間継続
・事務費22%減以外は、予算どおりの265億円で、30億2800万円増
・飛び地や小団地等の協定取組み推進のため1ha未満の団地も対象に。/小規模・高齢化に対応するため「水田10a当たり4500円、畑1800円」の加算を新設
・農地・水・環境保全向上対策―― 本体12%減だが、基金の活用で必要額272億円を確保。
《 森林・林業 》
・2873億7500万円で、前年比75.9%と3/4に。公共事業は、72.7%
・森林・林業・木材産業づくり交付金(71億)は、10億円に。間伐、路網整備が対象外に
→ 間伐、路網整備は、「森林整備事業」(1181億円)、や「林業再生事業」「きめ細交付金」で対応
・緑の雇用担い手対策事業(90.5億、93.4%)
・国産材利用拡大総合対策事業(15.54億円、484%)唯一予算が増額
《 水産 》
・1818億6700万円(77%)で、543億円減。公共事業は843億円(64.5%)…新「交付金」の影響がある。
・注目すべき内容/ 燃油・養殖用配合飼料の価格高騰対策(約20億円)の創設… 業者と国が一対一で負担し、資金を積み立て、当該3ヶ月の平均原油価格が直前の2年間の価格の115%を越えた部分を補償
・新規就業・新規参入対策 長期研修や水産高校生の現場実習の支援 月29.4万円を1-2年支給、400人
《 食の安全・安心 》
【教育・科学・文化・スポーツ】
・文教関係は、4兆2419億円と「過去30年で最高の伸び率」/事業仕分けで科学、文化、スポーツ予算の削減
《 教育 》
◆高等学校の授業料無料化は大きな前進
・3933億円。公立学校は不徴収、私学は、118800万円(低所得者は割増)を支給
・既存の都道府県の減免分は予算からはずす。留年分、再入額分は対象外。
→ 2/25 国会で「都道府県で格差があり検討する」との答弁
◆特定扶養控除上乗せ廃止
・16歳以上~23歳未満 所得税38万、住民税33万の上乗せ控除分を廃止
・全日制より安い授業料の生徒、免除制度を受けている家庭は負担増の可能性。未就労・未就学で負担増だけ
・影響は、所得税2011年1月、住民税12年6月より
◆公立小学校の教員配置、定数増
・給与費の1/3を負担する国庫負担金 1兆5938億円で545億減。教員定数は4200人増
・定数増は、理科など少人数学級2052人、特別支援教育の通級指導1418人、センター機能充実313人など・・・
生徒数減では3900人で、全体として300人の増加/差し引き増は7年ぶり
→ すべての都道府県で実施されている少人数学級を、国の制度に。行革推進法の廃止を
・負担金減の要因/給与改定、教員特別手当(2.2%→1.5%)、調整額(1.5%→1.25%)の削減
・免許更新制 2億4600万円で7億9500万円の大幅減/ 見直しまでは現行制度 2010度の実施
◆全国学力テスト ―― 規模縮小し実施
・33億1700万円で、24億6300万円減。抽出率は、加重平均で3割 /希望も含め7割参加
・抽出規模の大きさなど本質は改善されず。また希望参加の「公開は自治体の判断」と開示危険の拡大
・放課後子ども教室、スクールカウンセラーの配置など10の事業は「学校地域連携協力推進事業」
131億円と2億円減/ 学校地域支援本部(3400→1620)、放課後子ども教室(1万5千→9978)、家庭教育支援基盤形成の箇所(1800→900)と削減。スクールカウンセラー(3650校→1万校)、スクールソーシャルワーカー(1040人→1056人)と増、道徳教育は、心のノートの配布取りやめ(自治体の独自印刷に補助)など7億616億円で6億2965万円減
◆学校耐震化に遅れる
・5000棟の概算要求から、授業料無償化の予算確保で2200棟に。
◆子どもの夢基金は国庫返納
・子どもの読書活動、体験活動を行うNPOなど民間団体へ助成を行う基金は、事業仕分けで国庫返納に。
◆大学予算 ―― 学費減免ひろがる
・国立大学予算(運営交付金) 1兆1585億円で110億円減/附属病院の設備で二次補正の前倒し82億円を含めると0.2%減で、自公政権下の毎年1%減は撤回というが、
・一般的軽費の「臨時的減額」として110億円。04年度から720億円減額にさらに追加。条件悪化は必至
・今年4月から第二期の中期目標・計画の期間/ 新たな運営交付金の算定ルールは近日中に策定
・授業料の減免を拡充した「交付金の算定」
学生の8.9%、5万900人→ 9.4%、5万5100人へ拡充。
・私立大学 助成3221億8200万円で4億円増。骨太06で毎年1%削減が明記されていこう初の増加
→ 地方中小規模大学への単価の増額。/授業料減免事業等支援軽費を倍増し40億円。
・奨学金 貸与人数を3万5千人増し118万人。有利子3万増で83万4千人、無利子5千増の34万9千人
→返済猶予の制度に加え、毎月の返済額を1/2に減額する制度を新設(年収300万円、適用期間10年)
《 文化・スポーツ。科学技術 》
◆文化 過去最高だが助成は縮減
・芸術重点支援事業は、約4億円減の46億円、地域の芸術拠点形成事業、伝統文化子ども教室は2-3年で廃止
◆スポーツ 身近な条件整備は削減
・地域のスポーツ施設の整備は、5億6700万円で、3億1100万円減
◆科学技術予算は削減
・1兆344億円で、105億円減。
【エネルギー】
・原発・核燃料サイクルの推進では、旧政権と同じ立場/ 新エネルギー予算は原子力の1/3.。
・新エネルギー30%増、原子力は4割台を維持
①原子力
・エネルギー安定供給と低炭素社会の「中核的役割を担う基盤電源」 原発を4割(20年)、5割(30年)
・安全防災対策は、一割以上減。/ 原発の「高経年化対策」 30年経過が18/54(想定寿命30-40年)
・立地交付金 ――総額60億円の核燃料卯サイクル交付金(06年)、さらに今年7月まで30億、来年3月25億円の交付金を新設
・核燃料サイクル 六ヶ所村の再処理工場、ガラス溶融路の破損で中断、改良型を開発中/もんじゅ開発費426億円(25億円増) 2025年に実証炉、50年に商業炉の計画
・原子力関連メーカーの技術開発に費用の2/3を上限に補助
②新エネルギー対策
・住宅用太陽光発電の余剰電力買取は二倍に(費用は電気料金に上乗せ) 全体として不十分
・自治体向け支援
【環境・ごみ】
・環境省予算は5%減、非公共事業分野は2.2%の微増
①裏づけの乏しい温暖化対策
・中核市・特例市グリーンニューディール事業(60億、3年分)/その自治体は一次補正の県の基金(550億)
→ 省エネ改修、モーダルシフト、間伐材など地域資源の有効活用
・チャレンジ25地域づくり事業の推進 25%減
・産業界の抵抗による後退 「キャップ」の否定、
・市民共同発電推進事業は、2億1700万円で、1.5億円減のうえ2010年度で廃止
②住民本位の廃棄物対策を
◆建て替えから長寿命化に転換
・処理施設整備費は、8割に。04年度の44%。
・新らたな交付金は、改良だけに対応。しかし24時間運転が前提で、効果には慎重な検討がいる。
◆汚水処理計画の抜本的見直しを
・汚水処理未整備は、2千万人。人口5万人未満の自治体では普及率7割以下
・07年 国交省「人口減少等を踏まえた都道府県構想の見直し推進」 が、浄化槽の普及は進まず
・環境省 計画の積極的見直しに3000万円。要件を満たす計画での整備には1/2の補助を新設
◆不法投機撤去へ「特措法」延長を
・大部分の廃棄物はそのまま。拡大排出者責任にもとづく抜本対策が必要
◆生物多様性保全
◆すべの公害被害者の救済 /水俣病、石綿肺、大気汚染、有害物質の対策
【軍事費】
略
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