温暖化対策でも後退つづく 民主党
鳩山政権の支持率低下がつづいているが、「政治とカネむだけではない。環境問題での公約違反という状況に批判、抗議がひろがっている。
【鳩山首相 温暖化防止の公約を守ってください! ~密室の官僚主導でゆがめられる地球温暖化マニフェスト~ 気候ネットワーク 3/1】
【どこへ行く、民主の「環境政策」日経ビジネス3/5】
【25%削減 ほど遠い 政府温暖化対策 環境団体が抗議 3/3赤旗】
民主党が掲げた温暖化対策の柱は、①環境税の導入検討 ②キャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引市場の創設 ③全種全量の再生可能エネルギーを買い取る固定価格買い取り制度の早期導入ーーであるが、その根幹が揺らいでいるという。
「排出量取引は必要だが、キャップ・アンド・トレード方式には反対」(近藤洋介・経済産業大臣政務官)という方向に「総量でのキャップのない取引制度は国際社会で通用しません。」(気候ネットワーク)と批判する
固定価格買い取り制度も方向性が定まってない。
2日の院内集会の報じた赤旗は
・環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長「法案に盛り込んだ25%の削減目標には条件がつき、達成の見通しのない法律だ。再生可能エネルギー促進もできないし、反温暖化対策法案になっている。原子力・核燃料サイクル推進などもいれて、温暖化対策には役立たない」
・浅岡美恵気候ネットワーク代表「なぜ、ここまで後退してしまう議論がまかりとおるのか。とりわけ(温室効果ガスの)大規模排出源にたいしては、(排出上限枠を設けた)キャップアンドトレード型の排出量取引制度が必要で、上限枠がない取引制度は温暖化対策にならない。政権交代はなんだったのか」
・WWFジャパンの山岸尚之さん「検討されている排出量取引制度は、総選挙の公約違反になってしまうものだ。発電所など(温室効果ガス)の直接排出の総量に規制がかかるしくみにすべきだ」
の声を紹介している。
集会の様子は「こちら」
日経ビジネスは、「“八方美人”の中途半端な環境政策に終始してきた。」「 八方美人の政策は、十分に温暖化ガス排出量を削減できないばかりか、産業全体の競争力も低下させかねない。環境政策は、日本の産業を強くするための産業政策だと捉えるべきだろう。」
と経済的観点からの指摘している。
5日閣議決定の予定がずれこんでいるが、首相の意向で「原発推進」を入れた基本法を12日に閣議決定しようとしている。
温暖化対策は、異常な大企業中心の政治を転換する要の問題の1つでもある。世論と運動のひろがりにかかっている。
【鳩山首相 温暖化防止の公約を守ってください! ~密室の官僚主導でゆがめられる地球温暖化マニフェスト~ 気候ネットワーク代表 浅岡 美恵 3/1】 昨年9月、国連環境特別総会で、「温暖化を止めるために科学が要請する水準に基づくものとして、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指します。」と表明されたことに、世界は惜しみない拍手を送りました。続けて、「我々が選挙時のマニフェストに掲げた政権公約であり、政治の意思として国内排出量取引制度や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入、地球温暖化対策税の検討をはじめとして、あらゆる政策を総動員して実現を目指していく決意です。」と述べられたことに、私たちは本当に勇気づけられました。それから半年も経っていません。 地球温暖化防止は、将来世代のために私たちの世代がどうしてもやり遂げなければならない課題であり、日本に低炭素時代を切り開く経済戦略をもって、これらを同時に達成していくことが不可欠です。世界の国々は既に、この課題の達成に確実に踏み出しています。 民主党は、昨年の総選挙前から、25%削減目標とともに、「キャップ&トレード方式による実効性ある国内排出量取引市場の創設」、「再生可能エネルギーによる発電量の全量を固定価格で買取る固定価格買取り制度の導入」を打ち出してこられました。国連総会演説によって、私たちは、日本にも強い政治の意思をもって、低炭素経済に歩み出そうとする首相と政権が誕生したことを実感したのです。 しかしながら、漏れ聞こえてくる地球温暖化対策基本法案は、旧態然たる産業界の声に押され、この国際公約を忘れてしまったものといわざるを得ません。 いつ、日本の削減目標と位置づけられるのかもわからない25%削減目標であれば、国民にも経済にも後ろ向きのメッセージとなり、世界は日本に不信を抱くでしょう。 国内排出量取引制度は発電所や大規模工場など大口排出源の排出削減のために、これらに排出上限枠(キャップ)を設定して行う制度であり、総量でのキャップのない取引制度は国際社会で通用しません。 再生可能エネルギーは、一次エネルギー供給量あたりで野心的な目標を掲げ、固定価格買取り制度は、すべての、しかし真の再生可能エネルギーについて電力事業者に固定価格買取り義務を法律で定める必要があります。 3月5日にも閣議決定とのことですが、私たちは鳩山総理大臣の国連演説を忘れていません。このままでは、政権交代とは何だったのかとの思いを禁じ得ません。市民を、どうぞ失望させないでください。
« 学力調査 「開示しない」の担保は? | Main | 核密約を否定/「暗黙の合意」というトリック »
「環境・農林漁業」カテゴリの記事
- 「原発」固執は、脱炭素の障害 再エネ普及の足かせに (2024.08.08)
- 農薬使用による食物のPFA汚染 規制に立ち遅れる日本 (2024.03.06)
- COP28総括 :不十分な「脱化石燃料」〜気候正義のさらなる連帯を FoE Japan(2024.01.16)
- 気候正義 残余カーボンバジェット あと数年? (2024.01.15)
- 「汚染水」放出の愚挙 ~合意無視、コスト高、廃炉・核廃棄物処理の見通しなし (2023.08.23)
「選挙・政党」カテゴリの記事
- 「立憲民主」の選挙政策を見る (2024.10.09)
- 24総選挙~前回の共闘の到達点をリアルに見、大切にする(2024.09.26)
- ダイバーシティ&インクルージョン 組織のアップデート(2024.08.11)
- 「空白の90年代」考~前進を目指して(2024.08.08)
- 日本のジェンダー平等を考える ~家族モデル、政治、教育、賃金格差、DV(メモ)(2024.05.05)
Comments