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介護保険10年 毎日・特集

 本来は、介護という人権保障のためのコミュニケーション労働を、市場化・自己責任の枠に入れ、国の負担を減らした・・・その矛盾が出ているということだろう。毎日の特集
【誰が担うのか:介護保険10年/1(その1) 頼みの特養、42万人待機】
【誰が担うのか:介護保険10年/1(その2) 受け皿は認可外施設】
【誰が担うのか:介護保険10年/2 制約で細るサービス】
【誰が担うのか:介護保険10年/3 変わらぬ、家族の重圧】

【誰が担うのか:介護保険10年/4止 「福祉」「自助」重い選択】

 記事中の在宅介護者のうつ対策が気になったので少し調べてみた。
秦野市における在宅介護者うつ支援・事例調査・損保ジャパン総研 08/8
【在宅介護者の24%うつ症状 花巻で初の実態調査  2/16 岩手日報】

【誰が担うのか:介護保険10年/1(その1) 頼みの特養、42万人待機】  <コムスンがいいとは思いません。でも介護保険は問題が多すぎる。制度の不備を業者や利用者に押しつけている>  訪問介護最大手だったコムスンの不正が報じられた07年6月。介護福祉会社社長(52)が毎日新聞にメールを寄せた。<借金や負担が多い。せめて職員には年収200万円出したくてやりくりしていますが、人件費率が7割近い。民間では考えられません>。経営状況の厳しさがにじむ。  その社長が営む札幌市のグループホーム「みらい とんでん」で13日未明、入居者とみられる7人が焼死した。社長は医療や福祉の現場に携わり二十余年。「まじめで利益に執着しない人」とも評されるが、防火対策の不備が指摘されている。  少人数のグループホームは認知症ケアに理想的で、介護保険の目玉ともされてきた。初期投資が少ないため異業種が次々と参入し、約1万カ所まで増えた。一方で収益を上げにくい仕組みが劣悪なものも生んでいる。  入居者の重度化も進む。札幌の火災の犠牲者も半数以上が自力で歩けなかった。利用料が安く看護師もいる特別養護老人ホームに申し込み、グループホームで最期を迎える人もいる。42万人に上る特養待機者の一部だ。  施設より住み慣れた地域で暮らそう。国はそんな高齢社会を描くが、高齢者や家族の施設志向は高まる。     □  おむつを交換中、介護士が首から下げたPHSが鳴り続ける。東京都内の特養。入所者の体が少しでもベッドから出るとセンサーが感知し、PHSに部屋番号が表示される。ナースコールを鳴らせる人はほとんどいない。  特養では重度の人が優先されるよう、待機者を点数化している。ここの待機者は300人を切ることはない。リストの上位には要介護度や医療ニーズの高い人がずらりと並ぶ。  施設長は打ち明ける。「心が痛むが、上から順に入所させれば職員が精神的につぶれてしまう」。介護士がたんの吸引などの医療行為をすることには不安がつきまとう。さらに特養から病院に入ると退院までベッドを空けていなければならない。「経営悪化は職員の待遇に響き、今以上に重度の人を入れにくくなる」  制度導入の背景には、高齢化で急増する医療費を抑える狙いがあった。国は長期入院用の療養病床を削減、自宅やグループホームで介護を受けながら暮らせると考えた。だが病院を出された人の多くは特養を頼らざるを得なかった。「早めに申し込んでおかなければ入れない」との不安が、さらに待機者を膨らませていく。     □  介護保険制度が始まり4月で10年。超高齢社会を目前に、「社会が担う」「利用者が選ぶ」との理念は現実からなお遠い
【誰が担うのか:介護保険10年/1(その2) 受け皿は認可外施設】  ◇独居、貧困、親族・近隣と疎遠----  団地のドアを開けたとたん、異臭が鼻を突いた。食べ残しや生活ごみが山を成し、その真ん中に敷かれた布団は排せつ物が染み込み変色していた。  医療関係の仕事をしてきた50代男性は、都心の独居高齢者たちの現実を目の当たりにしてきた。親族とのつながりは希薄になり、貧困化も進む。認知症になっても、近所付き合いの乏しさから発見は遅れがちだ。  「何とかしなければ」と06年に民間会社を設立、東京23区内で一軒家を借り上げ、要介護1~5の生活困窮者を24時間世話する高齢者向け共同住宅を営む。部屋を仕切った3畳分の個室に12人。ほとんどが認知症だ。  この共同住宅には課題がある。実態としては介護施設に近いが、財政上広い面積の家を借りられないため、老人福祉法上の有料老人ホームなどの施設になれないのだ。入居者全員に食事や24時間介護を提供することはできず、配食や介護サービスは入居者が外部の法人と個別に契約している。  その結果、使える介護サービスは限られる。例えば訪問したヘルパーの目の前でベッドから落ちそうな人がいても、原則として介助はできない。経費も特別養護老人ホーム(特養)より割高だ。入居者のほとんどが月14万円の利用料を生活保護でまかなうが、特養に移れば保護費は2万円余りですむ。  84歳の女性入居者は最も重い「要介護5」。子はなく夫に先立たれ、アパートで1人暮らしするうちに徘徊(はいかい)が始まった。疎遠だった兄夫婦に近所から連絡が行ったが、兄も病弱で、福祉関係者のつてでここに来た。兄が亡くなると義姉は「他人の世話はしない」と、女性の通帳をスタッフに渡した。  入居者のほぼ半数は特養への入所を申請し、4年以上待つ人もいる。でも「入れる人はまれ」。ここで身寄りのない人をみとることもある。遺体をきれいにふき、新しい下着をつけ、火葬場に送り出す。  この区では独居高齢者が毎年1500人以上増えている。同様の共同住宅などは10カ所を超え、区の担当者は「こうした受け皿を頼らざるを得ない」と漏らす。現状を生み出しているのは、高齢社会を支える政策のいびつさに他ならない。      □  日本の高齢化はこれからが本番だ。特に都市部ではスピード、規模とも世界で例がないとされる。重度になっても1人暮らしを続けられる支えは脆弱(ぜいじゃく)だが、都内で特養を建てるには土地代だけで20億~30億円かかり、事業者任せでは進まない。  群馬県渋川市の無届け施設「静養ホームたまゆら」の火災(昨年3月)で、都内に受け皿のない生活保護受給者らが犠牲になったことを受け、都は低所得者向け小規模ホームの整備に着手した。3年間で2400人分の「都型ケアハウス(軽費老人ホーム)」を整備する予定で、10年度は11億円をつぎ込む。  事業者向け説明会に参加したNPO法人「ふるさとの会」(台東区)も、介護などが必要な生活困窮者を支えている。滝脇憲理事は「単にハコを増やすだけでは現状に追いつかない。専門職がネットワークを築き地域で支える仕組み作りにも、もっと公費を投じるべきだ」と訴える。=つづく
【誰が担うのか:介護保険10年/2 制約で細るサービス】  埼玉県内で今月末、ある訪問介護事業所が閉鎖される。女性経営者(64)は00年4月の制度スタートと同時に業界に参入した。閉鎖の直接の理由は赤字を解消できなかったことだが「強まる行政の監視に嫌気がさしたのも一因」という。  社会保障費削減を進める国の下で自治体が保険給付を抑える傾向を強めたのは、06年の制度改正のころからだ。徒歩10分以内に親族がいる人には家事援助を認めない。窓ガラスの内側をふくのはいいが、外側は家の大掃除に当たるのでだめ。自治体によってはそんな取り決めまである。  女性経営者は「介護予防を進める」としながら「散歩はだめ」という制度の矛盾に悩んだ。そして「買い物に同伴する」という書類を作っては、引きこもりがちな利用者を町に連れ出した。寝たきりになるのを防ぐことにもつながるが、行政上は書類の偽装に当たり、監査で発覚すれば不正請求として給付費の返還を求められる。  民間参入を積極的に促してきた国は、訪問介護最大手だったコムスンの処分逃れを機に態度を一転。不正請求による指定取り消しなどは08年度、全国137事業所と過去最高になった。制度の制約を受ける介護保険事業は収益が上がりにくい。その傾向は小さな事業所ほど強く、返還請求などの影響も受けやすい。一方、利用者6万人のコムスン市場を承継した大手は保険外の自費サービスや高齢者住宅など多角経営をすすめ、成長軌道に乗る。  NPOも社会福祉法人も、大企業と同じ土俵で限られた利用者を奪い合うしかない。14県の事業所をコムスンから引き継いだセントケア・ホールディングの吉田英二前社長(現CFSコーポレーション顧問)は「業界は資本力のある大企業に収れんされてきている。国もその方が安心だろう」と話す。      □  コムスン職員だった柳本(やぎもと)文貴さん(39)は08年4月、元同僚たちと介護保険制度外のサービスだけを提供するNPO法人「グレースケア機構」(東京都三鷹市)を設立した。要介護認定や家族の有無にかかわらず、利用者が必要とするサービスを提供し、スタッフも自由に選べる。  「オペラ観劇をしたい」という高齢者がいれば付き添い、「遠くの施設にいる親のことが心配」という娘に代わってお菓子を手に面会に行く。生活支援と身体介護は1時間3150円。国からの給付がないので割高になり「いかに利用者の自己負担を抑えるかが課題」というが、利用者は徐々に増え、月延べ60~70人になった。  「客を何人増やしたかを競い合うばかりの会社組織には懲りた。介護保険も手足をもがれ、利用者の生活ありきではなく、制度ありきになっている」。柳本さんの挑戦は、制度の原点とは何だったのかを問うている。
【誰が担うのか:介護保険10年/3 変わらぬ、家族の重圧】  神奈川県秦野市の女性(61)は、いまでも母がいた部屋から時々うなり声が聞こえる。  「あのころの生活が抜け切ってないんですね」  母は08年秋に近くの特別養護老人ホームに入所した。いるはずもない母の声は幻聴で、長い介護の後遺症でもある。  女性は99年から約10年間、順番に叔母、父、母を在宅でみた。3人同時だった期間もある。最もつらかったのは、老人性のうつ病で夕方になると「死んじゃう」と叫ぶ母の世話だ。訪問介護やショートステイも利用したが、できる限り自分でやろうと頑張り、自身も軽い抑うつ状態と診断された。  市の高齢介護課から電話がかかってきたのはそのころだった。「心配してくれる人がいるんだ」。そう思うと気持ちがやわらいだ。  この電話は07年秋に始まった傾聴事業。市の独自調査で、在宅介護をする人の2人に1人が軽い抑うつ状態と分かったことがきっかけだった。現在はリストアップした約500人に保健師ら7人が定期的に電話を入れている。  母の声が聞こえるという女性にも電話をかけ続けている。「元気かどうか声が聞きたくて」と保健師が語りかけると、女性は自分や母の近況をせきを切ったように語り、あっという間に1時間が過ぎるという。  家族を介護地獄から解放すると期待された介護保険。しかし10年を経てもさまざまな重圧に苦しむ家族は少なくない。毎日新聞の調査では介護殺人・無理心中は年32件(08年、未遂除く)、高齢者への虐待も年約1万5000件に上る。サービスが充実しても近親者に頼らざるを得ない現実がそこにある。      □  介護のため仕事を辞める人は年約14万5000人。制度が始まった00年(約10万人)のほぼ1・5倍だ。男性離職者の半数を働き盛りの40~50代が占め、一家が受ける経済的ダメージも大きい。  横浜市の田中秀行さんは07年秋、定住先の北米から一時帰国し80代の父の異変に気付いた。認知症だった。妻子を海外に残したまま、日本にとどまった。5カ月後、70代の母も認知症と診断された。要介護2の父を施設に預け、要介護1の母と暮らすことにした。  当初は北米で営んでいた不動産業をインターネットを利用して続けようとしたが、行き詰まった。仕事がなくなると「居場所がない」という喪失感に襲われ、不眠と過食を繰り返した。今の収入源は親の年金だけ。残してきた妻子のことも気がかりだが、将来の見通しが立てられないでいる。  介護保険は家族への経済的な支えも乏しい。スタート前には現金給付の導入も議論されたが「かえって家族を介護にしばりつける」として見送られた。制度創設時の課題がいま、重くのしかかっている。
【誰が担うのか:介護保険10年/4止 「福祉」「自助」重い選択】  「いまの食事で、おうちでもやっていけますか」。埼玉県三郷市のみさと協立病院(180床)の生田利夫院長は、入院患者に丁寧に声をかけて回診する。介護も必要な高齢者向けの療養病床が38床。目を患う男性(76)は2人暮らしだったが、妻の認知症が進み入院を余儀なくされた。男性のような症状の安定した患者を受け入れると病院の収入は減る仕組みになっている。療養病床を減らしたい国の誘導策だが、生田院長は「男性の転院先が見つからない」と漏らす。  療養病床の削減は06年、小泉政権の時に決まった。介護保険適用の介護型(12万床)を12年度中に全廃、医療保険の医療型(25万床)を6割減らし、医療費を年間4000億円圧縮する腹だった。ところが、鳩山政権はこの方針の「凍結」を打ち出しながら、長妻昭厚生労働相が「廃止の方向は変わらない」と話すなどふらついている。  126床の介護型療養病床を抱える東京都八王子市の上川病院。入院患者の要介護度は平均4・5と高い。「要介護度が高い人は適切な医療ケアが不可欠」と吉岡充理事長は言う。理事長らの試算では、計画通り療養病床を削減すると、約11万人が行き場を失うという。  医療と介護は不可分--。療養病床はそうした介護保険創設時の理念に沿ったものだ。旧政権の削減方針の扱いにたじろぐ姿は、鳩山政権の介護への無策ぶりを象徴している。  高齢化は介護保険財政を圧迫する。12年度からの次期制度改革は、介護サービスの利用が増えて膨らむ給付費を増税でまかなうのか、それとも保険料アップでしのぐのかが重い課題となる。いま、税と保険料の比率は5対5。「福祉」色を強めるのか、「自助」にかじを切るのか。山井和則厚労政務官(民主党)は「国がもっと後押しする必要がある」とは言うが、「税か保険か」には明言を避けている。  介護保険の制度設計にかかわった元厚労省老健局長、堤修三・大阪大教授(社会保障政策)は住民が参加し給付率を9~7割(自己負担1~3割)の範囲で市町村ごとに決められる仕組みを提案する。「税の割合を高くすると(財政当局から)締め付けられる。みんなが納得する形で保険料を決められる仕組みも必要だ」と指摘している。  社会保障分野は後期高齢者医療制度の廃止、年金改革、子ども手当と課題が山積し、政権内で介護の優先度は低い。民主党が声高に叫んでいた介護職員の待遇改善は、前政権の「月給1万5000円相当引き上げ」を継承しただけ。衆院選マニフェストでうたわれた「月額4万円の引き上げ」も具体化していない。
【在宅介護者の24%うつ症状 花巻で初の実態調査  2/16 岩手日報】  花巻市が市内で在宅介護している人を対象に初めて実施した実態調査の結果、介護が原因でうつ症状となっている人が4分の1近くに上ることが分かった。介護者が心身に多大な負担を抱えている実態があらためて浮き彫りとなった。市は2010年度から相談員を増員し、在宅介護者の訪問相談などを手厚くする。介護者の負担軽減へ関係機関の一層の連携強化を急ぐ。  調査は昨年8月1日から10月31日まで、市内の介護支援事業所や地域包括支援センターの職員が介護者の家を訪問し、対象約2800人のうち1430人から回答を得た。  アンケート調査と併せて健康面のチェックに用いる問診も行い、約24%の人に軽度から中度のうつ症状がみられた。介護者の約80%は女性で、介護を「負担」とするのは80%。市などに介護指導や経済支援を求める声が多かった。

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