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“蟹工船”小林多喜二のメッセージ /感想

 24日、NHK番組、歴史秘話ヒストリア「たった一人のあなたへ “蟹工船”小林多喜二のメッセージ」・・多喜二の人生とメッセージを、田口タキとの悲恋、蟹工船ができるまで、デスマスクにいたる経緯という3つの部分でまとめている。なかなか良かったが、それだけに今もって、治安維持法の被害者に謝罪も救済もされてないことに問題意識が続く。

 多喜二が1人の人間として屈託のない青年、苦悩する姿、そしてやさしさと強さが描かれていた。
 虐げられたものへの共感、抑圧者への怒り、そして弱いもの同士が立場をこえて力をあわせること、絆の回復を多喜二のメッセージとしている。
 日本共産党への入党や治安維持法、特高の弾圧、虐殺のひどさがわかる点も描かれていた。

 多喜二の拷問で変わり果てた死体を前に、母セキが「立つんだ多喜二。みんなのために」呼びかける(三浦綾子さんの「母」が脳裏をよぎる・・・)ところは、胸に迫るモノがある。

 過去の話としてでなく、多喜二の思いは、現代に、そして世界に連なっている。

 翻訳本のひろがり。フランスの新聞が「自分たちは使い捨てられたくはない、その思いで、フランスの若者も読むに違いない」と取り上げていることを紹介していたが・・・

 時代、国を越えて届くメッセージ。そこには、利潤第一で人間をモノのように扱う経済体制が生み出す惨禍が「おれたちのことが書いてある」と普遍性をもって呼びかけるのだと思う。

 もう一歩触れてほしかったのは、 拷問・虐殺された多喜二(そして多くの反戦を唱えた人々に対する弾圧)について、今の政府も「(治安維持法という)悪法も法」という立場で、「国家の悪事」を合理化・黙殺し、謝罪も名誉回復も補償もしてないということ。
 つまり、今を生きる私たちは、そうした課題を抱えているということ。

 07年、スペインは、内戦とフランコ独裁時代の政治的・思想的理由による刑罰、制裁の根本的な不当性を認め、人権回復と補償をめざす「歴史の記憶法」を制定。
 09年、ドイツは、政治、世界観などにもとづくナチスの裁判判決の無効とする法をさらに徹底し、軍事裁判の「戦時反逆罪」の除外を取り消す改定。
 08年、アメリカ連坊議会は、過去の奴隷制と黒人差別を謝罪する決議を採択。オーストラリア連邦議会も先住民族に対する謝罪決議を採択。チリ、アルゼンチンでは軍政時代の悪業を調査し、人権回復の取り組みがすすめられている。
 
 これが世界の流れである。

 侵略行為による国内外の惨禍への向き合ってこそ、アジア、世界の中で「名誉ある位置」を占めることにつながる。それが多喜二からのもう一つのメッセージのように思う。


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