広がる年収による教育格差 政策金融公庫
少し前になるが、日本政策金融公庫が昨年11/13に発表した教育費負担の調査。今月、共同の配信で知ったが、見てみると収入減の中、教育格差が拡大していることがわかる。
【教育費負担の実態調査結果(国の教育ローン利用勤務者世帯)平成21年度】
【年収の半分が教育費に 400万円未満の家庭 共同1/7】
・高校入学から大学卒業までの費用は子供1人当たり1,007 万円
・世帯年収階層別にみると、「200 万円以上400 万円未満」の世帯は、前年調査と比べ122.0 万円減少(前年999.7 万円→本年877.7 万円)している。一方、「400 万円以上」の世帯は、前年調査と比べ11.0 万円(前年1,031.5 万円→本年1,042.5 万円)増加。
・在学費用(小学校以上に在学中の子供全員にかかる費用の合計)の年収に対する割合
平均33.7%。「40%以上」が29.3%と最も多い。
年収階層別にみると、年収が低い世帯ほど在学費用の負担は重くなる。「200万円以上400万円未満」は48.3%で、昨年度と比べ7.3ポイント減少。「400万円以上」は、1.5ポイント~2.9ポイント増加している
「教育の格差」が拡大していることがわかる。
20-21年度比較 年収別の在学費用
200万以上-400万未満 163.8万→148.2万 -15.6万
400万以上-600万未満 166.5万→176.0万 +9.5万
600万以上-800万未満 188.4万→205.8万 +17.4万
800万以上-900万未満 207.0万→220.4万 +13.4万
900万以上 221.1万→238.5万 +17.4万
・教育費の捻出方法としては、「教育費以外の支出を削っている」(節約)が、前年調査と比べ1.6 ポイント増加し、63.0%と最も多い。
・節約している支出としては、「旅行・レジャー費」が57.6%と最も多く、「食費(外食費を除く)」が52.3%と続く。しかし、この3年の傾向では、「レジャー」は、65.1%から低下し、「食費(外食費を除く)」43.8%からアップし、基礎的な生活に負担が食い込んできていると思われる。
・入学費用
高校が48.1万円、高専・専修・各種学校が82.3万円、短大が78.6万円、大学が95.9万円
・在学費用(年間)
高校が92.7万円、高専・専修・各種学校が142.8万円、短大が142.2万円、大学が146.4万円
・住宅ローン返済額と在学費用の合計が年収に占める割合
平均は前年の45.9%から48.0%に増加。
それは5割以上負担している層の増加である。
60%以上 17.4%→21.3%
50%以上60%未満 15.0%→19.9%
住宅ローンがある世帯の平均年収が、20年度の692.5万円から21年度に659.5万円と33万円減少している。
本格的な福祉国家の確立が求められる。
【年収の半分が教育費に 400万円未満の家庭 共同1/7】 小学生以上の子どもがいる年収200万円以上400万円未満の家庭では、年収に占める教育費の割合が48%とほぼ半分に上っていることが7日、教育ローン利用者を対象にした日本政策金融公庫の2009年度調査で分かった。 低収入の家庭ほど割合が高くなる傾向にあり、多くの家庭が旅行費用や食費を削って教育費を捻出している姿もうかがえる。公庫は「不況で収入は減っており、負担は重い」としている。 調査は昨年7月に実施、5355世帯から回答を得た。 住宅ローンを抱える家庭では、ローン返済額と教育費の合計が収入に占める割合の平均は48%。「4割以上、5割未満」が最も多く25%、「6割以上」も21%あった。 教育費の捻出方法として63%(複数回答)が「教育費以外の支出を削っている」と回答。ほかに「奨学金を受けている」52%など。節約している項目のトップは「旅行・レジャー費」58%で、「外食以外の食費」52%、「保護者の小遣い」43%なども多かった。
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