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コメの所得補償 規模拡大一辺倒の構造改革路線?

 新政権の農業予算・・・農民連、日本農業新聞が見解を出している。
【食料自給率の向上は、輸入を規制し生産費を償う価格保障と所得補償でこそ 12/26】
【解説 農政転換予算決着 水田農業の将来像、早急に描け 日本農業新聞12/23】
 どちらも農産物自由化を前提とした「構造改革」路線との関係で、懸念が読み取れる

農民連の見解は、自公農政から一定の変化はあるが・・としなが、
①一般会計は史上最高だが、農業予算は、土地改良事業費の予算を半減などで4.2%減(10年連続減)。
②所得保障は、生産費の家族労賃を2割引き下げて計算。そのうえ、全国一律で、中山間地など条件不利地を切りすて
③米価低迷の原因である大手流通資本の「買い叩き」を規制がない
④転作支援は、助成額が従来より目減り。特に「戦略作物」以外の野菜、花き、雑穀は大きく削減
⑤現在進行中の農産物価格の暴落に対策がとられていない。
と指摘している。

また、日本農業新聞は「解説」で
 交付金単価を全国一律になったことで、「生産コストを下げるほど所得を増やせる仕組みで、制度上、規模拡大を農業者に促す仕掛けになった」、また「生産調整を事実上選択制とし、過剰米処理から国は手を引く。これで米価の大幅下落を招く可能性を否定できない」として、「戸別所得補償制度は規模拡大一辺倒の構造改革路線なのか、自給率向上が主目的なのか、農水省は早急に説明すべきだ。」と懸念を表明している。

 「所得補償したら、輸入自由化しても問題ない」というのが小沢氏の持論だから、従来の農政と同じく「規模拡大一辺倒の構造改革路線」と親和性のある仕組みに対し警戒があるのは当然だろう。

【食料自給率の向上は、輸入を規制し生産費を償う価格保障と所得補償でこそ 12/26】 ──「戸別所得補償モデル対策」の決定にあたって―― 2009 年12 月26 日 農民運動全国連合会 会長 白石淳一

1)赤松農相は12 月22 日、「農業の立て直しと食と地域の再生に向けて」との談話を発表し、2010 年度に実施する「戸別所得補償モデル対策」「水田利活用自給力向上事業」(総額5618 億円)を決定した。
談話の中で赤松農相は、この制度の目的を「食料自給率の向上を図るとともに、農業と地域を再生させ、農山漁村に暮らす人々が将来に向けて明るい展望を持って生きていける環境を作り上げていく」と述べている。
打ち出された「対策」は、市場原理一辺倒の自公農政に一定の変化をもたらすものである。また、当初案で大幅に減額されていた転作への助成を「激変緩和対策」として上積みするなどの修正が加えられたが、これは、農民連をはじめ、この間の関係者の懸命の運動の成果である。
しかし「対策」は、選挙で示された国民や農民の願いからも、民主党の選挙公約からも後退しており、きわめて不十分な事業といわざるを得ない。しかも、同事業予算を確保するために土地改良事業費を半減するなど、農林水産予算を約1000 億円も削減した「共食い」予算になっていることは重大である。

2)「戸別所得補償モデル事業は」、生産目標数量(生産調整)にもとづいて米を生産する農家を対象に、「標準的な生産に要する費用」と標準的販売価格との差額を全国一律で補てんするというもので、定額部分の交付単価を全国一律に10 ㌃あたり1 万5000 円(1俵当たり1698 円)に設定している。
農水省が発表した2008 年産米の生産費は60 ㌔あたり1 万6497 円であるにもかかわらず、鳩山内閣が想定している生産費は1 万3703 円にすぎない。これは家族労働費を2 割カットして生産費を人為的に切り下げ、「全銘柄平均の相対取引価格」で計算して標準的販売価格を水増しているためである。これは「農家手取りの岩盤補償を行う」などと胸を張れるものではなく、きわめて不十分な事業といわざるを得ない。
また、全国一律単価としているため、中山間地などの条件不利地の切り捨ても避けられない。

3)自公政権時代の「米改革」によって米流通の規制が撤廃され、大手流通資本の買いたたきが野放しになっていることが、この間の米価下落の原因である。こうした買いたたきを放置したままで10 ㌃あたり1万5000 円を交付したところで、さらに買いたたかれて米価が下落させられる恐れがある。
農民連は「要求と提言」で、米の生産コスト(1 万7000 円)と農家の販売価格との差額を政府が補てんする「不足払い」制度を要求している。買いたたきを規制して、市場に公正な価格形成の機能を回復させることとあわせて、1 万7000 円米価の実現を要求する。

4)米戸別所得補償モデル事業とセットになっている水田利活用自給力向上事業は、麦、大豆、飼料作物、米粉用・飼料用・バイオ燃料用・WCS用稲の新規需要米、そば、なたね、加工用米等の転作作物に対して、生産調整の参加の有無とは切り離して直接支払いするものである。
しかし、現行の「産地確立交付金」等に比べて助成額が減少する地域の影響を緩和するため、総額310億円で交付単価を加算する「激変緩和措置」を講ずるとしているが、310 億円の根拠がなんら示されておらず、北海道の試算(交付金が121 億円減少)に見られるように目減りは避けられない。また、戦略作物以外の「その他の作物」の10 ㌃あたりの交付単価はわずか1 万円で、野菜や花き、雑穀など地域振興作物を生産してきた地域にとっては死活問題である。米並みの所得が得られるよう、制度の見直しを求める。

5)年の瀬をひかえ、米をはじめとする農産物価格が軒並み暴落している。しかし政府は何ら対策を講じようとしていない。農家の経営と暮らしを守るために、備蓄米の買い入れ、リンゴやみかんの経営安定対策、不当な買いたたきの規制、輸入に対する規制を要求する。

戸別所得補償が、WTO、FTAなどの農産物輸入自由化を推し進めるための手段となることは断じて容認できない。歯止めなき輸入自由化をストップさせ、農産物の価格保障と所得補償の組み合わせを柱にする農政こそ、食料自給率を向上させる道だということを、あらためて国民のみなさんに訴えるものである。

【解説=農政転換予算決着]水田農業の将来像、早急に描け 日本農業新聞12/23】  民主党が衆院選マニフェストで約束した戸別所得補償制度が、全容を現した。農業者の念願だった所得補償を米に導入し、水田農業の立て直しを図る画期的なものだ。米の生産調整が1969年に始まって以来、40年ぶりの歴史的な農政転換になる。  関連対策を含めた予算額は5618億円。補正を含めた09年度の産地確立交付金などの水田関連の予算総額2547億円の倍の規模になる。農業者の高齢化や後継者不足が深刻化する中、赤松農相は「これなら子どもや孫に継がせよう、となる」と胸を張った。  しかし、鳩山政権発足から100日足らずでの決定で、制度設計を急いだことによる負の面も露呈した。最大の課題は、食料自給率を向上させると言いながらも、水田を含めた日本農業の将来像を示していないことだ。  今回のモデル対策は交付金単価を全国一律で設定した。生産コストを下げるほど所得を増やせる仕組みで、制度上、規模拡大を農業者に促す仕掛けになった。一方で、生産調整を事実上選択制とし、過剰米処理から国は手を引く。これで米価の大幅下落を招く可能性を否定できない。米価下落で水田農業の構造改革を進めるシナリオなら、この「壮大な社会実験」(ある政府高官)は非常に危ないものと言わざるを得ない。  戸別所得補償制度は規模拡大一辺倒の構造改革路線なのか、自給率向上が主目的なのか、農水省は早急に説明すべきだ。民主党は先の衆院選で小規模農家を含めて所得補償制度で支援し、農村集落を再生すると訴えた。農業者の期待とずれはないのか。路線を明確にしないままの農政転換は禍根を残す。  同省は来年3月までに新たな食料・農業・農村基本計画を策定する予定だ。全国でどのような担い手を育成し、農業や農村をどう活性化するのか。政府・与党は生産現場の意見を踏まえて議論を尽くし、将来像を示すことが求められる。

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