特養ホーム 在宅での待機20万人
42万人のうち、約20万人が在宅の待機者、そのうち「要介護1」3.3万人、「〃2」4.4万人、「〃3」5.4万人、「〃4」4.1万人、「〃5」2.6万人。在宅の待機が増加し、うち7万人もの介護度4.5の重度の方という深刻な事態である。厚労省は「施設整備が計画通り進まない」と説明していると報じられているが、こうした事態を生み出したのは国の介護医療抑制路線である。(図は赤旗より)
・特別養護老人ホームの入所申込者の状況 厚労省
・参考資料 要介護度別、入院、入所施設等別 内訳表
・特養ホーム:待機者42万人 要介護4、5の6万人が在宅--厚労省集計 毎日12/23
・特養ホーム待機者、3万人増えて42万人 厚労省調査 朝日12/22
05年まで特養ホームの建設には、国50%と自治体25%の建設補助があったが、三位一体改革で交付金化され、おまけに地方財源を5.8兆円削ったことにより、補助金が大きく削減されることとなった。そして介護報酬が03.06年と引き下げられた。事業者が積極的に建設に踏み出す環境にないからである。また、介護報酬の低さが介護労働者の不足を生み出し、この点からも増設がなかなかできない事態となっている。
介護保険導入にあって、国の負担を削減し、サービス量が増えれば、保険料に跳ね返る仕組みにするなど福祉切捨て路線のもたらした結果である。
在宅で20万待機ということは、利用者(07年10月)の5割にものぼる。2012年までに廃止される介護療養病床の利用者は10万人を越える。特養の増設、療養病床の廃止撤回など、社会保障充実路線への転換が必要である。
雇用面、増設にともなう建設工事など地域経済への波及としても・・・重要である。
【特養ホーム:待機者42万人 要介護4、5の6万人が在宅--厚労省集計 毎日12/23】 厚生労働省は22日、特別養護老人ホーム(特養)の入所待機者数を42万1259人と発表した。前回調査(06年3月集計)の約38万5000人と比べて約3万6000人増えた。前回は一部で人数を重複集計していたが、今回は重複を除外するよう調査しており、初めて実態に近い人数が明らかになった。 厚労省は「増加は高齢化が進んだことや、施設整備が計画通り進まないなどが要因で、深刻な状況」とみている。 08年4月以降に都道府県が実施した調査を今月集計した。待機者のうち、在宅の人は19万8677人(47%)。他の介護施設などに入所する「在宅でない人」は22万2582人(53%)。在宅の待機者のうち入所が急がれる要介護4、5の人は計6万7339人(16%)に上った。 要介護度別では、要介護3が11万372人で最も多く、次いで要介護4が9万9806人、要介護5が7万8719人だった。 厚労省によると、前回調査は重複のほか、要介護1に満たない人なども一部で含まれていた。こうした人を除外した今回は精度が上がり、同省は「より全体像(実態)に近くなった」としている。 特養の待機者は、地価が高く介護の人材も集めにくいため施設整備が進まない大都市部で多い傾向がある。しかし、一部の都道府県が在宅者や重度の対象者しか報告していないなど「データがばらつきがある」として、同省は都道府県別の人数は公表を見送った。【佐藤浩】◇先が見えない不安 母引き取り、娘はため息
東京都足立区の自営業、伊藤和子さん(56)は昨年暮れ、弟の急死に伴い母親(81)を自宅に引き取った。全盲で認知症もある母親はトイレ、食事とも介助が必要で、最も重い「要介護5」。伊藤さんはすぐに、区内の特別養護老人ホームに入所を申し込んだが、待機者が約800人いると聞かされた。
訪問介護サービスなどを利用し、何とか介護しているが、伊藤さん自身も腎臓が悪く、来月からは透析のため入院しなければならない。当面1カ月間は、老人保健施設に預けられることになったが、費用は特養の2倍近くかかる。
伊藤さんは「娘が保育園のころは保育園の入所待ち。そして今は母の特養ホーム待ち。どうにもならないもどかしさと、先が見えない不安で息苦しくなる。この国のセーフティーネットは一体どうなっているんでしょう」とこぼした。
今回の調査で、優先的に入所できるはずの在宅で要介護4、5の人が待機者全体の16%も占めた。
NPO法人「特養ホームを良くする市民の会」の本間郁子理事長は「在宅介護の実態は深刻。国は在宅重視で介護保険制度を進めているが、ターミナルケアを含め安心感のある特養への国民のニーズは高く、制度設計を見直すべきではないか」と話す。
さらに、「要介護度が重い高齢者ほど家庭内で虐待を受けるケースが多く、介護を苦にした殺人も増えている」とし、「高齢者の人権を守る意味でも、受け入れ態勢を早期に整える必要がある」と訴えた。【有田浩子、山崎友記子】
【特養ホーム待機者、3万人増えて42万人 厚労省調査 朝日12/22】 特別養護老人ホーム(特養)への入所を希望しながら入れない待機者が全国で約42万1千人いることが22日、厚生労働省が公表した調査結果で分かった。前回の2006年調査よりも約3万6千人増えた。自宅で待機せざるを得ない人が増えており、介護を必要とする高齢者の受け皿不足は深刻化している。 各都道府県が08年4月以降で把握している入所待機者の人数を、同省が今年12月時点で集計した。在宅での待機者は約19万9千人(47%)と半分近くを占め、前回の43%から増えた。ほかに、介護老人保健施設の約7万2千人、病院など医療機関の約5万4千人、グループホームの約1万3千人と続く。要介護4以上の重度な待機者は、全体の42%に上った。 都道府県別のデータは公表されていない。回答方法が統一されていないことから、自治体側が「基準が異なる中で比較すると誤解を与える」と公表を拒んだためだ。
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