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学校給食・民間委託 丸投げは「本末転倒」 文科大臣

 学校給食の民間委託・・・きちっとすれば偽装請負、丸投げしたら「本末転倒」。やはり直営しかないーー そう実感させる質問戦。17日、宮本たけし衆院議員が追求した。
 議事録、自治労連のレポートを紹介したい。
【174-衆-文部科学委員会 平成22年03月17日 宮本たけし 議事録】
【国会で鳩ヶ谷市学校給食の民間委託を追及-文科大臣、丸投げは「本末転倒」と批判 3/25 自治労連】

要点は・・

 厚生労働省の職業安定局次長は、学校側から具体的な指示があり、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らがその指示どおりに調理を行っている場合は問題があると答弁し、偽装請負を認めた。
文科大臣は「本来請け負っている人は自らの責任においてやれということ。逆に言うと、校長先生がかかわることが偽装請負にあたるということだ」とも述べている。
 
 だったら偽装請負にならないために「丸投げ」となると・・・本来の目的は達せられない。

 大臣は「学校給食をやるということが学校関係者に課せられた使命」であり、「効率的、効果的な行政執行という観点からいろいろな施策が取り入れられていることは事実」だが「学校給食の本来の目的、果たすべき役割を損ねてまで合理化をするというのは本末転倒であることは言うまでもない」と述べている。

また、先日、職員減を強制し、民営化を後押ししてきた行革推進法について原口大臣は「公共サービスがどうあるべきかとか、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできている、今さらながら今の時代に合わない条文だと思います、本当に、小さい子供たちの命を守るという観点からもやはり私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたい」と述べた(塩川議員の質問に対し)ことにかかわって、文科大臣は、「効率化を求めるために食育が犠牲を強いられるということがあってはならないということは大原則」とのべている。

 高知市の学校給食の民間委託は・・・ 財政危機、職員400名減の中で、出てきたものである。


【174-衆-文部科学委員会 平成22年03月17日 宮本たけし】

○宮本委員 発注者が請負業務の作業工程に関して仕事の順序、方法などの指示を行ったり、あるいは労働者の配置、労働者一人一人への仕事の割りつけなどを行えば偽装請負になる、これは口頭に限らず文書でも同じだというのが厚生労働省の解釈であります。
 ところが、民間委託された学校給食調理の現場では、こういう事実上の偽装請負という事態が常態化をしております。
 皆さんのお手元に、鳩ケ谷市の調理業務委託校の調理工程表というものをおつけいたしました。これは公文書公開決定通知に基づいて公開された公文書であります。ここには、がんもどきの含め煮ですけれども、四十リットルのがんもどきの煮汁づくりの指示書、必要な指示が書かれてあるわけですけれども、その下に、材料の量にばらつきがあった場合を想定して、あらかじめ五十から六十リットルの煮汁をつくる場合の調味料の量も、手書きで後から記入されてあります。その場で臨機応変にこういうふうに対応しなければならない給食調理の現場では、これは当然起こり得ることなんですね。栄養士や給食調理員の方にお話を伺うと、毎日子供たちに最もよい状態で給食を届けるためには、これら詳細な指示文書、文書を使った栄養士や調理員との打ち合わせは不可欠だということでありました。
 そこで、厚生労働省にもう一度聞きます。これはあくまで一般論でありますけれども、請負契約による調理業務委託校において、現場で発注者からこうした具体的な指示があり、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らが発注者の指示どおりに調理を行っているという場合、これは適正な請負と判断されるでしょうか。

○山田政府参考人 いずれにしましても、そこら辺の基準、判断につきましては、個別の状況を詳しく調べた上でということになると思いますけれども。これを先ほど見せていただきましたけれども、こういった作業工程というものを示した上で、給食のところで働いていらっしゃる方、何人が、どういう役割分担で、どういう順番でこなしていくか、そういったところの請負事業主の裁量というものがどの程度あるのかといったところも、恐らく、その判断をするときの重要なポイントになるのではないかというふうに考えております。

○宮本委員 私が聞いたのは、現場で発注者から具体的な指示をして、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らがその指示どおりに、発注者の指示どおりに調理を行っている場合は、適正な請負とみなせるかと聞いたんです。いかがですか。

○山田政府参考人 一般論でお答えいたしますけれども、そういうことが実際に行われているとすれば、それは問題があるのではないかというふうに思います。

○宮本委員 問題があるんですよ、それは。
 おいしくて、安心、安全な給食を提供しようと個々具体のことを発注者から現場で指示すればするほど、調理業務の委託が、実は偽装請負という違法状態に近づいていく。
 鳩ケ谷市では、学校給食調理業務の請負が、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準、先ほどの労働省告示第三十七号に違反するとして、二〇〇九年七月に、埼玉労働局から、実態調査も踏まえた是正指導が入りました。
 しかし、是正指導を受けて鳩ケ谷市は何をしたか。受託事業者との契約書から、学校給食の水準維持向上のための請負事務事業者に対する研修の義務を削除、調理員や業務責任者などの調理員としての経験年数や資格要件、これも削除、調理員の健康診断から細菌検査の結果報告義務も削除、受託事業者による調理業務完了報告に対する学校長の検査確認規定さえも削除、さらに、調理員や施設整備の衛生管理や調理作業を詳細に定めた鳩ケ谷市学校給食調理業務作業基準をも削除して、衛生管理や調理などを受託事業者任せにしてしまいました。
 鳩ケ谷市のやり方は、学校給食の普及や充実、衛生管理に努めるべき自治体として、子供たちや保護者に対する責任放棄だと言わざるを得ないと私は思いますけれども、これは文部科学大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

○川端国務大臣 個別の部分が偽装請負かどうかということに関しては、先ほどの厚生労働省が所管でありますので、そのことだというふうに思います。
 ただ、今御指摘の鳩ケ谷市の事実経過で申し上げますと、いわゆる労働法制上の問題で、御指摘のように、昨年七月に埼玉労働局から指導票による改善措置が求められたことを受けて、変更契約を行って、九月七日付で埼玉労働局長に改善状況を報告したという報告を受けているんですけれども、その埼玉の労働局長からの指導票として、措置の必要性で、いわゆる労働省告示第三十七号に照らしてこういう措置をしなさいという中にもう今御指摘の部分の幾つかは含まれている、要するに、行政の指導、措置命令の中で、本来、請け負っている人はみずからの責任においてこういうことをしなさいと。逆に言うと、校長先生がそういうことにかかわることがむしろ偽装請負、請負の趣旨に反するからという中身もあるんです。
 そういう意味で、これは、労働法制上の措置という問題は、まさしく法令遵守してしっかりやらなければいけないという問題は、そのとおりの御指摘だと思います。
 一方で、給食をよりよいものにしていこうという趣旨は、私はそのとおりだと思います。それは、どういう契約、自前でやるか請負をさすかにかかわらず、本来しっかりやるべきものだというふうに私は思っております。

○宮本委員 はしなくも、僕は今の議論というのはそれを示していると思うんですけれども、労働省は、そういうやり方でやったら偽装請負になりますよ、労働法制上偽装請負にならないためには現場で事細かに指示しないでくださいね、発注者があれこれと現場で指示したら偽装請負になりますよ、こう言われたと。
 そうしたら、本来、学校給食というのは現場であれこれと発注者と打ち合わす必要があるものなんだから、私は、当然のことながら、請負という形、つまり、民間委託という形がなかなか実情にそぐわないと考えて、その請負契約そのものを見直すべきだと思うんだが、ここでやられたことは、それだったら、もうもとからそういうことはやめましょうと。つまり、何から何まで、基準を請負業者に任せてしまいましょうということをやられたと。これは余りにもひどいというふうに思うわけですよ。
 そこで、大臣に聞くんですけれども、二〇〇八年に学校給食法を改正いたしました。第八条で学校給食実施基準というものを定める、第九条では学校給食衛生管理基準というものが定められました。その趣旨は、学校給食の適切な実施のために必要な事項について維持されることが望ましい基準を定めて、学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者は当該基準に照らして適切な学校給食の実施に努めると、第八条でも定められているわけですね。
 つまり、設置者は、そういうことをきちっと管理し、指示し、学校給食の安全も充実も安心も守っていかなきゃならないわけだけれども、偽装請負になる可能性があるからといって、労働当局の指導に従ったかどうか知りませんけれども、ありとあらゆる基準を取っ払ったというのでは、全くこの法改正の趣旨に反するのではありませんか。いかがですか。

○川端国務大臣 学校給食法の改正自体、私は、非常にいい方向に進路を示し、しっかりやるということを決めたものだというふうに理解をしておりまして、基本的には、この法の趣旨に基づいて学校給食をやるということが学校関係者に課せられた使命だというふうに思っております。
 そういう中で、一方、先ほど合理化という言葉を使われましたけれども、いわゆる行政改革の中で、より効率的、効果的な行政執行という観点からいろいろな施策が取り入れられていることは事実であります。
 しかし、少なくとも、同時並行的に行われているとはいえ、学校給食の本来の目的、果たすべき役割を損ねてまで合理化をするというのは本末転倒であることは言うまでもないことでありまして、先ほど御指摘のような、労働法制もしっかり守りながら趣旨もしっかり生かすようにということが学校管理者にとって求められていることであり、そういうことで、逆にならないようには周知と実態把握、そして、食育の推進と安全管理がなお一層進められるように、我々としては指導してまいりたいと思っております。

○宮本委員 冒頭、私が北海道の例で紹介したような食育の推進という点でも、栄養教諭や教員の方々の努力にこの民間委託というのが水を差していると言わざるを得ない状況があります。
 鳩ケ谷市内の小学校では、給食調理員さんらも交えて、嫌いな野菜を好きになってもらえるような授業をやろうじゃないかと、先生方も一緒になって取り組んできたというんですね。子供たちに好きな野菜、嫌いな野菜を挙げてもらって、グラフをつくる。嫌いな野菜の上位には、やはりピーマン、ゴーヤー、ニンジンが挙がるそうです。担任とも協力をして、学校栄養職員や給食調理員さんが、それぞれの野菜の特徴や給食で出すときの調理の工夫、あるいは調理員さんの苦労なども話して、給食では一口サイズの一つでもいいから食べてみようなどと子供たちの前で話をする、放課後、子供たちは話を聞いた感想を手紙にして、学校栄養職員らに担任を通じて渡す、こういう取り組みをやっておられるそうです。
 子供たちはその話を真剣に受けとめ、嫌いな野菜にもいいところがあるのがわかった、今まで残していたけれども食べてみようと思ったなどの感想が出されているそうです。小学校高学年にもなりますと、給食室で教室から残飯が入った食缶を一緒に片づけたりしながら、給食委員の子供たちと、どうすれば残菜を少なくできるかを話し合う話し合いの場も持っていると伺いました。こうした経験を経た子供たちがやがて中学校に進み、職場体験として学校給食の現場に行きたいと希望する子もいるといううれしい話もお伺いした次第です。まさに改正学校給食法第一条、児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たす学校給食の普及充実及び学校における食育の推進という目的そのものだと思うんですね。
 しかし、こうしたことが行えるのは、やはり正規の給食調理員や栄養士がいるところであって、調理業務が民間委託されているところでは、調理業務だけを行う調理員にはそうした協力を頼むこともできず苦慮している、そういう話も聞きました。
 ですから、給食調理業務を民間委託したのでは、こういった改正学校給食法の目的は達せられないのではないかと私は思うんですけれども、大臣、そのようにはお考えになりませんか。

○川端国務大臣 今お話しの部分は、非常に大事なというか、いいことをやっていただいている、食育の見本みたいなことであります。好き嫌いということに端を発しているけれども、物は大切にしなければいけないし、栄養は偏ってはいけないしという健康の問題や、自然の恵みに感謝をするということや、多様な価値観、いろいろなことにまさにつながっていくということで食育というのが重視をされることだ、私も、そのとおりだ、そして実践していただいていることは大変ありがたいというふうに思います。
 先ほど来申し上げていますように、そういうことを実施していくという食育の基本理念に基づいて給食をやっていただくことと、経済的、効率的に行うということは両立でき得るものであるということの中で、しかし、後者が優先してはいけない、こういう位置づけだと思います。
 ですから、必ずしも、そういうふうに外部委託をすれば非常にそうきめ細かくできないというものでは、そう決めつけるものではないと思います。それぞれの教育現場において、今みたいな役に立つ教育の事例、これは栄養士の配置問題にもかかわってくるわけでございますが、そういう問題を含めて、それぞれに工夫を凝らして、いい食育になるようにやっていただきたいと思っております。

○宮本委員 実は、この同じ問題が、二月の二十四日、衆議院総務委員会で我が党の塩川議員によって取り上げられました。行革推進法のもとで、学校給食の現場で民間委託が進んでいる実態を塩川議員がただしたところ、行革推進法は、公共サービスがどうあるべきかとか、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできている、今さらながら今の時代に合わない条文だと思います、本当に、小さい子供たちの命を守るという観点からもやはり私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたいと、原口総務大臣は答弁をされました。
 一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、食育とはどうあるべきかという点では、一番責任を持つべきは、私は川端文科大臣だと思うんですね。原口大臣もこう答弁されているときに、私は、もう一歩進んで、やはり、まさに削るための観点でやってきたのは間違いであって、一人一人の子供たちの育ちとはどうあるべきか、あるいは食育とはどうあるべきかという観点でしっかりと前に進むべきだという御答弁をいただけると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○川端国務大臣 行革推進法が食育に関して直接的に言及しているものではないというふうに思いますが。
 先ほど来私は申し上げておりますように、やはり食育が大事であるということをしっかりやることが私の責務であると同時に、より効率的、効果的に行政を執行するという考え方も、それは間違っているわけではないというふうに思いますが、間違っても反対にならないようにという優先順位でいえば、間違いなく、効率化を求めるために食育が犠牲を強いられるということがあってはならないということは大原則でありますので、その意味では、原口大臣が言われた趣旨は、私は全く違うものではございませんし、食育に関して、二十年の法も含めて、しっかりとその精神が生かされるように、給食現場において、学校現場においてその趣旨が徹底されるように、我々としてはしっかりと推進してまいりたいと思っております。

○宮本委員 これはやはり矛盾するものなんですよ、大臣。このような異常事態を生み出した元凶にあるのは、冒頭申し上げた一九八五年の文部省通知なんです。「学校給食業務の運営の合理化について」という通知なんですね。この通知を受けて、自治体では、コスト削減を優先するために調理業務を民間委託してきたわけですよ。
 しかし、実際に給食調理の業務を民間に委託してみると、限りなく偽装請負に近くなってしまうんですよ。だって、安心、安全をしっかり保って、作業工程も調理の手順も何もかもちゃんと発注者で責任を持って調理を進めようと思えば、これはおのずから偽装請負の危険が出てくるわけですよ。ですから、偽装請負を回避しようと思えば、先ほど見た鳩ケ谷のように、今度は丸々受託業者にすべて任せてしまうか、あるいは、私が指摘したように、調理業務の民間委託をやめて直接安全に責任を持つか、どちらかしかないんですよ。これをどうにかバランスをとってというのに無理があるんですよ。
 学校給食法において、まさに給食の充実や普及、あるいは食育の推進ということも掲げられた。そして、先ほど言ったように、原口大臣もおっしゃっているように、いかにも古い、こういうただ単に効率一辺倒で削るというだけではもう古いんだ、合わないんだという認識になっているわけですから、ここは八五年の学校給食業務の運営の合理化通知というものを撤回すべきだと私は思いますけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。

○川端国務大臣 先ほど来の繰り返しになりますけれども、給食をしっかりやるという、その実態を担保する中で、法令にはもちろん違反してはいけないし、しかし、そうかといって、幾らでもお金が使えるという状況でもないという中で、それぞれに工夫しながら努力をしていただいているんだというふうに思います。
 言葉としてというか、合理化はしなくていいということまでの判断はしかねますけれども、より実態を確保するために、先ほど申し上げましたように、間違っても順序が逆になるようなことは避けなければいけないというのは当然でありますので、そういうことの実態も踏まえながら指導もしてまいりたいと思っております。

○宮本委員 私は、改めてここで方向を転換すべきだと思います。
 それで、どんどん学校給食調理員が減らされてきた背景には、行革推進法というものがあったわけです。先ほどの議論も、塩川議員と原口大臣との間で、総務委員会でやられました。
 一方、私が二月の二十四日に本委員会で川端大臣の所信に対して質問したのに対して、川端大臣は、行革推進法第五十五条三項は平成十七年四月一日と二十二年四月一日を比較して削減を行うことが求められているということでございまして、平成二十二年四月一日との比較までしか言及していないという旨を答弁されました。
 つまり、この規定はことし四月一日をもって終わるというふうに私は理解します。そうなってきたら、改めて四月以降は、給食調理員を減らすべきではなく、改正学校給食法の趣旨も踏まえて、しっかり給食調理員をふやしていくという立場に立つべきだと思うんですけれども、最後に大臣の御決意を伺って、質問を終わります。

○川端国務大臣 先般の答弁で、解釈として、まさに平成二十二年の四月一日までの減らすべき目標ということであることは、私が申し上げたとおりの認識でございます。
 そういう中で、先ほど来申し上げておりますように、食育をしっかり実行するようにという趣旨の中で、学校給食の実施に当たっては、具体的にどのような方法で運営してその質の確保をしていくのかということは、各学校、地域の実情もあると思います、それに応じて、学校の設置者がまさにその精神を生かして適切に判断されるべき事項であるというふうに思います。二十三年以降の調理員の数についても、それぞれの設置者が判断していくことになるというふうに思っていますけれども、文部科学省としては、今までの議論もありましたような趣旨で食育の大切さを徹底していくと同時に、それを確保すること、しっかりやることを踏まえて対応するように、引き続き指導してまいりたいと思っております。

○宮本委員 時間ですので、終わります。

【国会で鳩ヶ谷市学校給食の民間委託を追及-文科大臣、丸投げは「本末転倒」と批判 】 10-03-25 自治労連hp

 3月17日、衆議院文部科学委員会で、日本共産党宮本岳志議員が、鳩ヶ谷市の学校給食調理業務委託問題をとりあげ、自治労連本部・地方組織・鳩ヶ谷市の学校給食を考える会で傍聴行動を取り組みました。宮本議員は、民間委託したのでは、学校給食法、食育基本法の目的は達せられないと文部科学省を追及。川端文部科学大臣は、「学校給食法の本来の目的、果たすべき役割、食育の基本理念を損ねてまで効率化を行うことは本末転倒だ」と事実上、鳩ヶ谷市の学校給食調理業務の民間委託を批判しました。

◆臨機応変な対応が求められる給食調理の現場では「偽装請負」が常態化
 宮本議員は、文部省通知「学校給食業務の運営の合理化について」(1985年)をきっかけに給食調理員の非正規化、調理業務の民間委託がどんどん進んでおり、民間委託された学校給食調理の現場では、偽装請負が常態化していると指摘。鳩ヶ谷市の調理業務委託校で作成されたがんもどきの含め煮の調理工程表を示し、「40リットルのがんもどきの煮汁づくりについての指示が書いてあるが、その下に材料の量にばらつきがあった場合を想定して、あらかじめ50~60リットルの煮汁をつくる場合の調味料の量も手書きで後から記入されている。その場で臨機応変に対応しなければならない給食調理の現場では、こういうことは当然起こりうることだ。毎日子どもたちに最もよい状態で給食を届けるためには、詳細な指示文書、文書を使った栄養士や調理員との打ち合わせが不可欠であり、そのために民間委託された学校給食調理の現場では、偽装請負が常態化している」と指摘しました。
 厚生労働省の山田職業安定局次長は、一般論としながらも、学校給食調理業務を民間委託されている学校現場では、学校側から具体的な指示があり、それに基づく打ち合わせが行われ、調理員らがその指示どおりに調理を行っている場合は問題があると答弁し、偽装請負を認めました。

◆文科相「学校給食の本来の目的を損ねてまで民間委託するのは本末転倒」
 川端文科相は、「鳩ヶ谷市は昨年7月、埼玉労働局から指導票による改善措置を受け、変更契約を行って、9月7日付で埼玉労働局に改善状況を報告している。行政指導、措置命令で、本来請け負っている人は自らの責任においてやれということ。逆に言うと、校長先生がかかわることが偽装請負にあたるということだ。労働法制上の措置という問題は、法令遵守してしっかりやらなければならない。一方、どういう契約でやるかは別として、給食をよりよいものにしていこうという趣旨はそのとおり」と答弁。宮本議員は、本来、学校給食は現場であれこれと学校側と打ち合せる必要があるものであり、当然、民間委託を見直すべきなのに、鳩ヶ谷市では何から何まで請負業者に丸投げにする変更が行われたのであり、あまりにひどいと告発しました。
 さらに、「2008年に学校給食法が改正され、第8条で学校給食実施基準を、第9条で学校給食衛生管理基準を定めた。鳩ヶ谷市が契約書から衛生管理基準などを削除したことは、学校給食法改正の趣旨に反するのではないか」と追及。川端文科相は、「学校給食法の趣旨にもとづいて学校給食を行うことが学校関係者に課せられた使命だ」とし、「行政改革の中で、より効率的、効果的な行政執行という観点からいろいろな施策が取り入れられているが、学校給食の本来の目的、果たすべき役割を損ねてまで合理化するのは本末転倒だ。そうならないように周知と実態把握、食育の推進と安全管理がなお一層進められるように指導していきたい」と答弁し、事実上、鳩ヶ谷市の対応を批判しました。

◆文科相、直営の鳩ヶ谷市給食を「食育の見本」と評価
 宮本議員は、「鳩ヶ谷市の小学校では、給食調理員さんらも交えて、嫌いな野菜を好きになってもらえるような授業をしようと先生方も一緒に取り組んできた。担任の先生とも協力して、学校栄養職員や給食調理員が、子どもたちと一緒に給食を食べながら、それぞれの野菜の特徴や給食で出すときの調理の工夫なども話す、というとりくみを行っている。こうしたことが行えるのは、直営の学校だけで、調理業務が民間委託されているところでは、調理員にそうした協力を頼むことができず苦慮している。給食調理業務を民間委託したのでは、学校給食法の目的は達せられない」と追及しました。
 川端文科相は、「鳩ヶ谷市(の直営校)では非常にいいことをやってもらっている、食育の見本みたいだ。食育を実践していただいていることは大変ありがたい」と評価しました。

◆学校給食調理員などの純減を定めた行革推進法は4月1日で終了
 宮本議員は、「どんどん学校給食調理員が減らされてきた背景には、行革推進法がある。2月24日の衆議院総務委員会で、学校給食の現場で民間委託が進んでいる実態を塩川議員が質問したところ、原口総務大臣が『行革推進法は、一人ひとりの子どもたちの育ちとはどうあるべきかという観点よりも、まさに削るための観点でできており、今の時代に合わない条文だ。本当に小さい子どもたちの命を守るという観点からも、私たちはしっかりと議論を前に進めてまいりたい』と答弁した」ことを紹介し、川端文科相の認識を質しました。
 川端文科相は、「原口総務大臣の答弁と違うものではない。行革推進法第55条3項は2010年4月1日までの減らすべき目標である」と答弁し、公立学校の教職員、その他の職員の純減を定めた条項は4月1日で終わるという認識を示しました。

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