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特例会見 憲法論から批判 志位さん 

 混迷した議論に「基準」を示したのが、将来的には「天皇制」の廃止を国民合意で展望している日本共産党というのは、ちょっと愉快だ。
 憲法にもとづく国づくりをめざしている日本共産党は、「国政に関与する権能を有しない」という象徴天皇制の厳格な実施を求めている。その立場からの批判である。
・「小沢氏こそ憲法読んで」=特例会見、国事行為ではない-共産・志位氏 時事12/15
・「小沢さんこそ憲法を読んでほしい」共産党・志位委員長 朝日12/15
・小沢氏の「国事行為」発言が波紋 共産委員長「小沢氏は憲法読むべきだ」産経12/15
・小沢氏記者会見 不穏当きわまる辞表提出発言 読売社説12/16


 国事行為以外の行為は公的行為として政治的性格を与えてはならない、というのが憲法の規定である。
 国会開会の「お言葉」も公的行為であるが、小沢氏の言うように、この内容を時の政府が助言と承認で、どんな内容を語らせてもよい、となるととんでもないことになる。今回の会見も、「公的行為」であり、政治的性格をおびさせてはならない性格のもの。「重要な国だ」と政府が介入したことで「政治的性格」を与えてしまった、と志位さんは批判している。

 「天皇と中国とどっちが大事だ」というような感情論でなく憲法論で核心を批判した日本共産党の発言を産経がけっこう詳しく報じ、読売がその観点から「社説」でとりあげているのが、おもしろい。

 それにしても権力奪取に成功した小沢さん。国会運営もそうだが、政権の力でなんでも出来ると、のぼせ上がってないか・・・ 参院でも多数を握ったら、それこそ何をしでかすか。

「小沢氏こそ憲法読んで」=特例会見、国事行為ではない-共産・志位氏 時事12/15  共産党の志位和夫委員長は15日、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例的な会見設定をめぐり、民主党の小沢一郎幹事長が憲法の「天皇の国事行為」に言及して「天皇の政治利用」を否定したことに関し、「外国の賓客との会見は国事行為ではない。小沢氏は憲法をよく読めと言っていたが、小沢氏こそ憲法をよく読んでほしい」とやゆした。都内で記者団に語った。   小沢氏は14日の記者会見で「天皇陛下の国事行為は内閣の助言と承認で行う。それが『政治利用』となったら、陛下は何もできない」と述べ、今回の会見設定が政治利用には当たらないとの考えを強調した。  これに関し、志位氏は「憲法に国事行為として厳格に定められている項目(第7条)がある。そこに賓客との会見が入っていない」と指摘。「(習氏との会見に)政府が関与することで政治的性格を与えた。憲法の趣旨をたがえるものだ」と批判した。(2009/12/15-21:33)
「小沢さんこそ憲法を読んでほしい」共産党・志位委員長 朝日12/15  「小沢さんこそ憲法をよく読んでほしい」――。共産党の志位和夫委員長は15日、中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席と天皇陛下の会見をめぐり、民主党の小沢一郎幹事長が「陛下の行為は内閣の助言と承認で行われるのが憲法の理念だ。日本国憲法を読んでいるか」と発言したことを批判した。  志位氏は憲法7条の規定に照らし「外国の賓客と天皇が会見することは国事行為ではない。(憲法に)そういう項目が出てこない。公的行為だ」と指摘。そのうえで「公的行為は、政治的性格を与えてはならないのが憲法の定めるところ。政府が関与すれば政治的性格を与えてしまい、憲法の精神をたがえる」と記者団に語った。  一方、国民新党の亀井静香代表は15日の講演で、「陛下の国事行為は内閣の助言と承認に基づき行われると憲法にある」と述べ、首相の対応を擁護した。小沢氏が宮内庁の羽毛田信吾長官に辞任を求めたことについては「いい男だから辞めることはない」と述べた。
小沢氏の「国事行為」発言が波紋 共産委員長「小沢氏は憲法読むべきだ」産経12/15  民主党の小沢一郎幹事長が、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との特例会見を、憲法の定める天皇の「国事行為」と断じた発言が注目を集めている。14日の記者会見での「会見は政治利用ではないか」との質問に対し、国事行為そのものをよく把握しないまま「マスコミの理解がおかしい」と決めつけた発言だ。共産党の志位和夫委員長は15日、記者団に「外国賓客と天皇との会見は国事行為ではない。小沢さんこそ憲法をよく読むべきだ」と述べた。  「陛下の行為は、国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだ、すべて」  小沢氏は14日の記者会見でこう断言した。  憲法は天皇が行う国事行為として、国会召集や衆院解散などを列挙している。外交文書の認証や外国大使・公使の接受も含まれるが、外国賓客との会見は国事行為ではなく、もっと天皇の意思を反映した「公的行為」に分類される。  公的行為は、国事行為ではなく純然たる私的行為でもない国の象徴としての公的な活動と解釈される。(1)国政に影響を及ぼさないこと(2)天皇の意思が大きな意味を持つ-の2点を要点としており、具体的には、国際親善活動のほか、全国植樹祭や戦没者追悼式へのご出席などがこの公的行為に該当する。  公的行為は、小沢氏がいう「内閣の助言と承認」を必要としない。また、国事行為の場合は天皇に拒否権はないが、公的行為には憲法上の規定がないため、必ずしもその限りではない。  皇室関係法令に詳しい大原康男国学院大教授は「小沢氏は国事行為をよく理解せずに質問者を恫喝(どうかつ)しているようだ。天皇は政権のいうことを聞けばいいと言っているようにも聞こえる。いずれにしろ不勉強であり、政治利用そのものの発言だ」と指摘している。(宮下日出男)
・小沢氏記者会見 不穏当きわまる辞表提出発言(12月16日付・読売社説)  小沢民主党幹事長が、天皇陛下と習近平・中国国家副主席との会見問題で、羽毛田信吾宮内庁長官を厳しく批判した。  天皇と外国要人との会見は、天皇陛下の健康上の理由から、過密日程を避けるため、1か月前までに宮内庁に申し入れるという慣行がある。  鳩山首相が今回、その特例として会見を実現したことは、何の問題もないと、小沢氏は記者会見で訴えようとしたのだろう。  小沢氏は、1か月ルールについて「宮内庁の役人が作ったから金科玉条で絶対だなんてばかな話があるか」と断じた。今回の経緯を公表した羽毛田氏について「どうしても反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と強調した。  職責を果たそうとする官僚を頭ごなしに非難すれば、官僚の使命感や意欲はそがれてしまう。極めて不穏当な発言だ。羽毛田氏が「辞めるつもりはない」と辞任を否定したのは当然のことだ。  問題は、それだけではない。  小沢氏は「天皇陛下の国事行為は内閣の助言と承認で行われる」と憲法を持ち出し、天皇の政治利用にはあたらないと反論した。  外国要人との会見は、国会の召集など憲法に定められた国事行為そのものではなく、これに準じた「公的行為」とされる。  無論、公的行為も内閣が責任を負うわけだが、問題の本質は、国民統合の象徴である天皇の行為に政治的中立を疑わせることがあってはならないということだ。  小沢氏は、「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『会いましょう』と必ずおっしゃると思う」とも語った。天皇の判断に言及することも不見識と言わざるを得ない。  小沢氏は、政府に会見の実現を求めた事実はないと否定したが、崔天凱・駐日中国大使から要請を受けながら、全く働きかけをしなかったのだろうか。  首相の対応にも疑問がある。  首相は、特例的に会見を実現するよう指示したのは「大事な方」だからとした。今後の日中関係や習副主席が「次代のリーダー」とされていることを踏まえれば、そうした判断もありえよう。  しかし、会見のルールが、これを機に破られることになれば、「政治的重要性」で要人の扱いに差をつけることになり、天皇の政治利用につながる、という宮内庁側の憂慮もうなずける。  首相や平野官房長官は「政治と天皇」のあり方について基本的な理解を欠いていたのではないか。政治主導をはき違えては困る。

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