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堀越ビラ弾圧 無罪判決 社説・声明など

 憲法と国際自由権規約にもとづく当然の判断である。
 マスコミも概ね妥当としている。特に中日は、捜査手法も「戦前の暗い風景を思い起こさせる」と問題にし、タイトルも「言論封鎖にクギ」と本質に迫っている。
・ビラ配布無罪 言論封殺の捜査にクギ 中日(東京)3/31
・社説:公務員ビラ無罪 注目すべき問題提起だ 毎日3/30
・「赤旗」配布無罪―時代に沿う当然の判断だ 朝日・社説3/30
・堀越事件逆転無罪 弾圧の意図挫(くじ)く意義ある判決 赤旗・主張3/30・堀越事件無罪判決に関する声明 自由法曹団

「警察の捜査自体が、常識からかけ離れてはいないか。尾行は二十九日間に及び、多い時は十一人もの捜査官で元職員の行動を監視した。三、四台の捜査車両を使い、四台から六台のビデオカメラを回し、撮影を繰り返したのだ。立ち寄り先や接触人物まで確認するのは異様で、戦前の暗い風景を思い起こさせる。時代錯誤ではないか。」(中日)・・・ いったい、どれだけの税金がつかわれたのか。

【ビラ配布無罪 言論封殺の捜査にクギ 中日(東京)3/31】  政党ビラ配布で罪に問われた元社会保険庁職員に「逆転無罪」の高裁判決が出た。「表現の自由」を重視した内容だ。“微罪”でくるみ、言論を封殺するような捜査にクギを刺したといえよう。  元職員が配布したのは、共産党の機関紙などだ。それが国家公務員法で定めた「政治的行為の制限」に抵触するとして起訴された。類似行為が罪に問われたのは、北海道の郵便局員が旧社会党のポスターを張った事件で、それ以来、約四十年ぶりだった。同事件は最高裁で有罪となり、判例が生きていた。  だが、今回は、休日中の行為で、元職員は公務員だと明かしていない。東京高裁は「国民が行政の中立性に疑問を抱くとは考えがたい」としたうえ、「罰則規定の適用は、表現の自由を保障した憲法に違反する」と明確に述べた。  何より「表現の自由がとりわけ重要な権利だという認識が深まっている」と踏み込んだことは大いに評価できる。判決文が指摘するように、冷戦終結後はイデオロギー的対立の状況も落ち着き、時代は変わった。国民の意識も変わった。公務員の政治的行為の禁止範囲は、世界標準でみても広すぎるのだ。  そもそも、警察の捜査自体が、常識からかけ離れてはいないか。尾行は二十九日間に及び、多い時は十一人もの捜査官で元職員の行動を監視した。三、四台の捜査車両を使い、四台から六台のビデオカメラを回し、撮影を繰り返したのだ。立ち寄り先や接触人物まで確認するのは異様で、戦前の暗い風景を思い起こさせる。時代錯誤ではないか。  判決では、かつては「官」を「お上」視して、公務員の影響力を強く考える傾向があったという。むしろ、捜査の現実は、依然、「官」たる警察が、“微罪”捜査のために、「お上」の強大な権限をフルに活用していると映る。捜査当局は「無罪」の判決をもっと厳粛に受け止めるべきだ。  ビラ配布の事件では、一貫して、共産党や「反戦」を訴える人々を対象に起訴し、これまで有罪に持ち込んできた。この事態に国連の委員会が「懸念」を表明し、表現の自由への不合理な制限を撤廃するよう政府に勧告している。  公務員制度改革や公務員の争議権も議論の俎上(そじょう)に載っている。政治活動の許容範囲について、最高裁にも国際世論や時代の変化を踏まえた判断を求めたい。
【社説:公務員ビラ無罪 注目すべき問題提起だ 毎日3/30】  旧社会保険庁職員が休日に共産党機関紙を配布した行為は、国家公務員の「政治的行為」として刑事罰に問われるべきか。  東京高裁は、表現の自由を保障した憲法に反するとして、1審の有罪判決を破棄し、無罪を言い渡した。常識に照らせば、処罰は国家公務員の政治活動の自由に対する「限度を超えた制約」に当たるとする。おおむね妥当な判断ではないだろうか。  判決は、インターネットの普及などにも触れて、表現・言論の自由に対する国民の認識は深まっているとの見解を示す。その上で「西欧先進国に比べ、国家公務員に対する政治的行為の禁止は、過度に広範過ぎる部分がある」とも指摘した。  国家公務員法の禁止する「政治的行為」は、人事院規則で定められる。政党や政治団体の機関紙配布も含まれ、罰則もある。この規定について最高裁大法廷は74年、合憲判断を示している。  東京高裁判決は、最高裁判例について「学説上多くの批判がある」と指摘しつつも、弁護側の主張する規定自体が違憲との主張は退けた。  国家公務員の政治活動が際限なく許されることはあり得まい。どこまでなら許されるのか。高裁判決が、判断基準として、社会状況の変化と国民の法意識をモノサシとした点は新しい考え方だ。  例えば、ビラ配りでも「中央省庁の幹部のように地位が高く、大きな職務権限を有する者、集団的、組織的に行われた場合は別だ」と述べる。どこからが幹部なのか議論の余地は残るものの具体的だ。  今回、無罪とした根拠の一つが休日だった点だ。勤務時間外の活動について判決は「余暇の活用が言われる現代において、国民の目から見た場合、職務とは無関係という評価につながる」と指摘する。職種についても「例えば、運転手などは、行政固有のものでなく、行政の中立的運営が阻害されるとは考えられない」と踏み込んで言及している。  折しも、政権交代が実現し、公務員制度改革が議題に上る時期である。政治の側は、司法からの問題提起の一つとして、公務員の政治活動のあり方、新たな基準作りの必要性について議論を始めてほしい。  ビラ配布をめぐる司法判断が相次ぐ。最高裁は昨年、集合マンション内に入り共産党ビラを配った僧侶を住居侵入罪で有罪とした。だが、強引で行き過ぎる摘発は、言論活動の萎縮(いしゅく)を招き穏当ではない。  今回も上告審で争われるとみられる。国家公務員の政治活動に「表現の自由」が絡む今日的なテーマだ。最高裁には時代の変化に即した明快な憲法判断を望みたい。


【「赤旗」配布無罪―時代に沿う当然の判断だ 朝日・社説3/30】
 国家公務員が休日に、公務と関係なく、政党の機関紙を配布したことを処罰するのは、表現の自由を保障した憲法に違反する。そんな判断を東京高裁が示した。
 公務員の政治活動に対するこれまでの規制の範囲は、不必要に広すぎた。表現の自由は民主主義国家の政治的基盤を根元から支えるものだ。そう言い切った判決の論旨を高く評価したい。
 被告は旧社会保険庁職員。2003年の衆院選前に、共産党機関紙「しんぶん赤旗」を自宅近くのマンションの郵便受けに配ったとして、国家公務員法違反(政治的行為の制限)の罪に問われた。同法とそれに基づく人事院規則は政党の機関紙などを発行、編集、配布してはならないなどと定める。
 公務員の政治活動については、「猿払(さるふつ)事件」についての1974年の最高裁大法廷判決が、長く合憲性判断の基準とされてきた。衆院選で社会党(当時)の選挙ポスターを掲示、配布した郵便局員を有罪とした判決である。
 猿払判決は、国家公務員の政治活動について、その公務員の地位や職種、勤務時間であったか否かなどのいかんを問わず、幅広く禁止できるという判断を打ち出した。
 今回、高裁判決は、この点について明確に疑義を呈した。公務員に対する国民の意識が変わったからだという。
 猿払事件当時は東西冷戦下、左右のイデオロギー対立が続いていた。社会情勢の不安定さもあって、公務員の政治活動についても、その影響力を強く考えがちだった。しかし、現在は民主主義が成熟し、表現の自由が大切だという認識も深まっている。
 こんな見方に立ち、判決は被告への罰則適用について「必要な限度」を超えていると指摘。公務員の政治活動そのものについても、許される範囲などについて「再検討され、整理されるべき時代」が来ていると述べた。
 妥当な、思慮深い判断である。
 もとより猿払判決には、かねて学界などから批判が多かった。今回の高裁判決は、時代や国民意識の変化を見極めたうえでの結論なのだろうが、むしろ裁判所の意識がようやく国民に追いついたという方が正確ではないか。そのことは指摘しておきたい。
 今回の事件では警察の捜査手法も問題となった。大量の捜査員を投入し、長期間尾行し、ビデオに撮るなど、異様さが際だった。
 ここ数年、ビラを配布しただけで刑罰に問われる事件も目立つ。いかにも軽微な行為を罪に問うことが横行すれば、社会は萎縮(いしゅく)してしまう。民主主義にとっては大きな妨げである。
 裁判は上告審に移り、論争が続く可能性が高いという。最高裁には、今回の高裁判決を踏まえた賢明な判断を求めたい。


【堀越事件逆転無罪 弾圧の意図挫(くじ)く意義ある判決 赤旗・主張3/30】
 国家公務員であっても、休日に自宅のまわりで普通の市民として、政党機関紙号外などを配布することがどうして犯罪として罰せられなければならないのか―。2003年の総選挙で「しんぶん赤旗」号外を配布した元社会保険庁職員の堀越明男さんが理不尽にも逮捕・起訴され、裁判がつづいていた弾圧事件で、東京高裁は一審の東京地裁の有罪判決をくつがえし、無罪を言い渡しました。国家公務員の政治活動を一律・全面的に禁止する理由がないことを事実で証明した、意義ある判決です。

◆市民の当たり前の行為
 堀越さんは、休日に「しんぶん赤旗」号外を職場からも離れた居住地周辺の住宅の郵便受けに配布するという、市民として当たり前の行為をしただけです。ところがそれが国家公務員の政治活動を禁止した国家公務員法と人事院規則に違反するとして逮捕され、裁判にかけられました。実に37年ぶりという、国公法違反事件です。
 しかも一審の東京地裁は、堀越さんを有罪としました。学者・文化人・法曹界をはじめ、国民的な批判が寄せられ、国連の自由権規約委員会も08年10月、「自由権規約で保護されている政治活動を、警察、検察官、裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理な法律上の制約をも廃止すべきである」と、日本政府に勧告しました。
 公務員であろうと、民間労働者であろうと、一市民としてビラ配布その他の政治活動をおこなうことは自由です。公務員の政治活動の禁止は、公務の公正な執行が妨げられるなどが理由ですが、公務は法令や通達などによって組織の目的に反しないようチェックする態勢があり、職員個人の、職務と関係のない政治活動を禁止するのは筋違いです。
 世界的にも、イギリス、フランス、ドイツでは、職務に影響を与えない公務員の政治活動は自由であり、たとえ公務に害を発生させた場合でも、懲戒処分はあっても刑事罰はありません。実際、郵便局や社会保険庁の民営化によってそこに働く人たちは公務員でなくなり、政治活動の禁止もなくなりましたが、仕事のうえではまったく問題にならず何の混乱もなかったことからも、政治活動を禁止する理由がないのは明らかです。
 東京高裁は、日本の場合、諸外国とくらべ制約が厳しすぎることを認め、堀越さんのような行為を処罰することは、「国家公務員の政治活動の自由にやむを得ない限度を超えた制約を加えるもの」で、表現の自由を認めた憲法21条などに違反するとしました。判決は国公法の政治活動への処罰規定そのものは合憲としている問題はありますが、公安警察が卑劣な尾行や盗み撮りまでして国家公務員の政治活動すべてを禁止しようとした弾圧の意図は許しませんでした。

【政治活動の自由保障せよ  自由法曹団・団長 菊 池 紘】  もともと、職務の公正な執行とは無関係に公務員の政治活動を刑事罰で禁止する国公法102条と人事院規則は憲法と国際自由権規約に違反します。  東京高検が上告を断念して無罪判決を確定させるとともに、国会で国公法、人事院規則の問題点を徹底的に追及し、法改正を提起するために、日本共産党は広範な人たちと協力していきます。

堀越事件無罪判決に関する声明 
1 東京高等裁判所第5刑事部(中山隆夫裁判長)は、29日、元社会保険事務所職員の堀越明男氏に対する国家公務員法違反(政治的行為の禁止)事件について、罰金10万円、執行猶予2年とした一審判決を破棄し、無罪判決を言い渡した。
2 判決は、堀越氏の職務内容とその裁量の余地のないこと、管理職でないこと、行為の態様などを詳細に認定したうえ、勤務時間外に職場から離れた自宅付近で、職務と関係なく行った政党機関紙号外の配布は「公務の中立的運営とこれに対する国民の信頼」を害する抽象的危険すらないものであり、こうした行為を罰することは憲法21条と31条に違反すると判断し、この行為は罪にならないとした。
この判断は憲法の基本原則と国際法に従った積極的で妥当な判断である。
またこれは、「当該公務員の管理職・非管理職の別、現業・非現業の別、裁量権の範囲の広狭などは・・・・法の目的を阻害する点に差異をもたらすものではない」と広く公務員の政治的行為を刑罰をもって禁止することを正当化した猿払事件最高裁判決の判断を、実質的に否定したものと評価される。
3 この裁判では、憲法、刑法、国際法をはじめ各界の法学者が学会の最新の豊かな知見を裁判所で明らかにした点が特筆されるが、判決はこれに応えたものである。
4 今日、政治的なビラ配布に対する不当な弾圧がくり返されてきた中で、今回の判決が、表現の自由と政治活動の自由の大きな意義を確認し、その上に立って、日本での公務員の政治活動の禁止が諸外国に比べ著しく広範なものになっていることをふまえ、刑事罰の対象とすることの当否と範囲について、再検討し整理するべき時代が到来しているとしたことは、公務員の政治的自由にとどまらず、ひろく国民一般の表現の自由と日本の民主主義にとって、画期的な意味を持つ。
5 こうした判決の結論は、日夜を問わず長期にわたり執拗に堀越氏を尾行し、ビデオ撮影をくり返し、そのプライバシーを蹂躙した公安警察の暗躍を許されないものとするものである。
6 自由法曹団は、この間、国民の自由と日本の民主主義の未来にかかわる問題として、ビラ配布の権利と公務員の政治活動の自由を守り、拡大する課題に力をつくしてきた。私たちは、今回の判決をふまえ、広範な人々とともに、表現の自由と政治活動の権利を擁護し強めるために、いっそう奮闘する決意である。
2010年3月30日

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Comments

朝日は前に「郵政会社の社員が支持政党を持ち政治活動をしてはいかん」 と社説で書いていたのに、
「公務員の政治活動に対するこれまでの規制の範囲は、不必要に広すぎた。」
「判決の論旨を高く評価したい」ですか?

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