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派遣労働禁止 実効ある改正を 

 若者を使い捨てにする派遣労働への怒りが、政権交代をもたらした力の1つであるが、政府の「労政審」の「公益委員案骨子」は、抜け穴だらけで、多くの批判が出ている。反貧困の運動のスローガンで言えば、「鳩山さん、ちゃんとやってよ。」
・派遣切りと雇用破壊の実態をふまえた改正を 全労連12/22
・労働者派遣法改正に向けて厳しい議論が続く 連合12/22
・労政審「公益委員案骨子」に対する緊急声明 労働弁護団12/21

本来、雇用は、直接・無期限という原則である。憲法25条「生存権」、27条「勤労の権利」、労基法第1条「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」を基準にした議論が求められている・・・

【派遣切りと雇用破壊の実態をふまえた改正を 全労連12/22】 12 月18 日の労働力需給制度部会には「部会報告に向けての公益委員案骨子」(以下、「骨子案」と言う。)が示され、これをもとに年内に労働政策審議会の報告がなされる予定とされている。しかし、「骨子案」は3 党案からも大きく後退し、この間の派遣切りや雇用破壊の実態をかえりみない内容であり、断じて容認できない。その問題点(大要)を指摘すれば、以下のとおりである。

労働政策審議会は、我々の指摘と自公政権を退場に追い込んだ国民の切実な願いを踏まえて、「骨子案」を撤回し、抜本改正を断行すべきである。これを強く求める。

「骨子案」の問題点の第1 は、登録型派遣と製造業務派遣について「原則禁止」とはしているものの、それが不十分だということである。「骨子案」は、「常用雇用以外の労働者派遣を禁止する」として登録型派遣を原則禁止し、製造業務派遣についても、禁止の例外として「常用雇用の労働者派遣」を挙げている。しかし、そもそも「常用雇用」の定義が現行法上は不明確なのであり、厚生労働省の「業務取扱要領」においても短期の派遣契約を繰り返して1 年を超えれば「常用」と見なされることになっている。これでは不安定な短期契約が温存されるのであり、「常用雇用」とは文字の通り、「期間の定めのない雇用」と定義することが必要である。さらに、この間の製造業等の派遣切りでは、派遣契約の中途解約に伴う違法な解雇が横行しているという事実が明らかになったのであり、製造業務派遣の禁止では、「常用」の定義を明確にするだけでは不十分である。
この1 年間の事態をみれば、究極の不安定雇用である登録型派遣と、期間制限違反など違法派遣が横行し常用代替が明らかな製造業務派遣に関しては、明確に禁止すべきである。「原則禁止」という言葉で、あれこれの例外を設けるべきではない。

第2 には、違法派遣の場合の直接雇用の「みなし」規定が不十分だということである。「骨子案」は、「違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす旨の規定を設ける」としているが、当該派遣労働者を就労させない派遣先に対しては「行政の勧告制度」に止めている。これでは直接雇用の実現が保障されているとは言いがたい。よって、派遣労働者に直接雇用の意思がある場合には、罰則を含めた行政の介入を明記して、派遣先との労働契約の成立を担保する制度とすべきである。
同時に、「骨子案」では、その場合の契約期間が定められていない。直接契約後に短期日での解雇・雇止めを許さないよう、直接雇用のみなしは、常用雇用(期間の定めのない雇用)であることも明記すべきである。

第3 には、均等待遇に関して「均衡を考慮する」との規定に止めている点である。この間の事態でも、労働者派遣が「安価でいつでも切れる労働力」として、常用雇用の代替として急速に拡大し、貧困と格差、ワーキングプアを拡大してきた元凶であることは明らかである。常用雇用の「労働者派遣は臨時・一時的な業務に限定し、常用雇用の代替にしてはならない」という原則を法に明記するとともに、派遣労働者の生活を保障するために、「均等待遇の義務づけ」とすべきである。
また、これに関連して、マージン率の情報公開については、「一人当たり」ではなく、「各自」とすべきである。

第4 には、派遣先の責任が大きく抜け落ちている点である。派遣先の団交応諾義務を明記し、労使交渉において問題を解決できるようにすべきである。また、「育児休業を理由とする不利益取り扱い」や「性別を理由とする差別的取り扱い」の禁止などが明記される必要がある。

第5 には、旧政府案(20 年法案)において厳しく批判された、「期間の定めのない雇用契約の派遣労働者について、特定を目的とする行為」を可能としている点について、その見直しに触れていない問題である。特定行為を解禁するということは、禁止されている労働者供給事業となんら変わらないのであって、労働者派遣の本旨をはずれ、職業安定法の基本に抵触すると言わざるを得ない。よって、削除することを明記すべきである。

第6 には、日雇派遣の原則禁止に関して、「20 年法案のとおり禁止の例外を設ける」としている点である。これでは、政令によって、いくらでも例外を拡大することができることになってしまう。日雇派遣を明確に禁止すべきである。

こうした多くの問題点を持つ「骨子案」となった背景としては、厚生労働大臣の「諮問」が指摘した「我が国の雇用情勢は急激に悪化し、いわゆる派遣切りが多く発生し、社会問題化するなど、派遣労働者をめぐる雇用環境に大きな変化が生じた」事態を踏まえた論議になっていないからである。
労働政策審議会において、中途切りや期間制限違反など違法が横行し、雇用破壊が急速に進行したこの1 年余の実態を直視した真摯な論議がなされるよう求めるものである。
以上

【労働者派遣法改正に向けて厳しい議論が続く 連合12/22】 12月22日、第141回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会が開催され、労働者派遣法の改正に向けた審議が行われた。今回は、18日に提示された公益委員からのとりまとめ案「部会報告に向けての公益委員案骨子」を踏まえた「部会報告案」が示され、それをもとに議論が行われた。  内容は、登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止、違法派遣の場合における直接雇用の促進などが盛り込まれている点に変わりはないが、今回は新たに「暫定措置等」として、登録型派遣禁止の施行を段階的に行うことなどが盛り込まれた。しかしながら、使用者側は頑な姿勢を崩しておらず、労使の応酬が繰り返される厳しい状況が続いている。


【労政審労働力需給制度部会の12月18日付「公益委員案骨子」に対する緊急声明】
2009年12月21日 日本労働弁護団 幹事長 水口洋介
1 2009年12月18日に開催された第140回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会において、公益委員から「部会報告に向けての公益委員案骨子」(以下、「骨子」という。)が提案された。これによれば、2008年11月に提出した法案(20年法案)の内容に追加・変更すべき点として8項目があげられている。
ところで、今年8月の総選挙を経て成立した民主・社民・国民新党の3党連立政権は「雇用対策の強化」を重点課題とし、その一環として、『登録型派遣』の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合の『直接雇用みなし制度』の創設、マージン率の情報公開など派遣法の規制を強化し、『派遣業法』から『派遣労働者保護法』に改めることを内容とする「労働者派遣法の抜本改正」を政策合意として確認している。
このような政策合意がなされた理由は、わが国の労働者派遣法がもたらした不安定雇用と劣悪な労働条件という問題が、製造業で働く派遣労働者に最も激しく現れたためである。その最たる例がスポット派遣・日雇い派遣であり、昨年秋から猛威を振るった派遣切りであった。
本来、雇用は、直接・無期限であることが原則であり、間接雇用・有期雇用は、それを客観的に必要とし、かつ合理的にする特段の事情がある場合に限り許されるものでなければならない。製造業派遣において現れた深刻な派遣切りなどの問題は、直接雇用、無期限雇用という2つの原則を踏みにじった結果である。派遣法抜本改正にあたっては、この点に十分留意し、派遣労働の規制が実効的なものとなるとしなければならない。
2 日本労働弁護団は、派遣労働者保護の観点にたった労働者派遣法の抜本的改正を実現するため、骨子が提案するうち、ここでは以下の3点に絞って当弁護団の見解を緊急に発表し、同部会に十分な審議を求めるものである。

(1) 登録型派遣の原則禁止について
 骨子は、常用雇用以外の労働者派遣を禁止するとしつつ、禁止の例外として、「①専門26業務、②産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替要員派遣、③高齢者派遣、④紹介予定派遣」をあげる。登録型派遣の原則禁止を打ち出したことは評価できるが、従来の専門26業務を禁止の例外として漫然とあげる点は不十分と言わなければならない。
専門26業務は、現在においてはもはや専門職とは言えない職務も含まれている。特に、派遣労働者が就業している業務の多数を占めるファイリングや電子機器操作等については、労働者の圧倒的多数が女性であり、女性の登録型派遣労働者化に繋がっている。そこで、禁止の例外として専門業務について、あらためて全面的に見直し、専門業務の範囲を厳しく限定すべきである。

(2) 製造業務派遣の原則禁止について
 骨子は、「製造業務への労働者派遣を禁止」を打ち出しているが、「常用雇用の労働者派遣」を禁止の例外とした。この「常用雇用」に関しては、厚生労働省が作成した「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「①期間の定めなく雇用されている者」だけでなく、「②一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用されている者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上①と同等と認められる者、すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」も含むとされている。
骨子の言う「常用雇用」の定義が、上記業務取扱要領と同じであれば、3ヶ月や6ヶ月という極めて短い雇用期間の派遣労働者も「常用雇用」とされ、製造業務に派遣されることになってしまう。これでは製造業務派遣労働者の雇用安定は絵に描いた餅にすぎなくなり、「製造業派遣の原則禁止」が「看板に偽りあり」ということになりかねない。したがって、この製造業務派遣の「常用雇用」とは、上記取扱要領とは異なり、長期的な雇用を前提とするものでなければならない。部会報告には、常用雇用は長期雇用であることを明記すべきである。

(3) 違法派遣の場合における「直接雇用申込み」の「みなし規定」について
 骨子は、「違法派遣の場合における直接雇用の促進」策として、「違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす規定を設ける」ことを提案している。
この違法派遣とは、「①禁止業務への派遣受入れ、②無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ、③期間制限を超えての派遣受入れ、④いわゆる偽装派遣の場合、⑤常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れ」の場合であるとしている。そして、違法派遣により「みなされた労働契約の申込みを派遣労働者が受諾したにもかかわらず、当該派遣労働者を就労させない派遣先に対する行政の勧告制度を設ける」とする。
 上記の「労働契約の申込みのみなし規定」の実効性を確保するためには、行政の勧告制度を設けるだけでは十分ではなく、「みなし規定」は民事的効力を有するものとされなければならない。
しかし、民事的効力の有無については骨子では明記されていない。ただ、部会での説明の中では、民事的効力があることが当然の前提とされていた。だとすれば、解釈上の争いを生まないためにも、「派遣労働者の保護」という法の趣旨目的に沿って、民事的効力を有することが明記されるべきである。
 また、「直接雇用」がみなされる場合の雇用期間について、前述したとおり、長期雇用であることが前提とされるべきである。

3 日本労働弁護団は、2008年11月総会において、「実効性ある派遣労働者保護を実現できる労働者派遣法改正を求める決議」を採択した。また、2009年10月には「労働者派遣法規制強化反対論に対する意見」を明らかにしてきた。上記骨子を受けて、私たちは、部会に対して、あらためて実効性ある製造業派遣禁止と派遣労働者保護の観点に立った労働者派遣法の抜本改正を求めるものである。

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