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「自民党はすでに死んでいる」 やくみつる 自由民主2/9号

 13日の志位さんの報告で、自民党の機関紙「自由民主」に載った漫画家のやくみつるさんのコメントを紹介した。編集部がつけたタイトルが「自民党はすでに死んでいる」。
「お気の毒ですか、もうすでにお亡くなりになっているのではないでしょうか」「野党としても蘇生の見込みがない」。 探してみると、ネット上で発見。以下の通り

【自由民主 平成22年2月9日号(しっかりしろ自民党・下)】 「自民党はすでに死んでいる」  野党としても蘇生の見込みなし

漫画家 やくみつる

 正月気分も抜け切らぬ、まだ松の取れる前であったか、自民党の機関紙編集御担当氏より電話が入った。なんでも「自民党、シッカリしろ」といったエールの一文を願いたい由。
 「あのー、書かせていただくに吝(やぶさか)かではないんですが、あのー、私、赤旗日曜版にも連載を持っているんですが…:」
 だが、むしろ日頃自民党を支持されている方々以外からも広く言葉をいただきたいと編集氏。繰り返し「自民党、シッカリしろ!」と、あたかも自らを鼓舞させるかのように仰(おつしゃ)る。
 「あのー、そういうことであれば、あのー……」とお引き受けすることにした。ちなみに「あのー」が多いのは、吝かでないと言ったものの、やはり幾許(いくばく)かの心の迷いがある表れで、これは谷垣禎一総裁の先の予算委員会質問と同じ現象ですね。現在の自民党に民主党を追及する資格があるのだろうか、というそもそも論的逡巡(しゅんじゅん)が「あのー」の多用につながっていると見ましたがね。
 で、そもそもと申した手前言ってしまうと、「シッカリしろ」という言葉は、はたして今の自民党にかけるべき文言であろうか。かなりバテている登山隊員とか、意識を失いかけている傷病者に呼びかける言葉であって、もう息がないかもしれない相手に対しては、まず脈があるのか、心臓に耳を押し当てて確認を急がねばならない。言わば自民党はそんな容体なのではないかと察しますがね。
 もちろん、大きく減らしたとはいってもまだ大勢の国会議員を有しているし、その中には幾多の有用な人材がおられることは承知している。人が亡くなっても、同時にすべての臓器が死んでしまうわけではありませんから。ならば一刻も早く、それらまだ使える臓器を摘出し、然(しか)るべき先へ移植しなければならない。だからといって、今の民主党を臓器移植を待っている患者さんに例えるつもりはありませんよ。あちらはあちらで部分的な臓器の移植でどうなるとも思えませんしね。
 例えが些(いささ)か不適当な方向へ向かったかもしれません。要はもう、大変お気の毒ですが、お亡くなりになってるんじゃないでしょうか。平成21年8月30日、午後8時00分。先の総選挙の投票終了時点で、波瀾(はらん)の生涯を閉じられた。享年55(満54歳)の、本来ならばまだじゅうぶん働ける年齢での臨終でした。
 ところが、こんなこと言うと「何を失敬な!」と気色ばむ方がおられるでしょうね。まだ死んでしまったことに気付いていない彷復(さまよ)える霊魂でしょうか。ならばさらに言葉を継ぎます。
 「亡くなった」とあえて宣告したのは、与党としては勿論(もちろん)、もはや野党としても蘇生の見込みがないと診断したからです。先日の前原誠司国交大臣じゃないですが、長年の失政のツケを払わされて汲々としている民主党を自民党に攻める資格はないと。これに対し町村信孝元官房長官は、「その論理は拙劣」と返しましたが、はたしてそうでしょうか。では今後もこのまま現与党を追及し続け、風向きが変わりでもすれば、再び自民党政権をとでもお考えか?あえてまた失政の時代に戻れというのはずいぶんと都合のよい要求というもんです。たまさか民主党に政権担当能力がなく(実際、現状そんな気がしてきた)、それを返上せざるを得ない日がきても、そんなことを二大政党による健全な政権交代とは言わないでしょうし、誰も望んじゃいない。
 ですが、幸いなことにというべきか、シブトいことにというべきか、政党は単体の生命体ではありません。そんな特性を意識してかせずか、谷垣総裁が良いことを仰いました。曰(いわ)く「みんなでやろうぜ」ー。これは自民党内部にではなく、むしろ民主党に向けて発するべき言葉ではないか。有用な臓器を活用すべく、合体して双方の病巣を切除。民主自民党(民民党?)として蘇生してくれた方が、ナンボましなことかと思いますが、如何ー。

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