鳩山政権 医療崩壊に立ち向かっているか?
鳩山政権は、診療報酬を0.19%増で「10年ぶりのプラス改定」と言っているが、表に出ていない薬価の引き下げがあり、実質は、0.027%。一方で自治体、病院への補助金削減はそれ以上の減額となっていると「赤旗」が報じている。医療崩壊に立ち向かえ構えがあるのか?
ちょうど「日経ビジネス・オンライン」に看護現場のレポートが配信されている。
【もうこれ以上、医療を支えられない 看護師の35歳女性のケース 2/1】
医労連、民医連などの調査が現場の深刻さを示す材料として使われている。民主党の姿勢にも疑問を呈し「国民のための医療を確立するには、看護師の労働実態を直視し、改善に向けなければならない」と問題提起している。
◆日経ビジネスのレポート(小林 美希 労働経済ジャーナリスト)は・・・
・日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査」(2005年)で3人に1人が「切迫流産」を経験。
妊産婦の夜勤免除や業務軽減は、本人が申請すれば認められるが、その点について、医労連の田中千恵子・中央執行委員長の「本人による申請では、人手不足で言い出しづらい労働環境にあり徹底しない。かといって比較的、規則正しい生活ができる外来はパート化しているため、病棟から外来に移ることを希望しても叶わないケースも多い」と指摘を紹介している。
・ 慢性的な看護師不足
「夜勤も仮眠を取る余裕はなく、24時間以上起きたまま勤務することも珍しくない」の声を紹介。そして、日本看護協会の「潜在ならびに退職看護職員の就業に関する意向調査」(2006年10月実施)で、離職理由が「結婚・妊娠・出産」、現在就業していない理由に「子育て」「家事と両立しない」が挙げられている。再就業意向があっても52.3%が「非常勤」を希望している。と紹介している。
また、2009年3月、東京民主医療機関連合会が都内の病院の看護配置状況を調査で200床以上の病院でDPC(診断群分類包括評価)導入を検討している「10対1」の病院が52病院、合計1万9779床ということから、それらの病院が今後「7対1」をとると仮定すると、都内だけでも4000人の看護師が不足すると試算、していることを紹介
・ 民主党の政策について
「政権交代し、民主党は看護師対策を打とうとしているが、それはあくまで『票田』として見ているからで、本質的な問題に迫っていない」「そもそも必要な看護師の増員について明確に掲げているわけではない」と指摘。
「厚労省医政局看護課の予算全体は、2009年度の93億8000万円から2010年度は101億1000万円と増加したが、労働環境をめぐる予算については、民間病院の保育所運営費の補助が今年度比6500万円増の20億5900万円とわずかに増加したことや、看護職員の短時間正職員制度の導入支援とした9300万円が新設された程度。
これが、女性の雇用の20人に1人という規模の看護職で、約2万人が過労死寸前となっている就労環境を改善させる予算規模とは言いがたいのではないか。」としている。
・見過ごされる看護の力
医師不足を背景に、医師の業務軽減を狙った看護師の業務拡大が議論されていることにふれ、厚労省の「チーム医療の推進に関する検討会」でも話し合われているが、「最低基準も守られないような看護の労働現場で、看護師の業務だけが拡大されれば、ますます疲弊し、看護師不足を加速させるだけではないか。」と問題点を指摘し、厚労省チーム医療の推進に関する検討会の委員である川嶋みどり・日本赤十字看護大学学部長の「看護師の業務のうち、“医師の診療の補助”ばかりが取り上げられ、看護師の本来の仕事である“療養上の世話”が忘れられてしまってはいないか」「看護師は、少なくても患者の体に手を触れて、熱はないか、痰はたまってないか、お腹を触ればお通じがいいかということがある程度は分かるもの。それが『手当て』と言われる所以だ。重症患者でも、綺麗に全身清拭すると血行が良くなり、免疫力が高まって治る力が高まっていく。これは、内臓が活発に動き出し、胃液、唾液が出てきて食欲がわくからだが、こうした看護の力は診療報酬で認められていないため重要視されにくい。この看護の基本を看護師が取り戻さなければ、看護師はいつまで経っても自立できず、やりがいを失い、激務の中で燃え尽き辞めていく現状は変わらない」と危惧の声を紹介している。
最後に、再度、医労連の「看護職員の労働実態調査」(2006年)・・・「仕事を辞めたいと思う」が73.1%に上った。その理由には「仕事が忙しすぎるから」(37.0%)、「仕事の達成感がないから」(22.0%)、「本来の看護ができないから」(17.4%)。さらに、「この3年間のミスやニアミス」(86.1%)という結果が示された。ことを紹介し、 「真に患者のため、国民のための医療を確立するには、縁の下で医療を支えている看護師の労働実態を直視し、改善に向けなければならないのではないか。」と問題提起している。
◆診療報酬改定の中身は、医療行為の本体部分に700億円を上積みし、薬価部分の引き下げで生み出した5000億円とあわせて5700億円(1・55%)引き上げ、薬価部分との差し引きで0・19%のプラス、というものだったが、薬価部分で、表の部分と別に、「別途、後発品の置き換え効果の精算を行う」と、600億円が削減されていた。このため診療報酬全体ではわずか100億円、0・027%の引き上げでしかない。
さらに、予算案では、診療報酬の増額を理由に、自治体へ個々の病院に出している補助金を428億円から308億円に削減している。この補助金は、へき地の医師確保、救急や周産期医療対策を目的としたもの。
診療報酬増100億円、補助金減120億円・・・「医療崩壊に拍車」をかけるものては・・・
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