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学童保育の質確保 都道府県の関与は低水準

 国民生活センターが、毎年実施している学童保育の全国調査。今回は、都道府県を対象とした初の全国調査で、内容は環境整備に焦点をあてたもの。事故の報告3割、第2種社会福祉事業での届出は約半数など・・・関与の弱さが指摘されている。
【学童保育サービスの環境整備に関する調査研究-概要- 都道府県の取り組みに大きな格差 3/17】
【学童保育のけが、7割が報告なし 都道府県調査 共同3/25】

まとめの中心点は、以下の通り
◆調査結果・検討内容
 全ての都道府県より回答があった。その結果、運営費の補助などの財政支援をはじめとする学童保育サービスへの取り組みや実施状況の格差があきらかとなり、指導員数の把握、ケガ・事故の報告など市区町村との連携が不十分である実態がみられた。
 「学童保育サービスの環境整備に関する研究会」(座長 松村祥子 放送大学教授)を設置し、学童保育サービスを必要とする、全ての子どもがどこに住んでいても安全な生活の場として利用できる制度・システム構築のあり方などについて検討を重ねた。
 学童保育サービスの社会的基盤としての環境整備などに向けて6つ提言をまとめた。

◆提言
(1)市区町村との連携を強化し、社会的基盤としての環境を整備する
(2)必要とする子どもが利用できるように学童保育サービスの空白自治体を解消する
(3)第2種社会福祉事業の届出を徹底し、研修を通して質を拡充する
(4)消費者へ情報提供を行い、利用に際して契約書等を交付する
(5)ケガ・事故情報を広く収集・活用する
(6)学童保育にも災害共済給付制度を適用する

以下、高知県の状況も踏まえで内容を紹介すると・・・

(1)環境整備
・小学校に対する施設数は、100%以上が9都府県、4県は50%未満。高知は34.2%で全国最低(高知市のぞく)
 ・・・以前ふれたが対象児童数では県全体で上位にある。特に高知市は全国トップクラスである。施設数割合は、郡部の小学校の統廃合を簡単に許してないことの関係があり、単純に「全国最低」と認識するのは、問題があると考えている。
高知県(高知市のぞく)対象児童数(1-3年)10102人、利用数2184人

・運営費では、高知県は83.3万円(高知市のぞく)で、国の基準額の80.9万円はわずかに上回っている。
・40 人以下の施設は48.1%にとどまる。71 人以上の大規模施設は1,543 か所(12.6%)
 
(2)空白自治体解消
・市町村の学童実施数では、高知県(高知市のぞく)は60.6%で、沖縄次いで低い。全国平均は88.8%
・これも小規模校の割合との関係もある。高知県では、小規模校では「子ども教室」を充実しほぼ変わりない対応しているとの報告も受けているが、これは調査中。

(3)質の確保
「都道府県、政令市、中核市は第2種社会福祉事業での届出の受付、監督責任、および指導員の研修などの役割がある」としてその状況を調査しているが・・
 届出施設数は、都道府県で総施設数の54.6%、中核市では32.6%にとどまっている。施設への立ち入り調査では、都道府県で6.4%、中核市で6.5%。
 都道府県の指導員数の把握、研修実施は38.3%、95.7%。研修実施は1~22 回、平均5回とばらつきが大きい。市町村の人数把握では、非常勤が常勤の1.4倍となっている(07年調査の1.1倍から拡大)。
研修実施では、中核市は83.9%。

 高知県(高知市のぞく)は、64施設中、届出は46施設。立ち入り調査なし。待機児童数は23人と集約している。指導員数は把握してない。研修は年4回実施(535人受講)
 
・学童保育が拡充しない理由として、都道府県の回答は、「施設建物の確保が困難」97.9%、「指導員の確保が困難」91.5%、「国の補助金額が低く、自治体の持ち出し金額が多い」87.2%となっている。「保育所のように最低基準が決められていない」も53.2%ある。
保育の設置基準を緩和・撤廃する動きが急だが、他山の石とすべきである。

 高知県の認識は、「実施責任が努力義務にとどまっている」「国の補助金が低い」「指導員、施設の確保が困難」「ニーズが少なく現状の学童保育で対応できる」となっている。
 なお学童保育の低所得者への減免について、県議会の質問でとりあげていたが、新年度から県の補助制度ができた。

(4)情報提供、契約
「不利な内容の誓約書の是正」「契約書等に中途解約の清算の規定の明示」「入所手続き時に、契約書を交付」など契約にかかわる指導は、都道府県の場合、1桁台であり、市町村でも契約書交付は13%に留まっている。
 高知県では、情報提供、契約にかかわる指導はしてない。また施設整備・運営のガイドラインなども設定してない。 

(5)ケガ・事故情報
ケガ・事故の報告を受けている都道府県は3割台、件数集約は14.9%に留まる。08年の報告件数101件。
市町村の集計では、08年度の事故件数は、11034件で、うち110件が入院と大きく差がある(また水難事故で2名がなくなるという痛ましい事例が把握されてない、とのこと)。
「ケガ・事故報告を分析し防止対策をたてる」62.9%、「施設、利用者に情報提供」は33.7%、「子ども全員が障害保険に加入」は87.4%
 高知県は、ケガ・事故の報告も受けてない。

 ここは「提言」の文章をそのまま紹介したい。

①市区町村、都道府県、国が連携しケガ・事故の情報を収集、分析、情報提供する。
ケガ・事故の発生件数を、施設や市区町村ごとに見た場合、必ずしも発生頻度は高くないために、重大なケガ・事故が個別の現場対応に埋もれ、繰り返される要因となっている。
② 狭く過密な学童保育の生活環境下のケガ・事故は共通性も高く、国・都道府県と連携してケガ・事故の実態把握と適切な予防対策を講じる必要がある。
また、国や都道府県のレベルで、事故原因分析と予防のために必要な予算措置を取る必要がある。
③ 特に、消費者へ分析の結果を情報提供する自治体は少なく、改善が求められる。
 としている。

(6)災害共済給付制度の適用
・ケガの傾向としては人数が多い施設で重症化の傾向がある。
・「適用が受けられない」問題として、保育活動のすべてをカバーできてない、保険料が高く補償が十分な保険に入れないが、それぞれ3割台となっている。

【学童保育のけが、7割が報告なし 都道府県調査 共同3/25】  学童保育中に起きた事故の報告を市区町村から受けている都道府県は14にとどまり、残る7割は受けていないことが25日、国民生活センターの全国調査で分かった。市区町村は8割以上が「施設から報告を受けている」と回答したことも判明した。  情報の多くが現場レベルで埋もれている実態が浮かび上がった形で、同センターは「社会福祉法は都道府県や政令市が指導監督するよう求めている。国から現場までが情報を共有し予防策につなげる体制整備が必要だ」としている。  この結果を受け、厚生労働省は25日までに統一した報告書式を作成。死亡、重傷事故は報告するよう全国に通知した。  調査は昨年8~11月に都道府県と市区町村に郵送で実施。回答率はそれぞれ100%、55・7%だった。  調査結果によると、各施設から「事故報告を受けている」と答えた市区町村は84・3%。2008年度には1万1034件が報告された。  しかし、47都道府県のうち「報告を受けている」と答えたのは14で、受理件数は計101件。市区町村が把握している事故の1%にすぎなかった。

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Comments

集票のためのばら撒き子ども手当て予算の十分の一でも待機児童対策費として使えば待機児童は解決するはず。
待機児童問題は民主党の政策の失敗によるものである。
民主党の政策は、コンクリートから人へ。言い換えれば、「インフラからバラマキへ」
保育所はインフラだから作らない。

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