“稼働世代の貧困” 無低診事業
無料低額診療事業は、高知市の「貧困」を顕在化、可視化したと思っている。先日も地元紙が大きくとりあげた。
事例には、40代、50代の男性が多い、職を失うと数ヶ月で一気に貧困に転落する。
ニート第一世代、就職の超氷河期と言われた世代が40代に突入、非正規雇用の増加、不況による解雇が追い打ちをかける。こうした事例は拡大していくだろう・・ 無低診事業とシンクロするレポートである。
【実家暮らしなのに“無縁死”!? 親の年金に依存する中高年ニートたち /ダイヤモンド】
対人関係が少し苦手だとか、様々な理由から非正規雇用を続けるうちに40代となり、まったく働く場所がなくなり、親の 年金に頼って生活。その親に認知症や介護の問題が生じると・・・ともに貧困となり、社会から孤立していく・・・ レポートはそんな姿を追っている。
“ある病院のソーシャルワーカーは打ち明ける。
「非正規労働者で無保険という人は少なくありませんが、最近は親元で暮らす無職の人にも目立つようになりました。不況に加え、親が高齢化しつつあることも背景にありそうです。
両親の入院費用の相談で訪れた際などに、打ち明ける人が多いですね。じつは自分も健康保険の期限がすでに切れているが、どうしたらいいか、と――。でも、そうやって話してくれる人はまだいい。無保険だから、と深刻な病気になっても病院に行かず、我慢している人が多いようです。早めに話してくれれば、それなりに打つ手はあるんですが”
- こうした世帯の駆け込み寺に無低診がなっている。緊急入院で命が救われた例も少なくない。一歩まちがえれば“無縁死”におちいっていたかもしれない。
また、こうした状況が、高齢者の虐待のリスクを増加させているとレポートは追う。
“このように経済的には依存関係にあり、強く結びついているニートの子どもと親だが、一方、精神的には深い断絶に直面している。
「もと企業戦士の父親と息子が家庭内で対立し、口もきかないというケースも多い。同世代の友人やかつての仕事仲間などと断絶しているうえ、家の中でも世代間で断絶してしまう。それが彼らの不安を強め、ますます心の闇を深くしています」(中川さん)
経済的弱者の子どもが、身体的弱者の親を虐待するケースもある。”
そうした状況に打つ手があるのだろうか、とある東京のNPOのパンづくり、農業を通じた社会復帰のプログラムを紹介している。
“必要に応じてここで実習を受けてもらっています。引きこもりで対人不安が強い人などは農業体験にチャレンジしてもらうことが多い。生活リズムを取り戻し、仲間と一緒に働きながら、少しずつ対人不安を和らげる。さらに、ベーカリーでの製パン作業、販売などを通し、自信をつけていきます”
―― 生活保護の自立支援・就労支援においても、社会性や自信を回復させる中間的な就労、福祉的な就労というシステムが必要ではないか。市議会でもそういう提案を市議団がしたことがある。
こうした社会から排除された事例の増加は家庭環境や育ち方ではなく、社会の変化にあると言う。
“たとえば昔なら実家の商売を継いだり、町工場に就職したりと、不器用で人付き合いの下手な若者でも、働ける場所はあったんです。企業も半人前の新人を採用し、一人前に育てるキャパシティを持っていた。だが、今はどこの企業も即戦力を問う時代。コミュニケーション能力の低い人材はまず排除されてしまう”
臨調「行革」、「構造改革」路線・・・ 利潤第一で人を切り捨ててきた社会のあり方が変わる番ではないか。そう示唆しレポートは結んでいる。
“ともすれば社会に背を向けていると思われがちなニートたち。だが、じつは社会のほうが貧困化し、いろいろな人々を受け入れられなくなっているのではないか。”
“ニート100万人時代”の到来。その危機感は、日本の変革へのひとつのチャンスとなるのだろうか。
もはや、ニートが社会適応するだけでなく、社会もまた彼らに適応すべき時代なのかもしれない。”
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