授業料無償化でも、なお重い負担 日高教調査
日本高等学校教職員組合が09年度の教育費負担の調査結果を報告している。
授業料以外の初年度の保護者負担金は全日制で20万、定時制で11万と昨年より1万数千円増えている。さらに、統廃合や学区撤廃で「通学費の負担が授業料相当額以上になる例は7 割」になるとし、「教育格差をいっそう拡大し、高校生の修学が保障できないのではないか」としている。
「2009 年度高校生の修学保障のための調査」のまとめ
授業料の二倍、三倍の負担がある。そうしたもとで、授業料実質無償化についても「既に授業料減免を受けている家庭にとっては教育費の軽減につながらないばかりか、世帯によっては所得控除の圧縮でかえって増税になるケースも予想されます。」と問題点を指摘。
学校納付金について減額を検討した学校は3割強にとどまっているが、その例として、
○PTA 会費、生徒会費、後援会費の減額や、授業料減免者に対する諸会費の減免
○卒業記念品をやめる、卒業祝賀会を中止する
○繰越金の多い経費について徴収をやめた
○芸術鑑賞等行事精選、修学旅行先の変更、
○ 部活動後援会費を寄付制にした
また、「夏服・冬服を統一し、保護者負担を軽減した」、「制服の素材を見直した」、「体操着は指定せず、中学校のものを着用してもいいことを伝えている」、「必要な教材か精選している」、「電卓は一番安いものを指定している」などの工夫が紹介されている。
最後に「担当者として感じること」として、学校現場の担当者として感じることを自由に書いてもらっている・「そこからは、貧困と格差の実態をリアルに捉え苦悩している担当者の姿が浮かび上がり、政治や社会の責任を問いかけています。
○高校の授業料無償化には賛成なのだが、57 人中20 人が授業料減免の本校では、恩恵を受ける生徒は意外と少ない。それどころか経済格差が広がることになりかねないような気もする。(北海道)
○免除を受け、奨学金を受給していても、滞納している子どもがいるということは、家庭の生活そのものが成り立っていないためだと思われる。やはりひとり親家庭のみならず、両親がそろっていても、収入が少ないという現状を変えなければ、根本的な解決にはならないと思う。(青森)
○困窮家庭の生徒は部活動に関わる資金も捻出できず退部している。修学旅行の費用を出せない家庭が増えている。経済的に困難な家庭の生徒は心身の不調を訴え、欠席が多くなる傾向がみられる。(新潟)
○一度貧困の立場に追いやられると、ほとんどの人がそこから抜け出せない。労働の公平な分配による富の公正な分配が必要。企業規模・産業構造・産業別間にある格差を、より公平・公正に解消する政治力が求められる。(群馬)
○中学と高校では、公的な援助が格段に違う。ある保護者は、中学時並の支出と想定していたところ、高校での支払いの多さに驚いて、結果的に退学を選択した。高校では納入金額の多さに今更ながら驚いている。(山梨)
○親の仕事も生徒のアルバイトも少なくなり、貧困家庭が増えていて、1 日に給食1 食のみという生徒も増えている。ブラジル人家族は仕事がなく、やむなく中退して帰国したり、まだ通学しているがいつまでもつかわからないという状況である。(長野・定)
○経済的理由で学業継続が困難になるなどあってはならないこと。次代を担う若者を育てるのは社会全体の責任のはず。早急に教育予算の拡大をするべきである。(兵庫)
今こそ、憲法25 条の生存権、26 条の教育を受ける権利、27 条の勤労の権利を生かすことが求められています。」
人生最初のしあわせ平等を・・・教育の無償化は喫緊の課題である。
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