高知市「下請け適正化」で重要な前進
高知市が「地元業者,地元資材を積極的に活用し,雇用の安定と就労の促進,安全な施工を図る」ことを目的に下請け契約の適正化で、「要綱」と「指針」を作成した。一貫して求めてきた内容である。
「市発注工事に係る下請契約の適正化について」11/20
この内容に対し、建築政策の専門家から「積極的な内容がある」とのコメントが寄せられた。
以下がその指摘・・・
・国に準じて基礎的自治体において元請・下請の適正化を図る指針を作成したことは大変重要なこと。全体的には建設業法、公共工事適正化法・指針を元請・下請関係においてきちんと遵守させていくことが基本となっているが、特に注目されるのが、
①第9条、直接元請人に対し現場労働者の労基法遵守、労働保険料の適正な納付等の措置を講ずるよう指導責任を課したこと。
②第10条、直接元請負人に対し、建退共証紙を現場労働者に直接貼付するする義務等、具体的措置を講じたこと。
・低価格競争の最終的しわ寄せが現場労働者に被せられている中で、労災保険の個人加入や雇用保険への未加入という状況が増え、直接雇用ではなく無権利な個人請負形態で働く労働者が増えている。この改善の上で第9条が有効ではないか。
・建退共制度は有効に活用すれば労働者の失業時の手当てとして役立つのだが、現実には直接使用している下請業者に加入責任を任されている。第10条では直接元請人の責任を証紙貼付まで明確にしたことは画期的ではないか。
・「要綱」の第4条、第5条で市の指導責任、および違反の場合の直接元請人への罰則を規定したことは指針の有効性の上で非常に重要ではないか。
とのこと。
市は、指導実施要領の試行として、下請け代金の支払いについて、直接下請業者に対して、事後問い合わせを抽出で行う。
「今後,高知市発注の予定価格130万円以上の工事の一部で,請負代金の支払後に,下請代金が適正に支払われているかどうかを下請業者の方に電話等により確認させていただくこととしました」とし「下請施工通知書」を改定をしている。
しかし、現在の計画では、問い合わせ項目は、施工通知書に基づく代金の支払いについてだけである。12月議会では、この方針の充実をもとめ日本共産党市議団が質問している。
① 前払いがあった場合の適切な割合での支払いが履行されたかどうか
②下請けから元請けへ設計段階で見積書を提出したか、またそれが適正に下請け単価に反映されたかどうか
③「建設業退職金共済制度」にもとづく建退共シールの貼り付けが適正に行われたか、
これらの項目は、「建設業法」で定められたものであり、市が独自にハードルを高くするものではなく、要綱の実効性を高めるものだと指摘して・・・
08年3月議会(3月13日)では、公共調達にかかわる基本条例の必要性を答弁しており、あわせて実現を望みたい。
【総務部長の答弁】
「これまで公正労働基準の確保につきましては,労務提供型の委託業務契約におきまして労働関係法令の遵守規定を契約書類に明記し,また著しいダンピング受注を排除するため,平成19年度から庁舎の清掃業務に,平成20年度からは建設コンサルタント業務に最低制限価格制度を導入するなど,新たな入札制度改革に取り組んできたところでございます。しかしながら,公共工事や委託業務等における低価格,低単価の契約発注の増大により,労働者の賃金,労働条件の低下が進んでいることは憂慮すべき問題であると認識しておりまして,公正労働基準が確保される契約方法や総合評価方式における社会貢献に取り組む企業への優遇措置のあり方などについては,公共調達における喫緊の課題であると考えております。」
「社会的価値の実現に向けたいわゆる政策入札を実施していく必要があり,そのために本市が推進する政策を宣言した公契約条例というべき基本条例の制定が必要でありますので,今後他都市の状況を幅広く調査,研究し,検討を重ね,質の高い公共サービス実現に向け取り組んでまいりたいと,そのように考えております。」
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