議員定数削減 市議団が見解
高知市議会に、「なんでも賛成」で執行部とともに、財政危機をつくった与党会派の一部が定数削減案を提案している。「財政危機」「ムダ削減」を言うなら自ら辞めるのがスジだと思うが・・・
日本共産党市議団が見解を発表しているので紹介する。
【議員定数削減問題への見解 ~住民の代表機関として役割を発揮するために~】
日本共産党高知市議団 3/24
議員定数削減については、深く考えるべき2つの問題があると考えています。
【第一、民主主義の問題として】
わずか65年前まで私たちは、主権者でなく、権力は一部のものに独占されていました。そして権力の暴走は、日本国民とアジア諸国民に多大な犠牲を強いる過ちを犯しました。
この反省から誕生したのが国民主権にもとづく現憲法であり、地方自治・住民自治の規定です。
その要は、国民・住民が権力の暴走に歯止めをかけ、国民の自由と権利を保障するよう権力を統制するという大原則、立憲主義にあります。
同時に、現憲法は、地方自治の規定を新たに設けました。
憲法92条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としています。
この地方自治の本旨とは、住民が主権者という「住民自治」と国から独立しているという「団体自治」の2つの面から成り立っています。
地方自治の規定も、国家を総動員して進められた軍国主義の過ちを二度と繰り返さないという反省の上に立ったもので、地方自治体は国の下請け機関ではないことを表しています。
しかも、こうした権利、規定の獲得は、土佐の自由民権運動をはじめ普通選挙、国民主権の実現にむけた先人達の幾多の苦労、犠牲の上に獲得されてきたものでることを忘れてはならないと思います。
自由と権利を保障するよう権力を統制する仕組みは、地方自治においてより徹底しています。ともに住民から選ばれた首長と議会が対等平等、チェックアンドバランス(抑制と均衡)によって地方自治と民主主義を保持する「二元代表制」です。
◆強大な権限を有する首長をチェックする議会
とりわけ、予算の編成権、公的施設の統廃合権、専決権など強大な権限を有する首長、多くの専門職員を配した執行部に対して、議会は「少数者をはじめ住民の多様な意見が反映されているか」、「ムダな事業はないか」など、住民の代表としてチェックするとともに、必要な政策提言を行う任務を持っています。
この議会の機能は、地方自治体の守備範囲が拡大するとともに、価値観が多様化し、施策がより専門的で複雑化するなかで、強化こそがもとめられており、不断に高める努力が必要だと考えます。
◆議会制度研究会の中間報告
例えば2005年の都道府県議会制度研究会の中間報告は「議会は地域における政治の機関であり、行政体制の一部ではない。したがって、議員定数の問題は、単に行政の簡素合理化と同じ観点からのみ論ずる問題ではない。議員定数は、議会の審議能力、住民意思の適正な反映を確保することを基本とすべきであり、議会の役割がますます重要になっている現状においては、単純な定数の一律減論は適当ではない。また、競って定数削減を行なうことは、地域における少数意見を排除することにもなりかねない点に留意すべきである」 と述べています。
今一度、住民自治の観点から議会の本来の役割を考えて見る必要があるのではないでしょうか。
【第二、議会充実の本筋】
問題の第二は、住民の代表である議会が、住民から見て「自らの代表」と実感できてない状況が少なからずあることです。今日の市の危機的な財政状況も議会の議決により進められたもので当然責任があります。
しかし、その根本的な解決は、本来、住民自らの権能である議会の力を縮小することでなく、住民の代表にふさわしい役割を発揮する議員が多くなり、その内実を高めることではないでしょうか。
◆日本共産党市議団の活動
私たち日本共産党市議団は、前市政の時から、大型プロジェクト偏重の市政運営は財政危機をもたらすと反対してきました。
市民のみなさんと署名をあつめ土佐橋の高架遊歩道を凍結させました。
不公正な同和行政の終結、特定市民、特定業者問題など市政のゆがみの是正を進めてきました。
子どもの医療費の無料化、30人学級の前進などもみなさんとともに運動し前進させてきました。市内の障害者施設、介護施設を訪問し実情をお聞きしたり、市民アンケートも実施し、市民の声を反映する努力を続けてきました。
今回、固定資産税増税回避の大きな要因となった清掃工場の談合和解金24億円に関わっても、公正取引委員会に直接申入れるなど談合疑惑の徹底追及を通じメーカーにペナルティ付きの協定書を締結させたことで貢献をすることができました。
医療センターのPFI事業も当初から反対し、今回の解約で、44億円の経費削減を実現しました。
それらは執行部の「説明」「口実」を、調査・研究にもとづく主張で、一歩ずつ打ち破り進めてきたことです。
財政危機とゴミ有料化問題がおこってからは、市内各地で議会報告会を実施するとともに、執行部の説明の問題点、解決方法をお知らせするニュースを3回、全戸に配布する努力をしてきました。
不十分な点はあるかと思いますが、議員として果たしてきた役割については恥じることなく説明できると考えています。
また、市議会を住民の代表機関とするために、他会派とも協力し、質問時間の増加、政務調査費の公開、議会だよりの改善に取り組んできました。
個々の議員の予算、条例に対する賛否が分からない点は、議員の責任が明確にならず、ただちに改善すべきと提案しています。
◆地方自治法での定数
地方自治法では、議会定数の上限が定められています。30-50万人の市は46人であり、現行はすでに40名(合併特例で44名)となっており、これ以上の削減は、市民の多様な意見を反映する点でも、執行部をチェックするための力量を保持する点でも、「問題あり」と考えています。
また、若者、女性の議会参加の道を広げることは、極めて大切なことです。
市議会が住民の代表機関として、その力が発揮できるよう、さらに個々の議員の力量アップと議会改革に全力をつくす決意を表明し、定数削減問題への見解とします。
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